1,800円以上の注文で送料無料

「能力」の生きづらさをほぐす の商品レビュー

3.8

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/04/20

「仕事ができる人」と言われている人でも 別の環境に行けば「無能」になることだってある。 となると、「能力」とは本当になんだろう。 自分たちのイメージでしかなくて、具体的な答えはない。 そんなによく分からないことに苦しめられている人が少なからず一定数いて、でも「あの人は仕事がで...

「仕事ができる人」と言われている人でも 別の環境に行けば「無能」になることだってある。 となると、「能力」とは本当になんだろう。 自分たちのイメージでしかなくて、具体的な答えはない。 そんなによく分からないことに苦しめられている人が少なからず一定数いて、でも「あの人は仕事ができない」っていうのは、あたかも事実かのように語られている。 しかし、それが事実とは限らない。 社会人として働いている身としては、能力がないなんてことは誰にも起こり得ない。 その人の力、良さをいかに発揮させてあげられる場所にするかが、一緒に働いている人の役目なのではないかと感じた。

Posted byブクログ

2024/03/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

教育社会学を学び能力主義の問題点に気づいていながら人材開発業界という労働者を苦しめる側に回った作者が、15年後あの世から能力主義に苦しむ我が子らを助ける為に戻ってきてお喋りする、という物語…という体の奇書だった。 企業に都合の良い人材を集める為に抽象度の高い能力があれこれ労働者に求められる一方、それを受け入れる土壌が学校道徳の「本当の私」教育で培われているのでは、という話はちょっと面白い。 我々は人材開発業界とメンタルヘルス業界に搾取されているが、前者はともかく後者からは己の気の持ちようで毟られなくなるぞ、というのはさ、それしか言えないのは分かるけど良くない。評価される能力に性格まで含んでるんだもんな、酷い世の中だよ、全く。

Posted byブクログ

2024/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

友人が薦めてくれた一冊。 (こういうタイトルの本は自分じゃ絶対手に取らなかった笑) 「「能力」は環境次第でいくらでも移ろうもの。」(36頁) ということを、対話形式の平易な文章で語っていた。 主張には基本的に賛同、けど本としてはちょっと物足りなかったなという感じ。(ただ、ガン闘病と並行して執筆されていたため、上梓されただけで尊敬ものではある。) たぶん、この本の主張をはじめからある程度内在化できていたのは、この本にも出てくるサンデルによる「実力も運のうち」という事実を、壁に貼って毎日確認しているからだと思う。 最終的にあまり明確な答えはくれなくてモヤっとしなくもないが、結論を断言してくるものを疑えというスタンスなので、ある意味ではしっかりその姿勢を貫いている。 とりあえず、教育関係者/人事関係者ないしは管理職の人は一読しておくべきだと思う。(というか弊省の人事と管理職全員に読ませたい笑) そして、人生で大きな挫折を味わってない人もあえて読むべきかも。何故かはあえて言いません。ただそういう人が読んだら、アイデンティティ・クライシスに陥るかもしれない。けど、この本の主張を頑なに受け入れない自分がいるとしたら、それは注意した方が良い気がする。 ただ、この本のちょっとだけ気になったところは、教育関係者にちょっと厳しいのではと感じたところ。 私自身は結局教育の道には行かなかったけど、学生時代に教育をかじってた身(教員免許持ち/元部活動コーチ)としては、モヤっとしたところがいくつかあるのは正直なところ。 まとめると、内容的に濃いわけではないから万人には薦めないけど、この本の主張を分かっておくべき立場の人には読んでいただきたい、「能力」という概念の取扱注意書的な一冊。 (ちなみに、具体例でSFCとか外交官とか出てきたあたりはドキッとしました。笑)

Posted byブクログ

2024/02/23

能力に関して、学生時代の学力だけでなく、その先の人材開発の領域までつなげて、何が問題か、を切り込んでいる。コンピテンシーや適性検査、能力開発や組織開発、メンタルヘルスの進化過程とそのからくりが詳しい。一定の正しさの基準は社会にとって必要だとは思うが、それを絶対視せず、自分の人生を...

