1,800円以上の注文で送料無料

楽園とは探偵の不在なり の商品レビュー

3.9

42件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    14

  3. 3つ

    13

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2022/11/30

「特殊設定」ミステリは個人的に好きなタイプなのだなと思います。 一人ではなく二人殺すとというのが、この世界における神の残酷な面だと感じました。 「境界線が出来たことで、互いにそれを守るようになり、争いが減った。その代わり、境界線を踏み越えた人間はどんな目に遭わせてもいいという、...

「特殊設定」ミステリは個人的に好きなタイプなのだなと思います。 一人ではなく二人殺すとというのが、この世界における神の残酷な面だと感じました。 「境界線が出来たことで、互いにそれを守るようになり、争いが減った。その代わり、境界線を踏み越えた人間はどんな目に遭わせてもいいという、消極的で暴力的なルールも出来上がった。」

Posted byブクログ

2022/11/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

天使と不条理と謎と探偵 斜線堂作品をすべて網羅しているわけではないのだけれど、個人的にこの人の作品の印象として「痒いところに手が届かない」という感覚があった。今まで読んだ中だと「詐欺師は天使の顔をして」が一番好みだったのだが、一方ですこしだけ物足りなく、その当時読んだデビュー作や「恋に至る病」にも似た感覚を覚えたので、ひたすら面白そうな設定で魅力的なキャラなのに、ちょっとだけ惜しい人だなぁと思っていたのです(あくまで個人の感想ですが)。 が、今作でその印象は完全に上書きされました。とにかく最初から最後までノンストップでおもしろい! 事前に提示されていた牧師の事件だったりで恐らく知らず他人に手を下させる方法で殺人を犯すのだろうな〜という予想はぼんやりしていたものの、天使の性質を用いたトリックにはやられた〜〜!!と思わずニコニコしてしまいました。個人的に特殊な設定や世界観とミステリーを掛け合わせた作品に関しては、サクラダリセットシリーズの河野裕さんが最高峰だと思っていたのですが、他にも最高の作家さんがいるのはうれしくも恐ろしいですね……斜線堂さんも河野さんも筆が速くてどんどん新作出るんだもの……。 また、エンタメとしてもとても面白い一方で、日本人としてはどうも考える機会の少ない(とは、わたしが不信心だからかも…)神さまについて、よく考えさせられました。神は救いでもあり、拠り所だからこそ時に絶望でもあるし、だけどやるせない怒りや悲しみを遠慮なくぶつけられる存在でもあるのかもなぁ。 それはそれとして、直近で読んだ本が米澤穂信さんの「栞と嘘の季節」だったので、異なる探偵観を味わえたのも楽しかったな。〈小市民〉シリーズとか読んでても思うことなんですが、米澤さんは名探偵を正義とは見ていない(秘密を暴く謎解きに対してマイナスな描き方をしているシーンを度々見るので)気がする一方で、斜線堂さんの今作でははっきりと正義という言葉が何度も使われていることが印象的でした。 これだから読書ってやめられないってばよ…!!

Posted byブクログ