赤い月の香り の商品レビュー
『透明な夜の香り』に続くシリーズ第二弾。 広い庭園の中に佇む古風な洋館で、香りのサロンを営む天才調香師・小川朔。 今回物語の軸となるのは、朔に勧誘され働く事になった朝倉満。 朔の前で隠し事は出来ない。 人並外れた嗅覚は、人が隠している秘密や嘘だけに留まらず、怒りや嫌悪、拒絶...
『透明な夜の香り』に続くシリーズ第二弾。 広い庭園の中に佇む古風な洋館で、香りのサロンを営む天才調香師・小川朔。 今回物語の軸となるのは、朔に勧誘され働く事になった朝倉満。 朔の前で隠し事は出来ない。 人並外れた嗅覚は、人が隠している秘密や嘘だけに留まらず、怒りや嫌悪、拒絶などの感情までを嗅ぎ取ってしまう。 次々と現れる依頼人の望む香りを作りながら、朝倉と朔、二人の過去も明かされていく。 広大な庭園の生命力溢れる描写と、香りから導かれる過去と真実にため息。 孤独、執着、赦し、様々な感情が炙り出される唯一無二の香り小説。
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朔さん、いつも通りであって、いつもとは決定的に違う衝動を含んでいる。そして、香りの奥深さと切実さは、足もとからじわじわと浸されるように身に沁みてくる。浸り続けていたい世界。
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記憶に刻まれた香り 具体的に、茉莉花や大葉を思い浮かべると刻まれた香りが蘇る その刹那、ハッとするほど鮮明に蘇るのに、嗅ぐことはかなわない 再現してまでどうしても手に入れたい香りは、今のところない 何となく続くような予感
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「透明な夜の香り」の続編。 前回の透明感溢れる雰囲気から一変し、今作では「赤」が要所要所にちりばめられている。 新たに洋館で働くことになった朝倉満。 彼の背負ってきたものが、香りの記憶と共に蘇っていく過程が面白かった。 物語に漂う、この艶っぽい何とも言えない雰囲気が好きだなと思っ...
「透明な夜の香り」の続編。 前回の透明感溢れる雰囲気から一変し、今作では「赤」が要所要所にちりばめられている。 新たに洋館で働くことになった朝倉満。 彼の背負ってきたものが、香りの記憶と共に蘇っていく過程が面白かった。 物語に漂う、この艶っぽい何とも言えない雰囲気が好きだなと思った。 是非シリーズ化して欲しい。
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千早茜さんの香りシリーズにハマり、さっそく本作も読みました。今回は前回と主人公の1人が交代し、その人が新たな語り手となって物語が進んでいきます。 前作同様、嘘を嫌う朔に対し、依頼人が個性的な香りをオーダーするというおおまかな流れは変わらずで、そこに人々の欲望が垣間見えるのはやは...
千早茜さんの香りシリーズにハマり、さっそく本作も読みました。今回は前回と主人公の1人が交代し、その人が新たな語り手となって物語が進んでいきます。 前作同様、嘘を嫌う朔に対し、依頼人が個性的な香りをオーダーするというおおまかな流れは変わらずで、そこに人々の欲望が垣間見えるのはやはり面白いです。 過去作のキャラクターもちゃんと本作に登場するので、過去作の透明な夜の香りから読むことをオススメします。
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天才調香師・小川朔の住居兼仕事場で働くことになった朝倉満を主人公とした8章から成る連作長篇。 前作『透明な夜の香り』は2020年度のベスト20に入れたほど好きな作品だったのに、なんとほとんど内容を覚えていなかった。本作を心底愉しむためには、前作を読み直したほうがよかったかもしれな...
天才調香師・小川朔の住居兼仕事場で働くことになった朝倉満を主人公とした8章から成る連作長篇。 前作『透明な夜の香り』は2020年度のベスト20に入れたほど好きな作品だったのに、なんとほとんど内容を覚えていなかった。本作を心底愉しむためには、前作を読み直したほうがよかったかもしれない。 まあでも、暴力的な性向のある満とそれを匂いで察知してしまう朔の関係、庭師・源さんの過去、持ち込まれる数々の依頼と読みどころは多かった。前作同様香りのトリビアもよかったな。3作目を期待して待ちたい。
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前作がすごく好きだったので 同じく一香と小川朔の日常を求めてたようで読み始めて違うことにがっくりした でもそうじゃなく他者から一香との関係を、存在を、浮かび上がらせ語る本だった 正しい執着 お互いが心地よくいれるための距離感はどこなんだろう という 手に入れる葛藤を咀嚼しながら ...