能力に関して、学生時代の学力だけでなく、その先の人材開発の領域までつなげて、何が問題か、を切り込んでいる。コンピテンシーや適性検査、能力開発や組織開発、メンタルヘルスの進化過程とそのからくりが詳しい。一定の正しさの基準は社会にとって必要だとは思うが、それを絶対視せず、自分の人生をどう生きるか、意味を見出すか、は実践の難しい問い。それを安易に社会が決める客観的な基準に無批判的に従うのではなく、自分で考え続けること、くらいができることか

Posted byブクログ

2023/12/09

確かに。 仕事とはそもそも相手のニーズに応えて対価を得ることだから、相手によってニーズが変わる時点で必要になる能力も一定ではない。だから能力は相手との関係性によって、発揮される場合もあるしその逆もある。 能力に自信が持てなくて弱っている時は、自分の能力が発揮できるように周囲が変化...

確かに。 仕事とはそもそも相手のニーズに応えて対価を得ることだから、相手によってニーズが変わる時点で必要になる能力も一定ではない。だから能力は相手との関係性によって、発揮される場合もあるしその逆もある。 能力に自信が持てなくて弱っている時は、自分の能力が発揮できるように周囲が変化するか、所属自体を変えることで解決しうる。その人一人で対応しきれることでもないから、周囲とか上の立場の人のサポートがいる。 確かにそうだよなと思った。 そこまで納得した上で、あえて、身につけておいた方がいい能力を考えると、たくさんの種類の能力をニーズに応じて使いわけられる能力、と、今どの能力を使えばいいかわかる能力、つまり相手のニーズを理解する能力かな、と思った。引き出しの多さと適応力みたいなイメージ。 自分の能力がどんなことなのか自覚できていることも、簡単ではないだろうけど大事だなと思った。だから自分のことと世の中のことを知る作業の往復は大事だなとと思った。 著者がいつまでも元気で、親子がながく幸せに暮らせることを心から願います。

Posted byブクログ

2023/11/13

独身未婚中年男性の自分が読んでみました。 自分自身にとっての新知見は特になかったのですが、自分が思っていたことを学問的裏付けしてくれていた感じでした。ただ、学問的に裏付けると、なんか難しくなっちゃうってのは、どの学問もそうなんですかね・・・。現実は結構シンプルだと思うんですけど...

独身未婚中年男性の自分が読んでみました。 自分自身にとっての新知見は特になかったのですが、自分が思っていたことを学問的裏付けしてくれていた感じでした。ただ、学問的に裏付けると、なんか難しくなっちゃうってのは、どの学問もそうなんですかね・・・。現実は結構シンプルだと思うんですけどね。 自分は勅使川原さんよりちょっと上の就職氷河期世代だったので就職できなかったんですが、今となってはかえってそれでよかったような気がします。若いときにどこかに正社員で勤めていたら、ひょっとしたら自殺していたような気もします。 残念なことに、自分一人しか養えないぐらいの給料しかもらっていませんし、他人との共同生活が出来るような高度なコミュニケーション能力(それこそ「能力」ですね)がなかったので、結婚・出産できす、社会に貢献できず申し訳なかったのですが、ここへきて自分は生き方が少し楽になりました。 本文中に慶應SFCの話が出ていました。20年ほど前、知り合いにSFC出の人がいて、私としてはその人はすごく優秀だなと思っていたのですが、思い返してみると、その知人にとって日本は生きづらかったような気がします。自分の出た高校はSFCっぽい学校でしたが(偏差値がいいかはわかりませんが)、日本は彼女ら彼ら卒業生の個性を生かせる社会ではなかったかも、という気もしました。 個人的には、高卒で就職してすぐ結婚・出産ができる社会のほうがいいかなと思い始めたのですが、日本はまだそうはならなさそうだし、少子化は続きそうですね。でも、ちょっとずつ社会は変わりつつある気もするので、勅使川原さんのお子さん世代が大きくなったときに生きやすい日本社会になっているように、私も日々の生活(仕事)で貢献していきたいと思いました。

