クララとお日さま の商品レビュー
お久しぶりの カズオ・イシグロ 独特の雰囲気に会いたくて 読み始めた 何とも言えないこの雰囲気がいいなぁ 最後の店長さんとクララの場面に似たシーンをどこかで読んだような気がするのだけれど………
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本屋の一番目立つ場所に置いてあったので深く考えずに購入しました。カズオ・イシグロ作品はこれまで読んだことがなく、他のイシグロ作品との比較という視点は持ち合わせていませんが、AIロボットが登場するというオビ情報に惹かれ購入しました。 本書のユニークな点は、AIロボットの第一人称視...
本屋の一番目立つ場所に置いてあったので深く考えずに購入しました。カズオ・イシグロ作品はこれまで読んだことがなく、他のイシグロ作品との比較という視点は持ち合わせていませんが、AIロボットが登場するというオビ情報に惹かれ購入しました。 本書のユニークな点は、AIロボットの第一人称視点でずっと物語が進行する点です。主人公であるAF(アーティフィシャル・フレンド)ロボットのクララが外の世界をどう捉えどう考えているか、彼女(性別があるかはわかりません)を中心に語られるわけです。 ネタバレになりますのでストーリーについては書きませんが、私自身は全編通してなにか水墨画もしくは雅楽のような静謐なイメージの中で、感動が生み出されていくような不思議な感覚を持ちました。ある意味予想通りですが「スノウ・クラッシュ」のようなパンク的な要素とは真逆の本なわけです。本書を読んで、スピルバーグ監督の「AI」という映画を思い出しました。子供のAIロボットが開発され、プログラミングによって特定の人物を愛することができるわけですが、今後AIが進化していくとおそらく、スピルバーグやイシグロが描いたようなAIロボットが高い確率で登場するのだと思います。その時に人間はどう接していくのか、AIロボットを「モノ」として扱ってしまうのか、いろいろ考えさせられる作品でした。
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なんか、んーー人には、おすすめしない。 個人的には、そうでない人間とそうである人間の明確な表記がほしかった。 でもよくよく考えるとこれは、クララ語るべくした小説であるならば人間の未来永劫の繁栄の意味を完璧に理解することが目標ではなく、クララ自身が今自分はどうあるべきなのか。を問う...
なんか、んーー人には、おすすめしない。 個人的には、そうでない人間とそうである人間の明確な表記がほしかった。 でもよくよく考えるとこれは、クララ語るべくした小説であるならば人間の未来永劫の繁栄の意味を完璧に理解することが目標ではなく、クララ自身が今自分はどうあるべきなのか。を問うた本なのかな。他者の決められた幸福に乗っかるのではなく、太陽や自然の今あるべきものに感謝し 大切な人と会話し、笑顔で過ごすべきことが未来永劫続くことがどんなに大切かを書いている気がする。結局たくさんの優秀な科学者を持ってしてもサポートされるべきことは、身近なひとを大切にし思いやりを持ち生きていくことだとおもうと、人はなんで脆いのだろうと感じた。
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クララは終始冷静。感情的にならない。それは感情がないということか。ならば、ジョジーの友だちが集まったとき、どうして黙ってしまったのか。悔しいとか、屈辱的とか、そういう感情をもったのではなかったか。そして、クララは終始従順。逆らうとか、歯向かうとか、反論するというようなことはなかっ...
クララは終始冷静。感情的にならない。それは感情がないということか。ならば、ジョジーの友だちが集まったとき、どうして黙ってしまったのか。悔しいとか、屈辱的とか、そういう感情をもったのではなかったか。そして、クララは終始従順。逆らうとか、歯向かうとか、反論するというようなことはなかった。と思う。そういうふうにプログラミングされているのか。しかし、そこに自由な意思がないというわけではない。ジョジ―のために、お日さまにお願いするために、無理をして納屋まで行った。最後の場面でも、家族のことを一切悪く言うことはない。幸せだったという。クララにとっての幸せ?一体それは何なのだろう。それにしても、いつもながらイシグロの物語はゆっくりと落ち着いた雰囲気のなかで進んでいく。AFとは何か。向上処置とは何か。たぶんそれぞれ各一ヶ所でしかその答えが書かれていない。人工親友、遺伝子編集、それらもさりげなく登場するから、意識していなければ見逃してしまう。ところでクララはあの煙突3本のキカイが1台しかないと思っていたのか。そんなわけはないのに、その辺り幼くてかわいい。というか、経験は増え、記憶が増えていくわけだけれど、それを成長と呼んでいいのだろうか。ジョジーやリックといっしょに成長したのだろうか。最後の店長さんとの会話を読むと、やはり成長したと言っていいのだろうな。そして、この後、クララは分解され鉱物を回収した上で廃棄処分になるのか。それとも、メンテナンスをした上で、再び他の子どものところに持ち込まれるのか。このまま捨てられるとすると、なんとも気の毒な感じがするな。さて、この物語を読んでいる途中、小6の生徒に内容を話してみた。AFとは何かを想像させた。残念ながらパッと思いついた生徒はいなかった。と言っても、僕自身我慢できずにググってしまったから、偉そうには言えない。あまりお勉強が得意でない女子が一人だけタイトルをメモしていた。読んでくれるだろうか。残念ながらイシグロの名前は浸透していないようだ。昨年、通信に連載していた文学談義の中でも紹介したのだが。読んでないなあ。
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読み終わりたい気持ちは山々なんだけど、なんか読み進められないーーー。でも結末だけ知りたい、、、笑 なんでだろう単純に相性があんまり良くないのかも 結局結末だけ知った、、、 なんだか凄く色々な解釈ができる物語なのね 難しいーーー。私の知能が及ばないのかね、あと文章の書き方が合って...
