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ばにらさま の商品レビュー

3.6

58件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    19

  3. 3つ

    22

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2024/02/18

------------------------- そんなにも  不安なのか。 彼女は、雑誌の中のモデルみたいに 細くて綺麗で、優しく笑っていて、楽しそうで…… え? 思わず二度読み 最後の作品集 ------------------------- 6編の短編集ですが、 最...

------------------------- そんなにも  不安なのか。 彼女は、雑誌の中のモデルみたいに 細くて綺麗で、優しく笑っていて、楽しそうで…… え? 思わず二度読み 最後の作品集 ------------------------- 6編の短編集ですが、 最初の「ばにらさま」、 最後の「子供おばさん」のサンドイッチが最高です。 間に挟まっているのは、 「わたしは大丈夫」 「菓子苑」 「バヨリン心中」 「20×20」 上記4編ですが、 順番を考えた人最高とお伝えしたいぐらい。苦笑 「わたしは大丈夫」はとにかく倹約する主婦が、 「菓子苑」は友人のワガママを拒めない女性が、 因果応報というか業というか、 ミイラ取りがミイラになるというか、 読み終わった瞬間に怖くなる作品。 どの作品も、 一瞬目を離したすきに違う景色になるというか、 あれ今何見てたっけ?となる作品ばかり。 「子供おばさん」の読後は、 早朝に愛犬と散歩している空気を思い出しました。 空気が澄んでいて、まぶしくて、 静かに地に足がついているというか、 淡々と生きていく決意というか。 もう新作を読めないことが残念です。

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2024/02/17

20×20と子供おばさんが大好き。 前者は山本さんご自身のお話だろうなとなんかうれしくなりながら読んでしまった。 子供おばさんは素敵な表現を見つけて、山本さんの言葉は刺さるものが多い。

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2024/02/09

山本文緒の小説としての遺作。「20×20」がエッセイかのようなリアリティを帯びていたけど、私小説だったりするのだろうか。それは置いといて、全体的に結婚をテーマにした物語が多かったように思う。人はなぜ結婚するのか、独身と既婚者で人生における幸せの総量は変わるのか、二元論的な問いを考...

山本文緒の小説としての遺作。「20×20」がエッセイかのようなリアリティを帯びていたけど、私小説だったりするのだろうか。それは置いといて、全体的に結婚をテーマにした物語が多かったように思う。人はなぜ結婚するのか、独身と既婚者で人生における幸せの総量は変わるのか、二元論的な問いを考えても答えは出ないけれど、みんな少なからず一度は立ち止まり、答えのない問題に悩んだりするのだろうか。

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2024/01/31

 本書は、山本文緒さんが2021年に逝去される1ヶ月前に単行本として刊行された短編集です。「最後の作品集」とするも、6編の初出が2008〜2015年となっており、『自転しながら公転する』(2020)より前なんですね。  各編とも、短くスラスラ読めますが、濃密な内容です。入念な仕...

 本書は、山本文緒さんが2021年に逝去される1ヶ月前に単行本として刊行された短編集です。「最後の作品集」とするも、6編の初出が2008〜2015年となっており、『自転しながら公転する』(2020)より前なんですね。  各編とも、短くスラスラ読めますが、濃密な内容です。入念な仕掛けがあって、途中から見ている世界が一変したような印象をもちます。ある意味、人の心(とりわけ女性)、内面の怖さを突き付けられるような、思わず2度読みしたくなる感じでした。  多分、主人公目線で描かれる途中に、別人物の視点が挟まれ、明から暗(光から闇)へと、意図的に雰囲気・見え方を逆転させているのでしょうか。  当然、女性だけでなく人は多面的なので、日常の何気ない生活の中に見せる私たちの(光と闇を併せ持つ)姿を、リアルに描こうとしたのかな?  悲しく辛くなりそうで、がんの闘病記である『無人島のふたり』はまだ読めていません。それでなくとも、過酷なうつ病からの再起を果たした闘病記もあったんじゃなかったでしたっけ?  改めて、山本さんが58歳の若さで亡くなり、本作が小説としては遺作となってしまった事実は、とてつもなく重く切ないです。

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2024/01/20

短編集。どれも誰かの話でありながら、私の話でもあった。そう感じる人が多いんだと思う。解説に書かれていた通り、「生活」を描くのが非常に上手い。「生活」というものは誰かへの愛情、恋、期待、仕事、正体の分からない不安、孤独、胸が苦しくなる後悔、ひりひりした苦痛、役割を演じることなんかを...

短編集。どれも誰かの話でありながら、私の話でもあった。そう感じる人が多いんだと思う。解説に書かれていた通り、「生活」を描くのが非常に上手い。「生活」というものは誰かへの愛情、恋、期待、仕事、正体の分からない不安、孤独、胸が苦しくなる後悔、ひりひりした苦痛、役割を演じることなんかを常に内包していて、オチなんかなくってもドラマチックものなんだろうな。 「子供おばさん」の「人と人との関係な時にそれが同性同士でも仕事の関係でも蜜月を迎えることがある。そしてそれはまず例外なく、熟して落ちる果実のように自然に終わるものだ」という一文が好きだった。 ⚫︎あらすじ 伝説の直木賞受賞作『プラナリア』に匹敵する、中毒性の高い短編小説集。 ①「ばにらさま」  僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい……。 ②「わたしは大丈夫」 夫と娘とともに爪に火をともすような倹約生活を送る私。 ③「菓子苑」 気分の浮き沈みの激しい女友だちに翻弄されるも、放って置けない。 ④「バヨリン心中」 余命短い祖母が語る、ポーランド人の青年をめぐる若き日の恋。 ⑤「20×20」  主婦から作家となった私は、仕事場のマンションの隣人たちと……。 ⑥「子供おばさん」 中学の同級生の葬儀で、遺族から形見として託されたのは。 以上6編を収録。 日常の風景の中で、光と闇を鮮やかに感じさせる凄み 読み進むうちにぞっと背筋が冷えるような仕掛け 「えっ」と思わず声が出るほど巧みな構成 二度読み必至! 引きずり込まれる魅力満載の山本文緒文学! 2021年10月に惜しくも死去した著者最後の小説集。 (文春文庫HPより引用)

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2024/08/30

 ただ幸せが欲しいだけ。  目先の安寧に縋ってしまっては失敗して後悔しもする。でも、それが私。  そんな要領の良くない女性たちを描いたヒューマンドラマ短編集。            ◇  大手の金属会社が設立運営する冶金研究所で雑用係 ( 庶務 ? ) を務める僕に、生まれて...

