日没 の商品レビュー
まず大河原愛さんの装丁画がとても不穏でいいな…。 桐野夏生って感じだな〜〜!!過激かつ社会派。ちょっと怖い、みたいな。
Posted by
なぜ療養所に閉じ込められたのか分からないまま奇妙な毎日が続く。 重苦しいページが続くが、「第4章 転向」に著者の言いたいことがギュッと詰まっている。 表現はどこまで自由なのか、良い小説とは何か。みんな巻末の解説も最後まで読んで欲しい。
Posted by
胸糞。 とにかく胸糞。 胸糞で溢れて、胃がもたれる。 映倫ならぬ文倫。 国家が著書を規制する世界。 作家批判を過激にし、それを国家レベルまで押し上げた物語、という印象。 これは単なるディストピアではなく、 書く側に立ったときに感じる重さや不条理さ、 言葉を発した瞬間から晒され...
胸糞。 とにかく胸糞。 胸糞で溢れて、胃がもたれる。 映倫ならぬ文倫。 国家が著書を規制する世界。 作家批判を過激にし、それを国家レベルまで押し上げた物語、という印象。 これは単なるディストピアではなく、 書く側に立ったときに感じる重さや不条理さ、 言葉を発した瞬間から晒される暴力性そのものを、 作家目線で描いた話なのかもしれないと思った。 桐野さん、エッジ効きまくってるもんね。 売れれば売れるほど、賛否両論は避けられない。 その重さや不条理さを、書き手の側からこれでもかと突きつけられる一冊。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読んでいる間中、怖くて気持ち悪くてしょうがなかった。 『OUT』や『グロテスク』を読んだときの物語の怖さとは違って、組織に対してても足も出ないまま転がされていく怖さが、ものすごくリアルで。 主人公のマッツ夢井は、結構過激な暴力や性描写などを書いて、そこそこ人気の小説家だが、自分としてはもっと深く心を抉りだすような作品を書きたいと思っている。 そこへ、「文化文芸倫理向上委員会」という総務省が管轄する組織からの召喚状が届く。 事情聴取や若干の講習等が予定されているので、宿泊の準備をしてくるように、と。 そこから先が、とにかく怖い。 パイプベッドと机と椅子しかないような部屋に押し込められ、私語厳禁、2時から6時までの間に散歩に出てもいいくらいで、あとは多分盗聴器と監視カメラが設置された個室で食事を待つだけの生活。 その食事も、粗末なんてものではない代物で、もし本当に国の機関だというのなら食材の横流しが日常茶飯で行われているのではないか。会計検査院は何してるんだ! 穏やかな社会形成に反することは全て処罰の対象となり、反抗的な態度を改めさせるために、執拗に繰り出されるあれこれが全て恐ろしい。 どれだけ嘲笑されても、煽られても、職員に対して反論したり反抗したりすることは許されない。 灰色の上下の制服と、髪の毛をすっぽり隠す帽子着用で、名前ではなく番号で呼ばれる生活。 つまり、一切の個性は否定されるわけだ。 政府が認める範囲内だけの表現の自由。 多数派という匿名の圧力。 一方的にすべてのプライバシーを把握され、孤立させられ、希望を与えては取り上げられる絶望。 言葉を尽くして話しても伝わらない、聞く耳を持たない、行間を読むことのできない人たちとの対話の無為。 文脈ではなく、単語だけを切り取って「不適切」とレッテルを貼る。 一度貼られたレッテルをはがすことは、多分不可能。 どこかに必ずレッテルのきれっぱしが残ってしまうから。 フィクションじゃないか、とは言えない最近の世の中。 政府が学術院会議の人事に介入して、意にそわない人を認めなかったのは割と最近のこと。 大国の大統領が吠えれば、SNSでのファクトチェックを「やりません」宣言しなければならない現実。 名前ではなく番号で国民を管理したい政府。(だったら戸籍制度をやめればいいのに、そっちも手放さないという管理大好き国家) 「景気が好いと浮かれ、他民族より優秀と自惚れている間に、政府のいうことを聞く愚民を大量生産する」 上記のようなことを書いている人が、ある日突然音信不通になったら、そういうことだ。 私は多分殴られた時点で転向する。 もしくは、地下室で拘束衣を着せられベッドに縛り付けられた人を見せられたら、もうだめだ。 そして世の中は、静かに変容していく。
Posted by
これぞ桐野ワールド‼️…と思わず膝を打ちたくなる、そんな作品。 「砂に埋もれる犬」を読んで以来久しぶりの桐野夏生さん! “おもしろい”…というと語弊があるのかもしれませんが、”ユートピア”ならぬ”ディストピア”の極限の境地。その作品の世界に引き込まれ、ぐいぐいと読み進められてあっ...
