赤い月の香り の商品レビュー
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自分でも不思議だと思うのだけれども、たとえ殴られていても、無視されていても、愛されたい気持ちは変わらない。 憎しみはあるかもしれないけれど、その奥にはやはり、愛してほしいという思いがある。 橘さんだけでなく、浅倉満も、小川朔も。 どうして、そういう執着を持ってしまうのだろう。 その答えは、私の中にはまだない。 でも小川朔は、知りたかったのだ。 愛されなかった自分でも、正しい執着を持てるようになるのか、を。 正しい執着を持つために、怒りの感情はどう作用するのか、を。 一香の存在が、それを知りたいと思わせている。 小川朔は、一香が自分にとって唯一無二の人になってしまうことを、恐れている。 人は生きていれば、死別、生別、様々な事情によって、別れる時がやってくる。 どんなに一緒にいたいと思っていても、ずっと一緒にいられる保証などない。 だから、一香のために洋館を取り巻く香りを集め、自分のために一香を自分と同じ香りにしているのだろう。 それが何だか、切ない。
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切ない感じで少し苦しくなったけど、読んでよかったと思います。 他の本よりもすぐ目の前にその世界が広がって、読んでいるうちにその世界に入り込みます。 同じ感情を共有したような感覚になりました。(同じような経験は全くないですけど) 私もその洋館で一度働いてみたい。 普段は一度読んだ...
切ない感じで少し苦しくなったけど、読んでよかったと思います。 他の本よりもすぐ目の前にその世界が広がって、読んでいるうちにその世界に入り込みます。 同じ感情を共有したような感覚になりました。(同じような経験は全くないですけど) 私もその洋館で一度働いてみたい。 普段は一度読んだ本は読まないけれど、このシリーズは何度も読めそう。
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つまらないと別の本に移ってしまうがこれは移らず1日で読了。ブロマンス目当てで読んだ作品の続編。楽しみにしてたが今作の短さと比例してブロマンスも控えめ。でもそれを抜きにしても楽しめたので星4。
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「透明な夜の香り」の続編。 こちらもとっても読み心地が良く不思議な感じに誘われながら、あっという間に読み終えてしまいました。もっともっと読んでいたいな。 一香さんと朔さんの前作からのその後の関係性もとっても良かった。 紙の本から、香りや、色、音、などどれも鮮明に感じ取れる不思議...
「透明な夜の香り」の続編。 こちらもとっても読み心地が良く不思議な感じに誘われながら、あっという間に読み終えてしまいました。もっともっと読んでいたいな。 一香さんと朔さんの前作からのその後の関係性もとっても良かった。 紙の本から、香りや、色、音、などどれも鮮明に感じ取れる不思議さ。これ程までに五感を刺激されるとは。 読み終えた昨晩は上弦の月。夜散歩をしながら、少し五感を研ぎ澄まして辺りを感じてみました。
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透明な夜の香りの続編。 相変わらず独特な透明感のある世界観。 私が朔さんに会ったら、どんな匂いを指摘されるんだろうか… 容赦ない指摘だから傷つきそう笑
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今回のもよかった。この作品の雰囲気が好き。前作に登場した人もでてきて、一香さんとの関係がどうなったかも描かれていた。人には唯一無二の香りがあるらしい。感情にも匂いがするなんて。最後のジャスミンの花を摘みながら、二人が語る場面は落ち着いた、静かな雰囲気だった。今回は、家族について触...
今回のもよかった。この作品の雰囲気が好き。前作に登場した人もでてきて、一香さんとの関係がどうなったかも描かれていた。人には唯一無二の香りがあるらしい。感情にも匂いがするなんて。最後のジャスミンの花を摘みながら、二人が語る場面は落ち着いた、静かな雰囲気だった。今回は、家族について触れることが多かった。それぞれの家族と人生があった。
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『透明な夜の香り』の続編。 個人的には前作より主人公の人間くささが読みやすかった。前作の主人公、一香ちゃんが出てきたのも嬉しいし、朔との関係性が続いていることも、その形が前作の続きから変わっていなくて「よかった」と思った。 今作は実は朔と同じ施設で育ち、母親への怒り、そして悲しみを自分自身に隠すために暴力を働いてしまう主人公。 朔の香りを欲しがったのはきっと施設にいたころ、朔が満に抱いたのと同じように、満も朔に何らかの憧れ…畏敬?のようなものを感じたことがあったからでは。 ラスト、満が母親を刺した後の出来事について朔から聞かされたシーンが驚きと「そうであってくれ」という願いで心を動かされた。 前作は心が清らかになるような読了感、今回はまさに最後に満のもとに持田さんが来て洗濯してくれるシーンがあったがそんな読了感。
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正しい執着とは赦しだよーーー カフェに訪れた客の中に青い夜の気配と白い月を感じさせる朔を店員の朝倉満は感覚で気づく。調香師だと名乗る朔の下で働くことになり、満は赤と月のトラウマに向き合うことに。重くなりがちなテーマを香りで表現する文章は繊細で静かで美しいと思った。
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前作が良かったから続編に期待するところはあったけど、思い描いた物語とは言えず、ちょっと残念だったかな。 このシリーズは"静"を主としていると感じていたけど、表紙の"赤"を見た時に"?"が頭に浮かんだ。 もっと静謐で淡く、...
前作が良かったから続編に期待するところはあったけど、思い描いた物語とは言えず、ちょっと残念だったかな。 このシリーズは"静"を主としていると感じていたけど、表紙の"赤"を見た時に"?"が頭に浮かんだ。 もっと静謐で淡く、動きの少ない色を表現していくのかと思ったから。 あえてダブル主人公のように対として行くのかと思いきや、"赤"が鮮明すぎたのと血や官能といった強すぎる事象に、私の中では"こうじゃない感"が出てしまって、せっかくの香りが匂い立ちすぎたようになってストーリーを乱されたように感じてしまった。 朔よりも朝倉満が前に出すぎたのも納得いかず、前作の一香が絡んだのもわざとらしく見えて…。 朔のバックグラウンドを知れたのは良かったけど、期待値が高すぎたかな…。
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執着と記憶と香り。 エキサイティングな展開は 映画を観ているかのような錯覚を覚えた。 終盤になるにつれ、切迫感が増し、 波が荒くなっていく感覚。 これこそ千早茜さんの真髄。 読んでいて、胸が昂る感覚は久しぶりで とても良い体験ができた。
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