黄色い家 の商品レビュー
本屋を巡って無事サイン本を入手。 川上さんのTwitterをきっかけに。 ある事件を発端に過去自分がしてきたことを振り返る主人公の花。現在から一気に中学生時代まで遡り、600ページを超える長編で紡がれる物語は、まるでその人の人生をリアルタイムで見ているかのような臨場感だった。 ...
本屋を巡って無事サイン本を入手。 川上さんのTwitterをきっかけに。 ある事件を発端に過去自分がしてきたことを振り返る主人公の花。現在から一気に中学生時代まで遡り、600ページを超える長編で紡がれる物語は、まるでその人の人生をリアルタイムで見ているかのような臨場感だった。 風水をきっかけに作った、黄色のものを置くコーナー。神頼みだったそれは、やがて少しずつ花の運命を変えていく。 人間は時々壊れることはあるけれど、周りの環境の力で治ることが多い。しかし、それがなかったら。 生きるために必要だった、で全てが許されるわけではない。しかしながら、主人公の苦悩にも共感する部分はある。物語後半からの展開に、一気に引き込まれた。 川上さんの作品は、人生や価値観に関する描写がものすごく丁寧で、どうやったらこんな文章を書けるのだろうか、と久しぶりに思いました。
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悪い方向に転がり出したら、どんどん加速していき止まらない。 花ちゃん落ち着いて冷静になるんだ 後半 章末には不幸が書いてある 嫌だねー [どの子が普通の家の子で、どの子がそうではないのかが、まるで色の違う帽子でもかぶっているみたいにひとめでわかる気がした。]
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これ…川上さんの創作なんですよね?実際にあった事件を基に…とかじゃないんだよね??? すごすぎて途中胃を痛めながら読みました。圧巻の600頁超。ラスト賛否あるのかもしれないけどわたしはすごく好き、記憶が呼び覚まされ、共依存というか…コロナ禍で孤独ななかわたししかいないんだが強く出ちゃってる感じ、好きです。 記憶に蓋をして、それが開かれてからの回想なんだけど凄まじかった。また読みたいかって言われたらノーだけど、この時代にこれを読めてよかったです
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いやはや、とにかく凄かった。当初は他人事のつもりで読んでいたのが、最後は完全に花目線になっていて‥今も怖くて怖くてたまらない。何か間違っていたのか、少女達はいつ、どうすれば良かったのか。あまりにも理不尽で愚かで哀しすぎる。けれど、他人事ではなくリアルな私達にしたって賢くお金のこと...
いやはや、とにかく凄かった。当初は他人事のつもりで読んでいたのが、最後は完全に花目線になっていて‥今も怖くて怖くてたまらない。何か間違っていたのか、少女達はいつ、どうすれば良かったのか。あまりにも理不尽で愚かで哀しすぎる。けれど、他人事ではなくリアルな私達にしたって賢くお金のことを理解して管理していると言えるのだろうか?クレジット決済だとかポイント決済だとかに夢中になり過ぎて「お金」の怖さを忘れているのではないか? その怖さを知らないまま、お金のやり取りは「デジタルの数字を動かすだけ」だと思っていると、いつかとんだしっぺ返しを喰らうような気がする。
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20世紀と21世紀の狭間で生きるためにお金を稼ぐヒロインの過去回顧録みたいなお話。 家庭環境も良くなく、高校中退で生きていくために裏稼業(シノギ)で生きていくしかなかった?という話で、いわゆるまともな生き方ではないにしても、そうやって暮らしていくことしかできない人もいた(今もい...
