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百年の子 の商品レビュー

4.3

142件のお客様レビュー

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    66

  2. 4つ

    46

  3. 3つ

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2024/07/30

100年という時間を経て知る祖母の過去。 人権を得るための長い時間、遠い昔から、 人権が認められなかった人々も、懸命生きてきたからこそ、今、当たり前と思える恵まれた世界があるのだと思った。

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2024/07/20

子どもの頃読んでた小学○年生。いつから読まなくなったか忘れたし、中身も残念ながら覚えていない。でも、表紙を見るとワクワクした。今は新1年生向けしか販売されてない。その雑誌がどのような時代背景でできたのか、現在から過去をたどる物語。そこに主人公と祖母が絡んで母子の関係の複雑さと面倒...

子どもの頃読んでた小学○年生。いつから読まなくなったか忘れたし、中身も残念ながら覚えていない。でも、表紙を見るとワクワクした。今は新1年生向けしか販売されてない。その雑誌がどのような時代背景でできたのか、現在から過去をたどる物語。そこに主人公と祖母が絡んで母子の関係の複雑さと面倒くささも描かれている。戦争を二度としてはならないと言う思いを理解するために、夏に読みたい本。

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2024/07/14

小学館の100周年を記念し執筆され、小学館の歴史を軸にしたフィクションって感じなのかな。NHKの朝ドラとかになってほしい。 私もよく「小学○年生」って雑誌は買ってもらってたし、小学館のマーク(チェック柄のテーブルの両端に男の子と女の子が座ってる)の昭和感には知らない時代への憧憬...

小学館の100周年を記念し執筆され、小学館の歴史を軸にしたフィクションって感じなのかな。NHKの朝ドラとかになってほしい。 私もよく「小学○年生」って雑誌は買ってもらってたし、小学館のマーク(チェック柄のテーブルの両端に男の子と女の子が座ってる)の昭和感には知らない時代への憧憬の念を抱いたものです。 さらに昔の第二次世界大戦下での学年誌では、子供たちへ皇国日本・鬼畜米英を説き、戦争終結後は手のひらを返したようなアメリカ賛美が始まる。 文部省の通達によるものであったとしても、思想が偏っていかざるをえなかった出版社の責任、編集者たち辛さには胸が痛んだ。 「子どもの人権に気づいてたったの百年」 「子どもとは何かを考え続ける」 に賛同。 歴史の面白さと大事さが詰まった一冊でした。

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2024/07/03

2022年に創立百周年を迎える小学館から記念作品執筆のオファーを受けた著者が書いた長編小説。 エンターテイメント小説ではあるが、戦争下の国策に翻弄された出版社、時代に応じて変わる学年誌編集、創始者の理念、女性や子どもの人権、それに真剣に対峙し格闘する人々の姿を、感動的に描いた力作...

2022年に創立百周年を迎える小学館から記念作品執筆のオファーを受けた著者が書いた長編小説。 エンターテイメント小説ではあるが、戦争下の国策に翻弄された出版社、時代に応じて変わる学年誌編集、創始者の理念、女性や子どもの人権、それに真剣に対峙し格闘する人々の姿を、感動的に描いた力作だ。 老舗出版社・文林館に勤務する市橋明日花は「学年誌創刊百年企画チーム」への異動を命じられ、学年誌の歴史を調べる過程で、古い社員名簿に今は認知症の祖母・スエの名前を見つけ驚く。 小説は、そのスエが文林館の臨時職員として働いた戦中の学年誌編集の様子、文林館の元取締役で現在は評論家の野山彬が文芸誌へのこだわりを捨て児童文学に情熱を注ぐようになったいきさつなどを骨格にして、令和と昭和の話が交互に語られる形式で進められていく。 物語を通して、著者は子どもと女性を中心に人権を強く意識していることがわかる。 それを表しているのが、文中にある昭和の作家・佐野三津彦の言葉「人類の歴史は百万年・・・子どもの人権が認められるようになってきたのは、わずか百年」 戦後の浮浪児、現在の虐待問題、今なお残る固定的な女性観、被爆者への理解不足など様々な人権を意識した記述が出てくる。  ラストでは、明日花の母で獣医として家庭を顧みなかった待子が心中を暴露し、明日花との絆を取り戻すシーンが描かれているが、仕事に邁進する女性が受ける苦悩、子どもを持つ女性と待たない女性のいがみ合いといった、いまだ残る女性問題があるとして締めくくる。  林芙美子、手塚治虫、藤子不二雄とおぼしき作家や漫画家と編集者とのやり取り、スエと小説家志望の白坂円との出会い、逆風が吹くなか創作童話連載依頼に奔走する野山彬と巡りあう人物の正体・・・興味をひく巧みな演出もあり楽しく読めた。

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2024/06/28

「百年の子」(古内一絵)を読んだ。 戦中から戦後の昭和の物語ととコロナ禍での令和の物語がが思わぬところで繋がり読む者に感動をもたらす傑作だった。 「百年の子」というタイトルの重さを噛み締めたいと思うぞ。 いつものようについ泣いてしまう私である。 古内一絵さんという小説家は...

