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ことばの白地図を歩く の商品レビュー

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32件のお客様レビュー

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2024/05/11

誰かの感想で興味を持って読みたい本棚に入れたと思うんだけど、語学学習の本だとは思ってなかった。ロシア語って事で、米原万里さんの「不実な美女か貞淑な醜女か」を思い出しましたが、同時通訳者と翻訳家では立場が違うし、少女時代をロシア語学校で過ごした米原さんと、日本でロシア語学習を始めた...

誰かの感想で興味を持って読みたい本棚に入れたと思うんだけど、語学学習の本だとは思ってなかった。ロシア語って事で、米原万里さんの「不実な美女か貞淑な醜女か」を思い出しましたが、同時通訳者と翻訳家では立場が違うし、少女時代をロシア語学校で過ごした米原さんと、日本でロシア語学習を始めた奈倉さんもまた立場が違いますね。ただ、母国語以外を学ぶことで、母国語以外の考え方・感じ方に触れる事が出来る、今いる世界を多角的に理解するための鏡の様な物だと考えているので、他言語を扱える方のお話は楽しいです。 英語は中学からずっと、大学でドイツ語やって、卒後にちょっとNHKの語学講座見たりして、息子が大学でスペイン語を選択したのでラジオの語学講座を聞き始めて、全部モノにならずに中途半端だけど、何度でもふうん、へええ、と思えるからお得なのかな。

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2024/03/11

 ロシア文学者による翻訳への招待。 ロシア文学中心だが、異文化を学ぶとはどういうことなのか、ということをよく教えてくれる。  ゲームをプレイするようにして、翻訳論、異文化コミュニケーションの世界へと分け入って行く。  イーグルトンやサイードへの言及もあり、子ども向けに書かれた書籍...

 ロシア文学者による翻訳への招待。 ロシア文学中心だが、異文化を学ぶとはどういうことなのか、ということをよく教えてくれる。  ゲームをプレイするようにして、翻訳論、異文化コミュニケーションの世界へと分け入って行く。  イーグルトンやサイードへの言及もあり、子ども向けに書かれた書籍ではあるが、大人の自分でも勉強になった。  ロシア文化・文学の魅力にあふれている。

Posted byブクログ

2024/02/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

母語ではない言語を学ぶ面白さ、翻訳の醍醐味、ロシアの文化(衣食住や迷信など)について楽しく読める本。 翻訳で大事なことは、母語の読者が味わう読書体験を届けること。異文化の異は人間の意識がつくりだす恣意的な線引きで、異などという考え方は忘れてしまおう。この2つについて書かれたクエスト(章)は特にお気に入り。

Posted byブクログ

2024/02/10

『夕暮れに夜明けの歌を』では、ベランダで静かに詩を朗唱していた著者の姿が印象的だった。本書購入時にもその面影がちらついていたが、いざページを開くや、些かキャラ変していることに気づく。 いきなり飛び込んできたのは「Quest 0(クエスト・ゼロ)」の表題。 「この本をとったってこ...

『夕暮れに夜明けの歌を』では、ベランダで静かに詩を朗唱していた著者の姿が印象的だった。本書購入時にもその面影がちらついていたが、いざページを開くや、些かキャラ変していることに気づく。 いきなり飛び込んできたのは「Quest 0(クエスト・ゼロ)」の表題。 「この本をとったってことは、つまりこの本がきみを探していたってことだ。あ、目のまえが白く光りはじめて、光のなかに1枚の紙が浮かんできた」と続く。その白地図をプリントした印刷機が自分に話しかけてきて(驚)、「旅に出て、世界で何が起こっているのかをことばを学びながら知ってきてほしい」と依頼してくる。そこでようやく著者が案内人として登場。印刷機の号令?とともに、「クエスト」が始まる…。 ????? 「誰かとの共著なのかな?」と著者名を振り返ったけど、彼女ひとりしか記載がない。上記の謎シナリオに一瞬戸惑っちゃうほど、前作から様相がガラリと変わっていたのだ。 著者の奈倉さんはロシア文学研究者で翻訳家、大学でも教鞭を取られている。本書は彼女のロシア語学習や翻訳活動の経験・そこから編み出された言語観を通して、10代の若者(恐らく本書のターゲット層)に「ことばを学ぶとはどういうことか」「翻訳で分かる世界の見え方」をクエストの間突き詰めていくというスタイルである。 はじめにお断りしておくと、見た目のゆるさとは相反して結構奥深い。奥深いというのは、彼女の言語観や哲学のようなもの…と言うべきか。(まとまっていなくてごめんなさい泣) 例えば原書の翻訳は注釈をつけてもそれが誤情報だったり、読者をストーリーから引き離す危険性がある…というもの。「注釈ついてる!ラッキー!」とすぐ安心するチョロい読者だった自分は愕然。(「今まで読んだ注釈の中に間違いが紛れていた可能性がある…ってコト?」) 原書を母語とする読者と同じ読書体験を日本の読者にしてもらう為、翻訳者は魔術師のように言葉を構築していかねばならない。原文と原文読者の関係性を完全再現しなければならない。 これは翻訳の話だけど、本当の世界の見方・理解の仕方って案外こうなのかも。めちゃ気が遠くなりそうだけど。。 翻訳作業に限らず、ことばにまつわる学習には必ず「妖怪 あきらめ」がついて回る。 著者曰く、目標を定めても気力体力が切れた時や本当に身についているのか不安になった時に出没するとの事。「妖怪 あきらめ」は表紙の果物台の下から飛び出している黒い物体で、恐らくヒトの幼児くらいのサイズはある。 でも個人的には可愛いく思うし、何だかんだでヤツも自分の一部である。頑張ろうとしている時にいちいち出てこられるのは困るけど、クエストが原因で事切れないように見守ってくれていると考えれば良いだけの話だ。 一生懸命な自分の失敗を笑ってはいけないと著者が言うように、クエスト(ことばを学びながら世界を知る)に失敗してもヤツは笑ったりしないだろう。

