幽玄F の商品レビュー
読解はともかく最後まで読み切ったことに安堵。 物語の意図が良くわからなず戸惑いながら、しかし三島由紀夫のオマージュならばわからないのも仕方がないかと中盤から開き直り(笑)、ところが3章で一気読み。不思議な読書体験だった。 主人公の生きざま、仏、蛇、戦闘機、近未来・・・不思議な...
読解はともかく最後まで読み切ったことに安堵。 物語の意図が良くわからなず戸惑いながら、しかし三島由紀夫のオマージュならばわからないのも仕方がないかと中盤から開き直り(笑)、ところが3章で一気読み。不思議な読書体験だった。 主人公の生きざま、仏、蛇、戦闘機、近未来・・・不思議な世界が交錯する、それが小説となる。
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これまでの著者の作品とは感じが違うような。 面白い!とはならなかったが、不思議な魅力のある本だった。 著者インタビューで執筆にいたる経緯を読んだが、ははぁ三島由紀夫…
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★5 人生丸ごと戦闘機に魅了された男… 変態的な価値観と真剣な愛情があまりにも怖く美しい #幽玄F ■きっと読みたくなるレビュー 空の青さをみると、心が落ち着きますよね~ 河出の文藝夏号で掲載されていたし、爽やかな空を駆け抜けるような、純文よりの作品かなーと思ってました。 実...
★5 人生丸ごと戦闘機に魅了された男… 変態的な価値観と真剣な愛情があまりにも怖く美しい #幽玄F ■きっと読みたくなるレビュー 空の青さをみると、心が落ち着きますよね~ 河出の文藝夏号で掲載されていたし、爽やかな空を駆け抜けるような、純文よりの作品かなーと思ってました。 実際に読んでみると、文章や表現の美しさや構造美は純文学を感じさせつつも、戦闘機萌えな主人公と、想像だにできないストーリー展開が面白いドエンタメ小説でした。いやー、面白かった! 物心ついたときから飛行機に夢中な主人公。本書では彼の人生が丸ごと描かれてゆくのですが、実はなんとも物悲しい物語です。 何かを好きになること、夢中になることは、人に生きがいや希望をもたらしてくれます。彼も飛行機乗りになるため、並々ならぬ努力を重ね、夢を実現していく。それは晴れた青空のように美しい。 しかしその過程と現実の中、人との出会いや、時には挫折しながら自らの人生と飛行機を重ねてゆく。ただの飛行機乗りの話ではなく、人間であれば誰しも一度は悩む「何のために生まれてきたのか」という自己の存在証明に切り込んでいくのです。 それは決して大げさに描かれるのではなく、でも血の色よりも濃い赤色で目の前を広がっていく。飛行機オタクの変態的な価値観、真剣な愛情があまりにも怖い。 特に終盤クライマックスのスピード感とアクションシーンの筆致に、完全に心を奪われてしまいました。可憐すぎるのよ…こういう文字の連なりを体験できるのが読書の魅力なんですよね。素晴らしかったです。 ■きっと共感できる書評 私はいつも強迫観念に囚われている。目立った強みや特技も能力もなく、社会に対して目立った成果を出せておらず、このままの人生で良いのかと悩むことも多々ある。 しかし個人の人生は長いように思えるけれど、世の中の時間は永遠に流れ続け、宇宙は無限に広がっている。そう考えると、革命めいたことをする必要はなく、実現できることでいいから、何かに貢献できるだけでも十分かもしれない。 何事もこころ持ち次第で、ふるまいを優しく、にこやかに生きていければいいなと思いました。
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何を読まされたのだろう? としばらく呆然としてしまいますが、一気に読めて、突拍子もなく難解な、でもおすすめ本です。
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2023年。20231114予約→20231206受取。 飛行機に魅せられた男の話。三島由紀夫をモチーフにしたらしいが、詳しくないのでよくわからずw 昭和は遠くなりにけりw 子供のころから飛行機に乗りたいがため、身体を鍛え、視力を衰えなくし、勉学に励んだ透。母な亡く、父は忙しく、真言宗の祖父に育てられる。航空自衛隊に入団する。ある事件により自衛隊で飛行機に乗れなくなり辞める。その後、タイ→バングラデシュ。バングラデシュで発見された最新鋭飛行機とともに死す。うん、あらすじ書くとわかりやすい一生だ。これをぐんぐん読ませるんだなぁ。あいかわらず緻密な調査なんだなぁ。ミステリ作家の範疇には収まらないね。個人的には要注なのだ。