20世紀と21世紀の狭間で生きるためにお金を稼ぐヒロインの過去回顧録みたいなお話。 家庭環境も良くなく、高校中退で生きていくために裏稼業(シノギ)で生きていくしかなかった?という話で、いわゆるまともな生き方ではないにしても、そうやって暮らしていくことしかできない人もいた(今もいるよなぁ)と思ってしまうくらい、切なくもあり、目を背けたい話でした。 なんのためにお金を稼ぐのか? 私は生活して少しでも老後に残していくためだと答えると思います。そして、安定した仕事でできる限り長く仕事を続けたい。 そんな気持ちで毎日働いています。 もちろん、いろんな理由で働く人もいると思いますし、ヒロインみたいなお金の稼ぎた方や考え方もあるとは思いますが、私が感じたのは、ヒロインサイドのお金の稼ぎ方やお金に対する考え方っていうのは正直しんどいし、目をそむけたくなりました。 少なくとも私が育った環境では、お金に困った生活もしてないですし、大学も親に行かせてもらっていたというくらい世間一般では贅沢はしていないものの、世間一般では悪くもなく良くもない、普通の生活をしてきたと思います。 そのおかげで、安定した生活を送っているわけで何も考えて来なかったのですが、こういう世界に身を置いている方もいるというのはわかるのですが、その生活の生々しさに触れるというのはなかなかないので、読書でこういう世界を覗けたというのは貴重な体験だったなと思います。 この話のくだりで出てくるシーンで特に印象に残っているのが、カジノのバカラで1億円勝負したというくだりの話。 お金は大事という感覚がありつつもなぜ、ギャンブルにハマる人がいるのかという問いの答えは「ギャンブルに勝った瞬間、お金を超越する何かがみえる」というようなことが書かれていて、これが1番腑に落ちたなと。 お金は大事だし、お金は必要なものですが、お金に取り憑かれては我を忘れてしまう。お金を貯めることも大事ですが、お金とは何なのかということを、本書を通じて考えさせられるそんな作品でした。
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Amazonの紹介より 十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のク...
Amazonの紹介より 十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。危ういバランスで成り立っていた共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解し……。人はなぜ罪を犯すのか。世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。 約600ページという分厚い量でしたが、「お金」によって狂わされていく女達の描写が、如実に現れていて、世界観に引き込まれました。 最初の場面では、少女達が大人になり、昔お世話になった人が監禁と暴行容疑で逮捕されていたことから物語は始まります。この段階では、お世話になった人=怖い人というイメージがつきます。 そして、昔を振り返る形で、少女達とお世話になった人との出会いから別れまでが、じっくりと描かれています。 詳細に描かれている分、中盤ぐらいまではあまり急な展開というものはないため、ちょっと退屈かなと思ってしまいました。 しかし、それまでの出会いや楽しかった思い出があったからこそ、後半での爆発的な怒りへと急発進・急ブレーキみたいな怒涛の展開へとメリハリがあったので、後半からの流れはページが止まりませんでした。 さらに背景として、様々な時代を象徴するものが登場するので、個人的にはとても楽しめました。 とにかく主人公の心情が切なかったです。貧しく環境の中で懸命に生きる主人公が、徐々に明るくなっていき、相手を思いやる気持ちが育っていったのに・・周りの環境・人によって、気持ちを変えさせていく描写は、読んでいて心苦しかったです。 そして、生きるために犯罪にまで染まっていきます。 もしも、普通にお金があったらと思うと、複雑な気持ちでした。 個人的に一番の読み応えは、後半での女達の仲間割れでした。優しさや嫉妬などによって招いてしまった女達のエネルギーが凄まじく、読んでいていつの間にか引き込まれていました。 出会いから別れまで、約5年間の出来事なのに濃密すぎるくらい、アップダウンの連続でした。 その後、現在に戻るのですが、過去パートでのお世話になった人の印象が大きく違っていました。 なぜ、そんな犯行を?と思いましたが、過去パートから想像するに相手を取り込ませるのが上手く、それによって人をダメにするんだなと感じました。 大人になった少女達は、どんな姿に変化していったのか。こちらの部分も切なく、感動する方向へもっていっていますが、何ともザラザラ感のある内容かなと思いました。 犯行の裏側では、多くの被害者が存在します。犯罪はダメと言いながらも、生きるためにはやらなければならないという置かれた状況に素直に良い話だとも思えない心境もありました。 小説として考えると、波瀾万丈な人生や女達の嫉妬が渦巻く争いにスピード感があって楽しめました。
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正しいと間違いの境界線が霞んでいくのを間近で見た気持ち。花ちゃんが味わった痛みが伝わってきて心が締め付けられた。まだまだ先が読みたいと思った作品。
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90年代を舞台にしたヒューマン・ミステリー。一体過去に何があったのか?と読者を引き込む序章を経て、大半を占める回想パートはスピード感に溢れた文章で綴られていて一気に読ませる。ただ、著者の書きたいものは単なる娯楽・エンタメ小説というわけではなく、システムからこぼれ落ちてしまった人々...