Posted byブクログ

2023/11/06

めっちゃ良い本。2023年読んだ本のtop3に入る。 やっぱり磯野先生が関わっている本は好きですね、、、!教育社会学に興味を持ちました。

Posted byブクログ

2023/11/04

あらゆる〇〇力が取り沙汰されるこの時代に、接種しておくべき処方箋のような本。 語りのスタイルがまず、よい。 専門家として、息子と娘には話しておきたいことだと思ったのだろうか。 大事な人へのお話を分けて貰えたようで、心地よかった。 バッサリ答えをだす本ではない(むしろバッサリキ...

あらゆる〇〇力が取り沙汰されるこの時代に、接種しておくべき処方箋のような本。 語りのスタイルがまず、よい。 専門家として、息子と娘には話しておきたいことだと思ったのだろうか。 大事な人へのお話を分けて貰えたようで、心地よかった。 バッサリ答えをだす本ではない(むしろバッサリキッパリさせようとした結果、能力主義の風潮で生きづらくなっていると説いている)ので印象には残りづらいかもしれないけど、いい本だとおもう。

Posted byブクログ

2023/11/03

「仕事ができる」「できない」といった一元評価で測れるものではない、という話。そもそも能力という概念は商品として成立してきたという分析が、元人材開発のコンサルである著者から説明されています。「わたし」を「わかりたい」という欲求があり、そこにおいて客観性は必要とされてない、というのは...

「仕事ができる」「できない」といった一元評価で測れるものではない、という話。そもそも能力という概念は商品として成立してきたという分析が、元人材開発のコンサルである著者から説明されています。「わたし」を「わかりたい」という欲求があり、そこにおいて客観性は必要とされてない、というのは、個人的な経験からも納得でした。親子の会話方式のわかりやすさもありつつ、個人的には母が子に教えるという一方通行ではなく、母も対話の中で子から学ぶというのがよかったです。一方で、会社もそこまでバカではないので、能力を評価としている会社だけではなく、成果を評価し、配置換えなど環境整備をしている会社も多々あるとおもいました。能力で決まらない、というなら、じゃあ会社はどうすればいいのか、を(わかりやすい簡単な例だけでなく)深掘りされたいと思いました。とはいえタイトルの「ほぐす」を満たしており、生きづらさを問い直す第一歩になります。

Posted byブクログ

2023/09/19

就活生ら若者は必読ではないかな。システムに食いつぶされないために、この社会を生き延びる言葉を積み重ねよう。本書はそのためのいい武器になる。 社会に出ると、私たちはいつの間にか「○○力」のモノサシにからめとられ、せかされる。でも、能力はニュートラルに存在するわけじゃない。「「能力...

就活生ら若者は必読ではないかな。システムに食いつぶされないために、この社会を生き延びる言葉を積み重ねよう。本書はそのためのいい武器になる。 社会に出ると、私たちはいつの間にか「○○力」のモノサシにからめとられ、せかされる。でも、能力はニュートラルに存在するわけじゃない。「「能力は固定的に存在するわけではなく、関係性次第」(p124)。評価する人、ともに働く人がいてこそ、能力が発揮されたりされなかったりする。 それなのに、個々のその人だけの自己責任視するのはどうだろう。その人のせいにする前に、環境に目を向けたっていいはずだ。実はここには、人材開発とメンタルヘルスの一致団結した「金のなる木」(p206)があるとする本書の指摘はすごい。 働くのが苦しい人、特に若い人たちは、能力を磨く前に、病院に行く前に、まずは本書を手に取ろう。何より、母が語るというこの構成が泣ける。本書で言及される磯野真穂「他者と生きる」も読んでみたい。

Posted byブクログ