1,800円以上の注文で送料無料

楽園とは探偵の不在なり の商品レビュー

4

41件のお客様レビュー

  1. 5つ

    13

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/07/04

常木王凱が所有している常世島に集まった者たちが、次々に殺され犯人を探し出す探偵 青岸焦の活躍を辿る物語だが、「降臨」という状況下で、のっぺらぼうの顔を持つ天使が舞っているという設定がなされている.この状況下で人は2人目の殺人を犯すと地獄へ落とされることになっている.探偵事務所を運...

常木王凱が所有している常世島に集まった者たちが、次々に殺され犯人を探し出す探偵 青岸焦の活躍を辿る物語だが、「降臨」という状況下で、のっぺらぼうの顔を持つ天使が舞っているという設定がなされている.この状況下で人は2人目の殺人を犯すと地獄へ落とされることになっている.探偵事務所を運営していた青岸は降臨以降仕事がなくなり、島へ招待された.政崎、天澤、争場、報島がおり、料理人の大槻、執事の小間井、メイドの早倉、さらに青岸が乗った船に忍び込んだ伏見、常木の主治医 宇和島が館に居た.まず常木が殺害されストーリーが始まるが、青岸が次第に的を絞り犯人を推定していく過程が楽しめた.探偵事務所時代にいた赤城たちが事故で死んだ事件がベースになっており、伏見の島への潜入もある意味で重要だった.常木の悪行に復讐することをもくろんだ犯人を炙り出す青岸の推理展開が見事だ.面白かった.

Posted byブクログ

2024/05/26

人を2人殺した人間は天使によって地獄に落ちるという特殊設定の元で、天国の存在を確かめに孤島を訪れた探偵が遭遇した「起こるはずのない連続殺人」の謎を解くという趣向のお話。単行本出版当時の各種年間ミステリランキングの上位に入ったようで、確かにこのタイプの作品を好きな人は一定数いそうな...

人を2人殺した人間は天使によって地獄に落ちるという特殊設定の元で、天国の存在を確かめに孤島を訪れた探偵が遭遇した「起こるはずのない連続殺人」の謎を解くという趣向のお話。単行本出版当時の各種年間ミステリランキングの上位に入ったようで、確かにこのタイプの作品を好きな人は一定数いそうな気はする。 だけど個人的にはいろいろ詰めが甘い印象のほうが残った。例えば悪天候でもないのにすぐ現場に来ようとしない警察の設定ってどうなのだろうか。地獄に落ちたことになった後で現世に戻ってきた人はいないんだから、地獄の存在なんて現世の人間が勝手に想像しているにすぎないのでは?天国の存在確認を主人公の行動指針に据えていることに違和感を覚える。 人が人を殺すとはどういうことなのかという定義付けも曖昧で、あのパターンではどうなるの?っていうようなケースがすぐ思い浮かぶんだけど、さすがにそこは気にしちゃいけないのかな。色々例をあげてたらそれだけで倍ぐらいの長さになりそうだし。 トリックに関しては本格のレベル的にどうなのかよく分からないけど、比較的オーソドックスな部類だろうか。そこまでの驚きは無かった。 たぶん探偵の存在意義を主人公が自問自答するシーンが本作の一番の読みどころで、過去の回想と絡めたエモい感じが出ていてそこは良かったと思う。

Posted byブクログ

2024/05/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文庫化したので速攻で手に入れて読んでみた。 斜線堂有紀さんを読むのはこれで2作目。 2人殺すと“天使”により地獄に堕とされる世界線。 そんな中、孤島で起きるはずのない連続殺人が起きてしまい… あらすじから既に面白いのは確定だなと思っていましたが、やはり面白かった。 2人以上殺せないから良いように感じるが、この仕組みを悪用する奴はいるし、それに巻き込まれる”善人”にやるせなくなってしまいました。 主人公の青岸も、天使により様変わりした世界の黒い部分の犠牲を受けた1人。 バックボーンがしっかり描かれていて、感情移入してしまいました。 ハッピーエンドとは言えないのかもしれないけど、結末がとても好きです。 いろんな意見があるのかも知れませんが、作中で宇和島が言っていたように、青岸の推理はある人を”絶望”から救ったと思います。 絶対に覆せない不条理にも、探偵としての使命を全うする青岸に胸を打たれました。 本格ミステリでありながら、ここまで切なくエモーショナルな気持ちになるのは初めてかもしれません。

Posted byブクログ

2024/03/02

2人以上殺したら天使によって地獄に落とされるという世界観で、連続殺人が発生してしまうという特殊設定ミステリー。 SFのような世界だけど本格ミステリーで面白かった。 途中で挟まれる過去の話もよかったからその頃の事件をもっと知りたい!

