墓じまいラプソディ の商品レビュー
それは「自分が死んだら樹木葬にしてほしい。夫と同じ墓には入りたくない」という義母の遺言から始まった。五月は困惑する夫を冷静に見ていたが……。 墓の問題は、家の問題から夫婦の問題を経て娘の結婚問題へと波及していく。果たして解決の手立てはあるのか。 現代の社会問題でもある家族...
それは「自分が死んだら樹木葬にしてほしい。夫と同じ墓には入りたくない」という義母の遺言から始まった。五月は困惑する夫を冷静に見ていたが……。 墓の問題は、家の問題から夫婦の問題を経て娘の結婚問題へと波及していく。果たして解決の手立てはあるのか。 現代の社会問題でもある家族や社会の制度をテーマにしたヒューマンドラマ。 ◇ 義姉の光代から電話があったのは先週のことだ。光代は夫の姉であり、私の携帯に直接かけてくるのは珍しい。 要件は、先日亡くなった義母の四十九日についてだった。香典と精進落としの金額やその他の留意事項なので夫より私に言っておくほうが確かだと思ったのだろう。 それにしても物入りだ。新潟までの旅費もバカにならないのに、などとため息をついていると夫のスマホに着信があった。 「姉ちゃんだ。きっと四十九日のことだな」 と、言いながら夫はスマホを片手にリビングを出て隣の部屋に入っていく。私がテレビの手芸番組を見ているので気を使ってくれたようだ。 しばらくして夫の大きな声が聞こえた。 「本気で言ってんの? それ、おかしいって」 どうやら顰めっ面をしているらしい。 「親父は?」「兄貴は?」 と矢継ぎ早に質問する夫のことばだけでは何のことかわからない。もどかしく思っていると、 「なんでジュモクソウなんだよっ」 という夫の叫ぶような声が聞こえてきた。 ( 第1話「松尾五月 61歳」) 全28話。 * * * * * 大きく分けて、松尾家と中林家というふた家族の問題として描かれていますが、中心になるのは松尾家です。また、各話ごとに視点人物が変わるのですが、主人公に相当するのが松尾五月という61歳の女性です。 物語のポイントは2点。 1点目は両家の「先祖代々之墓」の管理問題で、2点目は松尾家次女の志穂と中林家長男の悟の結婚問題なのですが、その2点が密接に絡み合うところもあり、問題の根深さを際立たせていました。 まず墓問題について。 都心で暮らす松尾家と中林家には、それぞれ新潟と鹿児島に実家があり、菩提寺には先祖代々の墓があります。その墓はどちらも立派なものだけに、掃除や献花など日々の管理がかなりの負担になっています。 一族のほとんどが地元にいて家族も多いならまだしも、跡継ぎ世帯は都会で生活していて年寄りだけが残っている現状では、この墓問題は遠からず破綻するのは明白です。 労力面はもちろん費用面も大きくのしかかるため、ゆくゆくは自分も先祖代々の墓に入ろうと思っていないのなら、 ( よほどの名家でない限り ) 墓仕舞いもやむを得ないと思います。 なのに地元の親族たちは墓仕舞いに反対する。ここで興味深いのは、反対するのが実際には墓の世話をしていない人間ばかりだということでした。 妻や姉妹などに世話を押しつけている男どもや、少し離れたところに住み世話にノータッチの分家 ( 古臭い言い方! ) の連中です。 都会で暮らす跡継ぎ世帯は、うるさ型の親族に辟易しつつも強く言い返せないまま、時間だけが過ぎていくのです。 墓問題に絡んでくるのが結婚問題で、言い換えれば「嫁」問題です。 結婚すると、女性を「嫁」として捉える人たちが未だにいます。そう考えるのは老年層だけでなく、若い男性にも少なからず存在します。 夫の籍に入り夫の姓を名乗る。そして、夫側の両親や墓など、義実家の世話をする。 それを当然だと考える人たち ( 特に男に多い ) が、現実社会でも相変わらず幅を利かせているようです。 少子化が猛スピードで進み、核家族化が既定路線のようになってきている現代。古臭い因襲に拘っていると、結婚できない男と結婚しない女が増えていくばかりでは!? 垣谷さんの忠告が聞こえてきそうです。 * * * * * 私事ですが、法事の際に住職から伺った話を思い出しました。要約すれば次のような内容でした。 ☆人間は死ねばおしまいです。死後の世界などありません。 ですから葬儀や法要、供養等の諸々は故人のためではなく、ご遺族の方が自身の心を慰め故人とお別れするためのものなのです。 法要の規模に拘られる必要はないし、ましてや墓や仏壇のグレードなど気になさらなくていい。 ご遺族様が心の中できちんと手を合わされるなら、それに勝る供養はないのです。☆ 宗派によって考え方が異なるのかもしれませんが、この住職のお話はとても印象深く、感銘を受けました。 樹木葬や永代供養など、現代の世相に適した供養がもっと一般的になればいいのになと思います。
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ラストの方の、娘の彼氏旦那の 生まれてから死ぬの繰り返しで、いちいちお墓を作っていたら世界中お墓だらけになって貴重な土地がもったいないじゃないですか とはすごいよく言った!て感じ 本当そうだよね 生きてる人たちを大切に、土地を生かさないとだよね あと叔父さん!ナナとはいからな生活...
