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水車小屋のネネ の商品レビュー

4.2

506件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2024/11/17

▼津村記久子さんは、かれこれ15年くらい前から大まか新作小説は読ませていただいていて。ちょっと遅くなりましたが「ネネ」読みました。感動。津村さんの最高傑作。・・・と思える新作を書いてくれる小説家さんの新刊と同時代を歩めるというのは、読書の快楽の極みかも知れません。感謝です。 ▼...

▼津村記久子さんは、かれこれ15年くらい前から大まか新作小説は読ませていただいていて。ちょっと遅くなりましたが「ネネ」読みました。感動。津村さんの最高傑作。・・・と思える新作を書いてくれる小説家さんの新刊と同時代を歩めるというのは、読書の快楽の極みかも知れません。感謝です。 ▼もう読後しばらく立つのでうろ覚えですが。1980年代くらいから2020年代くらいまでを描く物語です。コトバ使いなどから察するに、東京首都圏から数時間離れた地方都市、の、そこからまた小一時間離れた田舎町の話です。  18歳くらいの高校を出た女の子「理佐」がいて、母と、小学生の妹「律」と、暮らしている。母は離婚経験者、シングルマザーで生活は楽ではない。母に恋人ができた。この恋人、この男が大まかろくでもない。妹「律」に暴力をふるったりする。だが母親はこの男がいなくてはなにやらココロがもたないようで、守ってくれない。  そこで「理佐」は高校卒業と同時に、探し当てた地方の田舎町の蕎麦屋の「住み込みの店員仕事、ときどき鳥の世話」という仕事に就く。その仕事に就くことは母には言わない。妹の「律」を誘う。小学生の「律」も一緒に行く、という。  姉と娘が、ほぼほぼ徒手空拳状態で、家出同然で田舎町に行く。理佐は蕎麦屋の店員をやる。そば粉を挽くための水車小屋がある。そこで挽き具合を声出しアラートしてくれる、鳥がいる。賢い。オウムのようだが、ヨウム、という鳥の種類らしく、50年くらいでも生きるという。名前が「ネネ」。このネネの餌やりとか面倒見も、理佐の仕事の一部。  というわけで。  18歳の「理佐」と、小学生女子の「律」と、賢くて音楽が大好きな「ネネ」。大まかこの3人(2人と1羽)の、40年に及ぶ大河ドラマが始まる。 ▼とはいえ、そこは津村さんですから。津村節の範疇でしかオオゴトなんて起こりません。とにかくまずは、仕事があるとはいえ貧しい姉妹の日常のやりくり。財産関係のために後を追ってきた、ロクデナシの男と情けない母親との関係。そんなことろを淡麗に、ちょっとユーモラスに、距離感ととりながら適切に描きます。このあたりの「描き具合」が、透明度が増したというか、ホントに文章が、語り口がうまいなあ、と舌を巻きます。 大したコトは起こらないのに、 メイン人物たちの感情がくっきりと分かって、 共感出来て、 えらいことオモシロイ。 帯びや三行コピーでは、どうにも伝えられないオモシロサ。 ▼途中で何度も 「面白い・・・だけれども、これ、後味が悪い方向に、えぐい方向に行くのかなあ・・・それは好みじゃないなあ今の自分としては・・・」 と思いながらだったんですが、こちらの好みとしては万全、満点でした。 「ポースケ」以降くらいなんですが、津村さんの仕事の中でも、「ヒトの善意」という、か細く、密やかで、ささやかな、不可思議な営みそのものが主たる題材なんだな、という物語でした。本当に、ささやかな営みの連続で、飽きないし、泣けます。 理佐さんが良き人と、結ばれる予感になるあたりが、僕としてはいちばん泣きそうになりました。 ▼ただ無論、いちばん「ナイス!」なのは、やっぱり「ネネ」というキャラクターですね(鳥ですけれど)。 この発明が、言ってみれば 「津村記久子版、良い人だらけの人情噺」 とでも言うべき、なんだかこう、「カレーうどん」みたいな、 <それって両立させたら・・・美味しくないのでは???> と思えそうなメニューを極上にしているキモなんじゃないかと思います。 何というか、津村さんの魅力である、 「ロックンロールな、パンクな、エグくて苦くて爆笑でもある、  社会の既得権者へのあくなき徹底パルチザン、ドン・キホーテな味わい」 みたいな部門を、この小説の中ではネネという鳥の存在ががっちり担ってくれている。 ▼こんな凄いのを、いやほんとに3年に1冊・・・5年に1冊でも書いてくれるのなら、読者としては本当にありがたいです。 ※一方で、そういう、津村さんの世界観の地滑り的な拡張というか変化がありながら、メインキャラクターが「親子」という関係をほぼ持たない。そこの究極の保守的な社会的関係とは、切り離された中で色んな人たちと袖触れあって、肩寄せ合って、つまり大きなシステムとしては前例の無い、都市的なささやかな共同体の中で、自分なりの「しあわせ」をちゃんと諦めない物語になっていると思います。 ※つまりは、津村さんが「親子」という風景なりシステム?なりと、改めて向き合うとするならば、それは結構読者としてはスリリングそうだなあ、と、楽しみに?思ったりもします。

