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台湾漫遊鉄道のふたり の商品レビュー

4.4

33件のお客様レビュー

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2024/11/11

台湾の食べ物でつなぐ2人の女性の友情と人生を描いたもの。こう聞くとチンケな表現だけど、翻訳された小説とは思えない日本語の言葉の滑らかさだ。最近台湾へ行きたいのと賞をお取りになったと知って、初めて台湾文学を読んでみた。物語自体もアジアの文化は欧米の小説と比べて入り込みやすい。 第二...

台湾の食べ物でつなぐ2人の女性の友情と人生を描いたもの。こう聞くとチンケな表現だけど、翻訳された小説とは思えない日本語の言葉の滑らかさだ。最近台湾へ行きたいのと賞をお取りになったと知って、初めて台湾文学を読んでみた。物語自体もアジアの文化は欧米の小説と比べて入り込みやすい。 第二次対戦前の台湾と日本人の様子が淡々と書かれているが、当時の統制や戦争へ進んで行く様子を想像させる。そんな中で女性の友情を描いたスッキリ感を持った物語だった。

Posted byブクログ

2024/10/06

シスターフッドともレズビアン小説とも違う「百合」小説でこんなにも感動したのは初めてかもしれない。千鶴子の豪放磊落にして天真爛漫、だからこそ傲慢な人柄への憧れと、本島人として、女性として、側室の娘として抑圧された千鶴の美しさと頑なさ。二人の間の「愛」を、鉄道と食事を通じて体験して行...

シスターフッドともレズビアン小説とも違う「百合」小説でこんなにも感動したのは初めてかもしれない。千鶴子の豪放磊落にして天真爛漫、だからこそ傲慢な人柄への憧れと、本島人として、女性として、側室の娘として抑圧された千鶴の美しさと頑なさ。二人の間の「愛」を、鉄道と食事を通じて体験して行きました。 ライトな文体で読みやすいのですが、同時に夕暮れの空を羊羹色と称したり、支那式の丹塗りの建物と紅蓮葛の風景に「ここは華麗の島」と台湾の別名を想起させるのにぴったりな情景など、ここぞというところで使われる表現力にはハッと息を呑んだ。図書館でたまたま借りた本だったが良い読み物でした。 【あらすじ】 作家・青山千鶴子は植民地台湾へと講演旅行と称して一年間滞在することとなった。その間の通訳として出会ったのが、王千鶴。立場も性格も生まれ育ちも違う二人が、旅と食事を通じて互いへの想いを募らせ、同時にすれ違う。

Posted byブクログ

2024/09/29

序盤は妖怪並みの食欲に共感し笑いながら読んでいたが、何故千鶴ちゃんが頑なに一線を引いているのか理由を知って、無自覚は怖いなと思った。良かれと思ってやっていることは決して相手にとって良いこととは限らないと肝に銘じました。

Posted byブクログ

2024/09/17

これは”効く”百合。何に効くかと言うと、己の無自覚な差別意識に気付くのに効く…………。 ちょうど、植民地時代の朝鮮と台湾の差に疑問を持っていたところだったので、考える一助になった。挑戦的な構造も面白い。

Posted byブクログ

2024/09/03

台湾、やるな!と思った。日本ならそんなトリッキーな出版はできなきだろうし、もしやったら大問題で干されたりしてたかも。でも、台湾でも一旦は炎上したらしいけど、分断からはこの本の文学的価値が認められたとか。軽いタッチでユーモラスに描かれ、台湾の食文化のレポートのように描かれているけれ...

台湾、やるな!と思った。日本ならそんなトリッキーな出版はできなきだろうし、もしやったら大問題で干されたりしてたかも。でも、台湾でも一旦は炎上したらしいけど、分断からはこの本の文学的価値が認められたとか。軽いタッチでユーモラスに描かれ、台湾の食文化のレポートのように描かれているけれど、そのうちに無意識ににひそむ植民地主義っていうか上から目線の差別的な意識があからさまになっていく件はずんずん引き込まれていく。千鶴子さんも千鶴さんも本当に魅力的だった。

Posted byブクログ

2024/08/18

おお、今年のベスト本が更新されました!図書館で借りましたが、これは手元に置きたくなったので。前情報を入れずに読んで良かった。皆さんもよろしかったら読んでみてください。今を生きる我々にこそ読んで考えて欲しい小説です。

Posted byブクログ

2024/07/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

新聞か何かで見かけて気になったので、読んでみた本。 はっきりと、百合、と訳者あとがきには書かれているが、まあ、シスターフッドということね。 戦前の台湾に長期滞在した日本人の女性作家と、ワケありげな有能で美人の若い女性秘書兼通訳との絆の話。 ものすごくいろんな食べ物が出てくる。 美味しそう、というより、私にあまりに知識がないせいで、どんな食べ物なのか、想像もできないまま読む。 主人公のやや一方的で傲慢な姿勢にはけっこうイラッとさせられたが、それが作品のキイでもある。 大体が宗主国から見た植民地なんだから、こうなるのも当然だ。 2人の立場に上下があるのに、上のひとが、下の人を見て、私たち親友よ、ってのは、なかなか…。 本の内容もさることながら、物語周辺の作り込み方が面白い。 2人の娘たちそれぞれの後書きなんかも面白い。 あと、美島がいい味出してましたよ。

Posted byブクログ

2024/07/02

シスターフッド? 百合? 食べ物小説? と思いながら軽い気持ちで読み進めていたけど、そのすべてが含まれつつ、さらに歴史、社会構造、無意識の差別までも盛りだくさんの作品だった。

Posted byブクログ

2024/05/31

日本統治下の台湾での、日本人女性作家と台湾女性通訳の物語。 美食と鉄道の旅に彩られた日々に、どうしても理解できない謎を加味し、最後までグイグイ引っ張られて読んでしまった。 見ようと思って見るとちゃんとそこにあるものですら隠してしまうほどに、人は見たいものだけを見てしまう。

Posted byブクログ

2024/07/14

出版社(中央公論社)のページ https://www.chuko.co.jp/tanko/2023/04/005652.html 第10回日本翻訳大賞を受賞

Posted byブクログ