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花に埋もれる の商品レビュー

3.5

41件のお客様レビュー

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  3. 3つ

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2023/05/06

ソファや靴や石、そして花。 女性たちに寄り添うそれらを通して、ひそやかな彼女たちの心情を艶めかしさを添えて繊細に描き上げられた短編集。 ソファのくぼみや、足のかたちに沿う靴、皮膚の亀裂から生まれた石など、本来は体温を持たないそれらを官能を持つ存在として際立たせた語りの巧さが堪能で...

ソファや靴や石、そして花。 女性たちに寄り添うそれらを通して、ひそやかな彼女たちの心情を艶めかしさを添えて繊細に描き上げられた短編集。 ソファのくぼみや、足のかたちに沿う靴、皮膚の亀裂から生まれた石など、本来は体温を持たないそれらを官能を持つ存在として際立たせた語りの巧さが堪能できました。 とりわけ「マグノリアの夫」が好みでした。非常識が覆いかぶさってくる世界を冷徹で常識的な見識を持つ主人公が受け入れ、耽溺し、自ら裏切りを呼び起こしそして再生していく。その過程での、常識/非常識がひっくり返りながらもリアリティを損なわない絶妙なバランス感覚が素敵だなと感じました。 リアリズムと幻想のあわいを自在に行き交う柔らかな筆致と表現が存分に味わえる作品ばかりなので、作者の作風を知るにはぴったりの一作だとも思いました。とても好きです。

Posted byブクログ

2023/05/06

章が移り変わるごとに現実からはかけ離れた物語になっていく。 だけど違和感はなくするっとその世界に飲み込まれる気持ち良さがある。 愛や恋と断言できるものばかりではなく名前の付かない曖昧な部分が丁寧に描かれていて、こういうことを感じながら生きていきたいなと夢から醒めたばかりのような心...

章が移り変わるごとに現実からはかけ離れた物語になっていく。 だけど違和感はなくするっとその世界に飲み込まれる気持ち良さがある。 愛や恋と断言できるものばかりではなく名前の付かない曖昧な部分が丁寧に描かれていて、こういうことを感じながら生きていきたいなと夢から醒めたばかりのような心地良い倦怠感みたいなものに包まれている。

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2023/05/02

ベストアルバム的短編集って言葉がピッタリな、全部の話がそれぞれにおもしろい短編集。 性的な描写が物語の中で自然な流れとしてあって、全然いやらしくない。むしろそれがあることで物語を際立たせているような。 身体から石が出たり芽が出たり、花になったり、設定はとんでもないのにしっくりくる...

ベストアルバム的短編集って言葉がピッタリな、全部の話がそれぞれにおもしろい短編集。 性的な描写が物語の中で自然な流れとしてあって、全然いやらしくない。むしろそれがあることで物語を際立たせているような。 身体から石が出たり芽が出たり、花になったり、設定はとんでもないのにしっくりくる。まさにベストアルバム的短編集。 「ふるえる」と「花に眩む」が特に好き。

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2023/04/24

世界観がすごく好き。劇団員を旦那さんの話と石の話が好きだなぁ。ほとんどこういった話の短編集なので、つまりは全部好き。 身体に花が咲いたり身体から石を取り出したりって話なので、読み手を選ぶ感じはするけど、痛みより官能の雰囲気が濃い短編集でした。 あ、石は胆石じゃないです念のため

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2023/04/12

6編収録されている短編集で、特に『ふるえる』、『マグノリアの夫』が好み。日常の中に少し不思議な出来事が入り込んでいて、それが自然にも違和感にも感じられるようで心地良くもざわざわする。人に想いを馳せる瞬間とか残酷になる瞬間が唐突に現れて溢れる感情に惹きつけられる。素晴らしい短編集。

Posted byブクログ

2023/04/12

「なめらかなくぼみ」 「二十三センチの祝福」 「マイ、マイマイ」 「ふるえる」 「マグノリアの夫」 「花に眩む」 六話収録の短編集。 一行目から彩瀬まるワールド全開。 それぞれの物語は独立していて何の関連性もないけれど全話から男女の満たされない思いがひたひたと迫って来る。 ...

「なめらかなくぼみ」 「二十三センチの祝福」 「マイ、マイマイ」 「ふるえる」 「マグノリアの夫」 「花に眩む」 六話収録の短編集。 一行目から彩瀬まるワールド全開。 それぞれの物語は独立していて何の関連性もないけれど全話から男女の満たされない思いがひたひたと迫って来る。 自身の欠乏している部分を埋めるかのように、人やモノに縋り生を紡ぐ。 時折、美しい文章の中に隠れ潜む狂気に気付きゾワッとする瞬間が存在する。 リアルな現実と幻想的な光景が融合されて不思議な空間へ導かれた。 芳醇な花の香りに包まれながら不思議な世界観に浸れる一冊。

Posted byブクログ

2023/04/12

よかった。好みの感じ。 どの作品も、ちょっとエロくて、可愛くて、変な設定ってところが、これまた好みでw 「マグノリアの夫」のラストの驚きが、なんか新鮮だったw 装画も、装丁も素敵で◎

Posted byブクログ

2023/04/09

贅沢することや欲を満たすのと違った、共感とか時間の共有といった緩やかで穏やかな時間の大切さに気付かされます。 短編のなかでも『二十三センチの祝福』が好きでした。

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2023/04/08

ベストアルバム的短編集ってすごくいいキャッチだなってくらいまさに、な短編集だった。 デビューされた作品は当時まだ受賞される前にWEBの方で読んだけど、こうして今の作品と並べると根本が同じなんだなと嬉しくなった。彩瀬さんと花はとてもよく似合う

Posted byブクログ

2023/04/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編6作 ゆっくりと時間がたゆたう くぼみや質感、重ねる部分に僅かなぬくもりを求める心 そういう濃密で細やかな描写と少しの狂気 記憶に紐づいた香りが鼻先を掠めていく

Posted byブクログ