サピエンス全史(下) の商品レビュー
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宗教と科学の利用により人類の可能性が加速した。 宗教の部分はとても複雑だったが、信仰というのは集団を1つにして統治をするにはとても都合が良いというのはこれまでにない感覚だった。 科学の発展は言うまでもないが、その発展のいく先の予測は容易ではないことは印象的だった。確かに、最近の潮流を思い出すと、IPS細胞の発見で生命科学が大きな注目を集め時代を築いたと思えば、最近はAIや機械学習など情報科学の時代である。 テクノロジーの進歩は突発的であり、どんな分野にもチャンスがあるとも感じた。
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面白いし芯を食った解釈だと思う部分がたくさんあった。ホモサピエンスの現代までの歴史を著者の解釈でひととおり語り、最後は我々が幸せになるための警鐘を鳴らしてくれた。 会社や通貨やイデオロギーも、虚構(共同主観的な現実)であるという意味で神話と同様のものである。宗教や帝国などの虚構によってサピエンスは統一され巨大なネットワークを形成してきた。サピエンスは農耕や資本主義によって繁栄してきたが、実は我々は、形のないそれらが成長するための母体の役割を担わされているだけで、そこに我々の幸福は考慮されていない。歴史は必然ではなく未来は可能性に開かれている。急速な科学の発展で今後、新しい人類の形態が生まれるかもしれず、今の私たちがするべきことは「何を望みたいのか」を考えることだ。
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歴史を研究するのは多くの可能性があると理解するためと説く本。 歴史の次の段階には、人間の意識等の根本的な変化も含まれる。 【関連書籍】 シンプルで合理的な人生設計、幸福の資本論、1984
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『サピエンス全史』(上・下) 数年前友人が読んで面白かったという話を聞いて気になっていた。話題の書であることは知っていたが手にするまで時間がかかった。読んで、当時の世間の反応はもっともであり世の読書人の感性に脱帽である。 このところ小説や評論など内面を探る本を読むことが多かったが...
『サピエンス全史』(上・下) 数年前友人が読んで面白かったという話を聞いて気になっていた。話題の書であることは知っていたが手にするまで時間がかかった。読んで、当時の世間の反応はもっともであり世の読書人の感性に脱帽である。 このところ小説や評論など内面を探る本を読むことが多かったが、これはそれとは対極のものであった。 目先の時間に埋没していた自分にとって、この作者 ユバル・ノア・ハラリの考える億年・万年・百年単位の人類(ホモ・サピエンス)の進化とその歴史を再構成する話は新鮮であり共感できた。 138億年前 物質とエネルギー(原子と分子)出現 45億年前 地球形成 38億年前 有機体(生物)出現 7万年前 ホモ・サピエンス発展 言語・認知革命 12000年前 農業革命 5000年前 最初の王国 貨幣 多神教 2500年前 ペルシャ帝国 インドの仏教 2000年前 漢帝国 ローマ帝国 キリスト教 1400年前 イスラム教 500年前 科学革命 200年前 産業革命 時間軸を変えて、宇宙から地球を覗くような目で人類の歩みを見るとこんな風景なのだろうか。 わかったつもりでいたことも別の「新しい歴史」に様変わりしているので驚きである。 上・下にわたる長編の大作だが、わかり易い表現で興味を唆り最後まで飽きさせない。 ただの動物の一種にすぎないホモ・サピエンスは「噂話をする柔軟な言語の認知革命」をへて、他のすべての人類種を地球上から一掃し、既存生物の生態系を破滅させる最も危険な種として、地球上の生態系の頂上に君臨するようになる。 ・・・狩猟から農耕で定着統一し、帝国・貨幣・宗教、科学革命・資本主義・自由市場等々、従来の概念を作者の視点で構築し新説の歴史として再現する。 侵略して先住民族を根絶やしにしてきたことや、 動物を食用として目的特化飼育をする話など多くの残酷で非情な物語も記録されている。 話は変わるが、いつも電車に乗り住宅街のマンションや住戸の連なりを窓外に眺めて、人は各々毎日あくせく生きながら、結局皆同じような生活をするアリやハチ・牛や馬のような「種としての集団生活をする生物なのだ」ということを感じていた。それなのにやたら違いを求めて競争をして平等とか格差といって、優越感や劣等感・妬みや嫉みで汲々とする。 まとまりのない結論のでないこともこの本はいろいろ考えさせてくれる。 思考のバランスということにも気づかされた。 「大きな視野で」そして内に深く考えよと。
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この本は、自分が知っていたつもりになっていた歴史について新しい視点を与えてくれる本だった。 これまでは、科学は戦争に勝つことを目的に投資され、発展してきたと思っていたがそれはここ最近の話であって、本来は知的好奇心から始まる未知への探究がトリガーになっていた。それが資本主義と合わさることで金を集め、帝国主義と交わることで世界中に拡大していき、引いては戦争の抑止力の一つにもなった…という壮大なストーリー また政治主義や宗教なども全ては虚構なのであると看破する上巻からの流れを汲みながら、人類の幸福とは?未来(コンピュータ社会の先)とは?を歴史の視点からアプローチする思考もまた面白い。この辺りは次作『ホモ・デウス』に詳しいと聞くので、次はそちらを読むつもりである。
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非常に面白かったけれど、読み切るまで(暇だったのに)1ヶ月くらいかかってしまった。 本筋ではないかもしれないが、それぞれの宗教が何を善とし何を目指しているかを初めて理解できた気がする。仏教が苦痛から逃れるために、欲を捨ててありのままを受け止めることを目指していると知り、どの宗教...
