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楽園とは探偵の不在なり の商品レビュー

3.9

43件のお客様レビュー

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2023/01/22
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ミステリだが、SF的な世界観が構築され、その中で登場人物同士の感情が交錯している模様を緻密に描写しており、とても読み応えがあった。

Posted byブクログ

2023/01/07
  • ネタバレ

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設定が面白く、手に取ってすぐ購入。 突如降臨した異形の天使、 2人以上殺すと天使に地獄に引きずり込まれるルール。 ファンタジーもの?と思ったが、天使の存在以外は現実的で、飲み込みやすかった(初めての作家さんで、最初は文体に慣れなかったが)。天使の設定とミステリを掛け合わせたというより、ミステリのために天使の設定を作ったといったほうが正しいんだろうか。 普通のミステリでは不可能なトリックと、制限が面白かった。 探偵事務所メンバーは割と早い段階で予想していたが、話の深みのためとはいえ辛い。文中の『いないからこそ存在が主張される(意訳)』のがまさに、その通りだと思った。 大槻くん(本当犯人じゃなくてよかった…)と宇和島さんと伏見ちゃんとぜひ組んで再建してくれ。そのメンバーで続刊出るか、旧メンバーでスピンオフ出たら読みたい。 しかし作者に取って数が大事な捨て駒とわかってはいても、同じようなオッサンがたくさん出てきて混乱した。探偵事務所はキャラ立ちしてるのにな…まあ捨て駒だしそんなもんか…(笑) あと私の中の脳内の天使のビジュアルがこれで合ってるのか感が否めない。ついでにいうと宇和島先生も最初おじいさんと思っていたけど案外若いのか??わからなくなってきた…年齢を…年齢を提示してくれ…(してたか??いやしてないはず) 映画化されたら探偵事務所の爆破とビデオレターでめちゃくちゃ泣けそう。 あと地獄のシーンで指定がかかりそう。 天使のビジュに子どもが泣きそう。

Posted byブクログ

2023/01/03
  • ネタバレ

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斜線堂有紀さんの作品は相変わらず設定が面白い。 ある時から地上に降臨し、2名以上を殺した人を地獄に落とす「天使」という存在。 天使が降臨してから連続殺人という概念は潰えた。 その代わり、どうせ2人殺せば地獄に行くのであれば大勢巻き込んでやろうという巻き込み自殺や、死刑制度の廃止(執行官が地獄落ちになるため)による暴力行為が増加した。 設定は天使が集う島。 集められたのは天使にゆかりのある人々。 二人以上殺したら地獄落ちになる世界で起きる連続殺人。 天使が罪を罰する世界においての探偵の存在価値。 設定は面白かったし、殺すだけじゃ足りないから地獄に落としてやるという概念も面白かった。 でもちょーーっと謎解きという面では淡白に感じた。

Posted byブクログ

2022/12/29
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2人殺したら地獄に落ちる世界で連続殺人は可能か、という設定から殺人のリレーが行われるのかなぁと予想しながら読んでいたため衝撃の真実というタイプではなかったが、天澤がどのように殺され、なぜ境界線の内側で安全に生きていたはずの争場が地獄に落ちたのか、という最後の辺りは真相が気になって一気に読んでしまった。 特殊設定ミステリとして、どのように連続殺人を行うのかという謎解き要素も面白かったが、天国はあるのか、どうして正しく生きている人間に救いの手は差し伸べられないのか、といった葛藤や信仰の描き方がよかった。 この物語はあとがきにあった「美徳は必ずしも報われるわけではないというものだ——悪い出来事は善人の身にもふりかかる」(『あなたの人生の物語』デッド・チャン著 ハヤカワ文庫SF)という引用に全てが集約されている。天使は気まぐれで行動に意味はなく、善悪などない。ただルールに則り行動する。そしてそのルールは決して善人を救うためのものではない。境界線は争いを減らすが、一方で境界線を超えたものには何をしてもよいという消極的で暴力的なルールを生んだ、という言葉は現実にも当てはまるだろう。 また探偵の役割にも重点が置かれている。元々探偵に人を裁く権利はない。そしてこの世界では2人以上殺したら天使により地獄に送られるため1人殺した後の人間は基本2人目を殺すことはしない。つまり殺人犯を捕まえても新たな事件を防ぐことにはならない。しかもこのルールは裏を返せば神は1人殺すことを許容しているとも考えられる。そんな世界で犯人を見つけるだけの探偵は一体何の意味があるのか。そこに繰り返し登場する正義と探偵に救われた人間。彼らは殺人犯を突き止めることに意味がなくなった世界で探偵が明らかにした事実は誰かを救ったのだと言う。多くのミステリの場合隠された真実を暴くことは幸せだけを運んではこないし、この作品でもそうであったが、それでも探偵の存在意義とは正義の味方であることだとするのは、新しい探偵の在り方だと思った。

Posted byブクログ

2022/12/21

特殊設定ミステリーをなるものを初めて読みましたが、すんなりと世界に入っていけたのは分かりやすく描写されてたためと思います。犯人に意外性はあまり感じませんでしたが面白かったです。 この世界なりのミステリーをまだ何作か読んでみたいと思いました。

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2022/12/17

人を2人以上殺したものは天使に地獄に引きずり込まれる世界。天使の集まる島「常世島」にやってきた探偵青岸焦が出会う連続殺人事件。なぜ犯人は地獄に引きずりこまれずに殺人を犯せたのか… 特殊設定がすごく物語の雰囲気を作っていて良かった。「あ、それならOKなのね」とトリック分かってから...