「百年の子」(古内一絵)を読んだ。 戦中から戦後の昭和の物語ととコロナ禍での令和の物語がが思わぬところで繋がり読む者に感動をもたらす傑作だった。 「百年の子」というタイトルの重さを噛み締めたいと思うぞ。 いつものようについ泣いてしまう私である。 古内一絵さんという小説家はこの作品を読むまで知らなかったのだが、ちょっとこの先マークしとかなくちゃだな。 あー面白かった。 (蛇足) 『特に、一人、T子という非常に意地の悪い女生徒が登場する。』(本文より) 戦時中の女学生が書いた小説を親友が読む場面なのだが、戦時中でもアルファベットは使ったんだな。

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2024/06/29

ちょうど今NHK朝ドラが戦前戦後の女性の権利獲得の歴史を描いているが、本当にまだ100年程しか経っていない事をまざまざと知らされる。だがそれらはまだ決して全て解決してはいない。さらりと書かれてはいたが、主人公と子持ちの同僚とのやり取りは昔からみたら贅沢な悩みだが現代の大問題になっ...

ちょうど今NHK朝ドラが戦前戦後の女性の権利獲得の歴史を描いているが、本当にまだ100年程しか経っていない事をまざまざと知らされる。だがそれらはまだ決して全て解決してはいない。さらりと書かれてはいたが、主人公と子持ちの同僚とのやり取りは昔からみたら贅沢な悩みだが現代の大問題になっている。 出版社の歴史は実在の作家や編集者、雑誌等が少々フィクションを交えて出てきたりしてかなり読みやすい。主人公祖母が若かりし頃の戦中戦後の様子はリアルだったが、後の話はちょっと出来過ぎ感が否めないかな。 確かに昔は学年誌(いろんな出版社で)があったなと懐かしく思える。

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2024/06/15

わーなんだかすごい本を読んだなぁ。 女性と子供の地位というか人権ってまだまだ日が浅いことに驚いた。 そしてやっぱり戦争は恐ろしい。 何かも奪ってしまう。 100年かぁ。まだまだなんだなぁ。 明日香のは母親がどうして毎回、あんなに冷たいことを云えるのか不思議だったけど、ラストを読ん...

わーなんだかすごい本を読んだなぁ。 女性と子供の地位というか人権ってまだまだ日が浅いことに驚いた。 そしてやっぱり戦争は恐ろしい。 何かも奪ってしまう。 100年かぁ。まだまだなんだなぁ。 明日香のは母親がどうして毎回、あんなに冷たいことを云えるのか不思議だったけど、ラストを読んでもやっぱりわからない。 スエさんが本当に素敵だった。

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2024/06/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

このストーリーはあの出版社のあの雑誌のことなのだなぁと大変お世話になっていたので懐かしく思いながら楽しめた。しかも戦中から今日、並行して家族の歴史も絡ませ合いながら。 出版社の雑誌編集の仕事もだけど、一つの企画を成し遂げるまでの大変さや職場での諸々、家族間の思いなど他人事とは思えないような数々、身につまされながら読了。

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2024/05/29

またまた最高の1冊に出会ってしまった。 学年誌を舞台にした戦争時期と現代を生きる2人の女性の話。 戦争時期は生きることのしんどさ、戦争の虚しさ、現代時期は女性ならではのキャリアと家庭の悩み。 もりだくさんで読み応え抜群。読むのに2週間かかった

Posted byブクログ

2024/05/27

 本書は、「小学館創立100周年(2022)」を記念し、古内一絵さんが依頼を受けた作品なのだとか。記念作品の冠に相応しく、素晴らしい一冊でした。読み応えたっぷりで、おすすめの物語です。  時代はコロナ禍の令和と戦中・戦後の昭和、登場人物の中心は、出版社勤務の明日花と祖母。それぞ...

 本書は、「小学館創立100周年(2022)」を記念し、古内一絵さんが依頼を受けた作品なのだとか。記念作品の冠に相応しく、素晴らしい一冊でした。読み応えたっぷりで、おすすめの物語です。  時代はコロナ禍の令和と戦中・戦後の昭和、登場人物の中心は、出版社勤務の明日花と祖母。それぞれ交互に描かれます。  明日花の視点で学年誌(学年別学習雑誌)の100年の歩みを辿ることで、読み手は壮大な日本の文化の変遷を知ることになります。  学年誌を通した出版社・時代の変遷の物語とも、3世代の家族の物語とも受け取れますし、時代や世代を超え、困難に立ち向かう女性たちの物語、とも読み取れます。これらが絡み合いながら、見事に収束していく構成と展開が見事です。  実在した多数の人物をモデルに、入念で膨大な取材に基づいたであろう、戦時下の出版社の実情がリアルで、人物造形も含め描写が丁寧で、惹き込まれました。  学年誌の歴史を背景に、「近代的子ども観」はまだ未熟で、社会情勢や大人の権力で、子どもを鋳型に当てはめたり、簡単に覆ったりさせてはいけない、というメッセージを大人の立場で受け止めました。  雑誌が時代を映す鏡でもあった過去に学びながら、子どもに備わっている能力や個性を発揮するきっかけを奪ってはいけないと、強く共感しました。  暗く苦しい描写もあるものの、未来への希望を感じさせる、力強い感動作でした。

Posted byブクログ