ホテル・カイザリン の商品レビュー
8編の短編小説集。 なんか心がチクリとする様な話の数々。 若い女性が、日本を出て、旅行ではなく、海外での生活に臨み、活路を見出していく様な2話が面白かった。
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初読。図書館。8編の短編集。ゾクッとするものから、ホッコリするものまで様々。まあほとんどはゾクッとするものかな。短編でこういうジワジワと恐ろしくなる物語を書けるのって素晴らしいです。
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仕掛けに唸ってしまう、短編集だった。 ホテルカイザリンは、愛と優しさと打算とが混沌としたストーリーだった。 目に見えたいるものだけが真実ではない。
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ひさびさ短編集。 あみの会で読んだやつもちょっと。 やっぱ「甘い生活」のインパクトがすごい。「金色の風」もすき。
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短編集。 テーマに沿ったアンソロジー向けの作品を主に集めたせいか、設定や結末に捻りの効いたものが多い。
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8つの短編集。 どれも読みやすくミステリーかなって思っていたけれど怪しげなホラーっぽいものもあり、海外での出来事もあり、人間の内に秘めたさまざまな思いを楽しめた。 ○降霊会〜妹に足が早くなる薬だと偽り、喘息の薬を飲ませたから亡くなったんじゃないのかと言われるが、妹は自殺だった...
8つの短編集。 どれも読みやすくミステリーかなって思っていたけれど怪しげなホラーっぽいものもあり、海外での出来事もあり、人間の内に秘めたさまざまな思いを楽しめた。 ○降霊会〜妹に足が早くなる薬だと偽り、喘息の薬を飲ませたから亡くなったんじゃないのかと言われるが、妹は自殺だったと。 ○金色の風〜フランスで部屋を借りた私が仲良くなったのはゴールデン・レトリバーと走っていた女性。 彼女になら一年前にバレエをやめたことを話せた。 母がバレエ講師で5歳下の妹に才能があり、いつのまにか自分を抜いて世界に羽ばたく華麗なプリマになる実力があることを。 ○迷宮の松露〜仕事に疲れ果て精神状態を保てることすらできない私はモロッコに旅行する。 なぜか思い出すのは美人で働きもので身支度にも手を抜かなかった祖母のことだ。 道に迷いホテルまで帰れずにいた夫婦から頂いた松露を見て、祖母が好きだった和菓子を思い出す。 ○甘い生活〜子どもの頃から、誰かのものが欲しくなる女性。小さい頃は、お姉ちゃんのもの、小学生になったら友だちのもの。 欲しくてどうしようもなくなり、なんとかしてそれを自分のものにしてきた彼女は大人になって…。 ○見事故物件〜引っ越した後、上の階の洗濯する音が朝の4時に聞こえてくる。我慢していたが、毎日続くと眠れない。不動産会社に言うと上の階には誰も住んでないと言う。 怪奇現象かと思ったが、事故物件とは聞いていない。 ある噂によると同じような騒音があり、確認するとやはり上の階は空室で、その後その女性は行方不明になり、遺体で発見されたという。 ○ホテル・カイザリン〜警察の取調室で事情聴取を受けている女性、彼女が放火をした理由は…。 夫への愛情はなく、出張の間にホテルに泊まることを楽しみにしていただけ、そこで知り合った女性と親しくなり、一緒に過ごすことで喜びを感じるようになる。だが夫の事業の失敗で、ほとぼりがさめるまで身を隠そうと言われ…。 ○孤独の谷〜大学の研究室で相談を受けた事柄が、村の一部で風土病があり、言い伝えなのかどうか、誰かが謎の死を遂げると家族ばらばらになり村から出ていかなければならない。 恐れているのは言葉。 言語コミュニケーションによって、脳に炎症が起こり、欠陥が脆弱になる一族だと言われている。 ○老いた犬のように〜作家である僕のところから二十年間一緒にいた妻が出ていった。 彼女は、優しく近所付き合いもうまく、気難しい姉も気に入っていたのに。 だがSNSで読者からのメールによるやりとりで知り合った人と話をしているうちに、可哀想と言われた一言で、哀れで惨めなのは自分なのかと腹が立った。 いったい、自分は…。 隠された真実に気づかせてくれる作品集。
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ふと振り返ると。何かを得られなかったときというのは、得てして何かを同時に失っている気がする。 そんな思いに耽ることができた。 ストーリーとしては少しの物足りなさを感じるが、それも手に入らなかったものなのか。
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8つの短編集。爽やかな作品もあったけれど、少し怖い作品、ギリギリでこちらの思いをひっくり返すような展開があり面白かった。
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軽く毒気や闇を含んだミステリーの作品集。どれもエンディングは、暑い夏にはピッタリのぞぞっとする感じがお勧め。
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選択が招いた結果が胸を貫く… ミステリや青春小説などバラエティに富んだ短編集 #ホテル・カイザリン ■きっと読みたくなるレビュー ミステリーから前向きになれる青春ものまで、バラエティに富んだ短編集です。イヤミスほど露骨ではないけど、負を描くのがめっちゃ上手。しかもキレイなんです...