Posted byブクログ

2024/02/02

天使が突如現れた世界で(2人殺したら地獄行き、1人はセーフ)連続殺人は存在するか。探偵の葛藤と犯人の意思を感じました。天使が、神がいたら素敵な世界になるかも…と考える事はあったけど…そうでもないみたい。この世は不条理に満ちてる。天使が現れても。

Posted byブクログ

2024/01/11

新しい本格ミステリーだった。 犯人はおおかた察しがついてしまったが、メッセージ性や世界観に引き込まれる作品。 斜線堂先生の作品は文体が読みやすくて好みだ。

Posted byブクログ

2023/11/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

天使と言う存在が出てくる特殊設定の本格ミステリの中でまっすぐに正義を追い求めるキャラクターの葛藤と刹那さがなんとも良い…

Posted byブクログ

2023/11/15

特殊設定ミステリ。映画化された屍人荘の殺人ではゾンビだったが、これは天使のいる世界での殺人事件。こういった現実とは違う世界でのトリックは、作者の力量が試される。本作は まあまあというところか?伏線が多数張られているが、回収方法が私の想定とは違った(ので真犯人も想定とは違った)。 ...

特殊設定ミステリ。映画化された屍人荘の殺人ではゾンビだったが、これは天使のいる世界での殺人事件。こういった現実とは違う世界でのトリックは、作者の力量が試される。本作は まあまあというところか?伏線が多数張られているが、回収方法が私の想定とは違った(ので真犯人も想定とは違った)。 神の試し、神の愛、アノディヌスは 違った使い方もあったのでは? と ぶつぶつ文句が言いたくなったので、星は辛口の3つ。 人を殺しても一人なら地獄に落ちない という設定は まだまだ使えそう。

Posted byブクログ

2023/11/14

『二人殺せば地獄に引きずり込まれる』という制約のある世界観の中で、いかにして連続殺人は行われたのか?という単なる犯人当てミステリでは済まない物語である上に、『天使が裁くのならば探偵は必要なのか?』を始終問われ揺さぶられる感情の熱さと、天使の裁きの抜け穴を探す悪人はのうのうと生き延...

『二人殺せば地獄に引きずり込まれる』という制約のある世界観の中で、いかにして連続殺人は行われたのか?という単なる犯人当てミステリでは済まない物語である上に、『天使が裁くのならば探偵は必要なのか?』を始終問われ揺さぶられる感情の熱さと、天使の裁きの抜け穴を探す悪人はのうのうと生き延び、それを許せない善人の方はあっけなく死んでゆくという冷酷さの両方を浴びせられ、時々手を止めて咀嚼しなければいけないような濃厚な一冊だった。ただ、ラスト、謎はすっかり解き明かされ、前向きな雰囲気で締めてくれたところは美しかった。

Posted byブクログ

2023/10/26

二人以上殺せば天使に地獄へ連れていかれる世界で、連続殺人事件が起こる。常世島にいる人たちが殺されていく。独特なこの世界観が面白い。個人的に青岸が完璧な正義の味方には成りきれないと思っている節があるところが人間らしいなと思う。推理、という面で言えば弱い部分もあるが他の部分が面白くそ...

二人以上殺せば天使に地獄へ連れていかれる世界で、連続殺人事件が起こる。常世島にいる人たちが殺されていく。独特なこの世界観が面白い。個人的に青岸が完璧な正義の味方には成りきれないと思っている節があるところが人間らしいなと思う。推理、という面で言えば弱い部分もあるが他の部分が面白くそこまで気にならなかった。話のテンポも良くて読みやすく、続きが気になってあっという間に読んでしまった作品。ぜひ再読したい!(2023.10.26)

Posted byブクログ