 ただ幸せが欲しいだけ。  目先の安寧に縋ってしまっては失敗して後悔しもする。でも、それが私。  そんな要領の良くない女性たちを描いたヒューマンドラマ短編集。            ◇  大手の金属会社が設立運営する冶金研究所で雑用係 ( 庶務 ? ) を務める僕に、生まれて初めて恋人ができた。  彼女の名は竹山瑞希。肥満体で冴えない僕にはもったいないほどの美少女だ。山形生まれの彼女はバニラアイスみたいに色白で、冬でも薄着のせいなのか華奢な身体は冷えきっていて寒そうだ。  瑞希ちゃんは優しい。僕のことを広志くんと呼んでくれるし、目当てのレストランの予約が取れなくても怒ったりしない。ニコニコして居酒屋につきあってくれる。そんな彼女は、僕にとっては女神さまみたいな「ばにらさま」だ。  けれど、ある日たまたま彼女のブログを見つけてしまい……。 ( 第1話「ばにらさま」) 全6話。        * * * * *  どの話も最後に、主人公 ( 第1話のみヒロイン役 ) の女性がふっ切れたように前を向いて生きる気になるのはいいのだけれど、それまでの屈折ぶりが痛いというか、読むのがつらい。  例えば第1話の「ばにらさま」こと瑞希は主人公の広志が勤める冶金研究所の事務を担当する派遣社員なのですが、仕事よりも彼氏選びに余念がありません。  瑞希はかなり結婚というものを意識しているようで、自分の魅力を有効活用しようとしているフシが見られます。広志には自分から告白して彼氏にする一方、合コンなどにも積極的に参加していい男をつかまえるチャンスを狙っているのです。 つまり瑞希は広志を “滑り止め” として押さえてあるだけで、愛情はかなり希薄な感じです。  恋愛よりも、豊かで安定した生活を手に入れたいだけの瑞希。だから打算で生きる瑞希の心はいつも満たされず、それは身体の冷えにつながっていました。  そんな瑞希の不満のはけ口はブログに思いをぶちまけることでしたが、ある日それを安全パイであるはずの広志に気づかれてしまい……。  穏やかで人のよい広志に対する瑞希の姑息で白々しい振る舞いに、読んでいてイライラしてしまうのですが、なぜか瑞希を憎み切ることができません。ここに山本文緒さんの狙いがあるのだろうと思いました。  いちばん気に入ったのは、最終話「子どもおばさん」です。  主人公の夕子は、独身でひとり暮らしの中年女性です。仕事でもプライベートでも打ち込めるものがないまま生きてきて、気づけば47歳になっていました。  夕子には、美和という中学時代からの友人がいます。ただ、さる理由で7年ほど前から疎遠になっていたのですが、ある日、美和が急死したと彼女の兄から連絡を受けます。とりあえず葬儀に参列した夕子を待っていたものは……。  美和の死によって自分の生き方を見つめ直した夕子が、それまでの生活を一変させていくさまが清々しくて、読後感も上々でした。  その他では東日本大震災による原発事故を描き込んだ第4話「バヨリン心中」が印象に残りました。    久しぶりに読む山本文緒さんの作品。短編の中に独特の情緒を漂わせる山本さんの作風を堪能できました。 ( これが遺作だそうですね。)  山本文緒さんの御冥福を、心からお祈り申し上げます。

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2024/01/09

山本文緒作品を初めて読んだ 恋愛小説のイメージからこれまで敬遠していたが、読んでみると日常の描写が細やかで面白い 人物の心的描写もしっかりなされているため、感情をあわせて読むことができた 最近には珍しく、続きが気になって読書したくなる作品だった

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2024/01/09

『恋愛中毒』がツボだったので、続けての山本文緒さん。 表題作の『ばにらさま』が一番好き。酸いも甘いも知ったアラサーが楽しめる短編6篇。

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2023/12/22

山本文緒さんの本が読みたくて。 ツイッターやブログといった 現代的なSNSが組み合わされていることによって よりリアルな日常を味わえた。 子どもおばさんが最後で良かった。 どんな日常も悪くないと思えた。

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2023/12/22

山本文緒さんの最後の短編集。 読み終わって、もう一度読まないとちゃんとわからないような感じの不思議な感覚におそわれた。 「ばにらさま」は、人の本心の扱い方を考えた。「菓子苑」は、てっきり友達同士なのかと思って読み進めていたのに、途中で驚いた。 「子供おばさん」は、中途半端に流さ...

山本文緒さんの最後の短編集。 読み終わって、もう一度読まないとちゃんとわからないような感じの不思議な感覚におそわれた。 「ばにらさま」は、人の本心の扱い方を考えた。「菓子苑」は、てっきり友達同士なのかと思って読み進めていたのに、途中で驚いた。 「子供おばさん」は、中途半端に流されるように生きていくのも悪くないのでは、と思った。 他に、「わたしは大丈夫」「バヨリン心中」「20×20」の計6編。

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