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トゥルー・クライム・ストーリー の商品レビュー

3.9

37件のお客様レビュー

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2024/03/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ジャニス・ハレット×アンソニー・ホロヴィッツ×ホリー・ジャクソン。 ほぼ全編に渡りインタビュー形式の発言で構成された一冊。 ときおり章間にメール形式の会話が挟み込まれるのだが、このやりとをしているのが作者ジョセフ・ノックスと、彼が『堕落刑事』刊行イベントで知り合うことになった鳴かず飛ばずの作家イヴリンというメタフィクション的設定。 ホロヴィッツのホーソーンシリーズだったり、クツェーの『遅い男』だったり、最近では小川哲さんの『君が手にするはずだった黄金について』だったり、メタフィクションというのはなぜだか読者心をとんでもなくくすぐられる設定だと思う。 小説内の世界と現実が溶け合う感じになんとも言えぬ没入感を感じるのだ。 それに加えて地の文が一切ない斬新な形式とポイントで挟み込まれる写真や新聞記事形式の紙面。 近年ときどき見かける伝統的な小説形式に対する挑戦的なメディアミックス手法を引っ提げた作品には、それだけでわくわくしてしまう。 (とはいえこの手法で600ページ強をやり切られると、辛く感じる人もいるかもしれない。ちょっと長い。) キンバリーとゾーイの双子。 そっくりな二人だが、歌の才能の面でも人を惹きつける面でも、妹ゾーイの方に軍配が上がり、姉キンバリーはいつも「じゃない方」の人生を歩んでいた。 大学では歌の道に進むゾーイとは離れ、一人の道を歩み始められるかと思いきや、受験に失敗したゾーイはキンバリーと同じ大学へ通うことに。 あげく、同じ寮で暮らし、傷心ゾーイの見守り役までも押し付けられる始末。 大学入学後はなんやかんやでルームメイトやキャンパス内の友人達と華の大学生活を送っていた2人だが、クリスマス休暇を控えた学期末のパーティの場を最後に突如ゾーイは姿を消す。 事件から7年。ノックスのファンであることから交流があったイヴリンは、ノックスにアドバイスを仰ぎつつ、関係者達に幾度となくインタビューを行い、真相を求めこの事件を掘り起こし始める。。 その形式により、関係者間の発言の不整合、いがみ合い、嘘が増長され、どこに事実があるのかすら不確かな形で時の経過が語られてゆく。 それでも『ポピーのためにできること』ほどのぶつ切り感はなく、発言を繋ぎ合わせて見えてくるピースの欠けた不完全な絵にはなかなかに惹きつけられる。 途中ノックス自身の思わぬ関与までもネタとして出てきて驚きなのだが、「あれ、で、あれはそれだけ!?」で終わってしまう。 が、解説千街さん言うようにもう少し穿った見方をしてみると、また一層ダークな味わいを楽しめるのかもしれない。 早く『堕落刑事』も読まなくちゃ。

Posted byブクログ

2024/03/17

女子学生ゾーイの失踪事件からまもなく7年が経過しようという頃、その謎を解き明かそうと取材と執筆を始めたイヴリン。しかし彼女に何かが起こり、その原稿を作家のノックスが引き継いだ。ゾーイの双子の姉、ボーイフレンド、友人たちからの証言をもとに組み立てられる物語から真相は導き出されるのか...

女子学生ゾーイの失踪事件からまもなく7年が経過しようという頃、その謎を解き明かそうと取材と執筆を始めたイヴリン。しかし彼女に何かが起こり、その原稿を作家のノックスが引き継いだ。ゾーイの双子の姉、ボーイフレンド、友人たちからの証言をもとに組み立てられる物語から真相は導き出されるのか。 ほぼ関係者のインタビューという形式で構成されているので、客観的な視点はまるでありません。実際に起こったことの真偽すら怪しく、錯綜しゆがめられた証言のせいで各登場人物の印象もころころと変わってしまい、不安定な読み心地でした。もちろんそれこそが作者の狙いなんでしょうね。そして傍観者であるはずのイヴリンとノックスのやりとりにも何か不穏なものが……いったい誰を信じればよいのか、そして真相は解き明かされるのか。そしてそもそも姿を消したゾーイはどのような人物だったのか。新たな事件が起こるようなことはほぼないものの、ぐいぐい読ませられました。

