青瓜不動 の商品レビュー
おちかの出産に始まり富次郎の成長を描かれた4篇の連作。 第2話の『だんだん人形』で富次郎が文三郎に語った教訓や戒めを話しやすく、聞きやすいように形を整えるってところを読んで第1話の『青瓜不動』から感じた、メタ的視点で作者の思想?連載されていた新聞社からの要望?と邪推と人が創り出す...
おちかの出産に始まり富次郎の成長を描かれた4篇の連作。 第2話の『だんだん人形』で富次郎が文三郎に語った教訓や戒めを話しやすく、聞きやすいように形を整えるってところを読んで第1話の『青瓜不動』から感じた、メタ的視点で作者の思想?連載されていた新聞社からの要望?と邪推と人が創り出すものだから思いが乗ることはあるよなの納得がせめぎ合ってしまった…。
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今回も面白く読みました。 一話目の青瓜不動、うりんぼ様がおちかのお産に一抹の不安をがあるから黒白の間に語りにきて、クライマックスで富次郎が活躍したのに合わせておちかの子が誕生するわけだが、やっつけた大百足が、あの商人風の裸足の男ということになるのだろうか?今後はもう出てこないの...
今回も面白く読みました。 一話目の青瓜不動、うりんぼ様がおちかのお産に一抹の不安をがあるから黒白の間に語りにきて、クライマックスで富次郎が活躍したのに合わせておちかの子が誕生するわけだが、やっつけた大百足が、あの商人風の裸足の男ということになるのだろうか?今後はもう出てこないのだろうか?ものすごく意味有りげに登場して、結局「百物語に引き寄せられてくる数多の人の業の化身らしい」という推察があるだけで、本質がわからずに退場してしまったのだろうか。 そこが気になって、話はとても面白いのだけど、ちょっと引掛りが残りました。 今後、あの男の正体が明らかになるような話が出てくると期待していたので… それと、針雨の里の話は、やっぱり最後、皆がどうなったのが気になる! 富次郎の思いが溢れ出たところで終わるのも印象的で良いけど、門二郎やナナシは無事助かったか、助かった後にどうしたのか、 なんだかドラマの「続く」で終わったみたいな印象なので、また続編を楽しみにしています。
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★見えぬおちかの恐ろしさ★おちかが子を産んだが、おちかの心情がひとつも描かれないのが逆に空恐ろしくも感じる。伊一郎が抱える何かに期待を持たされる。いずれにせよ、この世のものとは思えない話をよくもこれだけ生み出せるものだ。 ・「青瓜不動」おちかの出産にからめ、村組織からはじかれた...
★見えぬおちかの恐ろしさ★おちかが子を産んだが、おちかの心情がひとつも描かれないのが逆に空恐ろしくも感じる。伊一郎が抱える何かに期待を持たされる。いずれにせよ、この世のものとは思えない話をよくもこれだけ生み出せるものだ。 ・「青瓜不動」おちかの出産にからめ、村組織からはじかれた女たちの連帯を描く。畑を駆け回る富次郎の勢いと息切れを出産のリンクさせる技が読ませる。 ・「だんだん人形」悪代官に翻弄される村人。必ずしも救いがあるわけではなく、教訓とは別の話。恩をこめた人形が呪いのようにもみえるほど重い。 ・「自在の筆」願いか叶う品の怖さと、そこまで執着しきれない富次郎の心情 ・「針雨の里」今回はこの話がいちばん好きだった。雨が針なのではなく、雨を受ける側が人ではない人だった。周囲の人も奇妙さを感じながら、共存するのがまさに物語。
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やっぱり好きだなぁ三島屋さんシリーズ。 おちかの時は、おちか本人がどうやって過去を乗り越えていくのか、黒白の間のお話とともに2本柱となっていたけれど、 富次郎になってからは三島屋さんのお店の行く末と、例の謎の(人ではない)存在が物語をひっぱっていく。 恐ろしく悲しいお話の中にも、...
やっぱり好きだなぁ三島屋さんシリーズ。 おちかの時は、おちか本人がどうやって過去を乗り越えていくのか、黒白の間のお話とともに2本柱となっていたけれど、 富次郎になってからは三島屋さんのお店の行く末と、例の謎の(人ではない)存在が物語をひっぱっていく。 恐ろしく悲しいお話の中にも、富次郎や三島屋さんの人情に清くあたたかな気持ちになる。 なんとなく、この不思議物語をとおして、自分の穢れや厄落としをしているような心地。 宮部みゆきさんには現代物も書いて欲しいけれど、 三島屋さんはずっと続けて欲しい。
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いつもながらお話そのものに圧倒されてしまう。怪奇現象なので、実際にはあるわけではないのに、見てきたような気分になります。心のなかにある見えない、わからないものへの畏れ、それをそれとして尊重すること、そして、普通のひとは毎日を一生懸命生きていくこと、当たり前だけど大切だと感じます。
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シリーズ第8作。 作者得意の時代&怪異&人情物。 長男伊一郎が三島屋に戻り、おちかにおんなの子が誕生し、富次郎はある事件から絵筆を置く決意をする、が揺れている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いよいよおちかの出産が近づき黒白の間もお休み。 しかし招かなくても来てしまう怪談。 全部で四話ですが、青瓜不動が一番面白かったです。 富次郎が怪談に巻き込まれる話で、なかなか怖かったです。 最後は針雨の里は切ない話でした。 富次郎の転機となる話ですが、しんみりしてしまいました。
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聞き手が違うと黒白の間の雰囲気も変わってくる。おちかにはおちかの良さがあったけど、富次郎には富次郎の良さがある。
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(借.新宿区立図書館) 2篇の長編と2篇の中編からなる。やはりどうも聞き手が富次郎になってから話がハードな方向ばかりになっているような気がする。
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三島屋では次男の富次郎の将来が左右し、お嫁に行ったおちかは赤子がいつ産まれてもおかしくない中、百物語が始まります。前半の青瓜不動とだんだん人形は現代でも通じる社会で女性の生きにくさを描き、後半は人の業と優しさで溢れていました。
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