幽玄F の商品レビュー
飛ぶことに取り憑かれた天才パイロットの数奇な人生を描く。それだけ言えば、大空を駆け巡る浪漫あふれる激熱ストーリーを想像するだろうが、本作はちょっと違う。確かに急上昇、急展開はあるものの、そこは佐藤究さん得意のアンダーグラウンドな世界に飲み込まれるようなパートも有り、らしさが感じら...
飛ぶことに取り憑かれた天才パイロットの数奇な人生を描く。それだけ言えば、大空を駆け巡る浪漫あふれる激熱ストーリーを想像するだろうが、本作はちょっと違う。確かに急上昇、急展開はあるものの、そこは佐藤究さん得意のアンダーグラウンドな世界に飲み込まれるようなパートも有り、らしさが感じられて良かった。 総評として、主人公の性格が掴みにくいのか、そもそも読み込みが浅いからか、作品が伝えたいことがなかなか汲み取れず、感想をうまくまとめることができないまま、書いては消してを繰り返している。 積読作品が、それなりに溜まってきたので、落ち着いたら頃にもう一度読み、改めることにする。 ★3.0
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私が、航空学生を受験した折、受験生の多くは、防衛よりも、一人で飛行機を操縦したい、宙返りをやりたいとかの飛行機オタクだった。その後、空を自由に飛びたいと結構多くの人が思っていると勘違いしている自分に気づいた。離陸する前の震える機体と座席に押し付けられる感覚が好きな奴は、滅多に居な...
私が、航空学生を受験した折、受験生の多くは、防衛よりも、一人で飛行機を操縦したい、宙返りをやりたいとかの飛行機オタクだった。その後、空を自由に飛びたいと結構多くの人が思っていると勘違いしている自分に気づいた。離陸する前の震える機体と座席に押し付けられる感覚が好きな奴は、滅多に居ないから。
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直木賞作家による受賞後初の長編で、三島文学をモチーフとしながら戦闘機パイロットを描いた作品。 三島文学に触れずに来てしまった身として、予備知識なしで航空小説として読ませていただきました。。主人公の性格やワット・アルン、仏教、護国、死と、うっすら三島っぽさは感じましたが、ちゃんと読...
直木賞作家による受賞後初の長編で、三島文学をモチーフとしながら戦闘機パイロットを描いた作品。 三島文学に触れずに来てしまった身として、予備知識なしで航空小説として読ませていただきました。。主人公の性格やワット・アルン、仏教、護国、死と、うっすら三島っぽさは感じましたが、ちゃんと読まないとなぁ。。 ただ、この(致命的な)ビハインドがありつつも、本著、純粋に面白かったです。中盤からはページをめくる手が止まらず、平日なのに2日間で読了。 「爽やか」という無邪気な表現を使っていいのか少し悩みますが、ストイックなまでに真っ直ぐな主人公、思いのほか国際的な展開(各地の描写も綿密な取材に基づいていると感じさせます)、飽きさせない伏線と展開、良作だなぁと感じました。 2000年生まれの主人公が成長していき、本著が出版された2023年をアッサリ追い越して、空自は航空宇宙自衛隊になり…というあたりも、それこそ戦闘機が超音速で目の前を通過していくような呆気なさがありましたが、このスピード感も面白いなと思いました。 1点あるとすると、未来の世界の描写はあまり未来に思えず。世界に通信網が張り巡らされた後で、DVDの市場とか残ってるんだろうか、というのは少し感じました。 ヒコーキ好きとしては、序盤の羽田から空自のくだり、その後の海外のシーンなど、とにかく飛行機に関する描写が沢山出てきて、そのどれもが丁寧なコトに嬉しくなりました。 敢えて粗を探すとすると、2030年にはちっこいボーイング737が成田からデンバーまで飛べるようになるのか?(今はボーイング787が飛んでいる路線)なんてのがありましたが、本著の魅力を損ねるものではないかなと思います。 本著、読みやすく疾走感のある展開にも関わらず、情報量が多い(これをサラッと読ませるのは凄いことですね)ので、読了時には謎の満足感がありました(笑 三島文学にチャレンジしてみたくなりますね。
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戦闘機を見た経験から一気にF-35Aのエースパイロットになる易永透(やすながとおる)。しかし超音速領域を経験したときに蛇の幻を見る。そして航空業界を転々として...。並行してF-35Bが盗まれる事件が発生し、透と最後につながる。そして透はどこへ行ってしまったのだろうか。 コクピッ...
