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台湾漫遊鉄道のふたり Chizuko & Chizuru's Taiwan Travelogue
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台湾漫遊鉄道のふたり Chizuko & Chizuru's Taiwan Travelogue

楊双子(著者), 三浦裕子(訳者)

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台湾漫遊鉄道のふたり Chizuko & Chizuru's Taiwan Travelogue

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2023/04/20
JAN 9784120056529

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商品レビュー

4.2

145件のお客様レビュー

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2026/07/21

1930年代、自由奔放な日本人作家と多彩で細かく気が利く台湾人通訳の二人の女性。人間は複雑で、逆説的で、時には相手の勘違いや思い違いを正すこともしない。二人の間に確実に存在する「上下」の関係。圧倒的な社会の権力の構造と、一緒に食事をすること、同じデザートを食べることの儚くも確かな...

1930年代、自由奔放な日本人作家と多彩で細かく気が利く台湾人通訳の二人の女性。人間は複雑で、逆説的で、時には相手の勘違いや思い違いを正すこともしない。二人の間に確実に存在する「上下」の関係。圧倒的な社会の権力の構造と、一緒に食事をすること、同じデザートを食べることの儚くも確かな幸せ。 1930年代、日本の植民地だった台湾へ向かった日本人作家の女性と通訳となった台湾人の女性。 その日本人の回想録という形であるけれど、実は台湾人の作家が書いた小説(厳密には二人の作家、しかし双子の一姉妹の一人は出版前に亡くなってしまったそう) そして、イタリアに住む日本人である私が、日本人が書いたという体の台湾小説を英語で読む。 友情の始まりは単純だった。 自由奔放な日本人作家と多彩で細かく気が利く台湾人通訳。 ただ、本当は単純においしいものを食べ歩く楽しい生活なだけではなかった。 人間は複雑で、逆説的で、時には相手の勘違いや思い違いを正すこともしない。 日本語で話す二人は、その時点ですでに権力構造の中で「上」と「下」になる。 英語版では台湾の町や場所の名前は日本語の発音で書かれているので、ここは日本の植民地だということを数ページに一回は必ず思い出すように仕組まれている。 台北はTaipeiではなく、Taihoku。 この力関係は、もし人物が欧米人とその他、だったり、男と女、だった場合は「普通のこと」と認識され、もしくは当たり前のこととして気にも留めないかもしれない。 しかしここはアジア人女性二人という関係を持ってこの権力システムを描く。 当然二人とも抑制された立場なんじゃないの?と思わせておいて、二人の間に確実に存在する「上下」。 続き https://wp.me/pgG1ce-1cO

Posted by ブクログ

2026/07/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本屋さんでパッと見た瞬間にその界隈で玄人の私にはわかりました。これは”百合”だと。これは読まねば!そんな使命感を抱き、最初の数ページをパラパラめくって読んでみたのですが、なんか最初から昭和初期の新聞っぽい一面が。……何言ってるのかさっぱりわからん。これはちょっとまだ私には早いかもわからんね。うんうん。楽しみは後に取っておいてやろう。そっ閉じ。 というわけで、だいぶ前から気になってたし手元には置いていたものの、ちゃんと読むまで時間が掛かってしまいました。でも最初に抱いた危惧はまったくの杞憂でしたね。なんなら読めない漢字とかあっても文脈でなんとなく理解できるもんよ。これは他の翻訳本にも言えることだね。 さて、物語はとある人気女性作家が講演会及び旅行記執筆のために、台湾で長期滞在するところから始まります。その過程で通訳を務める現地人女性と知り合い、台湾各地でご当地グルメを楽しみながら交友を深めるというお話。 これだけ聞くとすごくのんきな物語に思えますけど、実際にそうです。私も読んでいて「こいつら食べものの話しかしてねえな」と感じていたくらいです。 でもその合間に「あら^~」と読者に思わせる部分もちょこちょこあって、我々紳士の心を手放さない配慮も行き届いてますね。 しかし、後半になると、宗主国側にいる主人公と植民地側の通訳のメンタリティの違いによるすれ違いが浮き彫りになり、別離を余儀なくされてしまう。私自身もこの軋轢の原因に気づかなかったので、自然と上から目線で見てしまっていたことにハッとさせられた。普段からフラットな目線を心がけてはいるものの、結局独りよがりで偏ったものだったんだなと反省。 私としては、思い描く理想の結末とはならなかったけど現実を考えれば妥当な着地点だったとは思っています。 異国人同士がお互いを理解し合い、友情を育むことって本当に難しい。同じ国の人間でだって簡単なことではないんだから。他者を慮る行為が必ずしも相手のことを考えた結果ではないのかもしれないというのを一度立ち止まって考えてみたいと思います。

