スター の商品レビュー
尚吾と紘は学生時代撮影した「身体」という映像作品が賞を受賞した後の物語。 尚吾は有名監督のもとに弟子入りし映画やCM撮影に携わる。 紘はYouTube動画の撮影・編集に携わる。 昔は映像作品には品質の高さに対しにお金が支払われていたが、動画配信系サービス(NetflixやYouT...
尚吾と紘は学生時代撮影した「身体」という映像作品が賞を受賞した後の物語。 尚吾は有名監督のもとに弟子入りし映画やCM撮影に携わる。 紘はYouTube動画の撮影・編集に携わる。 昔は映像作品には品質の高さに対しにお金が支払われていたが、動画配信系サービス(NetflixやYouTube)の台頭により、映画館だけでは収益が得られなかったり、品質よりも手軽さや被写体の知名度が求められるようになったりと品質を追求したい2人は苦悩を抱えながら映像作品を作成する様子が描かれる。 問いよりも答えを求めている人が多い時代では2人の品質を求める作品は昔よりも窮屈になっている。 昔と現代を比較しながら楽しむ作品だと思うが、現代しか知らない私にとっては少しピンとこなかった。 もう少し年齢層の高い人の方が向いているのかもしれないと思った。
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読ませる内容だった。 文章を少なく、もう少し行間で考えさせてほしかった。 心は人それぞれにある みんなが自由に主張できる世の中になり全ての心に応えることができなくなっている 流動的ではあるが自分の心をその時、その時で確立し表現していくことが大切
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朝井リョウの「死にがいを求めて生きているの」「正欲」を読み、この作品も読みたいと思った。 この著者の作品は読むのには体力が必要だが、読み終わった後には少し成長した自分と出会える事が嬉しい。 何故こんなにも体力が必要なのかと疑問に思っていたが、この作品の中で答えが見つかった。それは「問い」を読者に与え、考えさせてくれるからだろう。 p374〜千紗が星について語る部分が面白いなと思った。タイトルの「スター」と惑星の「星」どちらも正しい形が無くなってきている中で、自分なりのスター(価値観)を持つ事が大事だと私なりに解釈した。 20歳でこの作品に出会えた事に感謝!!
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問いを与えてくれる一冊。毎日SNSで見かける「フォロワーが増える方法」や「収益が上がる方法」を発信する人が「先生」と呼ばれる時代に刺さる言葉がたくさんあって考えさせられました。「答えではなく問いをくれる作品だから好き」というフレーズが印象的でした。そして、朝井さんは問いをくれるタ...
問いを与えてくれる一冊。毎日SNSで見かける「フォロワーが増える方法」や「収益が上がる方法」を発信する人が「先生」と呼ばれる時代に刺さる言葉がたくさんあって考えさせられました。「答えではなく問いをくれる作品だから好き」というフレーズが印象的でした。そして、朝井さんは問いをくれるタイプの作り手だなと思いました。個人的な希望ですが、朝井さんは自分がしているコトの良いところを言えるように作品を発信していてほしいと思わされました。 ●「スター」というタイトルが下手なようなうまいような タイトルをみてどう思いますか?『「ある「スター」の一生?』とか、「国民的スターを発掘する話?」なんて妄想しませんでしたか?(わたしです) 実際は、「スター」という概念は価値観が多様化した時代には、もういない。それなのにその分野のインフルエンサーは「スター」な気持ちになったり、作った動画がバズったら、素人が急に「スター」扱いされたりする。しかも短期間だけ。 その一方で、映画界の「スター」だった監督や「スター」だった料理人は、時代に乗れず、信念を曲げてしまう。「スター」監督たちの描写は多くないのですが、彼らも色々悩んでいただろうな、その上でのラストシーンだろうと思いました。つまり、「スター」がメインの話ではなく「スター」とは?「スター」な作り手とは?という点に焦点が合っています。それは朝井さん自身が「作り手」だからかなと思いました。 ●コンテンツ作りの色々がわかる その人のセンスだけで成り立つビジネスってあんまりない。こんな雰囲気で動画や映画って作られていくんだな・・わたしは作家の情報収集を過信しているので、そう思わされました。動画はセンスだけでなく、時代の流れや視聴者に合わせた作品が必要のようです。それだけに、センスのままに作った二人の映画「身体」、尚吾のみずたまりの表現や紘の映画はとても印象的でした。でも、センスある映画作品より、バズった動画のほうが評価が高かったり、評価されてもその話題はすぐ違うものに変わっていくところが、あぁ今っぽいと思わされました。 ●國立彩映子?それってあの人の名前に似てる 読んで勝手にピンと来ました。アンジュルムの上國料萌衣ちゃんをイメージされてないですか?笑 (※朝井さんはハロプロの大ファン)本書の刊行時の2020年にはそこまでCMには出ていなかったと思いますが、今やヒルナンデスやラヴィットの3ヶ月レギュラーになったりとめちゃくちゃ活躍しているんです。さすがの目利きと勝手に思いました。 ●正欲もyoutubeがキーワード。 書に比べると後味が悪いかもしれないですが、同時期に出されたこちらは、本考えさせられる一冊です。(感想書いてます!) https://booklog.jp/users/rocobooks/archives/1/4103330635
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この時代にクリエイターを目指す事で生まれる矛盾や葛藤を通して、 私たちがエンタメを摂取する事、考える事、その姿勢についても問われるような作品 みんな違ってみんな良い、と言うは易しだけど、あらゆる場面に於いてそう思い続けるのは難しく 比べられないものを比べてしまう気持ちは痛いほど分...
