墓じまいラプソディ の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
いつも、私の気になっている問題をタイミングよく小説にしてくれる垣谷美雨さん。 私事で恐縮だが、ウチは30代の娘が二人。実家の墓は弟が継いでいるが、奥さんを亡くし、子は無く、自分の家の墓と奥さんの実家の墓の両方を守っている。幸い日帰りで通える場所ではあるが・・・ こんな問題を抱えている人は案外多いのではないか。 空き家問題と同じく、遠く離れた故郷にある墓をどうやって維持していくか?いや、維持、無理なんじゃない? そして「墓守り」の問題に付随してくる、「名字を継ぐ人がいなくなる」問題は、これから結婚する世代の、男女のぶつかり合いとして描かれている。 付き合っている時は良くても、家の問題が絡んでくると本性が現れるものだ。 いつもながら、会話がリアルで、男は小狡さ丸出しというか・・・ 一方、墓に金を出すことで見栄を張りたかったり、妻が樹木葬を遺言して激怒するなど、爺さんたち世代は墓に固執し依存する。 戦後、「家」より「個人」を重視する新しい憲法が公布され、もう80年近くなるのだけれど、人間、特に男性の意識はほとんど変わっていないことに驚く。 しかし時は絶えず流れていくもので、家族のありようは変化している。それにしたがって、墓のありようも変わって行かざるを得ないし、必ず変わる。まあ、恐ろしく長い時間がかかりそうだけれど。 「常識がない」と指摘されることもあるが、真実は「常識にとらわれない」五月(さつき)さんが好ましい。 伯母さん本人を前にして「伯母さんは墓じまいには大反対なんですよね?だったら伯母さんが死んでから墓じまいすれば丸く収まりますよ。だって死んだら何もわからないですし、そんなに先のことじゃないでしょうから」(p171)(ちなみに伯母さんは舅の姉で、元気な90代) それから、こちらも古い考えにとらわれず、まことに見識が広い女性住職さんも素敵。 そして、似非フェミニストで、婚約者としては問題ありだった悟だが、墓に関しては公共が行うようになればいい、という提案には賛成だ。 墓の存続にこだわる年寄りは、結局、自分が死んだ後、忘れられたくないのだろうと思う。 特に男が墓にこだわるのは、威張っていた自分に対する家族の恨みを、無意識に自覚しているからではないか。 家族の絆はさまざまで、必ずしも血のつながりや、同じ名字を名乗ることを必須条件とはしない。 それと、立派な墓石は故人に対する記憶を立派にはしない。 やはり、生きている人の心の中の思い出が大切だと思う。 「生きている人が大事」これが真実。
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いつも通り安定の「垣谷美雨」節って感じ。 うんうんと思いながら、さくさく読める。 テーマは2つ、夫婦別姓と墓守。 夫婦別姓というか、男性・女性どちらの名字を選択するのか?って話。 ワタシ事だけれど、自分も結婚するときに、それでもめた。ワタシの夫はとてもできた人で「女は夫の名字に...
いつも通り安定の「垣谷美雨」節って感じ。 うんうんと思いながら、さくさく読める。 テーマは2つ、夫婦別姓と墓守。 夫婦別姓というか、男性・女性どちらの名字を選択するのか?って話。 ワタシ事だけれど、自分も結婚するときに、それでもめた。ワタシの夫はとてもできた人で「女は夫の名字になって当然」なんてことは言わない素敵な人で、ふたりで妻側の名字にしよう・・・と決めたのだが、そこからが面倒だった。両親に話すと、それでは婿入りになる!と途端に話が別方向に転がりだし、婿入りする気なんてない私たちは途方にくれ、結局、結婚式はしたけれど、夫婦別姓つまりは籍を入れない事実婚になった。ちなみに今は子供もいるので、きちんと入籍しています。 この話、25年以上前のことね。25年も前なら分かるが、今でも世の中も意識もほとんどなにも進んでないし変わってないことに驚くなぁ。 お墓の話も、そういう世代なので興味深い。 ワタシは死んだらなんにもなくなってしまいたいと思っていて、なんとなく樹木葬がいいなぁと思っているのだけれど、ワタシの母親は「あんな雨ざらしの中なんて」ときっちり雨風防げる場所がいいらしい。個人の死生観ってやつだし、それはそれぞれ尊重してあげたいなぁと思う。
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さすが垣谷さん。もう、1つ1つの心情がグサグサと突き刺さり…そして自分が考えていた事が薄情である事ではないと思えました。離婚して出戻って来た近所の娘さんの事を我慢が足りないと未だ言ってのけてしまう主人に喜子さんのように私も同じ墓には入りたくないと思っている事は気がついていないんだ...
