丸の内魔法少女ミラクリーナ の商品レビュー
「信仰」に続いて読破。独特の世界観で、クセが強く感じていたが、本作の方が好みでした。4本とも面白く読めました。 自分が思っている常識が実は違うのかも…? 「違うかも」と自分をゆるがすものが、そういう角度から来るか!とギョッとさせられ、新鮮な気持ちになります。「変容」は、特に今流行...
「信仰」に続いて読破。独特の世界観で、クセが強く感じていたが、本作の方が好みでした。4本とも面白く読めました。 自分が思っている常識が実は違うのかも…? 「違うかも」と自分をゆるがすものが、そういう角度から来るか!とギョッとさせられ、新鮮な気持ちになります。「変容」は、特に今流行りの老害のような。私自身若い人と話すのは楽しいけれど、この浦島太郎感はなかなか辛く、苦笑してしまう。 もとから、ジェンダーに関して興味があるので、「無性教室」は面白かった。みなまっすぐな人しかいなくて、爽快感があった。性別があってもなくても恋はできる。そう思いたいし、そういう世界に近づけばいいと思う。
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村田さんの小説は思いもよらない気付きを与えてくれるから面白い。 ぶっとんでいるのに、なるほど〜と納得する感じが独特。 魔法少女ミラクリーナは、大人になっても魔法少女ごっこを続けているOLの話だけれど、それで社会を上手く渡れているならむしろアリだなと思った。 秘密の花園は好きな男性を監禁する話。性を交えていない純粋な憧れだった"恋"と、現実的な異性との"恋"との違いを強く感じた。学生時代、アイドル好きで交際経験がない友人が「現実で会う異性なんて気持ち悪くて恋愛対象に見えない!」という話を聞いた時と同じものを感じた。 無性教室はジェンダーレスに過ごす学校の話。多様性と生物的な性差などを考えさせられた。性差をなくそうという動きが強い現代だけど、それもそれで良いことだけじゃないんじゃないか、と。 変容は、怒りという感情が時代とともに消えていく話。 確かに怒りなんてないに越したことはないと思うが、実際に消えてしまうというのも怖く感じた。 怒りという感情自体は不快だけど、怒りを共有することの気持ち良さという表現にハッとした。 時代に合わせてある程度感情や性格が決まるのかもとも思ってしまった。 作中に出てくる「なもむ」等の感情は、今でいう「エモい」みたいなもので、ホムパもマルチやスピリチュアル的な集まりみたいなものでは?と思ったりもした。 不思議に楽しく読了した。
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SNSの本紹介を見て、気になっていた作品。 村田さんは、代表作の『コンビニ人間』が面白かったので、かなり期待値高めだった。 結果、かなり好きで、さらに村田さんが好きになり、他の村田作品も読みたくなった! 短編集で、どのお話もどこかぶっ飛んだ設定なのに共感できる部分も多かった...
SNSの本紹介を見て、気になっていた作品。 村田さんは、代表作の『コンビニ人間』が面白かったので、かなり期待値高めだった。 結果、かなり好きで、さらに村田さんが好きになり、他の村田作品も読みたくなった! 短編集で、どのお話もどこかぶっ飛んだ設定なのに共感できる部分も多かった。 個人的には、表題作の「魔法少女ミラクリーナ」と「変容」が特に好き。 「魔法少女ミラクリーナ」はお人形さんごっこが好きで、かなり大きくなってからも遊んでいた自分と重ねて読んでいた。 「ストレスフルな日々をキュートな妄想で脚色して何が悪いんだ」間違いなく名言だと思う。 誰にも迷惑を掛けずに自分で自分の機嫌をとれる主人公、カッコイイ。 レイミーが「ミントスプラッシュ!」を連呼してヤツを撃退する場面がすごく好き。スカッとした。 「変容」に出てくる謎の言葉たち。 「パブスピホムパ」「なもむ」と来て「まみまぬんでら」には声を出して笑った。
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小3の頃流行っていたアニメキャラクターの魔法少女。36歳の今でも心の中でそのキャラクターになって嫌な事から逃れている。そんなOLの日常を描いた作品わ含む短編集。 どの作品もちょっと不思議な世界観。「怒り」の感情を感じない世代の話しが暗示的で面白かった。
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2024.5.17読了 村田沙耶香さん初めて読んだ 常識を疑う発想がすごい。変容の最後は電車で笑ってしまうくらいにおもしろかった!
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『殺人出産』を読んで作者が書く独特の世界観に魅了されて本作も読んだがやはり一筋縄ではいかないような短編集だった。子供の頃に憧れた魔法少女の感覚を36歳になった現在でも持ち続ける『丸の内魔法少女ミラクリーナ』、小学生の頃の初恋の正体を確かめるためにその相手を監禁する『秘密の花園』...