ラストの方の、娘の彼氏旦那の 生まれてから死ぬの繰り返しで、いちいちお墓を作っていたら世界中お墓だらけになって貴重な土地がもったいないじゃないですか とはすごいよく言った!て感じ 本当そうだよね 生きてる人たちを大切に、土地を生かさないとだよね あと叔父さん!ナナとはいからな生活。 やっぱり刺身はオイルでなんかじゃなくて醤油とわさびで食べるのが1番美味いよ は笑った。 夫婦別姓と並行して物語進んでいくかんじ。 苗字が違えば、確かにどちらかの家に入るっていうイメージじゃなくお墓も生きていくのかも。 でもお墓なんていらないかな。仏壇が大切になれば良いんじゃないかな。 あと色即是空、諸行無常。 本質は空。この世のすべての形は仮のもの。 魂はそこには無いし変わらないものは無い。故人を偲ぶのに物は必要ない。
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お墓をめぐる家族の物語。 バツイチの松尾五月の再婚相手・慎二の母が、遺言で樹木葬を希望するところか、話は展開していく。 仲の良い義理夫婦と思っていたが、募る思いはあったらしく、義父の葛藤が描かれる。 五月の娘たちは、結婚に際し、名前を夫の姓に変更することで揉め、新たな価値観を見出す。 お墓という時代にそぐわないシステムへの問題提起、同じ根を共通にしている選択的夫婦別姓との話題ともからめ、新時代のライフスタイルを提供する作品。
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面白かった! いつも、社会問題を上手に取り上げ、面白く小説にしてくれる垣谷さん。 今回のお墓問題も、我が事として考えさせてもらいました。 いろんな世代の登場人物が出てくるから、こちらもいろんな視点で見ることができるし、多分読者の世代によっても捉え方が変わるんだろうな。 私も樹木...
面白かった! いつも、社会問題を上手に取り上げ、面白く小説にしてくれる垣谷さん。 今回のお墓問題も、我が事として考えさせてもらいました。 いろんな世代の登場人物が出てくるから、こちらもいろんな視点で見ることができるし、多分読者の世代によっても捉え方が変わるんだろうな。 私も樹木葬でいいな。もしかしたら嵐や災害で倒されることもあるかもしれないけれど。諸行無常。色即是空。
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身近にある問題で自分もそろそろ向き合っていかなければならない状況。考えると悩むけど、この本を読むと主人公の言葉にいちいち共感してしまう。スッキリ面白い本で一気に読んでしまいました!!!
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読み始めて数ページで 『なにこれ、面白いじゃないの…!』と ページをめくる手が止まらなくなった。 爽やかな渡る世間は鬼ばかりに感じたが、 よく考えたら私は渡鬼を一度も観たことはない。 ネタバレすると具体的に墓じまいを完了させた家はない。 考えているけれどまだ先送りにする程度だ。 そこが実にリアルで、ありそうな話だと思う。 自分たちの代で終わらせる、という行為は なかなか勇気のいることらしい。 夫婦がどちらの姓を名乗るかという話も 墓守を誰がするのかという話も 身近にはあるものの、正直どうでもいいというか 希望があるなら伝えてくれるのは構わないけれど それをやるのは貴方達の世代であって、 我々には我々の希望があって然るべきですよね? と思っている。馬鹿正直に言わないだけで。 周りから非常識だとかお世辞が下手だとか 正直な人という評価を受けている五月さんが 実は一番、お墓に対して罪悪感があったのは意外だった。 両親をちゃんと葬ることができなかったという気持ちが お墓に対して寛容にさせていただけなのかな。 でもその寛容さが幸せを呼び込んでいた気がする。 娘たちは変なのと結婚しなくて済んだし、 お墓問題もうまく運んでいきそう。 対してプライドが高く価値観ガチガチの中林家。 10年後、いや5年後には息子はなぜ結婚しないのか嘆き、 非常識だと馬鹿にしていた親子が幸せそうなのを知り 発狂する勢いの順子を想像するのは難しくない。 どちらの一族もそれなりに幸せになってほしいし、 なるしかないのだけれど、 これを読んだ私は自分の代で墓じまいをすることに 前より抵抗がなくなった。 『全ては諸行無常ですよ』
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ついつい目を背けがちなのがお墓問題。その前に立ちはだかる夫婦別姓のもつれからその人なりが滲み出てくるのが、笑ってしまった。面白おかしく描かれているが結構シビアだなぁとしみじみ。 しきたりや伝統にかんじがらめになってしまいがちだけど、生きている人があっての供養だし、老後の生活は大事...
