ばにらさま の商品レビュー
山本文緒さんらしさって、ちょっとダメな感じの女性の日常が、あるある!って共感できる情景で事細かく描かれているところなのかなぁ。長編小説で特に感じるけど、短編でも充分感じるものだね。
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全く別の事柄を結びつける表現方法。そのおかげで感覚を呼び覚まし心の芯から物語に入ってしまう。物語よりも表現に感動した。
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アクロバティックな不倫の終わり方だった。 ※2つめの短編小説のネタバレになります。 節約上手な専業主婦と会社員の女性の視点を行ったりきたりする話。会社員の方は、人と深く関わるなんてメンドウだし、結婚願望もないし〜、となんだか冷めてて、たまたま気が合った既婚者とドライに付き合ってたつもりだった。 それが段々マンネリ化してきて、電球替えてあげよっか?って言われたのに対して一人でできるもんと何故か言い張り、でも結局面倒臭くてずーっと経ってから脚立に登ってようやくつけようとした矢先、 滑って落ちて、腰を強打!痛すぎて床をバンバン殴る。 うん、意地張らず電球くらい頼めばよかったのに。 でもまぁそれはしょうがない。 で、そしたら下の階の住人(ガタイがでかくて、多分酔っぱらいで、汚い)が「ウッセーぞコラァ!!犯すぞ!」とやってきてドアをドンドン叩いてきたから、ビビった主人公(会社員)は2時間くらいひえぇぇとなりながら腰痛い、どーしよ、と途方に暮れちゃう。 住人は部屋に戻ったと思ったら下からドンドンしてくるし。2時間も。 しかしまず、臭くて汚い人だったとしても、騒がしくしてごめん、脚立から落ちたの、ぐらい言えんのか。 腰も折れてないなら湿布貼るとか、病院探すとか、あるじゃん。さっきのドライさはどこいったのさ。だいたい庭木の剪定じゃないんだから脚立そんな高さないでしょ〜。 最終的に、不倫相手に電話で助けを求めたら冷たくされて、ヤケになって、家にあった薬を何もかも一気飲み。気づいたら病院で胃洗浄されてた。しかも大も小も漏らしてるし吐いてるし、サイアク。 「今来てくれないと死ぬ!」って騒いでたけど、男が来てくれたところで「病院行こ」か「警察呼ぼ」ぐらいしか言えることなくない? その後は内臓やられて働けなくなって、妊娠もしてて、奥さんにもばれて、不倫相手と一緒になるしかなくて、慰謝料月25万も払わないといけなくなったから、めでたく節約上手な専業主婦になったという。(会社員の女性と専業主婦は同一人物) 専業主婦パートの後半でもブチ切れてた。 タイトルは『わたしは大丈夫』。 いや、どこが??全然大丈夫じゃないよ! 途中途中、なんでなの、とツッコミたくなるけどこの先どうなるんだろう、と読まずにはいられなかった。
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さまざまな女性の生き様を描いた短編集。 一番印象に残ったのは『菓子苑』。 どこか歪で奇妙な二人の関係にモヤモヤしながら読んだが、途中でまさかの母娘と分かり…すっかり友達同士か、恋愛感情があるのかと騙されていた。 どの話の中でも、生活していく上でふと感じる違和感や上手く言葉にできないモヤモヤをとても分かりやすく表現されていて、自分自身とは重なる部分は少ないにも関わらずなんとなく気持ちが分かってしまう。 ストーリーの展開自体は淡々としているが、引き込まれてしまった。
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…なんとなく…感じてしまう違和感。 これは何だろうと思っていると、驚く事実が発覚し、この物語には別のフィルターがあった事に気づきます。 そのフィルターから見てみる物語は最初にイメージしたものとは異なる意外な世界でした。 そして浮き彫りにされたのは女性たちの潔のよいエゴイズム。...