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2024/11/15

日常の中で誰かのために何かしたい、優しくなれるそんなお話です。 りっちゃんのような境遇ではないけれど、自分も誰かの優しさに見守られて助けられて生きてきたんだろうなとこれからは自分がそうしていく立場になってきたんだなと思わせてくれました。

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2024/11/15

水車小屋のネネ。 読む前は、どこかののんびりした小川の辺りにある水車小屋で、笑いながらすごす可愛い少女の話だと思っていた。 ネネは水車小屋で暮らす鳥だった。 その小屋に転がり込んできた、幸せとは言えないような姉妹。 そして、ネネと、姉妹と、彼らを囲む人々の生活が綴られる。 淡々...

水車小屋のネネ。 読む前は、どこかののんびりした小川の辺りにある水車小屋で、笑いながらすごす可愛い少女の話だと思っていた。 ネネは水車小屋で暮らす鳥だった。 その小屋に転がり込んできた、幸せとは言えないような姉妹。 そして、ネネと、姉妹と、彼らを囲む人々の生活が綴られる。 淡々と綴られる人々の暮らし。 「誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ」という思想が根底に流れている話だった。

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2024/11/14

400ページ以上あるのにするする読めてしまいました。 本当に優しい優しいお話。 1981年から2021年まで10年区切りでとある姉妹とネネという鳥を中心にした人間模様が描かれています。 一人称じゃないのに登場人物それぞれを軸にした話にうまくなっていて、章ごとにそれぞれの視点で読め...

400ページ以上あるのにするする読めてしまいました。 本当に優しい優しいお話。 1981年から2021年まで10年区切りでとある姉妹とネネという鳥を中心にした人間模様が描かれています。 一人称じゃないのに登場人物それぞれを軸にした話にうまくなっていて、章ごとにそれぞれの視点で読めるようになってます。 登場人物たちがだいたい同年代ということもあって共感することも多かったです。 親切と良心に満ちた温かい世界。こんな風になったら、なれたらいいなと思いました。

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2024/11/18

ネネがかわいくて癒された いままでヨウムっていう鳥がいることも知らなかったし、もちろん5歳児と同じ知能とか50年生きるのも知らなかったからびっくり 実際にYouTubeでヨウム調べたら現代のヨウムはアレクサと戦うことが多いんだとか。笑 お気に入りのシーンは先生とリサが話している途...

