踏切の幽霊 の商品レビュー
ホラー小説かと思いきやホラーミステリーだった。 ただのホラーだと真実味が薄れるが、人間味のあるストーリーとかけ合わさると、ホラー要素もなぜか「あり得そう」という気がしてくる。
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タイトルからホラー小説かと思ってましたが、読んでみたらミステリー小説でした。幽霊の出てくる場面もありますが、ほとんどは現実的なミステリーでした。少しずつ謎がとけていく面白さを堪能させて頂きました。捜査をするのは、探偵でも刑事でもなく婦人雑誌の記者。謎がとけていくと、あまりにも悲しい現実にいきつきます。 キンドルになっていなかったので、久しぶりに本屋さんで紙の本を買いました。
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思ってた以上、期待してた以上に読み応えがありました。 元々ブクログで知り いつか読みたいなとチェックしてた作品で 心霊物を読みたいなって軽い気持ちで図書館で本を選んでたら見つけたから借りてきたけど ただの心霊物ではなくミステリ要素もあって 読了後の満足感はしっかりありました。 まさか写真に写った幽霊の身元が判明するなんて… 松田さんに憑いていって 自分で怨み晴らしたんだろうね…。 笑う事を知らない人生……辛いなぁ……。
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下北沢の第三踏切、そこで撮られた髪の長い女の心霊写真、相次ぐ踏切内への立ち入り事故、そして過去にあった踏切付近での殺人事件。女性誌の記者をしている松田は、心霊写真の取材をしているうちに、身元不明として処理された殺人事件の被害者が踏切の幽霊の正体ではないかと突き止める。そしてその女...
下北沢の第三踏切、そこで撮られた髪の長い女の心霊写真、相次ぐ踏切内への立ち入り事故、そして過去にあった踏切付近での殺人事件。女性誌の記者をしている松田は、心霊写真の取材をしているうちに、身元不明として処理された殺人事件の被害者が踏切の幽霊の正体ではないかと突き止める。そしてその女の出自へと迫っていくうちに、闇深い事件の全貌が明らかになっていく。 子供の頃からなんもいいことなくて笑うことも忘れて最後は理不尽に殺されて身元不明として処理されるなんて悲しすぎる。踏切の幽霊と、妻を亡くして厭世的になっている松田の波長が共鳴したのかな。そういえば松田にずっと憑いてきているような描写があったな。でも、この女性からは特別怨嗟みたいなものは感じなくて、なぜこの女性だけがずっと幽霊として現世をさまよっているのかは少し謎だった。この女性が化けて出てくるならもっともっと幽霊に呪い殺される悪人がいてもおかしくないと思った。
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ブクログで見かけて気になっていた作品 『踏切の幽霊』 ●あらすじ 物語の舞台は、東京下北沢の三号踏切 日本最大の繁華街である新宿と、 温泉景勝地の箱根を結ぶ沿線上にある 一見何の変哲もない踏切だが、 この一年、線路への立入事故が増えている。 一方、妻の死後、新聞記者から 女性...
ブクログで見かけて気になっていた作品 『踏切の幽霊』 ●あらすじ 物語の舞台は、東京下北沢の三号踏切 日本最大の繁華街である新宿と、 温泉景勝地の箱根を結ぶ沿線上にある 一見何の変哲もない踏切だが、 この一年、線路への立入事故が増えている。 一方、妻の死後、新聞記者から 女性誌の取材記者となった松田法夫。 妻を一人にし家庭を放り出していた日々に 嫌気がさしての転職だった。 彼は、未だ喪失の痛みと後悔の念に苛まれている。 そんな彼に、この度心霊ネタの 取材依頼が来たのだが・・・ ●感想 とても切なくて哀しい物語だった。 殺人事件の捜査が終わっても 身元不明のままの若い女性の遺体 松田が取材を進めるにあたって 身元は割れたものの、 それは彼女について分かった 単なる情報に過ぎない。 彼女の生きて来た年月、 笑い方を知らない彼女の人生、 彼女の身に何が起こり、 何を思ってどう生きていたのか・・・ 二十四年というその短い人生に思いを巡らすと、あまりに辛くて心が張り裂けそうになった。 そして彼女の傷ついた魂が彷徨う先に、 亡き妻を慈しみ求める松田の魂が鼓動する。 ラストは鎮魂の余韻に包まれながらも、 生者が立ち入られない世界があることを痛切に感じさせられて、それを静かに受け入れることが遺された者の使命なのだと思い知らされた。 高野和明さんは初読みの作家さんだったが、情景描写の描き方がとても繊細で言葉の選び方が潔くその場にいるかの様な空気感や温度感が伝わり、ホラー作品への没入感が高まった。 これは真夏にぴったりの作品! ただし、一人きりで暗がりで読むと、 もれなく背後や、 家具などの物陰や、 クローゼットの隙間なんかが気になりそうだ。 キャーーーッ!!!! 余談だが、表紙の生写真風の幽霊、 こ、怖過ぎません? もしやこの踏切、実在するパターンですか? そして1ページ捲ると・・・ なかなか、うまい対比ですねぇ。 何度もパタパタしちゃいました。笑 夜中に無人の踏切を通る時は、 気をつけないとですね。 未読の方は是非実際にみてお確かめ下さい。
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知る人ぞ知る踏切に出る幽霊の噂を、妻を亡くし人生に疲れた男がオカルト記事の為に調査。ところが思わぬ真相、社会の闇に行き着くことになる。 事件を追う記者のパートと霊障が起こるオカルトパートが無理なく共存している不思議な小説。決して交わることのないあの世が確かにあるような気にさせるラストだった。
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ホラー味をのこしながら人情味のあるストーリーだった。怪奇現象の背景には人間によって仕組まれたものがあるというように収束すると思いきや、科学では解明しつくせない不可思議な現象というものはありうる、という余白を残していた。源氏名が時代を感じさせクスっとしてしまう。追っていた被害者の名...
