ラウリ・クースクを探して の商品レビュー
夢中になれることがあり、それを一緒に考えられる仲間に出会ったラウリの満たされた高揚感にわくわくした。ソ連とバルト三国の関係により、そんな仲間にも亀裂が入る。こうしたことで人々が分断されるのはもう終わりにしてほしい。
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SL 2024.11.14-2024.11.16 何もなさなかったラウリ•クースクを探す物語。 世界に民主化の嵐が吹き荒れて、ソ連が崩壊しバルト三国が独立した時代に出会ったラウリとイヴァン。国家と政治と歴史に翻弄された何者でもないただの一市民たちの生きた証を描き出す。 こういう終...
SL 2024.11.14-2024.11.16 何もなさなかったラウリ•クースクを探す物語。 世界に民主化の嵐が吹き荒れて、ソ連が崩壊しバルト三国が独立した時代に出会ったラウリとイヴァン。国家と政治と歴史に翻弄された何者でもないただの一市民たちの生きた証を描き出す。 こういう終わり方が好き。
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ソ連時代のバルト三国・エストニアに生まれたラウリ・クースク。黎明期のコンピュータ・プログラミングで稀有な才能をみせたラウリは、魂の親友と呼べるロシア人のイヴァンと出会う。だがソ連は崩壊しエストニアは独立、ラウリたちは時代の波に翻弄されていく。彼はいまどこで、どう生きているのか?(...
ソ連時代のバルト三国・エストニアに生まれたラウリ・クースク。黎明期のコンピュータ・プログラミングで稀有な才能をみせたラウリは、魂の親友と呼べるロシア人のイヴァンと出会う。だがソ連は崩壊しエストニアは独立、ラウリたちは時代の波に翻弄されていく。彼はいまどこで、どう生きているのか?(e-honより)
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第11回 高校生直木賞 受賞 支配国から独立をすることが必ずしも美談なわけではないのだと思い知った。 名もない一般市民が時代に翻弄され、突然立場が逆転したり、夢を奪われたり。 もしラウリとイヴァンが変わらず一緒に居れてプログラミングを続けていたら、イヴァンが思うように世界を変え...
第11回 高校生直木賞 受賞 支配国から独立をすることが必ずしも美談なわけではないのだと思い知った。 名もない一般市民が時代に翻弄され、突然立場が逆転したり、夢を奪われたり。 もしラウリとイヴァンが変わらず一緒に居れてプログラミングを続けていたら、イヴァンが思うように世界を変える技術が生まれた可能性もあったかと思うととても惜しい。 失われたものもあるなかで、大切な仲間と過ごしたかけがえのない時間は消えることなくそれぞれの胸の中にあり、最後のシーンは胸に迫るものがあった。
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偉人ではないラウリたちの人生を描いていて、理不尽な世界のなかにある友情の純粋さや美しい情景の描写が本当に良かった。 泣けるし、非常に穏やかで前向きな気持ちになれる小説です。
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舞台はエストニア。 多くの日本人読者にとってはあまりなじみのない国だろう。 バルト三国の1つであり、3つの国のうち、最も北にある。 土地柄、大国であるロシア・ソ連に翻弄されてきた歴史を持つ。 首都タリンは不凍港を擁し、バルト海交通の要衝でもある。 ソ連崩壊に伴って、1991年に独...