ネネがかわいくて癒された いままでヨウムっていう鳥がいることも知らなかったし、もちろん5歳児と同じ知能とか50年生きるのも知らなかったからびっくり 実際にYouTubeでヨウム調べたら現代のヨウムはアレクサと戦うことが多いんだとか。笑 お気に入りのシーンは先生とリサが話している途中にネネがタイミング見計らって気遣ってるシーン 長期間にわたってネネと姉妹を取り巻く人たちを追えたのが良い 感謝でつながる輪がそこにはあって、私はみんなに助けてもらってここまで生きてきたから私もなにかできることを、という考えがベースにあってみんな行動してる世界だったから実際の世界もそうだったらいいなと思う。

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2024/11/11

とにかく分厚くて超長い本だけど、読む価値あります。なんかコレと言って大きな出来事が起こるわけではないんだけど、人と人との繋がりとか暖かさが作品から滲み出てて、あぁこんな関係性を私も町の人たちと作れたらなぁと羨ましくも思いました。

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2024/11/09

長かった〜。 皆さんの感想や評価を見て読んでみましたが、 私には合わなかったみたいです。 読解力が足りないのでしょうか? 今喋ってるのは誰? この文章は誰視点? と読み返す事が多々ありました。

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2024/11/09

何も特別なことは起きないけど、素朴で飾らない生活とその町に住む人達の良心が描かれた小説でした。 ちっさいちっさい規模感で、人生の1部を見させてもらったなと。誰かが町に引っ越してきた、コーラス会があって練習をするんだ、受験勉強の手伝いをありがとう、服を作ってくれてありがとう、あそ...

何も特別なことは起きないけど、素朴で飾らない生活とその町に住む人達の良心が描かれた小説でした。 ちっさいちっさい規模感で、人生の1部を見させてもらったなと。誰かが町に引っ越してきた、コーラス会があって練習をするんだ、受験勉強の手伝いをありがとう、服を作ってくれてありがとう、あそこの図書館いってたよ、とかとか。人生ルンルンとかじゃない、等身大の人の生活、ありのまま、この言葉が本作品には1番似合ってると思いました。 それと、良心で出来上がったという主人公だけど、ほんとにその通り!!今こんな風に自分がいることが出来るのも、全員の良心があってこそだよね。人との関わり、出会い、そこで溢れる人の気持ちは一生自分の中にあり続けるんだろうなと。 最後に、正直一人称が結構変わるし、淡々としてるところもあって読みずらいとも感じた1冊。だけど、どんだけ何週間も読めない時間があっても、気になってしまって読めてしまうのもこの本の魅力なのかなと思いました。なんか、カフェで友達とダラダラと人生語り合ってる感じ。またやりたくなっちゃう感じです。 分厚い本だけど、全然時間をかけて読んでいい本! 忙しくて読めない!って人こそ、あったかいこの話、読んで欲しいな、!

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2024/11/09

小さな親切に皆支えられて生きている、ということがテーマ。私は受け取る側だった理佐と律の強さ、素直さがとても良かったと感じた。 理佐と律は小さな親切を素直に受け取ることができる。実父や義父の記述を見ると、なかなかそんな風にはいかないのが現実だよな、と感じてしまった。 姉妹の芯の強...

小さな親切に皆支えられて生きている、ということがテーマ。私は受け取る側だった理佐と律の強さ、素直さがとても良かったと感じた。 理佐と律は小さな親切を素直に受け取ることができる。実父や義父の記述を見ると、なかなかそんな風にはいかないのが現実だよな、と感じてしまった。 姉妹の芯の強さや素直さが、どこから来るのだろうと気になってしまった。 何といっても理佐がすごい。さとるもけんじもすごい。皆、小さな親切を素直にもらって力強く生きている。私も小さな親切をたくさんもらって生きているんだろうけど、認識してるだろうか、素直に受け取れてるだろうかと顧みてしまった。 誰かに親切にしないと、人生は長すぎるって本当にその通りだと思った。誰かに親切にしていきたいし、小さな親切を素直に受け取っていきたい。

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2024/11/08

内容(ブックデータベースより) “誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ”     18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉  ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――    助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説  毎日新聞夕刊で話...

内容(ブックデータベースより) “誰かに親切にしなきゃ、人生は長く退屈なものですよ”     18歳と8歳の姉妹がたどり着いた町で出会った、しゃべる鳥〈ネネ〉  ネネに見守られ、変転してゆくいくつもの人生――    助け合い支え合う人々の40年を描く長編小説  毎日新聞夕刊で話題となった連載小説、待望の書籍化!  令和6年3日~8日

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