ホラー味をのこしながら人情味のあるストーリーだった。怪奇現象の背景には人間によって仕組まれたものがあるというように収束すると思いきや、科学では解明しつくせない不可思議な現象というものはありうる、という余白を残していた。源氏名が時代を感じさせクスっとしてしまう。追っていた被害者の名前を主人公が知れても、文章に書かれなかった。読者も気になりながら読み進めると思うが、最後には知らなくていいかも、と納得する。
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13階段、ジェノサイドを読んでずっと読むのを楽しみにしていた高野和明さんの作品! タイトルにある踏切の幽霊を追い、真実が分かってもマスコミには書くことが出来ない儚いストーリー! 読んでいる途中で(他の作品名を出してあれですが…)ノンフィクション作品の「ある行旅死亡人の物語」を思い...
13階段、ジェノサイドを読んでずっと読むのを楽しみにしていた高野和明さんの作品! タイトルにある踏切の幽霊を追い、真実が分かってもマスコミには書くことが出来ない儚いストーリー! 読んでいる途中で(他の作品名を出してあれですが…)ノンフィクション作品の「ある行旅死亡人の物語」を思い出してしまいました。 いずれにしても心に残る作品でした!
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雑誌記者の松田は下北沢の三号踏切で撮影された幽霊の正体が、1993年12月6日午前1時3分に発見された殺人被害者の女性なのでは?と取材を開始。しかし彼女がどこの誰なのかなかなか身元がわからない。 松田の部屋に午前1時3分にかかってくる電話。わずかに聞こえる若い女性の苦悶の呻き声...
雑誌記者の松田は下北沢の三号踏切で撮影された幽霊の正体が、1993年12月6日午前1時3分に発見された殺人被害者の女性なのでは?と取材を開始。しかし彼女がどこの誰なのかなかなか身元がわからない。 松田の部屋に午前1時3分にかかってくる電話。わずかに聞こえる若い女性の苦悶の呻き声。この辺りは読んでいてゾワッなりましたが、彼女が何故殺されなければならなかったのか?そして彼女の半生がわかった時はとても切なくなりました。彼女は何の為に生まれて来たのか…。 妻を亡くした松田だからこそ、死者の気持ちに寄り添えたのではないだろうか。踏切で霊媒師が松田に話した場面…。妻は松田との結婚を後悔なんてしていなかった。この言葉に松田は救われましたね。 高野さんの小説は『13階段』に続いて2冊目ですが、どちらも気持ちを揺さぶられました。また他の小説も読んでみたいと思います。
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非常に合理的な文体で、合理的な人々が非合理な霊の存在と向き合っていく話。文章はとても読みやすく、諸々の描写の背景情報なども「へーそうなんだ。」と思うことが多かった。話の筋は意外性に富んだものではなく、「霊にそんな力あるなら、もっと前にできることあったのでは。」的な思いもある。 が...
非常に合理的な文体で、合理的な人々が非合理な霊の存在と向き合っていく話。文章はとても読みやすく、諸々の描写の背景情報なども「へーそうなんだ。」と思うことが多かった。話の筋は意外性に富んだものではなく、「霊にそんな力あるなら、もっと前にできることあったのでは。」的な思いもある。 が、一番魅力に感じたのは、妻を失った主人公の心理描写だろうか。私も既婚ではあるし、結婚20年以上をへて、一般的な日本の夫婦のような関係に落ち着いている。端的に言うと、ありがたさや感謝よりも、小うるさい、鬱陶しい、と感じることが多い。 とはいえ、不慮の病で1年以内に他界することなどあれば、主人公に近い心理状態になるのではないか。月並みだが、ページを繰る手を止めて、そんなことを噛み締めさせる箇所がいくつかあった。
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