90年代を舞台にしたヒューマン・ミステリー。一体過去に何があったのか?と読者を引き込む序章を経て、大半を占める回想パートはスピード感に溢れた文章で綴られていて一気に読ませる。ただ、著者の書きたいものは単なる娯楽・エンタメ小説というわけではなく、システムからこぼれ落ちてしまった人々は犯罪に手を染めるしかない社会の話なのだと思う。主人公たちが徐々に追い詰められていく描写は読んでいて本当に苦しくなる見事な畳みかけ。その意味で安易に事件の真相が明らかにされて善悪で語られるようになっていないノワール風味の結末に一抹の救いを感じた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
人生や物事は誰からみてどう映っているかか、が全てだと思う。客観的に見れば未成年を連れて飲酒させスナックで働かせということは犯罪になるんだろうけど、花の視点からみると世話して連れ出してくれ絶望から救ってくれスナックは楽しいものだった。 スナックがなくなってからの展開は苦しいものだった。お金に振り回され本当は何をしたいのかわからなくなりドツボにハマる。小さな頃からお金がなく執着せざるを得ない状況だったのかと思いきや、途中から結構な大金を手にしたりする、でも将来の不安や色々な不運な出来事、それによる思考にはまっていて止められない。花自身はとてもしっかりしている様に描かれてるので読んでるうちに応援したくなってくる。でも客観的にみるととても応援できるような状況じゃなかったりする。 花の心の描写が素晴らしかったと思う。それでなければ客観的に物事を見てしまい、なぜこんなことしてるの?と思ってしまい(蘭や桃子の様に)ストーリーに入り込めなかった。花の経験を花の視点で追うことができたのはとても貴重な経験であり、あとからズドンと残る体験でもある。
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ヴィヴさんが言ってた「金の奥」っていう考えが面白かった。 金は、本来価値の交換のために使われているけど、現代社会は「金」を通してそこに様々な意味を見出している。 「交換するもの」という金自体の意味的な純粋さは失われて、豊かさや安心、権威、個人の能力、出生、親、学校、学歴、格差、...
ヴィヴさんが言ってた「金の奥」っていう考えが面白かった。 金は、本来価値の交換のために使われているけど、現代社会は「金」を通してそこに様々な意味を見出している。 「交換するもの」という金自体の意味的な純粋さは失われて、豊かさや安心、権威、個人の能力、出生、親、学校、学歴、格差、自由、労働、とにかく色んなものの根源あるいは強い結びつきを持つものとして複雑に意味づけされ、その原因とされている。 主人公は、金に強く執着する友人にたいして「金がある」「金を遣う」「金を稼ぐ」のうち金に対してどれを求めているのか疑問に持つ。 おそらくその友人も自分がなぜ金をそこまで欲するのかわからないと思う。 あるいは、人々が金を欲するように現代社会はできているのかもしれない。 金に執着しない黄美子さんはそのアンチテーゼであるように感じた。 そして、花の母親もまた同じであると思う。 この本は、金は必要ないなんて言っていない。 金は絶対必要だし、不足すると惨めな思いをすることになる。 でも実は金よりも大切なことがあって、本来それを守るために金があるはずなのに、いつのまにか金が優先されはじめ、やがては、金に置き換えられないものは無価値である物のように忘れ去られてしまう。 花は、黄色い家に集まった擬似家族を守るために金を稼ごうと努力したのに、そのせいでそれを壊すことになった。 まあここまで言ってアレだけど、主人公が狂ったのは仕方ないように思える
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