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2024/01/30

翻訳のすすめ。翻訳ってただ単語を訳す作業ではなかったんや。奈倉さんは原書を10回は読み尽くして、好きなフレーズは暗記するほど。音声もあればそれも聞き尽くすとか。そういう作業をしてはじめて翻訳にとりかかるそうだ。

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2024/01/22

外国語を読むってどういうこと?それは言葉の白地図を作ることらしい。目的の言語をまず選ぶことで白地図に印が付く。それから色々なクエストをやっていくのだ。その手助けにこの本はなってくれるかも。作者のロシア語を学んでいった経験が表れている。

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2024/01/21

ロシアの迷信 鳥が家の中に入るとそのいえの誰かが死ぬ。もし入ってきてしまったらすぐに外に放った上で、その日はその家でない方が良いとも言われていると言う。 鳥が飛んで入ってきても不潔だと言うが、これにはロシア語で朝を意味するバーバチカがおばあちゃんを意味するバブーシカ似ているため、...

ロシアの迷信 鳥が家の中に入るとそのいえの誰かが死ぬ。もし入ってきてしまったらすぐに外に放った上で、その日はその家でない方が良いとも言われていると言う。 鳥が飛んで入ってきても不潔だと言うが、これにはロシア語で朝を意味するバーバチカがおばあちゃんを意味するバブーシカ似ているため、おばあちゃんの例が迎えに来たことを連想するからだと言う説がある。古代ギリシャ語で長であり魂でもある募集型の話が思い浮かぶが、実際飯の中には古代ギリシャ由来のものも多い。 忘れ物をして一旦家に戻るのが不吉というものがある家と外との境界線である色をまたぐことが何か決定的な行為でありその前後混同すると良くないと言う類の名称世界各地にありこの飯もその一つ見られているしかし忘れ物して家に戻れないと言うのも困るのでこれには幾つかその行いをなかったことにする方法が伝えられている。よく聞くのは、鏡に自分の姿を映して舌を出すと言う方法。鏡がない時は自分のことをパパと払って、その肩越しに後に向かって3回PePePeと唾を吐く真似をするのでも良い。あるいは道中の無事を願うおまじないで家消すと言う方法。出発前にみんなで少しの間腰掛けると言うものだが、これには家を出る人の無事を願う効果と、家に残された座敷わらしのような妖怪…もとい精霊であるともボーイに家を任せたぞと頼む効果もあると言われている。一説によるとどもボーイは心配性なので、そうやって行ってきま~すをつけないと家主についていってしまって、家を守るものがいなくなるらしい。なかなかいいやつなのだ。

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2023/11/11

 翻訳の極意も興味深かったが、ことばに向き合う姿勢が面白い。  特に、「ことばの子供時代」が新鮮だった。自分の子に読み聞かせしているとき、自分の中にいる子どもの自分にも読み聞かせている感覚になることがあったが、同じようなことなのか?  「文化」に枠組みはない。忘れずにいたい。

Posted byブクログ

2023/11/07

ロシア語研究・翻訳家の著者が翻訳について語る。 クエストを提示して、どう解決するかを考える形なのでわかりやすい。 外国語を学ぶことの意味から始まり、翻訳の極意に至るまで。単に言葉を置き換えるだけでない楽しみを伝えてくれる。

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2023/09/24

翻訳の心得。クエスト形式で進んでいく読みやすい本。ただ言葉を置き換えるのではなく、背景とか、読んだ時の読書体験とか、それが読者に伝わるように訳す不断の努力を感じた。異文化の反対は自文化であって自国の文化ではなく、文化は国に属するものではなくて国民としてのアイデンティティを確立する...

翻訳の心得。クエスト形式で進んでいく読みやすい本。ただ言葉を置き換えるのではなく、背景とか、読んだ時の読書体験とか、それが読者に伝わるように訳す不断の努力を感じた。異文化の反対は自文化であって自国の文化ではなく、文化は国に属するものではなくて国民としてのアイデンティティを確立するものではむしろない、というのが印象に残った。本という文化において、異国の人ともむしろ友達になれる。純粋な文化、というのは存在しない。 あとは、「マーシャにサラファンを着せる」という『大尉の娘』の訳について。サラファンは農民の着物で、貴族の格好をしていると強奪の対象になるからあえて農民の着物を着せるという父親の判断なのだけど、それが自然と分かるようにシンプルに訳すにはどうしたらいいか、という話もよかった。サラファンは晴れ着で死装束だという訳註がついたこともあるというが、それは全く解釈違いで、権威ある翻訳のそうした間違いは影響大だなと思った。

Posted byブクログ