…なんとなく…感じてしまう違和感。 これは何だろうと思っていると、驚く事実が発覚し、この物語には別のフィルターがあった事に気づきます。 そのフィルターから見てみる物語は最初にイメージしたものとは異なる意外な世界でした。 そして浮き彫りにされたのは女性たちの潔のよいエゴイズム。 エゴイズムというと、そのようにしか生きられないとても悲しく切ないというイメージ。 ですが…そんな感じではありません。 登場する全ての女性たちを総括するような言葉が子供おばさんの語りの中にありました。 「何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端のまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。」 ほんの少し他人の思いに心を寄せられたら、違う生き方が見えてくると思うのですが、そんな事はどこ吹く風ねという風情でした。 これはこれで味わってよいのかも。 今日もばにらさまは、雑誌のモデルそのままをコピーした完璧なヘアメイクで、完璧なコーデで、完璧な立ち振舞での完全武装で合コンに行ってそうです。 そんなことしなくても、欲しかったものは側にあった事など気付かないままに。 やっぱりイタイと感じてしまうのですが、ばにらさまを応援したくなる私なのでした。
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Audibleで聴いた。 短編集で、面白くなりそうってところでお話が終わってしまい、次の話に行ってしまうので、え?もう終わり?と毎回思った。Audibleで聴いていたので、最初は一編が終わったことに気づかなかった。全ての話を、もう少し長ければなと思った。
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山本文緒さん2作目読了。 人物の感情描写が大変丁寧で気づいたら入り込んでた。バヨリン心中と、20×20が特に好きだった!山本さんが紡ぐ圧倒的で緻密な生活感が好き!冷蔵庫弱にする、ティッシュ半分に切るとか、血の滲むような節約の背景にびっくりしたり。 ばにらさまは「小悪魔女子」、だけど友達にはなれないタイプだなー。人の心を弄ぶひとは嫌い。ばにらさまのネーミングセンスはさすがだと思った!平仮名なのも。 バヨリン心中は、ワルシャワがチェルノブイリの近くだと知っていれば、2人の関係は変わっていたかもしれないのにと思った。 もっと山本文緒さんの作品を読みたい! そう思えた一冊でした。
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私たちは、晴れることのない空虚さを抱えたまま、この「日常」という、いつ崩れるかもしれない薄氷の上を歩くが如く生きていかないといけないのかもしれない。いや、それが「生きていく」ということなのかもしれない。 女性の日常を描いた6編の短編集。 未婚のアラサー女性を描いた表題作から始ま...
私たちは、晴れることのない空虚さを抱えたまま、この「日常」という、いつ崩れるかもしれない薄氷の上を歩くが如く生きていかないといけないのかもしれない。いや、それが「生きていく」ということなのかもしれない。 女性の日常を描いた6編の短編集。 未婚のアラサー女性を描いた表題作から始まり、主婦としての女性、子を持つ女性、そして友人が早逝したアラフィフ女性と、読み進める毎に女性の年齢が上がっていくが、どの女性も一貫して己の奥底に大きな空虚を抱えている。 外側ばかりを飾り立て、内側の空虚さを相手によって埋めてもらおうとした若き頃(表題作『ばにらさま』)、確実に作り上げてきたと思っていた地盤が恋愛によって簡単に揺らぎ、目を背けてきた自分の空虚さと非力さを痛感した頃(『わたしは大丈夫』)、愚かさと幼稚さによって相手を傷つけ、そのことに自らも傷つきそれでも生きていこうとした頃(『バヨリン心中』)、そして最後『子供おばさん』では、自らの空虚さを自覚し日常を送る中でこう締めくくられている。 ーー私は週に五日仕事にゆき、休日は犬の散歩と買い出しをし、夜は友人や家族と食事をしたり、風呂の中で推理小説を読んだりする。日常に倦むことはない。 何も成し遂げた実感のないまま、何もかも中途半端なまま、大人になりきれず、幼稚さと身勝手さが抜けることのないまま。確実に死ぬ日まで。 この締めくくりを、絶望と捉えるべきか、肯定と捉えるべきか、アラサーである私にはまだ判断がつかない。 確実だと思うのは、これまでもこの先も、小説の中の彼女たちのように、私の中に巣くった空虚さを埋めようともがき苦しみ、周りを傷付け、そうすることしかできない自分にまた傷つきながらも、空虚さを内包したまま変わり映えのない日常をただただ生きていくしかないということだけで、願わくばせめて、そんな自分に正しく折り合いをつけていける分別ある大人として生きていくことができたなら、と思う。
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昔の作品(単行本に入れなかった作品)を集めて遺作というのはずるいのではないかと思いつつ…でもいい売り方ですよね。そして名作に限らずたくさん作品を持っている版元は強いですよね。。
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普通といわれる人の思い通りにはいかない日常を書かせたら、この筆者はとても上手で、読みやすく、面白い。でも、内容をすぐ忘れてしまう。。。 その中で、「菓子苑」は、そうなの??と、短編ながら驚きの連続で面白かった。
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