この時代にクリエイターを目指す事で生まれる矛盾や葛藤を通して、 私たちがエンタメを摂取する事、考える事、その姿勢についても問われるような作品 みんな違ってみんな良い、と言うは易しだけど、あらゆる場面に於いてそう思い続けるのは難しく 比べられないものを比べてしまう気持ちは痛いほど分かる 心の話、過ぎる物の話、現代におけるスターの話、収益の話、中身と状態の話など… 色んな角度から目線からそうだよなぁと思う話が多く、咀嚼するのに時間がかかるものの 自分のエンタメとの接し方の根底から考えさせられる本でした
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自分が伝えたい物やしたいことと世の中から求められる物事は必ずしもイコールではない。 だから伝えたいことやしたいことをしているだけでは生活が成り立たないし、かといって世の中から求められる物事に全てを振り切ってしまうと自分を否定することになってしまうし。 世の中の評価はそもそも何が軸...
自分が伝えたい物やしたいことと世の中から求められる物事は必ずしもイコールではない。 だから伝えたいことやしたいことをしているだけでは生活が成り立たないし、かといって世の中から求められる物事に全てを振り切ってしまうと自分を否定することになってしまうし。 世の中の評価はそもそも何が軸で行われているのか。 その評価は正しいのか否か。 評価することの善悪という話ではなく、そういう世界であなたは何を感じてどうしていくのかを問われてるような気がする。 作中何度も名言が飛び出す今作。 本当に朝井さんの小説は急に自分自身の浅いところをぶん殴ってくるので大好き。
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伝統的なものと新しいもの。本来、同じ土俵で比べるべきではないけれど、これまでの人生、そういう状況ってたくさんあったなと。伝統的なものを守りたい、その方が偉いみたいなプライドがあると、新しいものを批判的に見て、悪いところをあれこれ探したりては文句ばかりいう。わかるな~と思いました。...
伝統的なものと新しいもの。本来、同じ土俵で比べるべきではないけれど、これまでの人生、そういう状況ってたくさんあったなと。伝統的なものを守りたい、その方が偉いみたいなプライドがあると、新しいものを批判的に見て、悪いところをあれこれ探したりては文句ばかりいう。わかるな~と思いました。二つを無理やり比べ続けていたら、いつか大事なものを切り捨ててしまう、心に響きました。 また、自分が普段、インスタとかYouTubeを見ているときに感じていたモヤモヤみたいなのを、しっかり言語化してくれていた気がします。発信方法とか内容は多様化しているのに、受信するときに気を付けるべきことは全然学べない。私たちは自覚がないまま、いろんなことに搦めとられている。まさにその通り。ほんと、SNSから大量の情報に右往左往することなく、生きていきたいなと改めて思います。 朝井リョウさんの本は初めてでした。「スター」は、2人の主人公が伝統的なものと新しいものの間で葛藤する姿が描かれています。主人公やその周囲の人物の考えや発言に、共感や気づきみたいなのを感じます。小説だけど、人生の指針になりそうな文章も沢山ありました。私はもう10年以上過ぎてしまいましたが…特に学生さんに読んでほしい!と思いました。
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この方は世の中の流行りを小説に取り入れるのがとっても上手。今回は割と真面目な路線、10年後くらいに読んだらどんな風に思うんだろう。
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大学時代に共同で映画制作を行なっていた尚吾と絋は卒業後同じ映像制作の道に進む。尚吾は憧れの監督の補佐、絋はYouTube制作に従事する。どちらが先に売れるか互いに気にしつつも現場で翻弄され、1年後同じ様な葛藤を抱えて再会する。 主人公2人が物語を通して対照的に描かれており面白い...
大学時代に共同で映画制作を行なっていた尚吾と絋は卒業後同じ映像制作の道に進む。尚吾は憧れの監督の補佐、絋はYouTube制作に従事する。どちらが先に売れるか互いに気にしつつも現場で翻弄され、1年後同じ様な葛藤を抱えて再会する。 主人公2人が物語を通して対照的に描かれており面白い。両者の考え方や物事の捉え方が真逆であるのにどちらにも感情移入してしまう。 何に価値があって、何が良くて、何がすごいのか。それらを決めるのは知名度なのか、再生回数なのか、肩書きなのか、金額なのか。ものすごく考えさせられる。 あらゆるものが数値化され可視化された弊害は、自分の中の判断基準を揺らがせてしまうことかもしれない。 特筆したいのは尚吾の彼女である千紗だ。彼女は憧れのシェフのもとで修行する身であったが、突如シェフが他店に引き抜かれ新しいシェフに翻弄される。千紗は自分が"本物"の料理を学びそして作っている自負があり、本物でない料理が持て囃されることに憤りを感じている。 ここで『THE MENU』という映画を紹介したい。世界一有名なレストランを訪れる客は各々ある種の食の冒涜を犯しており、制裁がくわえられるといったストーリー。 この映画との共通点は店側(千紗)が不純な動機で来店する客に絶望している点である。 私自身食への関心が深く美味しさを第一に追求しているため、このように美味しさが二の次になっている(最悪の場合美味しさが度外視されている)状況に不快感を覚えた。 今日"特別感"に価値を感じ対価を支払う現象は往々にして起きていると感じる。それはSNSの発展やスマホの普及に伴い広まり続けている。もちろんそれが悪いわけではないが、幸せそうに見えないのは私の性格が捻くれすぎているだけなのだろうか。
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自分が完全に古いタイプの人間だなと確信できた。この先、SNS、動画配信界隈はどこに向かって行くのだろう。再生回数と「イイネ」の数、リツイートの数は評価の指針の一つなのだという議論すら意味がないのかもしれない。
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