『殺人出産』を読んで作者が書く独特の世界観に魅了されて本作も読んだがやはり一筋縄ではいかないような短編集だった。子供の頃に憧れた魔法少女の感覚を36歳になった現在でも持ち続ける『丸の内魔法少女ミラクリーナ』、小学生の頃の初恋の正体を確かめるためにその相手を監禁する『秘密の花園』、性別が禁止された学校での恋物語を描いた『無性教室』、怒りを持たないのが当たり前で「性格は流行と一緒で変わるもの」という感覚が一般的になった『変容』の四編あったが、どの作品も「何か特別な出来事や事件が起こるわけではないが、どう考えてもありふれた日常とはいえない世界観」が表現されていて面白かった。
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------------------------- 常識が崩壊する痛快さ、 やりすごしていた痛みに気づく恐怖。 やっぱり村田沙耶香はすごい!! ------------------------- チャプターズ書店の森本萌乃さんが絶賛していて、 気になっていた一冊です。 村田さん...
------------------------- 常識が崩壊する痛快さ、 やりすごしていた痛みに気づく恐怖。 やっぱり村田沙耶香はすごい!! ------------------------- チャプターズ書店の森本萌乃さんが絶賛していて、 気になっていた一冊です。 村田さんは「コンビニ人間」以来でしたが… え、なにこれ、面白い…!という驚きと喜びが。苦笑 36歳、茅ヶ崎リナは ストレスや理不尽に対して、 魔法のコンパクトでミラクリーナに変身して 日々を乗り切る「魔法少女ミラクリーナ」 小学校の頃から好きだった早川君を監禁した、 自分自身の好きを確かめ決別する「秘密の花園」 性別が禁止された学校で恋に落ちた「無性教室」 怒りを忘れてしまった若者たちに違和感を持つ「変容」 4篇の短編集ですが、 個人的に好きだったのは「魔法少女ミラクリーナ」と「無性教室」です。 ミラクリーナは思わず笑ってしまうような場面もあるけど、 自分に何か設定や役割を与えないと乗り切れない日常もわかるし、 モラハラ彼氏から親友を守ろうとした結果も、 笑えるけれど泣けるし、ちょっと元気が出ました。 総じて好きです。笑 無性教室は、最近読んだ作品のなかで 一番ドキドキしたし30代後半なのにときめきました。笑 こんなに緊張する描写あるのか、と。 本作は自分だけでは手に取らなかったと思うので、 ネットに感謝です。 村田さんの他の作品も読んでみたいと思いました。 積読が山盛りです。苦笑
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全話強烈。 丸の内魔法少女ミラクリーナ 魔法少女に憧れた経験のある疲れた社会人向け。刺さった。 秘密の花園 こわい。なんで初恋を殺す必要があるんだ…… 無性教室 性をなくすと同性愛も異性愛も気にならなくなるのかな 変容 時代に置いていかれる恐怖レベル100 視点が動いて恐怖が伝...
全話強烈。 丸の内魔法少女ミラクリーナ 魔法少女に憧れた経験のある疲れた社会人向け。刺さった。 秘密の花園 こわい。なんで初恋を殺す必要があるんだ…… 無性教室 性をなくすと同性愛も異性愛も気にならなくなるのかな 変容 時代に置いていかれる恐怖レベル100 視点が動いて恐怖が伝播するのがうまい……
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この人の小説の姿勢は常に「何度も『普通』を疑い続ける」ということなんだろう。 「『常識』を疑う」ことは、大学の初年度で教わった。小中高の、「『正解』に向かって正しい過程で『常識』を導く営み」から脱せないことには、世の中では全く生きていけない。 大人になっても、世間の『常識』『...
この人の小説の姿勢は常に「何度も『普通』を疑い続ける」ということなんだろう。 「『常識』を疑う」ことは、大学の初年度で教わった。小中高の、「『正解』に向かって正しい過程で『常識』を導く営み」から脱せないことには、世の中では全く生きていけない。 大人になっても、世間の『常識』『正解』から脱し切れていない自分への処方箋が正に、村田沙耶香なのかもしれない。解説の「この小説とならやっていける、と強く感じる。」に深く共鳴する。 個人的には『秘密の花園』が堪らなくなもむ。まみまぬんでらしてないのは、自分自身がその域まで作品を理解し切れているのか疑わしいから。
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毎回不思議な感性に驚かされる作家 性を題材にするとピカイチ 当たり前に疑問を投げかけたフィクション短編 「地球星人」を超える物語を期待したが、今作はなかったかな やはりクレイジー 琴線メモ ■今年で36歳になる私は、魔法少女を始めて27年目に突入 ■大人になるということは、正...
毎回不思議な感性に驚かされる作家 性を題材にするとピカイチ 当たり前に疑問を投げかけたフィクション短編 「地球星人」を超える物語を期待したが、今作はなかったかな やはりクレイジー 琴線メモ ■今年で36歳になる私は、魔法少女を始めて27年目に突入 ■大人になるということは、正義なんてどこにもないと気付いていくことなのかもしれない。 ■パブリック・ネクスト・スピリット・プライオリティ・ホームパーティー ■なもむ ■解き明かしたい謎にどんな専門的な名前がついているかさだかではないとき、あるいはなにかを解き明かしたいのになにを解き明かしたいのか見当もつかないとき、やみくもに伸ばした手がつかむのは小説だったりするのではないだろうか。
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