ものがわかるということ の商品レビュー
タイトルにある、「ものがわかるということ」が、いったいどういうことなのかわからない、ということがわかります。 というと、謎かけや禅問答のようでピンときませんが、A=Bというような単純な式で表すことができるような簡単な事象はないということ、またそのように単純化できることがらだけに囚...
タイトルにある、「ものがわかるということ」が、いったいどういうことなのかわからない、ということがわかります。 というと、謎かけや禅問答のようでピンときませんが、A=Bというような単純な式で表すことができるような簡単な事象はないということ、またそのように単純化できることがらだけに囚われていると人間が貧相になると筆者が考えている(のだろうとおもわれる)ことはわかる気がします。 筆者が無類の虫好きであることや、自然に触れることの大切さを強調してきたことは周知のことですし、その意義や理由についても紙面が割かれています。 いずれにしても、「頭でわかった気になる」のではなく、「わからなくても当たり前」くらいの心構えを持ちながら、実際に体験すること(まさに「実験」すること)が必要なのだなあ、と改めて感じさせてくれる本です。 筆者の文体は皮肉やユーモアを含みながら読みやすく、この本は「考える」ことについてのエッセイではありますが、「考えること」や「現代社会」に疲れた人にも優しく寄り添ってくれる本だと思います。
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読み終わった時に、自然の中へ出掛けたいなという気持ちが湧いてきました。 現代がどういった時代なのか、社会なのか、深く頷きながら読みました。 ・情報は変わらない。変化していくのは自分自身。 ・人生は、”ああすれば、こうなる”わけにはいかない ・求められる個性 ・自分は「創る」もの、「探す」ものではない ・正解はないのに、あるという前提に ・通じない事の方が大量に存在している ・SNSに身体、感覚は無い 「同じ」を作り、「違い」は認めない 自然の中で過ごして身体(五感)で感じとることが大切。 1ページづつゆっくりとめくって読みたくなる1冊でした。
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本屋で目が留まって、すぐ読めそうだったので買ってみた。 頭の世界から、身体の世界へ。 自分とは?何がしたいのか?なんて、そんなに重要ではないのかもしれない。そのときそのときの自分が何を感じるのかに任せていればいいのかもしれない。 自分の身体や心の状態を感じる力を磨いていきたいな。 ・世界をわかろうとする努力は大切である。でもわかってしまってはいけないのである。そこの土俵際が難しい。 ・人間はいやおうなく変わっていきます。どう変わるなんてわからない。変われば、大切なものも違ってきます。だから、人生の何割かは空白にして、偶然を受け入れるようにしておかなければなりません。 ・西洋の自己は、そもそも自己は固定していると考えます。変わらない自分を発見することが大切だ。そう思い込んでいるのです。その延長で、個性を伸ばせとか、自分を探せとか言われてしまう。そんな自分なんてあるわけありません。だって探している当の自分がどんどん変わっていくんですから。 ・個性とは、実は身体そのものです。でも普通は、個性は心だと思われています。 ・反復練習がなきゃ、こせいなんてわかりません。他人が真似してできるかもしれないことなんて、個性とは言えませんから。 ・知識も教養も「身につける」ものです。茶道や武道の世界では、型を極めた先に、ようやく個性がわかるようになるのです。考えずに、ひたすら個性を美化するから、何を伸ばしていいかわからなくやる。 ・「やらなきゃいけないこと」が否定的に感じられるとしたら、それも個性尊重のまやかしです。やらなきゃいけないことをやり続けると、型が身につく。何かが身についたら、自分は変わります。そうやって変わる自分を創っていく。 ・全部をわかろうとするから悩んでしまうのであって、大半はわからなくても当然と思えば楽になります。 ・自然がわかる。生物がわかる。その「わかる」の根源は、共鳴だと思います。
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価値観、思考、コミュニケーション、思い込みなどいまの時代に見落としていたことに気づかせてくれた1冊。流石養老先生。いい事いっぱい書いてある。
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田んぼの実りも人を取り巻く空気も、いずれその人の一部になる。環境は自分の外側にあるものではない。だから暮らしには手入れが必要。 仕事をする時も家事をする時も食事やレジャーを楽しむ時も心の底に手入れという気持ちがあるかどうかで小さな判断が変わってきます。 この言葉が自分の中で響...