ついつい目を背けがちなのがお墓問題。その前に立ちはだかる夫婦別姓のもつれからその人なりが滲み出てくるのが、笑ってしまった。面白おかしく描かれているが結構シビアだなぁとしみじみ。 しきたりや伝統にかんじがらめになってしまいがちだけど、生きている人があっての供養だし、老後の生活は大事にしなくてはと痛感。価値観が合わない場合はそのまま先送り、というのも妙に納得。他人事とは思えないほどにのめり込んでしまった(笑)
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偶然にも昨日読み終わった本と似ていて、登場人物何年、って感じで何人か一人称で入れ変わりつつ話が進んでいく構成でした。 こちらは複数家族の人間が登場するのですが、ストーリーテーマが墓の継承、夫婦選択的別姓なので読みやすく感じました。 一番はじめに登場する松尾家の嫁?五月さんの考...
偶然にも昨日読み終わった本と似ていて、登場人物何年、って感じで何人か一人称で入れ変わりつつ話が進んでいく構成でした。 こちらは複数家族の人間が登場するのですが、ストーリーテーマが墓の継承、夫婦選択的別姓なので読みやすく感じました。 一番はじめに登場する松尾家の嫁?五月さんの考え方ドライでおもしろくて引き込まれ一気読み。 お墓問題もそうですが、いろいろ時代と共に変化するものですね。 この作家さんの本は、日常の共感度が半端なく高いのですよ…そうそう!そうなのよ、って感じでサクッと読めちゃいます。 明るくさわやかな読後感で良かったです。 目指せ、五月さんのドライさ!過去はいい、未来を楽しく生きるのだ。
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今の時代に合った小説。 檀家とか今はあまり入らないでしょう。我が数年前母が亡くなり、お墓を建てることになりましたが、檀家には入らず市の墓地公園の敷地を購入しそこにお墓を建てました。 永代供養料も払ってあります。 宗派にこだわる事なく、供養する事が出来ました。 墓じまいや樹木葬など...
今の時代に合った小説。 檀家とか今はあまり入らないでしょう。我が数年前母が亡くなり、お墓を建てることになりましたが、檀家には入らず市の墓地公園の敷地を購入しそこにお墓を建てました。 永代供養料も払ってあります。 宗派にこだわる事なく、供養する事が出来ました。 墓じまいや樹木葬など、様々なスタイルがある昨今、それぞれが好きな形で供養できればいいかと思います。
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今回も勉強になりました!!! 昨年、母が亡くなり、我が家もお墓どうする問題がでてきたが、父は、「管理する人もいないし、大変だし、永代供養でいいだろ!」ってことで、私は永代供養?母が可愛そうと思ったけど、この本読んで、父は結構、今風な考え方というか、父のさっぱりした考え方にすごく納...
今回も勉強になりました!!! 昨年、母が亡くなり、我が家もお墓どうする問題がでてきたが、父は、「管理する人もいないし、大変だし、永代供養でいいだろ!」ってことで、私は永代供養?母が可愛そうと思ったけど、この本読んで、父は結構、今風な考え方というか、父のさっぱりした考え方にすごく納得した。 無縁仏いやだとか旦那は言ってるけど、100年200年後と、骨も増えていくから、いずれは、骨をまとめて廃棄されるかもと読んでいて思ったり、、、 だったら、いつかは無縁仏じゃん!って思ったり笑笑 垣谷さんの作品はいつも勉強になるし、お墓問題とか正直触れたくもない話題だか、明るい口調で書かれており、お墓問題に少しは向き合うのも悪くないなぁと感じた。
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