Posted by ブクログ

2026/07/19

『台湾漫遊鉄道のふたり』は、太平洋戦争前、日本が植民地として統治していた頃の台湾を舞台にした作品です。 内容は、招待を受けて台湾にやってきた日本人の女性作家・青山千寿子と、彼女を案内する台湾人の女性通訳・王千鶴の、女性2人が台湾各地を鉄道で旅するという物語です。 日本からやっ...

『台湾漫遊鉄道のふたり』は、太平洋戦争前、日本が植民地として統治していた頃の台湾を舞台にした作品です。 内容は、招待を受けて台湾にやってきた日本人の女性作家・青山千寿子と、彼女を案内する台湾人の女性通訳・王千鶴の、女性2人が台湾各地を鉄道で旅するという物語です。 日本からやってきた千寿子は、もともと食べることの大好きで、一方、台湾人通訳の千鶴は、台湾料理の知識も豊富、料理を作らせても天才的て、2人の旅は台湾グルメの旅となり、小説の中ではたくさんの台湾料理が紹介されます。 小説は第1章から第12章まで、全部で12の章からなっていますが、それぞれの章にはまるでコース料理のメニューのように、小説に出てくる料理の名前が付けられています。 鉄道の旅で巡る台湾各地の風景や、数々の台湾料理の紹介と、旅する2人のテンポの良い会話が心地良くて、初めのうちは小説のタイトルそのままに、女性2人の台湾鉄道グルメ旅の小説かと思ってしまいましたが、 実はこの小説の本当のテーマは別にあって、 ・日本の台湾に対する植民地政策、 ・男性から女性への抑圧、 ・植民地化される側の思い、 ・そこに生じる偏見や差別、 が描かれていて、 2人で旅をする中で、日本人の千鶴子はそんな社会状況を批判しつつ、ときには日本人の偏見や差別から台湾人の千鶴を守り、彼女に友達のような親近感を抱いていましたが、一方の千鶴は仕事には忠実で表面的には親しく接してくれるものの、千寿子が「能面を被っているよう」と表現するほど、本当の心の内を明かしてくれません。複雑な感情のすれ違いが埋まらないまま物語は進行します。 ある日ついに千鶴子は、千鶴になぜ心を開いてくれないのかと尋ねますが、「その理由に気づかないことがあなたの盲点です」と言われてしまいます。 2人の心はそれぞれに傷ついたまま、台湾の旅は終わってしまうのだろうかと、ずっしりと重い感情に心がふさがれる思いがしました。 そしてついに、千鶴は千鶴子の通訳としての仕事を辞退してしまいます。 思い悩んだ千鶴子は、接待役で2人の様子を見ていた台湾総督府職員に、千鶴がなぜそのような態度で接してくるのか尋ねたところ、「先生(小説家の千鶴子のこと)は日本の政策を批判するけれど、自分の好きなものに対しては日本の功績だと称賛する。それが正しいか正しくないかではなく、個人的に好きか嫌いかで考えているにすぎない。この世界で、独りよがりな善意ほど、はた迷惑なものはございません」と言われて、千鶴子は言葉を失ってしまいます。 「独りよがりな善意ほど、はた迷惑なことはない」 世間の偏見や差別を批判しながら、自分の心に潜む傲慢や偏見に気づいていなかったことに気づかされた、真正面から胸を突かれるような言葉でした。 千寿子が日本に帰る日が近づいてきますが、千鶴子と千鶴の関係は果たしてどうなるのか。お互いに深く傷ついたまま千鶴子は帰国の途につくのか、あるいは残りの僅かな日数で和解できるのか。結果は小説の最後に描かれています。 読み終えて、さすが、英語に翻訳された優れた文学作品とその翻訳者を称える世界的に最も権威ある文学賞、2026年の「国際ブッカー賞」を受賞しただけの価値がある一冊だと思いました。

Posted by ブクログ

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