舞台はエストニア。 多くの日本人読者にとってはあまりなじみのない国だろう。 バルト三国の1つであり、3つの国のうち、最も北にある。 土地柄、大国であるロシア・ソ連に翻弄されてきた歴史を持つ。 首都タリンは不凍港を擁し、バルト海交通の要衝でもある。 ソ連崩壊に伴って、1991年に独立を回復した。IT先進国として知られている。 主人公ラウリ・クースクは、1977年、ソ連時代のエストニアに生まれた。 幼いころから数字が好きだった。父親が職場で入手した旧式のコンピュータに熱中し、プログラミング言語、BASICを習得。就学前に簡単なゲームを作成することができるようになった。 学校に上った彼はいじめっ子のアーロンに目を付けられ、必ずしも楽しい学校生活は送らなかったが、プログラムの才には目を見張るものがあった。折しも、国の方針で、情報教育に力が入れられるようになり、子供たちは幼いうちからコンピュータに触れる機会を得ていた。 プログラミングのコンペティションに応募した彼は、上位に入賞した。優勝したのは別の少年、モスクワに住むイヴァンだった。小さな村から、町の中学校に進学したラウリは、その学校に編入してきたイヴァンとともに学ぶことになる。絵のうまいカーテャという少女と、ラウリ、イヴァンは友達となり、3人は一緒に多くの時を過ごすようになる。 だが、ソ連崩壊が3人の友情にも暗い影を落とし、輝かしい日々は終わりを告げることになる・・・。 ラウリとは何者か。 「序」では、 ラウリ・クースクは何もなさなかった。 と述べられる。つまり、歴史の中で何かをなし、何かを変えた人物ではないということである。 彼に才はあったが、それは世界を動かすようなものではなかった。 どちらかといえば歴史に翻弄され、漂ってきた人物である。 しかし、私たちの大部分はそうであるとするならば、これは「彼」の物語であると同時に、「私たち」の物語であるのかもしれない。 物語はラウリの目から、そしてラウリを「探して」いる誰かの目から語られる。 その誰かは、途中まで作者自身なのかとも思わされるのだが、実は意外な人物であることがわかる。いや、よく考えれば意外ではないのかもしれないが。 エストニアという国の特異な歴史も興味深い。 なぜ日本人がエストニアを舞台にした物語を書くのか、という疑問は生じうるが、それを言い出すと、極端な話、自身に近い人のことしか書けないということになってしまう。 作者は実際、幼少期にはラウリを思わせるような「数字オタク」の少年だったそうで、ある点では主人公は著者の投影ともいえる。 230ページほど、さして長くない。 しかし、その中に一国の現代史、歴史の波にもまれた人たちのそれぞれの人生、そして少年期のかけがえのない友情のきらめきまで落とし込んだ、なかなかの佳品である。
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2回「え?気づかなかった!」といううれしい驚きを挟んで、結末はすっきりしていて良かった。 暗い歴史が背景なので「ラウリ・クースクを探して」も会えないのではないかと思っていた。 ラウリ・クースク、イヴァン、カーチャそれぞれに国の歴史、現状によって(と言ったら言い過ぎか)不自由さを抱...
2回「え?気づかなかった!」といううれしい驚きを挟んで、結末はすっきりしていて良かった。 暗い歴史が背景なので「ラウリ・クースクを探して」も会えないのではないかと思っていた。 ラウリ・クースク、イヴァン、カーチャそれぞれに国の歴史、現状によって(と言ったら言い過ぎか)不自由さを抱えている。大人になった今、それはそれとしてできる範囲で自分の能力を活かし、社会で活躍している。大人になるというのはそういうことなんだと感じた。かけがえのない子供時代がそれを支えているとしたら、この3人はそういう意味では恵まれていた。 とはいえ、国の運命で自分の人生が変わってしまうのは嫌だ。大きな圧力にさらされないで生きていきたい。
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バルト三国のエストニアはIT 先進国とは知っていましたが どのようにしてIT先進国になれたのかは知らなかったので うまくまとめられていて面白かったです。 同じ国に住みながらも立場の違いにより翻弄される3人 ラウリのその後の人生を追いながら 世の中に平凡な人生はない、 この世に生...
バルト三国のエストニアはIT 先進国とは知っていましたが どのようにしてIT先進国になれたのかは知らなかったので うまくまとめられていて面白かったです。 同じ国に住みながらも立場の違いにより翻弄される3人 ラウリのその後の人生を追いながら 世の中に平凡な人生はない、 この世に生まれたすべての人がスペシャルだと思いました。
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ジャーナリストがラウリを探す現在と、過去のラウリの時制が交互に展開される物語。日本にいるとない国や人種で友人関係に亀裂が入ったり、将来を壊される世界。常に世界は紛争があり、平和についても考えされられる話
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2024/03/05予約 78 読むまで、エストニアがIT先進国だと知らなかった。エストニアのマイナンバーカードは、ほぼなんでもできる、故にそのデータベースを使って個人的な興味本位の調べ物はできない。という認識のもと仕事に就いている人が多いのか? 日本でここまでのデータを正しく運用できるのか心配に思う。 エストニアで生まれたラウリ・クースク。プログラミングを通して親友になったロシア人イヴァン。エストニアの独立を夢見るカーテャ。 3人は出会い、尊敬しあえる友人になる。 数字だけが友だちだったラウリ。 そうでなくなって、本当によかった。 本の最初から最後まで、爽やかな風を感じられた。
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