さすが垣谷さん。もう、1つ1つの心情がグサグサと突き刺さり…そして自分が考えていた事が薄情である事ではないと思えました。離婚して出戻って来た近所の娘さんの事を我慢が足りないと未だ言ってのけてしまう主人に喜子さんのように私も同じ墓には入りたくないと思っている事は気がついていないんだろうなぁと思っています。老後をやはり考えていかなくては…
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結婚する時、姓をどうするか、先祖代々の墓をどうするか。 男か女かでも考え方は随分違う。 墓に入るとか入らないとか、兎角揉めるのなら、墓など無い方が良いのかも。 墓などなくても故人のことを思う気持ちは変わらない。 何が大切なのかと考えさせられる。
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面白かったです。これからのお墓の問題、夫婦別姓、家族の在り方、いろいろな問題が提起されていて、思いあたる事が多々あり身につまされて読了しました。 昔の価値観が変わって考えも多様化して正直何が正解なのかわからない。跡継ぎ、だとか、お墓、だとかの私にも迫り来る問題に気付かされた物語で...
面白かったです。これからのお墓の問題、夫婦別姓、家族の在り方、いろいろな問題が提起されていて、思いあたる事が多々あり身につまされて読了しました。 昔の価値観が変わって考えも多様化して正直何が正解なのかわからない。跡継ぎ、だとか、お墓、だとかの私にも迫り来る問題に気付かされた物語でした。
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墓。名字。これに関して思入れのあるなしの個人差は大きいだろう。私は旧姓が気に入らなかったので何の迷いもなく夫の名字になった。墓に関しても深く考えてきたことは1度もない。そんな安易な自分を疑問視してしまうような1冊となった。墓守にこだわり続ける親世代。少子化著しい昨今では現実離れし...
墓。名字。これに関して思入れのあるなしの個人差は大きいだろう。私は旧姓が気に入らなかったので何の迷いもなく夫の名字になった。墓に関しても深く考えてきたことは1度もない。そんな安易な自分を疑問視してしまうような1冊となった。墓守にこだわり続ける親世代。少子化著しい昨今では現実離れしているといっても過言ではない。結婚して夫の姓になるのは当然の親世代。多様性著しい昨今では時代遅れといっても過言ではない。いや親世代でなくとも妻の名字になるのを好まない夫は多いはず。うちの夫も「絶対嫌だ」と言った。新しい未来は遠い。
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むちゃくちゃ面白かった。自分も近い将来直面する墓問題。自分も産まれた時から墓守と決めつけられており、子供の頃から婿養子を取って、地元で墓を守るよう決められていたことの窮屈さ。他人が常識を振り翳して、他人の生き方を決めつけてきたことが、今の時代に合わなくなってきたよね。墓然り、苗字...
むちゃくちゃ面白かった。自分も近い将来直面する墓問題。自分も産まれた時から墓守と決めつけられており、子供の頃から婿養子を取って、地元で墓を守るよう決められていたことの窮屈さ。他人が常識を振り翳して、他人の生き方を決めつけてきたことが、今の時代に合わなくなってきたよね。墓然り、苗字→跡取り問題然り、PTA然り、自治会然り。女が犠牲になって我慢して成り立っていたけど、おかしいよねってなり、古き良きいいものって言うのは大抵何もしてない男。墓も維持に嘘みたいな額のお金がかかったり、PTAも共働きが増え、男ゾーンにも実害が及んできて、やっと問題だと思われ、変動期に至っているんだと思う。不要なものは省いて、今生きてる人が楽になり、人生楽しめますように。
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面白かった。垣谷さんの本はどれでも面白いけど、今回は墓にまつわる話で、親族関係、親子関係、男尊女卑、夫婦同姓問題などを取りそろえて問題提起をしてくれていて面白かった。松尾家の光代は長女。次男の嫁の五月は他人事の婚家のもめ事を楽しんでいる。でもこの五月がカラッとしているので読んでい...
面白かった。垣谷さんの本はどれでも面白いけど、今回は墓にまつわる話で、親族関係、親子関係、男尊女卑、夫婦同姓問題などを取りそろえて問題提起をしてくれていて面白かった。松尾家の光代は長女。次男の嫁の五月は他人事の婚家のもめ事を楽しんでいる。でもこの五月がカラッとしているので読んでいても笑ってしまう場面が多い。墓の事よりいま生きてる人間の方が大事だ、という真実を提示してくれる小説だ。でもうちはお墓を両親が亡くなった時に作ったけどな?子供たちが困らないように用意したつもりだけど、将来は重荷になるのかな?
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墓じまいラプソディ 垣谷美雨さん。 読みながら、 恐ろしくなってしまった。 檀家って、大変だー。 墓じまいするにも、お金がかかる。 老後のお金が無くなるー! いろいろな意見がある。 自分たちのこと。 しっかり、話し合わないといけないな。 と、思った。 夫婦別姓の件は、 ...
墓じまいラプソディ 垣谷美雨さん。 読みながら、 恐ろしくなってしまった。 檀家って、大変だー。 墓じまいするにも、お金がかかる。 老後のお金が無くなるー! いろいろな意見がある。 自分たちのこと。 しっかり、話し合わないといけないな。 と、思った。 夫婦別姓の件は、 あまり、深く考えてない私。 どちらでも良いと思う。 垣谷美雨さんの本は、いつも、共感する。 次はどんな本が出るかなー。 楽しみ。
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いろいろな考え方があっておもしろかったです。ちなみにうちのダンナに本のことを話したら、松尾壱郎と同じ意見でした。
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