これぞ桐野ワールド‼️…と思わず膝を打ちたくなる、そんな作品。 「砂に埋もれる犬」を読んで以来久しぶりの桐野夏生さん! “おもしろい”…というと語弊があるのかもしれませんが、”ユートピア”ならぬ”ディストピア”の極限の境地。その作品の世界に引き込まれ、ぐいぐいと読み進められてあっという間に読了✨ 万人ウケか?と問われるとわかりませんが、私の中ではドストライクでした‼️ サティ『グノシエンヌ3番』がBGMとして脳内再生されるような作品。 数十年前に読み漁った桐野夏生作品たちもまた読み返したくなりました✨✨ (2025.10.11−2005.10.13読了 )
Posted by
相変わらずの桐野さんワールド。 嫌悪感にむせながら読了。 でも解説が素晴らしい。小説とか文学とか表現の本質を考えることができるし、山田詠美とロシアの作家の対談とか興味深い。そして桐野さんが日本ペンクラブの会長でいらっしゃることや、タイトルの意味も 国の右傾が進みそうな今、読んで...
相変わらずの桐野さんワールド。 嫌悪感にむせながら読了。 でも解説が素晴らしい。小説とか文学とか表現の本質を考えることができるし、山田詠美とロシアの作家の対談とか興味深い。そして桐野さんが日本ペンクラブの会長でいらっしゃることや、タイトルの意味も 国の右傾が進みそうな今、読んでみることをおすすめします。
Posted by
途中まで割と随所に大衆の側から作家を戯画化する視点が見られたのだが、中ほどからはストレートなディストピアが展開されて、読み進むほどに気が滅入る読書体験だった。 特に主人公が情けないばかりに施設側に媚びたり命乞いしたりするさまは、生身の「エンタメ作家」の等身大を描いて過不足なく、暗...
途中まで割と随所に大衆の側から作家を戯画化する視点が見られたのだが、中ほどからはストレートなディストピアが展開されて、読み進むほどに気が滅入る読書体験だった。 特に主人公が情けないばかりに施設側に媚びたり命乞いしたりするさまは、生身の「エンタメ作家」の等身大を描いて過不足なく、暗いリアリティを感じてしまう。考えてみれば強制収容所の体験記は生還した人によって著されるので、そこに生存者バイアスが働くのかもしれない。 解説でも触れられているとおり、ヘイトスピーチと表現の自由は本書の問題意識として特記すべきであることも含め、今の社会からこの「空想譚」までいくつの安全弁が備わっているのか、思わず考え込んでしまう。
Posted by
この恐ろしい世界ならこの絶望的な結末もありか。人の醜さの描写が凄い。嫌悪感を抱きながら読了。 【2025.08】
Posted by
岩波現代文庫とは、ビックリだ。 親本も岩波書店だったし、どうやって展開したんだろう?買切りのままなら、あまり店頭に並ばなかったのだろうか。 岩波の「世界」に掲載された著者のスピーチ?を読んでから、こちらの作品へ。 なので、伝えたかったことはよくわかった。 ずっと自分を保つのっ...
岩波現代文庫とは、ビックリだ。 親本も岩波書店だったし、どうやって展開したんだろう?買切りのままなら、あまり店頭に並ばなかったのだろうか。 岩波の「世界」に掲載された著者のスピーチ?を読んでから、こちらの作品へ。 なので、伝えたかったことはよくわかった。 ずっと自分を保つのって大変なんだな。
Posted by
半日で一気に読みました。曇った病棟(隔離)の灰色の情景が浮かんで来る作品でした。空腹による服従、薬での管理、自分は狂ってないという事を受け入れて貰えない虚しさ。テーマは、表現の規制ではありますが、寝たきりの痴呆患者さん、脳死と呼ばれる患者さん、精神の患者さんの気持ちも表してるよう...
半日で一気に読みました。曇った病棟(隔離)の灰色の情景が浮かんで来る作品でした。空腹による服従、薬での管理、自分は狂ってないという事を受け入れて貰えない虚しさ。テーマは、表現の規制ではありますが、寝たきりの痴呆患者さん、脳死と呼ばれる患者さん、精神の患者さんの気持ちも表してるようで、苦しくなりながらも、脱出の救いを見たいという気持ちで読み進めました。最後は桐野夏生さん独特の世界観、考えさせる内容でした。ずっと脳に残る作品でした。
Posted by
