ことばの白地図を歩く の商品レビュー
ロシア文学の研究者であり翻訳者である著者が、自身の留学体験や文芸翻訳の実例をふまえながら、他言語に身をゆだねる魅力や迷いや醍醐味について語り届ける。「異文化」の概念を解きほぐしながら、読書体験という魔法を翻訳することの奥深さを、読者と一緒に“クエスト方式”で考える。 著者は、ロシ...
ロシア文学の研究者であり翻訳者である著者が、自身の留学体験や文芸翻訳の実例をふまえながら、他言語に身をゆだねる魅力や迷いや醍醐味について語り届ける。「異文化」の概念を解きほぐしながら、読書体験という魔法を翻訳することの奥深さを、読者と一緒に“クエスト方式”で考える。 著者は、ロシアに留学していたことから「異」文化の違いが大変だったのではないかと聞かれることが多く、そのたびに「異」文化という言葉に戸惑うという。「文化とは人と人が共通の様式を用いて理解しあうこと」で、人はみな「自分の背負う文化を選ぶ権利」がある。だから、「文化」の枠組みは場所で(ましてや国籍や民族で)決まるものではない」とし、「異」文化との対義語に「自国」の文化を持ち出すのは、違うものを排除するようだという。悪気なく自分も線を引いてしまっていないか、ハッと気づかされた。
Posted by
遊び心があって、楽しい本でした♪ するるっと読めながらも、なかなかに感心する部分がありました。 特に4章は、なるほどなぁと唸りました。 何度も何度も読書体験を積み重ね、母語の読者が感じる思いを蓄積させて、日本語が自然に出てくるまで読み重ねる。 「辞書を拡張」していくという考え方。...
遊び心があって、楽しい本でした♪ するるっと読めながらも、なかなかに感心する部分がありました。 特に4章は、なるほどなぁと唸りました。 何度も何度も読書体験を積み重ね、母語の読者が感じる思いを蓄積させて、日本語が自然に出てくるまで読み重ねる。 「辞書を拡張」していくという考え方。 二葉亭四迷の「詩想」という考え方。 ふむふむ。 あと、外国語の星占いで外国語を学ぶ! これはぜひともマネしたい!! 最近わりと翻訳本を読む機会が増えてきたんだけども、楽しく読書できていて、なんなら翻訳物(海外作品)いいじゃん!と思えてるのは、ひとえにこういう翻訳家さんの努力の賜物なのだなと、感謝感謝です!
Posted by
はじめに 印刷機からのメッセージ 1章 ことばの子供時代―地図をひろげてみる 2章 文化の選びかた―地図を歩きはじめる 3章 ほんとの魔法―森に入っていく 4章 こいつは四角い関係だ―宝箱の見つけかた おわりに 旅のゆく先
Posted by
言語や翻訳についての話だけではなく、どの章も生き方や価値観を揺さぶるような、掘り下げた内容ばかりだった。中でも文化についての文章にはぐっときた。 ” 文化を学ぶということはむしろ反対に、「◯◯人としてのアイデンティティ」をほぐし、解消し、もっと広い地平に踏みだすことなのだ。” ...
言語や翻訳についての話だけではなく、どの章も生き方や価値観を揺さぶるような、掘り下げた内容ばかりだった。中でも文化についての文章にはぐっときた。 ” 文化を学ぶということはむしろ反対に、「◯◯人としてのアイデンティティ」をほぐし、解消し、もっと広い地平に踏みだすことなのだ。” p.58 この本に10代で出会える人がうらやましい!
Posted by
言語の習得や翻訳の極意をRPG風に描いてくれてる。 作者の文学に対する真摯な姿が胸を打つ。 巻末のブックガイドもいい。 巻末記載の 『戦禍に社会学者はなにができるか』 エカテリーナ・シュリマン著 奈倉有里訳・解説 岩波書店編集部note これは一読の価値あり。一読といわず、何度...
言語の習得や翻訳の極意をRPG風に描いてくれてる。 作者の文学に対する真摯な姿が胸を打つ。 巻末のブックガイドもいい。 巻末記載の 『戦禍に社会学者はなにができるか』 エカテリーナ・シュリマン著 奈倉有里訳・解説 岩波書店編集部note これは一読の価値あり。一読といわず、何度も。
Posted by
母国語以外のことばを学ぶとき、どんな心構えで、どんな心意気で臨んでいくといいのかを、楽しく知ることのできる本でした。 「ことばの子ども時代」という表現がおもしろいな、と思いました。ことばへの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。 私は翻訳された文章が苦手なので、翻訳された文章に苦手...