Posted byブクログ

2024/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・あらすじ 女子大生失踪事件について関係者のインタビューをまとめた犯罪実録を執筆中のイヴリンの原稿とイヴリンの作家仲間であるジョセフノックスのメールのやり取りのみで構成されたミステリー。 ・感想 面白かった! 700ページ越えなのに地の文なしなので読みやすいし、当然のことながら登場人物全員が疑わしく、続きが気になって数日で読み終わってしまった。 事前情報無しで読み始めたので、序盤から不穏な序文に何度か表紙を見直したりしてしまった。 女子大生失踪事件の他にもう一つ事件が起こってる事が示唆されてから実録本の著者名に驚愕。 帯の意味を理解してなるほどこの手のメタ的要素もある作品なんだと理解してからは何一つ信用できない感じだった。 ゾーイの事件は解決するけどイヴリンに関しては明示されず。 でもまぁそういう事なんだろうと思うし、私はこの手のラスト結構好き。 毒親育ちで搾取子として自分を確立できず苦しんで生きてきたキムがラストでは家族の呪いを吹っ切って前をむけるようになってたのは良かった。 でもあの男相手だと今後も苦労しそうだけどなと思ってしまった。 私こういうメタフィクションミステリーめっちゃ好きなのかも(今更) 後書で書かれてる他の作品も読んでみようかなと興味を掻き立てられた。

Posted byブクログ

2024/02/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

めちゃくちゃ面白かった! ゾクゾクする。登場人物全員怪しい、信頼できない。 私が今読んでるものは本当にフィクションなのか?ノンフィクション?3Dの読書体験。我々の日常にまで小説の世界が入り込んでくる感覚。 家の鍵をしっかり閉めて、何度か後ろを振り返って身の安全を確かめながらページをめくった。 原著で読めたらこの気味悪さはさらに倍増だっただろうなあ。 終盤に 「実はこの人が犯人でした。ああ見えて裏であんなことやこんなことやってたみたいです。いや〜人間って怖いですよね、チャンチャン。」と一応の幕引きがあるんだけど、おいおいおい!待て待て!!絶対それで終わりじゃないだろ!!まだ裏があるだろ!!と。 いやージョセフ・ノックス恐るべし。ジョセフ・ノックスってペンネームらしいんですが、次回作もジョセフ・ノックスで書くんですかね。もうお前のことなんか信用してねえからな。 分厚い本なのでちょっとしんどいけど、後でもう一回読み返してみたい。

Posted byブクログ

2024/01/25

ほぼ会話のみ、地の文がない構成で展開するので、逆説的に地の文の重要性が良くわかる本となってます。分かりやすい説明的な本に飽きた時に読みたい。

Posted byブクログ

2024/01/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

事件関係者、作者までも信用できない…。 関係者の発言が果たして真実なのか。長い時間かけて行われた発言から、徐々に関係者達の思惑、葛藤、認識の相違、秘密があわらになっていく。 真実は関係者の数だけあるってことか…。

Posted byブクログ

2024/01/17

ジョセフ・ノックス。行方不明となった女子大生の事件を取材していた作家が助言を求めメールのやり取りをしているうちに証拠を掴んだあと、殺害された。本作はメールと取材時のインタビューの文字起こしというかたちで進み地の文がない思いきった構成。だがその分登場人物の証言に集中でき、人の主観で...

ジョセフ・ノックス。行方不明となった女子大生の事件を取材していた作家が助言を求めメールのやり取りをしているうちに証拠を掴んだあと、殺害された。本作はメールと取材時のインタビューの文字起こしというかたちで進み地の文がない思いきった構成。だがその分登場人物の証言に集中でき、人の主観で事実がどんなに変わるかわかる。またタワーの不気味さも十分伝わってきた。700ページからなる長編だが先が気になりスイスイ読めた。

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2024/01/16

202309/予想以上に面白かった!ページの分厚さのわりにはするする読めるので若干物足りなく感じてしまう程。読む前の注意書きにあるように、気にせずまずは読んでいければいいけど、ひっかかると先に進めないタイプの人は読みにくいかも。

Posted byブクログ

2024/01/07

登場人物全員が怪しくて、最後まで着地点かわからず一気読みした。タワーの不気味さが推理以外のホラー的要素を生み出していて面白い。 著者が作中の人物として登場する点ではアンソニー・ホロヴィッツと比較されるかもしれないけれど、作家二人のメールのやりとりは無くても良かった気がする。

Posted byブクログ

2024/01/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

分厚いし、会話のみっぽいので途中で飽きるかと思ったけど、すごく面白かった。 ジャイに平安がありますように。

Posted byブクログ