赤い月の香り の商品レビュー
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美しく妖しく読み手を誘った『透明な夜の香り』の続編。 高額な代金と引き換えに、依頼主の求める香りを作り出す調香師、朔。客の求めるものは香りの向こうにある欲望。 不可能のように思える依頼をこなし続ける朔が醸しだす静謐で硬質で凛とした孤独の香りを文字の間から感じた。 朔が新しく雇った満の、その過去と共に、朔自身の、そして彼の住む館の秘密も明らかになる。あぁ、そうだったのか。 前作よりも朔の体温のようなものが感じられて、彼の作り出す冷たい闇の中で燃え続けるほのかな火がその源だったのか、と思える。 香りは記憶と結びつく。忘れていた思い出が香りによって引っ張り出されていく。自分も経験したことのあるその香りと記憶の関係に今回も気持ちよくたゆたえた。 新しい登場人物、持田がとてもいい。朔に救われた持田が、今度は満を救う。一度ついた傷は消えることはない。けれど、その傷をちゃんと抱えて生きていく力を、ひとは持っているのだろう。 この小説は静かな夜に、温かい飲み物を飲みながらひっそりと読んで欲しい、と思う。
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透明な夜の香りの続き、一香ちゃんと朔さんの関係がどうなってゆくのかが気になってすぐに手に取りました(*´-`)主人公が代わり、違う視点から彼女たちの形がうっすらと見える物語。朔さんの過去もちらりと見え、またまた続きが気になる終わりかた!香りで全てを見通してしまう朔さんが怖いような...
透明な夜の香りの続き、一香ちゃんと朔さんの関係がどうなってゆくのかが気になってすぐに手に取りました(*´-`)主人公が代わり、違う視点から彼女たちの形がうっすらと見える物語。朔さんの過去もちらりと見え、またまた続きが気になる終わりかた!香りで全てを見通してしまう朔さんが怖いような、それでいて神秘的な館の空気が素敵なような。まさに装丁の雰囲気の世界です(^-^)
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前作に続いて読んだ。やっぱり香りは記憶と強く結びついている。特に好きな人の匂いは忘れられないし、手元に欲しくなる。無意識に色んな香りを感じているけど、嗅覚がなくなったら不自由だろうなと思った。
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優しく穏やかな静かな物語が進んでいく感じ ゆったりとした気持ちでこの本を読めました 香りって本当に人によって様々ですよね。 纏うものも感じるものも。 最後のフレーズ気に入りました。 この世界の中に入りたいとちょっぴり思った。
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澄んでいて、綺麗で、静かな小説。 読んでいて色々な香りを感じた。 続編だと知らずに買ってしまって、読み終わってすぐ1冊目も購入してしまった… 沢山の感情や記憶には香りが伴っていて、 話自体は綺麗に終わる感じじゃないけど、 それで良い気がした。
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前作「透明な夜の香り」が好みだったので、続編のこちらも購入。調香師に洋館、欲望の香り…と、独特な世界観で物語を楽しめます。依頼人を通し、色々な愛の形を感じさせてもらえる点も面白い。朔さんと一香さんの関係性が、所々でほのかに香ってくるのも嬉しかったです。
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香りをテーマにした連作短編集だが、どうにも中身が薄いように感じた。執着や嫉妬を抱いた人々が訪れる店を舞台にしているが、どうにも内容が薄い。今ひとつ自分とは合わなかった。
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『透明な夜の香り』続編。 勿論、前作あってこそではあるが、読者が欲している思いをこの著書にしっかりとぶつけて表現してくれている。ありがたい。 本書の中で玉手箱の話が出てくるが、香りの記憶はタイムマシンのように過去の情報を一瞬にして甦らせてくれる。楽しい記憶も苦い記憶も匂いとリンク...
『透明な夜の香り』続編。 勿論、前作あってこそではあるが、読者が欲している思いをこの著書にしっかりとぶつけて表現してくれている。ありがたい。 本書の中で玉手箱の話が出てくるが、香りの記憶はタイムマシンのように過去の情報を一瞬にして甦らせてくれる。楽しい記憶も苦い記憶も匂いとリンクする。 本当にオシャレな作品を綺麗に書いてくれましたね。
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やはり最高でした。 前作に続き、静かだけどすごく濃厚な物語で、世界観に浸りました。 このまままだ続いていきそうな予感がします。 楽しみに待ちたいと思います。
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「透明な夜の香り」を読んでから読めばよかった……! 読んでいる間、ずっと静かな森の中にいるような感覚が確かにあった。 木々の奥に現れる洋館と、広がる畑が映像のように脳裏に浮かんでいた。 ここまで明確に情景が浮かぶ本には中々出会えないと思う。 今日の仕事終わりにでも、すぐに前作...
「透明な夜の香り」を読んでから読めばよかった……! 読んでいる間、ずっと静かな森の中にいるような感覚が確かにあった。 木々の奥に現れる洋館と、広がる畑が映像のように脳裏に浮かんでいた。 ここまで明確に情景が浮かぶ本には中々出会えないと思う。 今日の仕事終わりにでも、すぐに前作を買いに行こうと心に決めた。
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