前作がすごく好きだったので 同じく一香と小川朔の日常を求めてたようで読み始めて違うことにがっくりした でもそうじゃなく他者から一香との関係を、存在を、浮かび上がらせ語る本だった 正しい執着 お互いが心地よくいれるための距離感はどこなんだろう という 手に入れる葛藤を咀嚼しながら やはり 私自身もそれを知りたいから この本が心地よく 好きなんだと 香りは 本の中の世界を 私も体験できる 共有できるから いつか味あうために ハーブをそだてるかもしれないな 表紙の柘榴の花言葉に 心が惹かれた
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透明な夜の香りに続く2作目。 文庫になった前作を再度読み終えたばかりの最高のタイミングで、この世界に浸れた。 この本を読むと世の中には色々な香が漂っているのだと改めて気付かされる。 人それぞれ見える世界が違うように、香の世界も違うんだなぁと思う。 朔にとっての正しい執着は「赦し」… 一瞬納得したけど、少し考える。わかるような、理解出来ないような… 朔と一香の関係性がいい。安易な展開になってなくて良かった(笑) 仁奈さんのその後も知れて良かった。仁奈さんは欲望を抑えられる方だと思っていたし。 私が依頼するとしたらどんな香り…? 朔の作ったレシピご飯を食べて、お茶も飲んでみたいから、客じゃなく、友達としてこの世界におじゃましたいと思った。 今回の装丁も素敵だった。
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Amazonの紹介より 天才調香師は、人の欲望を「香り」に変える――。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚...
Amazonの紹介より 天才調香師は、人の欲望を「香り」に変える――。 直木賞受賞第一作。『透明な夜の香り』続編! 「君からはいつも強い怒りの匂いがした」 カフェでアルバイトをしていた朝倉満は、客として来店した小川朔に、自身が暮らす洋館で働かないかと勧誘される。朔は人並外れた嗅覚を持つ調香師で、その洋館では依頼人の望む香りをオーダーメイドで作り出す仕事をしていた。 朔のもとには、香りにまつわるさまざまな執着を持った依頼人が訪れる。その欲望に向き合ううちに、やがて朔が満を仕事に誘った本当の理由が分かり……。 香りを文学へと昇華させた、第6回渡辺淳一文学賞受賞作『透明な夜の香り』に続く、ドラマチックな長編小説。 エロチックな描写がないのに、雰囲気や言葉のチョイスが、どこか耽美で印象的だった「透明な夜の香り」。 その続編ということで、最初は続編かわからず、どの時期なのか不明だったのですが、読み進めるうちに、前作の主人公が現れたことにより、続編ということがわかりました。 今回の主人公は、前作とは別の登場人物・朝倉。前作もそうだったのですが、どこか「匂わせ」表現が多く、一瞬BL?とか生々しくなるの⁉︎とか思ってしまうくらい、言葉の表現が秀逸で良かったです。 また「匂い」をテーマにしている作品ですが、「匂い」の描写が、繊細的・耽美的表現で、魅惑的な空気感を放っていました。 そう考えると、どこか女性のイメージを持ってしまうのですが、この作品では男性の調香師です。 読むから想像するに、どこか中性的で、しなやかといった風貌があり、さらに洋館が加わると、何とも不思議な空間にいるような感覚があって、ふわふわしたような雰囲気で読んでいました。 連作短編集になって、訪問客が変わるたびに特殊な「匂い」がオーダーされます。当時の詳細な空気感を調香師が再現すしていきます。小説なので、言葉での表現しかないのですが、もしも匂えるのならば・・。嗅いでみたくなりました。 前作の主人公も登場し、調香師・朔との恋模様⁉︎といった場面もあるのですが、今後どんな展開になるのか気になりました。 約220ページくらいなので、個人的にはもう少し世界観を味わいたかったなと思いました。 個性あるキャラクターたちと魅惑の「香り」も相まって、色々楽しめました。
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透明な夜の香りの続編 香りを纏った気分になりながら物語が進んでいく 前作の一香さんも登場して嬉しい 新しい主人公を交えながら小川朔の過去も知れて良かった 何部作でもいいからこのシリーズは続いて欲しいです
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