非常に面白かったけれど、読み切るまで(暇だったのに)1ヶ月くらいかかってしまった。 本筋ではないかもしれないが、それぞれの宗教が何を善とし何を目指しているかを初めて理解できた気がする。仏教が苦痛から逃れるために、欲を捨ててありのままを受け止めることを目指していると知り、どの宗教よりも1番しっくりくると思った。仏教について学んだことはなかったが私の中には日本人の血が通っていたんだなと実感した。 生成AIなどの話は、AIと人間の上下関係が入れ替わった世界線を想像させられ、その瞬間私たちが美しい、愛おしいと思っているもの全てが意味をなくす恐ろしさを感じた。すぐに眠くなってしまったり、お腹が空くとイライラしたり、そんな愛おしい人間らしさが下等だと思う日が本当に来てしまうのだろうか
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経済学部生として印象的だった第16章序盤の議論について。 「生産利益は生産増加のために再投資されなくてはならない(本文より引用)」とは、マックス・ウェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で述べた「資本主義の精神」であり、近現代の社会を駆動してきた原動力でもあった。現在の我々の感覚からするとこの考え方はすんなり受け入れられそうだが、歴史を見ると当たり前の価値観ではなかったと筆者は指摘する。確かに冷静に考えてみると、利潤を再投資に回すインセンティブが生まれたのは、18世紀後半の産業革命によって規模の経済性が働くようになってからだと考えるのは妥当だろう。そこで本書では近代以降と近代以前を区別して、そこでの利潤をそれぞれ資本(capital)と富(wealth)と分類するこのにとってその違いを述べている。この分類方法は非常に明快で頭の整理に大いに役立った。
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下巻は「そうか、こんなことも知らずに私は現代の価値観に挟まれて生きていたのか、恥ずかしいな…」の連続だった。
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サピエンス全史、やっと全部読んだ。漫画版も一緒に読んだけど、これは感想を書くのはなかなかハードだ。 歴史観、人類、ホモ・サピエンス、農業革命、差別、侵略問題、さまざま新たな視点を得るにはとてもすばらしい読書体験だった。 本のことそのものではないけど、1番記憶に残っているのは、...
サピエンス全史、やっと全部読んだ。漫画版も一緒に読んだけど、これは感想を書くのはなかなかハードだ。 歴史観、人類、ホモ・サピエンス、農業革命、差別、侵略問題、さまざま新たな視点を得るにはとてもすばらしい読書体験だった。 本のことそのものではないけど、1番記憶に残っているのは、読んでいる途中に起きたMrs.Green Appleの「コロンブス」のMV事件。 「開拓」なんていえば聞こえはいいが、それは先住民からしたら「侵略」「略奪」「蹂躙」の悲惨な過去の歴史であり、それはたかだか200年や300年前の出来事だと思えば、まだまだ人は過ちをおかしていく生き物なんだろうなと感じた。 終盤の遺伝子操作や生命の拡張?の話やギルガメッシュ•プロジェクトのとこも興味深かったな。生成AIが解き放たれた今のハラリの話がきいてみたい。
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おもしろい!! 人類の歴史本かなくらいの軽い感覚で手に取りました。なめてた…。 「世界の見方が劇的に変わる!」の帯は大げさではない。 ホモ・サピエンスが他の人類種とは違う進化を遂げたのは何故か。から農耕・狩猟・統治・改革・宗教・哲学・資本主義や近代のグローバル化まで、人類が生...
おもしろい!! 人類の歴史本かなくらいの軽い感覚で手に取りました。なめてた…。 「世界の見方が劇的に変わる!」の帯は大げさではない。 ホモ・サピエンスが他の人類種とは違う進化を遂げたのは何故か。から農耕・狩猟・統治・改革・宗教・哲学・資本主義や近代のグローバル化まで、人類が生き延びていく為に使った知恵の全てが詰まっています。 事実しか書いていないのに、おもしろい小説のよう。 歴史、生物学的なだけでなく、あらゆる視点からの説明でおもしろい。 何年にこんな事した〜とかあんな事件を起こした〜とか教科書的な話ではなく、もっとヒトという生物はどこから生まれどこに向かっているのか…みたいな哲学的な感じも含む。「資本主義の地獄」が特に興味深い。 お恥ずかしい限りだが、知らなかった事だらけ。 読んで良かった。 読み返したくなるし、「ホモ・デウス」も読みたい。
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