読み終わりたい気持ちは山々なんだけど、なんか読み進められないーーー。でも結末だけ知りたい、、、笑 なんでだろう単純に相性があんまり良くないのかも 結局結末だけ知った、、、 なんだか凄く色々な解釈ができる物語なのね 難しいーーー。私の知能が及ばないのかね、あと文章の書き方が合っていなかったのかも。大きな鳥にさらわれないようにみたいな感じだった
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第4部から急展開すぎて、そこから2日で読了。面白かった!と簡単に言いたくない重さを、読み終わった直後のいまは感じる。 詳細が謎のままの設定もあるし、第3部くらいまでは割と静かに物語が進んでいくから先が不安になるけど、第4部以降が怒涛で読むのを止められなかった。 そうなってほしくな...
第4部から急展開すぎて、そこから2日で読了。面白かった!と簡単に言いたくない重さを、読み終わった直後のいまは感じる。 詳細が謎のままの設定もあるし、第3部くらいまでは割と静かに物語が進んでいくから先が不安になるけど、第4部以降が怒涛で読むのを止められなかった。 そうなってほしくない、と思ってたけど、そうなってしまうんだろうな……という結末。クララに感情移入しすぎてたからつらかった。でも読んで良かった。「わたしを離さないで」が好きな人なら受け入れやすいと思う。
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カズオイシグロは「わたしを離さないで」しか読んだこと無いのだけど、静かで多くの背景を語らずじわじわと世界観が詳らかになっていく流れ、なんとなく切なく物悲しい雰囲気が良い
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クララよりも、カズオイシグロのような文章を書く人工知能が現れる方が可能性が高いと思った。 クララは人工知能であるが、他の人工知能と違う性格を持たせていること、そして、それは狙って作れるものではないようなこと。そして、認識能力だけでなく、信仰能力を持ち合わせていて人間的であること...
クララよりも、カズオイシグロのような文章を書く人工知能が現れる方が可能性が高いと思った。 クララは人工知能であるが、他の人工知能と違う性格を持たせていること、そして、それは狙って作れるものではないようなこと。そして、認識能力だけでなく、信仰能力を持ち合わせていて人間的であること。しかし、自由意志を持たせているのは危険ではないか。倫理観は人工知能に取りつけてあったのか。 しかし、人工知能が一人称的に語るということは、すべて幻という可能性もある。やっぱり人工知能が小説家になったのだ。また一人称にすることで、人工知能が途中で破壊される危険性は少ないと感じさせられた。これは読み手には安心材料である。 病弱な女の子がいて、その子が死んでしまうかともさえ思わされた。それでも、クララはお日さまを信じ、女の子は助かる。これが主旨だろう。 人工知能は人間の代わりを果たせるか、それにかかっている。成長するか、セックスするか、死に至るか、それができなければ、廃棄されるだけだ。 大便、中国の国家主席という比喩はなかなか思いつかない。さすがカズオイシグロといったところか。 大便はいずれ出されるだろう人工知能のこと。中国の国家主席は大気汚染の元凶のこと。いずれも私の類推ではあるが。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人工親友のクララの記憶を辿るように物語がスタートします。文章や風景の捉え方あらゆるところにクララらしい表現がされていて物語にのめり込んでしまいました。前半は会話の端々に疑問が生まれるますが、後半であらゆる疑問が回収され、最後はあたたかくもあり、寂しくもありました。ジョジーを助けるために必死になるクララはAIという枠を超えて、人間に近かったように思えます。太陽を信じる姿はどこか宗教的な信仰を思わせました。ジョジーとお別れしたあとのシーンで「幸せだった」と伝えるクララはやはりAIであることを感じさせるとともにそう思えることが幸せだとも気づかせてくれる描写でした。著者の別の作品も読んでみたいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人間とAI、人間と人間の格差やお互いの関係を隔てている壁や在り方について考えさせられる作品であり、これらは正しく現代社会に置き換えて考えることができる内容であった。むしろ科学技術が進歩し本作のような世の中に近づいて行くのではないかと思ってしまった。人間が文明を発展させ便利になる一方生まれる負の副産物と言った所でしょうか。これを読んだ後にの未来を想像すると少し恐ろしい。 もう一つのテーマとして人やAIの心についても印象的だった。クララの優れた観察力から生み出される再現性の高さから本物と瓜二つのジョジーを作ることはおそらく可能であったでしょう。ですが1番重要となってくる心の本質の部分が本人にあるのではなくその周りの人達の中にあるというのがとても心に刺さるところであった。確かに他界したおじいちゃんを100%再現したロボットが現れても生きていた頃と全く同じ気持ちにの持ちようにはならないでしょう。もちろんいなくなってしまったという記憶があるのも1つの原因だが人と人が関係を築き上げ愛し合う唯一無二のものであるのは互いに他者の心が自分の中に存在し合うことで初めて心が宿るという考え方は素敵であり心に響くものである。
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