人を2人以上殺したものは天使に地獄に引きずり込まれる世界。天使の集まる島「常世島」にやってきた探偵青岸焦が出会う連続殺人事件。なぜ犯人は地獄に引きずりこまれずに殺人を犯せたのか… 特殊設定がすごく物語の雰囲気を作っていて良かった。「あ、それならOKなのね」とトリック分かってから理解できた感じだったけど。 終わり方もいい。

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2022/12/16
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クローズドサークルに連続殺人が不可の条件。 天使自体をそれだけに使うんじゃなくて、トリックにも使うのが面白い。 読者にも解決できるようにちゃんと証拠も端々に記されていてとてもフェアな推理物だった。 私はどちらかと言えば八百万の神やお天道様をなんとなく信じてる位のうっすい信仰心しか持ち合わせていないけれど、この世界のような絶対的な存在が降ってきた時、どうするのだろうと考えてしまった。 2人以上殺した時しか発現しない天使の力をどう捉えたらいいんだろう。 ファンタジー設定だけど、推理物としてはロジカルでしっかりミステリーとして楽しめる。その設定故に天国やら神様やらを考えることにもなり何重にも楽しめた。 皆で神や天使に祈っても、ラストで犯人が救われないところがなんともいえない感情になる。

Posted byブクログ

2022/12/12

天使降臨後の世界、二人以上殺した人間は天使によって地獄へと引きずり込まれる…って世界観やら主人公に訪れた"祝福"やら、とにかくこれはどう活かされていくんだ! って設定が盛りだくさんで、先が気になって読み進めている内に…もう残りこのページ数なの? どうすんの? ...

天使降臨後の世界、二人以上殺した人間は天使によって地獄へと引きずり込まれる…って世界観やら主人公に訪れた"祝福"やら、とにかくこれはどう活かされていくんだ! って設定が盛りだくさんで、先が気になって読み進めている内に…もう残りこのページ数なの? どうすんの? …どうってことなかったよ! っていう感じでした。 肝心の連続殺人の部分も、どこかで読んだことあるな…ってものの積み重ねで、ミステリーとしても特に楽しめなかった。 世界観が良いのと読みやすい文章なので、ミステリーを全く読んだことない人には良いかもしれません。

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2022/12/07
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2人以上殺した者は天使によって地獄へ連れていかれる。 それを目の前で経験した探偵の青岸は、天国とは何かということを考え続けている。 そんな時に天使マニアの常木に彼の所有する島へと招待された青岸。そこには天国研究家の天澤など天国にはほど多い人物が集められていた。 そこで始まる連続殺人。2人殺したら天使に地獄へ落とされるはずなのに、どうして連続殺人が起っているのか? 青岸は調査をすることになる。 まず、天使がとっても不気味ですね。そして、理不尽。 あまり、その辺のことを語ると問題があるので、一旦、横へ置かせていただきます。 個人的に今年はミステリが豊作だったので、うれしいです。こちらの作品も楽しませていただきました。 どんな状況でもミステリはありうるんだなぁ、この設定で作りあげた世界感は感動でした。

Posted byブクログ

2022/12/04

2人以上を殺したものは、”天使”によって即座に地獄に引きずり込まれるようになった世界での話。 過去の出来事によって失意に沈む探偵の青岸は、「天国が存在するか知りたくはないか」という大富豪の誘いにより、天使が集まる常世島を訪れる。 そこで青岸が遭遇したのは、起こるはずのない連続殺人...

2人以上を殺したものは、”天使”によって即座に地獄に引きずり込まれるようになった世界での話。 過去の出来事によって失意に沈む探偵の青岸は、「天国が存在するか知りたくはないか」という大富豪の誘いにより、天使が集まる常世島を訪れる。 そこで青岸が遭遇したのは、起こるはずのない連続殺人事件だった。 人知を超えた存在によって不条理な世界へと作り替えられてしまった世界で起こる、起こるはずのない連続殺人事件を描いた特殊設定ミステリ。 天使という異形の存在が、青岸のバックボーンや「連続殺人事件は起きないはず」という舞台設定だけの為ではないのが嬉しい。 2人以上を殺したものは即座に地獄へ落ちる。という事は、逆説的に一人を殺す行為は神に許されているという事になるのか。地獄が存在するという事は、天国は存在するのか。天国が存在するとするならば、誰も殺さなかった人間は、あるいは一人を殺した人間は天国へ行けるのか。悪を裁く神は、天使は、善人を救ってはくれないのか。 ミステリ的な結末だけではなく、哲学的・宗教的な考えに浸れるところも魅力です。 過去の悲惨な出来事から絶望し、我知らず救いを求め続ける青岸も人間的で良かったです。途中に挟まれる青岸の過去の話が、曇った空の下異形の天使が集まる常世島にいる現在と対照的にキラキラ輝いて希望に満ちていて、それが悲しくも美しい。 惨劇は、どのような善人にも平等に訪れる。現実でも、作中でも。けれど、その善性に救われた人はいて、正義を、善をまた後世に繋いでくれるかもしれない。ささやかだけど、不条理な世界を少しずつ変えていく方法と言えるかもしれません。

Posted byブクログ