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事前に内容を全く知らずに読めてよかったかも いろんなかたちでヘビが現れてなんか不穏だし三島由紀夫の引用や自衛隊になった主人公も不穏だしで(最初クーデターでも起こすのかと思った)ハラハラしたけど、結局戦闘機に乗りたい一心だったので良かった 良くはないけど それを考えると子供時代に棺桶に入ってたのも最初に戻る感じで良かった 表紙、なんで赤にしなかったんだろうな 赤のほうが良いのにな〜 2回も階段から落ちた友だちはどうなったんだろう 最期の事件のニュースは見るんだろうけど、まさか乗ってたのが主人公だとは思わずにそのまま日常を過ごすんだろうな
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p146 行動には選択がともなっている p148 三島由紀夫 行動学入門 p189 結局、人生は退屈か冒険家の二択だと思うね p295 ふるまひをやさしく、幽玄に心をとめよ
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佐藤究さんの小説は2冊ほど読んで、どちらも引き込まれる面白さだったが、この作品はちょっと…というかだいぶ自分には合わず途中で断念… 内容は空に憧れる少年が、一心不乱に空を追い求めるお話しで、文章の書き方が昔の文豪の作品を読んでるみたいで不思議な感覚に陥った。 でも難しさはなく...
佐藤究さんの小説は2冊ほど読んで、どちらも引き込まれる面白さだったが、この作品はちょっと…というかだいぶ自分には合わず途中で断念… 内容は空に憧れる少年が、一心不乱に空を追い求めるお話しで、文章の書き方が昔の文豪の作品を読んでるみたいで不思議な感覚に陥った。 でも難しさはなく、堅い文章なのにスラスラと読みやすかった。 ただ、とにかく少年が“空”を追い求めるという内容に読み手の私は興味がわかず、その追い求め方が少しサイコチックというか不気味に感じる所があり、ゾワっとさせてくれるところもあるのだが、途中まで読んで「もういいかな、、」と思ってしまった。 これはだいぶ好みが分かれるかもしれない。
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凄く面白かったんだけどどう気持ちを纏めればいいか… 三島由紀夫、仏教、護国、戦闘機、速度、メカニック描写、自衛隊、挫折、蛇、「CLEARED FOR TAKEOFF」、タイ、バングラデシュ、紙飛行機… さまざまな要素があるのに膨大な取材で裏打ちされた情感あふれる描写で細部まで...
凄く面白かったんだけどどう気持ちを纏めればいいか… 三島由紀夫、仏教、護国、戦闘機、速度、メカニック描写、自衛隊、挫折、蛇、「CLEARED FOR TAKEOFF」、タイ、バングラデシュ、紙飛行機… さまざまな要素があるのに膨大な取材で裏打ちされた情感あふれる描写で細部まで現実感を感じさせてくれるにも関わらず、文章が簡潔というか詩的でさえあって読んでいて本当に心地よかったです。 佐藤さんの世界の弾かれ者に対する視線や、そういった人がどうやって世界に抗うのか、生きた証を残すのか、この先の作品にも表されそうで楽しみにしたいと思います。
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佐藤氏著作は全て読み、テスカトリボカでは衝撃を受けました。今作も圧倒的な情報量ですが、前作に比べるとかなりフラット、飛ぶ話だけに風が吹いているかのように思えました。透、ずいぶん遠くまできましたね。蛇から解放され優雅に飛ぶ彼の姿が目に浮かびました。私も飛行機好き、透との飛翔を文字で...
佐藤氏著作は全て読み、テスカトリボカでは衝撃を受けました。今作も圧倒的な情報量ですが、前作に比べるとかなりフラット、飛ぶ話だけに風が吹いているかのように思えました。透、ずいぶん遠くまできましたね。蛇から解放され優雅に飛ぶ彼の姿が目に浮かびました。私も飛行機好き、透との飛翔を文字で体験できて胸が躍りました。日本、タイ、バングラデシュと、その地の熱が感じられたのも、先生の作風ならではです。そして、今作で先生のサイン会に参加できました。作品の緻密な印象とは正反対の、とても気さくでフランクな雰囲気。感想が直接伝えられて、記憶に残る作品になりました。
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