花に埋もれる の商品レビュー
ん?あれ?そうだっけ?と思うようなリアルな描写。 匂いと湿度。 短編集だけれど、徐々に空気や世界に飲まれていく。
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綾瀬さんはまだ数冊しか読んでないけど、なんだか分かったような分からないような読後感。急にディストピア?みたいな。 今作は「女による女のためのR‐18文学賞」受賞作の「花に眩む」も収録された、帯曰く「ベストアルバム的短編集」と。そう、女性向きの作風かなと感じる。そのディストピア感...
綾瀬さんはまだ数冊しか読んでないけど、なんだか分かったような分からないような読後感。急にディストピア?みたいな。 今作は「女による女のためのR‐18文学賞」受賞作の「花に眩む」も収録された、帯曰く「ベストアルバム的短編集」と。そう、女性向きの作風かなと感じる。そのディストピア感は村田沙耶香さんっぽさも。黒いソファの話から始まり、靴修繕の話、アンモナイト化石、恋をすると芽生える石、白木蓮、体から植物…と各物語の断片だけを切りとると、訳が分からない。 物語的には、どの話もじんわり綾瀬ワールドを堪能させてもらった。
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彩瀬まるさんの最新作であるこちらを読んでみました。ベストアルバム的短編集ということで、6編のそれぞれ独立した内容になっています。 ソファをこよなく愛する女性、身体から出た石を交換することで愛を交わす恋人たち…どこか、歪んでしまっているけれどそこには純粋な愛がある…それがこ...
彩瀬まるさんの最新作であるこちらを読んでみました。ベストアルバム的短編集ということで、6編のそれぞれ独立した内容になっています。 ソファをこよなく愛する女性、身体から出た石を交換することで愛を交わす恋人たち…どこか、歪んでしまっているけれどそこには純粋な愛がある…それがこの作品のテーマなんだと感じました。「なめらかなくぼみ」と「二十三センチの祝福」はよかったのだけども、そのあとの作品が…この世界観、キライじゃないけど…私の読解力と想像力が追いつきませんでした。修業が足りないのかしら(;・∀・)あくまで個人的な感想です。
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「なめらかなくぼみ」と「二十三センチの祝福」が好き。 「なめらかなくぼみ」は、 主人公が子どもの時、久々に母親に抱っこされて嬉しかった時、クレヨンで家の壁に落書きしたのを母親が見た途端、母親は主人公を床に落とした。 「きっとみんな、確かだと思っていた腕からすべり落ちた経験があるのだ。だから安心して体を預けられるものが欲しくなる。」ってところが、ハッとさせられた。 私も子育てしていて、愛情を持って子どもに接していても、落書きとか嫌なことをされたら、嫌な態度を取ってしまうかもしれないな…と思った。 「二十三センチの祝福」は、 主人公の元妻が、妊娠中に具合が悪くて、ひどい態度を取ったことで、主人公は傷ついて、産後に妻の症状は回復して謝られるけど、やっぱり忘れられなくて別れることになるってところが、怖かった。 私も妊娠中体がつらすぎて旦那にひどく当たったことがあるから、それで別れられたらきついな…と思った。でも、この主人公の気持ちもわかるし、自分が旦那側だったらすごく傷つくだろうから、余計恐ろしいなと思った。 産後は、「憑きものが落ちたように穏やかになった」と書いてあるけれど、実際は産後も、妊娠中以上に体つらいよ…。産後の方が旦那にきつく当たった気がする…。そこがリアリティがないなと思ってしまった。 それ以外のお話は、ファンタジーが入っているものが多くて少し苦手だった。特に「花に眩む」は、体から花の芽が生えてくる設定が、気持ち悪くて無理だった…。実際は芽は生えなくても老いて病気になったりするから、それを比喩しているのはわかるけれど、芽をついばむ描写は生理的に受け付けなかった…。
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なんかすごい不思議な!はなし! 人の身体を生々しく感じる表現が多くて 子供は見ちゃいけません!って感じの 大人の優越感さえあるような、 禁断の本棚に置いてありそうなベストアルバム。
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艶っぽく、ちょっと怖さも感じるような短編集。 かなり不思議な世界観だったけど、気がつけば引きこまれていた。 「二十三センチの祝福」「マグノリアの夫」が好みだった。
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不思議な世界に入り込んだみたいでずっと読んでいたかった。 特に白木蓮の話が好きだなあ。 ほんとにどの話も好きだった。
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短編集。 全体的に好きな雰囲気ではあるが、人間が植物になったり、身体の中の石を交換しあったり不思議な世界観。 好きになった人と石を交換しあい、結婚する。相手にその気がなければ、石を手術で取ってもらうか相手に取ってもらわなければならないらしい。 相手が石を取るのに手馴れてれば、あ...
短編集。 全体的に好きな雰囲気ではあるが、人間が植物になったり、身体の中の石を交換しあったり不思議な世界観。 好きになった人と石を交換しあい、結婚する。相手にその気がなければ、石を手術で取ってもらうか相手に取ってもらわなければならないらしい。 相手が石を取るのに手馴れてれば、あ、そういうことかってなるわな。 この世界観に自分が存在するとしたら、自分の石がどんな石なのかには興味ある。誕生石がトルコ石(サファイアが良かった)なので、青っぽい石だといいなと思う。 ソファの座り心地が良すぎて恋人と別れた経験のある女性の話も面白かった。そんなことでと思う人もいるだろうが、誰にも侵害してほしくない自分の場所を持つ人には通じるところがあると思う。
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とても不思議で艶かしい世界観だった。 人も花も草も、全てがこの地球上で同じ時に生を受けた同じ"生き物"。 生きとし生けるものは、最終的には土に還るのみ。 彩瀬さんの創造の世界は何故かいつも説得力があって、自分の肌にも花の芽が出てくるのではないか、とつい腕を見てしまいそうになる。 地球上で生きていくことは楽しいことばかりでなく、辛いことも多い。 「忘れたということは、それほど覚えておきたいことでもなかったのかもしれない」 そんな風にやり過ごしていければ。最後はみんな土へ還るのだから、と思うと不思議と妙な安心感も生まれる。 芳香の強い花々に埋もれて息苦しくなるような短編集。安らかな眠りを誘うのは、やはりもっと柔らかでほのかな香りのものがいい。 今の私にはちょっと刺激が強すぎたみたい。酔ってしまいそうだ。
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色々な愛の形があるけれど、現実的ではなく乾いてるのに、どれも湿度高め。お花も人間も潤いないとね。最後の「花に眩む」は想像すると生理的に怖かった。
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