うるさいこの音の全部 の商品レビュー
交互に出てくる現実と執筆とが、文体の違いで表されてるのが、ようやくわかった。 相手に求められてる反応ができてるか常に気にしちゃう自分が、小説では思い切りよく行動してる。その小説が現実に近づいていくのに、幽霊的な非現実の内容になっていく交差感。自分のこと理解してほしいと思いながらも...
交互に出てくる現実と執筆とが、文体の違いで表されてるのが、ようやくわかった。 相手に求められてる反応ができてるか常に気にしちゃう自分が、小説では思い切りよく行動してる。その小説が現実に近づいていくのに、幽霊的な非現実の内容になっていく交差感。自分のこと理解してほしいと思いながらも、架空の自分を積み上げていく矛盾。いろいろ計算して、新しい試みを取り入れて、出来た本ってカンジ。 一方で、書きたくないけど書きたい、苦しいけど手放したくない、不安すぎて気持ちいい…作家のもがきは、リアルでヒリヒリした。 書き方はおもしろいけど、登場人物に魅力がなさすぎて、読み進めるのに努力が必要…
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本当にうるさいなぁと思う。自分の中で喋り続けている自分自身が。好き勝手に私を消費する人たちが。 「犬のかたちをしているもの」を読んだときに、主人公がウジウジしてて嫌だなと思ったけど、今回の主人公もウジウジしてはいるけどもうそんな次元は飛び出してて、よくぞここまでさらけ出してくだ...
本当にうるさいなぁと思う。自分の中で喋り続けている自分自身が。好き勝手に私を消費する人たちが。 「犬のかたちをしているもの」を読んだときに、主人公がウジウジしてて嫌だなと思ったけど、今回の主人公もウジウジしてはいるけどもうそんな次元は飛び出してて、よくぞここまでさらけ出してくださったと平身低頭の姿勢である。 口に出す必要のないこと、口に出してもどうしようもないこと、それを口に出さずにはいられないこと。でも匂わせるだけで、本心を伝える気はないこと。。。 本当にどうしようもなく人間だなと。小説の主人公っていうか人間すぎて、似てる性格の人は読むのしんどいかもね。
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読み進めるうちに、これは小説なのか、現実なのか、段々とわからなくなっていくのが見事だった。 瓜原さんの最後の言葉は、人から言われたい言葉だなと思った。
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小説なんて書いた事ないし、書けるとも思わないし、書けたとして、そんな大きな賞がもらえるわけないから分からんけど、そんな事態になったらこんな事が起こるんだろうな、というのは納得する。 知らない友人が現れるとか? 息吐く様に嘘が出てくるとか? 小説自体を鑑賞して欲しいのに、作家のあ...
小説なんて書いた事ないし、書けるとも思わないし、書けたとして、そんな大きな賞がもらえるわけないから分からんけど、そんな事態になったらこんな事が起こるんだろうな、というのは納得する。 知らない友人が現れるとか? 息吐く様に嘘が出てくるとか? 小説自体を鑑賞して欲しいのに、作家のあれこれを知りたがる傾向は自分にもあるので反省した。 結婚してるから、とか、性別や年齢だって本来は小説とは関係ないはずなのに、つい、私よりいくつ下、とか出身同じだ、とか気にしてしまう。
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高瀬さんの本は"明瞭では無い"ところが好き。物事って分かりやすくひとつの形に定まってくれないし、言語化できるものでもない。そんな部分が書かれている気がしてくる。
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「おいしいごはんが食べられますように」を読んで、この本を読んだ。途中で流し読み。小説家という表の顔と、素の自分。周りからの好奇の目とか期待に応えようとしたり、自分の生い立ちが特に面白いエピソードもなく、面白いことも言えず、いろいろ大変だなと思った。
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「おいしいごはんが食べられますように」に続いて2作目の高瀬さん作品。 前作に引き続き、ところどころ共感できる部分はあるのに、読みながらずっとテーマがぼんやりしていて、捉えどころのないまま、どんどん主人公の様子がおかしくなっていく話という印象。そして、決して後味が悪くなった口直しをしてくれない結末。 テレビで小説家として取り上げられたことから、地元の市長から電報が来たり、作り話のエピソードなのに当事者が発生したり、おかしくなりそうな事件はあれど、どんどん不穏になっていくストーリーにヒヤヒヤしていた。
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なんだか自分に難しかった。 恐らく作者さん自身も似たような経験をされたことがあるのではと思えてきた。 途中だんだんと小説なのか、現実なのかわからなくなってきて混乱。世間が求めているのはどっちの自分なのか? ゲームセンターの同僚も苦手な部類だし、途中出てくる元教員も嫌な感じ。でも...
なんだか自分に難しかった。 恐らく作者さん自身も似たような経験をされたことがあるのではと思えてきた。 途中だんだんと小説なのか、現実なのかわからなくなってきて混乱。世間が求めているのはどっちの自分なのか? ゲームセンターの同僚も苦手な部類だし、途中出てくる元教員も嫌な感じ。でも一番嫌だったのは親友かな。 あまり好印象の人物が出てこないなか、編集者の瓜原さんだけには心を開いてほしかった。
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【二重生活で引き裂かれる自己同一性】 ナガイ朝陽は 学生時からバイトをしていたゲームセンターに勤務している。 そして、早見夕日としてデビューした新人小説家でもある。 文学賞を受賞した後にさまざまなメディア取材に答える中での葛藤が描かれる。 ・・・ どうして小説を書いているのか、と聞かれて、分からない、と答える自分が小説家っぽくない、でも嘘をつくのは良くない… いつしか彼女は、相手が求めていることを答えるようになっていた。 その理由はもっと売れたい、とかそういうのじゃなくて、お金をもらってしていることだから、面白くないといけない、と、 とことん真面目な主人公だったと思う。 文章ではたくさんの言葉を紡げるのに、 話すことが苦手だったり不慣れだったり。 「人に伝えた瞬間に事実になる」 って言っていたけれど、 言葉を発することの責任、 それにより、人の幸不幸に影響を与える、ということでもあった…。 上司のナミカワさん、 編集者の瓜原さん、 イズタニさん、 アドさん…
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同時に進んでいく物語の意味がわかり始めたら、面白味がぐっと増すと信じて読み進めていたけれど、拭えない違和感が段々と大きくなっていて、全く共感出来ないままに読了。作品中に出てくる物語の方がよっぽど面白く、主人公の苦悩が漠然とし過ぎていて堂々巡りだった。登場人物みんな 肩入れできなか...
同時に進んでいく物語の意味がわかり始めたら、面白味がぐっと増すと信じて読み進めていたけれど、拭えない違和感が段々と大きくなっていて、全く共感出来ないままに読了。作品中に出てくる物語の方がよっぽど面白く、主人公の苦悩が漠然とし過ぎていて堂々巡りだった。登場人物みんな 肩入れできなかったのが大きいかも。お話が上滑りしていく感じだった。
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