白ゆき紅ばら の商品レビュー
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行き場のない母子を守る「のばらのいえ」は愛と理想を掲げた夫婦が営む。その家に暮らす祐希は、未来のない現実から高校卒業と同時に逃げ出した。幼少のころから一心同体だった紘果を置いて出てきたことをずっと後悔してきた祐希は、二度と帰らないと出てきた「のばらのいえ」に戻る決意をしたがーー。人生の不条理を問い続ける著者の書下ろし長編。 紘果・・・最後は立ち直ってめでたし。。ってあかんでぇ~男に助けて貰い、同級生に救い出して貰い説得されてやっとどっこいしょと腰あげないで最初からがんばれや~~~っ
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題名はかわいいのに重苦しい物語だった。 守られるべき子どもが家族愛という名のもとで人生を搾取されていく。覚悟もない大人が見栄だけで子育てをするもんじゃない。シェルターという美名の下で行われていた非道な事柄など、小説の中だけでないような気がする。でも祐希の家出を助けた教師もいたこと...
題名はかわいいのに重苦しい物語だった。 守られるべき子どもが家族愛という名のもとで人生を搾取されていく。覚悟もない大人が見栄だけで子育てをするもんじゃない。シェルターという美名の下で行われていた非道な事柄など、小説の中だけでないような気がする。でも祐希の家出を助けた教師もいたことは本当に救いである。
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「のばらのいえ」と呼ばれる、助けを求める母子が身を寄せることのできる施設は、おそらく無関心な近隣住民ばかりの中で、少しずつ破綻していったのだろう。 両親、祖父母を失った祐希は、まだ若かった親戚の実奈子とその夫の志道の元に引き取られる。 祐希を引き取ってから、二人は母子シェルター...
「のばらのいえ」と呼ばれる、助けを求める母子が身を寄せることのできる施設は、おそらく無関心な近隣住民ばかりの中で、少しずつ破綻していったのだろう。 両親、祖父母を失った祐希は、まだ若かった親戚の実奈子とその夫の志道の元に引き取られる。 祐希を引き取ってから、二人は母子シェルターのような施設を運営し始めた。 ある時、ネグレクトされた紘果と保という兄妹が引き取られ、祐希の人生も大きく動き出す。 理想とは裏腹に闇のある実奈子と志道の関係、そして「のばらのいえ」の実態。 聡い祐希は早くから自分への差別的扱いと、その不穏さに気づき、高校卒業直前に信頼する教師の助けをかりて「のばらのいえ」を逃げ出す。 紘果も共に逃げる約束だったが、土壇場で志道の元から離れられない、と言い出す。 しかしそれは、祐希を守るための紘果の精一杯の行動だったのだ…。 二人の少女の心の絆と、大人の世界から見捨てられた境遇が読む者の胸に迫る。 寺地はるなさんだけど、ちょっと町田そのこさんみたいな小説だった。 最近、2人の少女の成長を描く小説が多い気がする。流行りなのかな? 一番印象に残っているのは、柚木麻子さんの『本屋さんのダイアナ』。どれを読んでもどうしてもそれと比べてしまう。 2023.3
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「復讐は復讐で、幸せは幸せ。…ならば痛みは痛みだ。幸せとはまったく別のもの。痛みを抱えたまま幸せを手に入れることも可能なはずだ。」 実奈子さんと志道さんが運営する、恵まれない母子を保護する「のばらのいえ」。 そこに祐希は引き取られ、ついで紘果と保兄妹が引き取られた。 運営してい...
「復讐は復讐で、幸せは幸せ。…ならば痛みは痛みだ。幸せとはまったく別のもの。痛みを抱えたまま幸せを手に入れることも可能なはずだ。」 実奈子さんと志道さんが運営する、恵まれない母子を保護する「のばらのいえ」。 そこに祐希は引き取られ、ついで紘果と保兄妹が引き取られた。 運営している、といえど、のばらのいえの家事や利用者の世話をするのはほとんど祐希の仕事だった。そのことに何の疑問も持たなかった。 保は放っておかれ、紘果は何もできない子と言われ続け、志道の手の中に閉じ込められて育った。 まるでグリム童話に登場する「白ゆき紅ばら」のような祐希と紘果。 のばらのいえから祐希が逃げ出してから10年、住まいに焼け出された祐希が再び志道に連れられのばらのいえに帰ってきたところで、物語の歯車は回り始める。明かされはじめる。 これは、囚われたものたちが、一歩を踏み出すまでの物語だ。がんじがらめにされた鎖を断ち切って、その一歩を踏み出すまで、険しくて苦しくて難しくて。 でも、わたしたちはどこへでも行ける。 孤独だと思っていたわたしたちに手を差し伸べてくれた人たちの数珠なりの道を辿って、どこへでも行ける。 そんな物語でした。 言葉にするのは難しいけれど、なんだか胸に静かにしまっておきたい物語でした。
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なかなか読みはじめてからのめり込むのに時間がかかった。 話が進展しなくて終盤で話が動く感じ。 そうかそうゆうことかってなるね。
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母と子を支える施設から逃げ出したが、10年後戻ってみると。支配しようとする人、酒浸りの人、依存してばかりの人に気づく。 暗い。ひたすら暗い。これを読んで癒やされる人は、癒やされ指数の高い人だと思う。他人のために生きる人生について考えさせられる。
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生きているうちに、いつの間にか体に染み込んでしまった偏った価値観、劣等感、優越感。それらを盾にいきる人々の醜悪さを描くのが巧みな作家さんです。読んでいて逃げ場のない、心に棘が刺さるような作品でした。
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現在(の少し前)と過去とを行ったり来たりすることで見えてくるさまざまなこと。 難しく、ともすれば目を背けたくなってしまいそうな、でも、現実にこの世のどこかで起きている問題に正面から向き合った作品といえるのでは。 紘果の本当の気持ちを知ったあたりから、胸がいっぱいになりました。 ...
現在(の少し前)と過去とを行ったり来たりすることで見えてくるさまざまなこと。 難しく、ともすれば目を背けたくなってしまいそうな、でも、現実にこの世のどこかで起きている問題に正面から向き合った作品といえるのでは。 紘果の本当の気持ちを知ったあたりから、胸がいっぱいになりました。 「上を向いて歩かなきゃ、虹を見つけられない。そんな言葉が書かれたポスターを目にしたことがある。駅で見た時、破り捨ててやりたくなった。好きで下を向いて歩いてるわけじゃない。だけどこんなふうに下を向いていても、足元に虹を見つけられる人もいる。」 そして、家出を助けるとき「生きていてください、お願い」とだけ言った先生。「さようなら」でも「気をつけて」でもなく。 そして最後は読みながら笑顔になれました。 未来を担う若い人たちに読んでほしいと思います。
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この世界は決して素晴らしいものではないけれど、その中で私達はもがき苦しみながらも生きていくほかない。そしてそんな世界だけど、うつくしいものだってきっとある。 そんなふうに思わせてくれる作品でした。表紙の雰囲気に惹かれ衝動買いした一冊でしたが、この作品を読めてよかったと思います。
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寺地はるなにハズレなし! 何度も言われた言葉は、人を縛り付ける力を持つということ。 幸せなひとには、そうでないひとの感情は容易に想像できないこと。 最後はほんとに良かった、、と思った。 2人には誰よりも幸せになってほしい。
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