母国語以外のことばを学ぶとき、どんな心構えで、どんな心意気で臨んでいくといいのかを、楽しく知ることのできる本でした。 「ことばの子ども時代」という表現がおもしろいな、と思いました。ことばへの魅力がぎゅっと詰まった一冊です。 私は翻訳された文章が苦手なので、翻訳された文章に苦手意識を持っていたのですが、本書を読み、翻訳本を読んでみようと思えるようになりました。
Posted by
翻訳家の翻訳についてのお話。 語学を学ぶポイントについて P26 これをしている時が心地いいな! というものを見つけたら、趣味や楽しみのカテゴリーに入れる→ただ楽しむ。 勉強という自覚がない方が身になる。 →これは確かに納得出来た。 P32 留学生時代にルームメイトのマーシ...
翻訳家の翻訳についてのお話。 語学を学ぶポイントについて P26 これをしている時が心地いいな! というものを見つけたら、趣味や楽しみのカテゴリーに入れる→ただ楽しむ。 勉強という自覚がない方が身になる。 →これは確かに納得出来た。 P32 留学生時代にルームメイトのマーシャとの会話。 「言葉を学ぶと、子供時代を体験出来るみたいで楽しいね」 と著者が言うと、 マーシャは 「世界にはたくさんの言語があるから、まだまだいくつもの子供時代が体験出来るよね」 こういう発想は無かった。 赤ちゃんでも大人も、言語学習とはまず、一つ一つの音を覚えることから始まる。 自分もそうやって中国語を覚えてきた。 子供のように言語のシャワーを浴び、一つ一つ覚えていく。 それは記憶が朧気だが確かに歩んできた自らの幼少時代を追体験するようで、ワクワクしてくる! 翻訳についてもページを割いて語られている。 P55 文化とはかつて合意の領域であったが、いまや闘争へと変貌した」 のは何故か。 異文化、という概念はそもそもナンセンス。 異、とは人間が恣意的に作り出す線引きでしかない。目の前の様々な文化に疎外意識を持つことなく、知識や技術を磨いていけばいい。 P122 文学作品とこういうもの、こういう点を伝えなねばならぬ。という思い込みを捨てる。
Posted by
ロシア文学、ロシア語が大好きな気持ちが溢れ、明るいエネルギーに満ちた本。 現代の世界のニュースには触れず、あくまで魅力的な文化を持つ国として光を当てている。 そんなにひたむきになれるものに出会えるのは幸せであるし、語学の学習は魅力的だと感じさせてくれた。
Posted by
クエスト13の翻訳論は、白眉。 まず、原文を何度も読むのだ、と。 それから日本語だ、と。 トルストイが孫と手を繋ぐ方の手が、手袋を外していること。 学習法。効率の良さ(文法書)、効率の悪さ(行き当たりばったり)、理解度チェック(執拗な確認) 言葉を、学ぶことは子供時代を体験...
クエスト13の翻訳論は、白眉。 まず、原文を何度も読むのだ、と。 それから日本語だ、と。 トルストイが孫と手を繋ぐ方の手が、手袋を外していること。 学習法。効率の良さ(文法書)、効率の悪さ(行き当たりばったり)、理解度チェック(執拗な確認) 言葉を、学ぶことは子供時代を体験するという側面もある。 占いを毎日見てみる。 使い捨てカイロはロシアでは役に立たない。 翻訳は読書体験を再現すること。
Posted by
私も中学の頃にベルリンの壁崩壊をテレビで生で見て、ドイツとドイツ語に大興奮し、ドイツ文学を大学で学んだ。が、不真面目過ぎてただただドイツやドイツ語に憧れるだけで人生終わりそう。 奈倉さんに運命の言語を見つけたら、妖怪あきらめに取り憑かれないで向き合ってみて、とこの本で色々熱く丁...
私も中学の頃にベルリンの壁崩壊をテレビで生で見て、ドイツとドイツ語に大興奮し、ドイツ文学を大学で学んだ。が、不真面目過ぎてただただドイツやドイツ語に憧れるだけで人生終わりそう。 奈倉さんに運命の言語を見つけたら、妖怪あきらめに取り憑かれないで向き合ってみて、とこの本で色々熱く丁寧に具体的に指南されたので、ドイツ語の本だけは沢山あるから、まずは引っ張り出してみます。
Posted by