選択が招いた結果が胸を貫く… ミステリや青春小説などバラエティに富んだ短編集 #ホテル・カイザリン ■きっと読みたくなるレビュー ミステリーから前向きになれる青春ものまで、バラエティに富んだ短編集です。イヤミスほど露骨ではないけど、負を描くのがめっちゃ上手。しかもキレイなんですよね~、記憶に刻まれる作品が多い。 また突然押し寄せてくる展開のヘアピンカーブが鋭く、ミステリーとしても引きつけられるものばかりでした。以下、作品ごとのレビューです。 〇降霊会【おすすめ】 学園祭で行われる降霊会。主人公の彼が様子を見に行くと… 終盤の展開の切れ味はかなりビックリするし、思いもよらない命題を突きつけられる。奥付の初出時期を見ると、2010年のアンソロジーに入っていたお話ですか…今読むと、より一層怖い。 〇金色の風【超おすすめ】 バレエで夢破れた若き女性、フランスでの新生活を綴った青春物語。 作品から勇気をもらえる素敵な作品、短編でもコンパクトにまとまっていて美しい。大好きです。思い悩む女性の心が痛いほど理解できて切ない。 〇迷宮の松露 仕事で苦労した若き女性がモロッコへ旅に出る旅情ミステリー。 知りませんでした…食べてみたい。亡くなった母が大好きだったお団子を思い出しました。 〇甘い生活【おすすめ】 幼少期から他人の物が欲しくなる性格の女性、成長した彼女の運命は… こういう奴いたよな。人の不幸は蜜の味なのは分からんでもないが、自分が落とし入れるのが好きなんだろうなぁ 理解できん。世にも奇妙な物語で映像化として見てみたくなる作品。 〇未事故物件 一人暮らしを始めた若い女性。毎日深夜の四時になると、上の階から洗濯機が回る音がして目覚めてしまう。管理会社に問い合わせると、上階にはだれも住んでいないらしく… 怖っ!怖いよ。 世界中どこでもある問題ですが、不動産物件って博打だよなぁ。皆さんも気を付けましょう。 〇ホテル・カイザリン【超おすすめ】 女性が警察の取調室で尋問を受けている。どうやら彼女はホテルに放火したようなのだが… セピア色に包まれたホテルと、すらりとした女性二人が目に浮かぶ、めっちゃ綺麗な作品。短いお話なのに、登場人物の人生の悲哀が丸ごと伝わってきます、素晴らしいですね。 〇孤独の谷 文化人類学を先行する大学生、彼女の実家では一風変わったしきたりがあった。そのことを相談された講師は調査を始めると、意外な原因と判明し… 思いもよらない謎解きとオチ。発想力に感服しました。 〇老いた犬のように 年を重ねた男性作家が、若く美しい作家希望の女性と出会って… Jミステリーで既読済で再読。自らの人生が正しいと信じきって、アップデートできない人っていますよね。いい年して甘えるのはやめましょう。 ■ぜっさん推しポイント 『金色の風』にて、現地で出会った女性と語らうシーンが好きすぎて。 世の中には俳優やミュージシャンなど、食べていくには難しい世界を歩んでいる人たちがいっぱいいる。大量な砂の中、ごくわずかな砂金だけが光り輝く世界。 年齢を重ねると保守的で合理性を求めてしまいがち。私なんかはそうです。 しかし彼らはきっと得るものがあるから、目いっぱい人生を謳歌してチャレンジして欲しい。光り輝いてほしいと願わざるを得ませんでした。
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