戦闘機を見た経験から一気にF-35Aのエースパイロットになる易永透(やすながとおる)。しかし超音速領域を経験したときに蛇の幻を見る。そして航空業界を転々として...。並行してF-35Bが盗まれる事件が発生し、透と最後につながる。そして透はどこへ行ってしまったのだろうか。 コクピット内でのパイロットの描写がリアルで心地よい。スピード感もある。個人的には飛行機(ジェット戦闘機)が好きなので、楽しく読めた。ただし、三島由紀夫作品(「豊饒の海」など)を読んでないので、著者の意図は半分くらいしか理解できていないかもしれない。 プラモデルのF-35Aを完成させたタイミングで読みました。コクピットやパイロットのHMDなどプラモデルの造形を頭に浮かべながら読んだので、よりリアルに楽しめたかもしれません。F-35Bのプラモデルも組み立ててみたい。
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「三島由紀夫×トップガン」 佐藤究作品はハズレがなく、今作もまた素晴らしかった。 文章表現による戦闘機の操縦描写は美しく、荘厳さすら感じ、戦闘機乗りの主観には驚くべきリアリティがあった。 しかし読後に抱いた感情は、よくわからない。無色透明な・・...
「三島由紀夫×トップガン」 佐藤究作品はハズレがなく、今作もまた素晴らしかった。 文章表現による戦闘機の操縦描写は美しく、荘厳さすら感じ、戦闘機乗りの主観には驚くべきリアリティがあった。 しかし読後に抱いた感情は、よくわからない。無色透明な・・・なにか。 心に波立つざわめきはあったが、形を成さなかった。 しばらく放置して反芻すれば明瞭な形が浮かんでくるだろうかと2ヶ月ほど置いてみたが、変わらない。 そんな不思議な読書体験だった。 とはいえ、端的に面白かったので、ぜひ読んでみてください。そして、感想を教えてください。
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「テスカトリポカ」は衝撃的だったので佐藤究さんの作品は早く読みたいと思っていたのです。一気読みでした。話がどう展開していくのか先が全く読めませんでした。でもどの辺りが精神的支柱としての三島由紀夫だったのかよく分かりませんでした。
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静かに、淡々と物語が進行していく。 色々な人とのちょっとした関わりが印象的。 戦闘機…昔読んだ「ファントム無頼」や「エリア88」などを思い出しながら読みました。 なんとも言えない透の生き様でした。 若い頃三島由紀夫さんに挑戦して挫折しましたが今なら読めるでしょうか?心が揺れます。
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これまでに読んだ佐藤究さんの作品と比べると、 サッパリとした印象。 それは、雲のない澄んだ青空を思わせる。 主人公の淡々とした性格、人間的な部分より機械の説明に多くを割く構成が静謐さを生み、空や風や死を感じさせる。 上空の冷気に包まれるようだった。 内容だけでなく、そういう書...
これまでに読んだ佐藤究さんの作品と比べると、 サッパリとした印象。 それは、雲のない澄んだ青空を思わせる。 主人公の淡々とした性格、人間的な部分より機械の説明に多くを割く構成が静謐さを生み、空や風や死を感じさせる。 上空の冷気に包まれるようだった。 内容だけでなく、そういう書き分けができることが凄い。 ・ 美術教師は言った。「これが心理補色だよ。赤の残像でシアンが見える。きみたちの探しているのは、こういう青じゃないかな」 (中略) 空の青とは、すなわち死の補色だった。 ・ 個人的には同級生の溝口君のその後が気になる…。 後半に主人公と接点があったら良かったなぁ。 (いかにもな感じで作品をダメにしてしまいそうだけど…)
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「テスカトリポカ」の次作。 三島由紀夫をモチーフに書いた(書かされた?)とのことで、「豊潤の海」「太陽と鉄(「F104」)」などの三島の作品のオマージュにもなっているという。(主人公の名前も) 自衛隊のエリート戦闘機乗り崩れの遍歴譚だが、無常観というか揺蕩う(たゆとう)感じは...
「テスカトリポカ」の次作。 三島由紀夫をモチーフに書いた(書かされた?)とのことで、「豊潤の海」「太陽と鉄(「F104」)」などの三島の作品のオマージュにもなっているという。(主人公の名前も) 自衛隊のエリート戦闘機乗り崩れの遍歴譚だが、無常観というか揺蕩う(たゆとう)感じは確かに三島を想起させる。
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空を思わせるカバー、青空を示していると分かり一層期待をもたせた。 最後のおちは?クエスチョン❓ この展開になるの、うーん、勿体ない。
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