田んぼの実りも人を取り巻く空気も、いずれその人の一部になる。環境は自分の外側にあるものではない。だから暮らしには手入れが必要。 仕事をする時も家事をする時も食事やレジャーを楽しむ時も心の底に手入れという気持ちがあるかどうかで小さな判断が変わってきます。 この言葉が自分の中で響きました。
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「いまでも虫を相手にしているときが、一番落ち着くのですから、世間からズレていることは間違いありません。」 この言葉に救われました。なるほど、世間からズレても大丈夫そうです。
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3分の2までは社会人生活を送る上で、考え方のベースとなる大切にしたい内容。残りは、養老節が走りすぎてる感。
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「ものがわかるということ」タイトルに釘付けになり、手に取った本。 「哲学」と言う言葉を思う時に、私は何故か養老孟司氏の顔がフッと浮かぶ。 Googleさんが教えてくれる哲学の定義は「人生のあり方、原理を理性によって求めようとする学問。また、経験からつくりあげた人生観。」 ...
「ものがわかるということ」タイトルに釘付けになり、手に取った本。 「哲学」と言う言葉を思う時に、私は何故か養老孟司氏の顔がフッと浮かぶ。 Googleさんが教えてくれる哲学の定義は「人生のあり方、原理を理性によって求めようとする学問。また、経験からつくりあげた人生観。」 冒頭の映画の話は本当によくわかる。同じ映像を2日間で、10回見ろと言われたら、7回目でもう嫌だという気持ちになると書かれている。私の場合、7回まで行けない気がする。毎日、同じ日常と思っているが、本人は変化している例を映画で教えてくれた。 「近代自我」という言葉を初めて聞いた。多くの情報にさらされ、概念だけが生きて呼吸しているだけで刷り込まれていく。 自分の中にアンカーを下ろし続けられるのは、身体が密接に関わって共にあること。 「アイコンタクト」「ボディランゲージ」。言葉以外にも、私達は様々な伝達手段を持つ。だけど、コミュニケーションが格段に進歩しただろうか? 相変わらず、数えきれないほどの本が書店の棚に並ぶ。自分探しの旅を止めようとしない人も続出している。 自分を創り出すのに「哲学」が必要なのかもしれない。人は「思考」し、「思索」するのだから。 それが人間に生まれた醍醐味だと私は思っている。 そして養老氏のメッセージは「あなたの感覚を信じる。あなたが経験の中で自力で掴み取ったものを信じる。」ということかも。
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とても読みやすく、理解しやすい内容ばかりでした。 後半で触れられていた、 「感覚より言葉が優位になる」 の一節が印象的でした。 全体を通して、感覚と意識を対比させて理解していくような流れがあると解釈しました。 物事を理解するにあたって、一つ答えに執着し過ぎず、ネガティブケイ...
とても読みやすく、理解しやすい内容ばかりでした。 後半で触れられていた、 「感覚より言葉が優位になる」 の一節が印象的でした。 全体を通して、感覚と意識を対比させて理解していくような流れがあると解釈しました。 物事を理解するにあたって、一つ答えに執着し過ぎず、ネガティブケイパビリティの精神で何事も取り組む事が大切だと、より感じれた。
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だらだらと書かれているようで、おっこれは大事にしたい、とこころの栞を挟む言葉がひょこっと出てくる 名誉ある経歴を持っている人なのに、全然そんな感じがない 養老孟司 読むタイミングで、掬いとる言葉が変わりそうなのもおもしろい 尾柳佳枝さんの装画もすごくいい
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