死にがいを求めて生きているの の商品レビュー
「生きがい」私はそんなことを考えて、行動的になったことはない。誰かを助けることでそこで自分の存在価値を見出したこともない。ただ、唯一私の数少ない大切な人たちが悲しむ顔、苦しんでる顔を見たとき、たとえ自分がしんどくても忙しくても、その人の元に行って会いに行って抱きしめてあげたい。そ...
「生きがい」私はそんなことを考えて、行動的になったことはない。誰かを助けることでそこで自分の存在価値を見出したこともない。ただ、唯一私の数少ない大切な人たちが悲しむ顔、苦しんでる顔を見たとき、たとえ自分がしんどくても忙しくても、その人の元に行って会いに行って抱きしめてあげたい。そう考えることはある。 私は、今までたくさん苦労して苦しんできて、その度に誰かに助けて欲しい、そばにいて欲しいと思った。でも誰も振り向いてはくれなかった。それが何よりも悲しかった。だから、私は私が大切な人が苦しんでいるとき、どんなにしんどくても時間がなくてもお金がかかってでも会って、話しを聞いてあげたい。それが私にとっての生きがいなのかもしれない、そう思った。 もう何年か後にこの本を読み直して、生きることについて考えたいと思った。
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朝井リョウ先生の描く文章は正解がなくて、読者に問いかけるような最後が多い。 2人の気持ちに共感しながらも自分はどんな生きがいをもって生きるべきなのかわからなくて考える。 朝井リョウ先生の作品を読むたびに、形成してきたはずのものが全て壊される感覚になる。すごい。
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誰よりも秀でいる人になりたい、のは欲深いのかもしれない。集団に身を寄せたい一心に意味すらわかっていない話の内容に、相槌を打っては自分が一番知っていると豪語したことは(恥ずかしながら)何度もある……。そんな自分のせいで誰かが傷ついていることを知らずにいたのも事実、ほんとに無知だった。ごめんなさい。 (((別の話になってしまうけど、、こんな愚かな悪行といえる所業を繰り返していた私とまだ友人関係でいてくれる友人たちに感謝している。ほんとにありがとう。 脱線した。 誰とも仲良くするのは綺麗事だと言われたことがある。「私は誰からもいい人でいたい」と言っていた知人がいる。小説のストーリーと自分が昔立っていた世界がリンクしてしまって怖くなって、数行読んで閉じてしまうこともあった。 読了できたいま、自分の都合の悪いことはみんな捏造してきたなとか開き直ってる。 海族VS山族の争いの中で、一読者である自分の人生を俯瞰できるとは、【螺旋プロジェクト】、奥深い……。
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平らかに成ると書いて平成。対立を排除してきた時代。ナンバーワンよりオンリーワン。でも、不思議と生きやすくなったわけではない。自分らしさを大切に、という一見優しい価値観だけど、その個性や自分らしさの正体を実は誰も知らないというところに、平成ならではの苦しみ、「見えない対立」の種が眠...
平らかに成ると書いて平成。対立を排除してきた時代。ナンバーワンよりオンリーワン。でも、不思議と生きやすくなったわけではない。自分らしさを大切に、という一見優しい価値観だけど、その個性や自分らしさの正体を実は誰も知らないというところに、平成ならではの苦しみ、「見えない対立」の種が眠っている。と朝井リョウさんが書いていて、なるほど、と思った。 自分らしく、あなたはあなたのままでいい、という言葉に、私はそれほど違和感やプレッシャーを感じないし、これでいいんだ!と自分らしく生きられていると思う。 でも、朝井さんの「正欲」でとても勉強になったように、「死ぬまでの時間に役割が欲しい人」、「死ぬまでの時間を、生きていていい時間にしたい人」、「その時々で立ち向かう相手が欲しい人」がいるんだと分かった。 正解が分かってスッキリ!ということはまったくなくて、解決策も分からない。でも、死にがいを求めて生きている人がいるんだということを知れただけで、読む価値あった。朝井さんの文学は、いつも勉強になるなァ、と感謝している。
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朝井リョウさんの作品を読みたいと思い手に取った1冊。 『生きがい』ではなく『死にがい』。 人のために尽くすことが生きがいですと語る人も実はそんな風に生きている自分としての役割を死ぬまで担う死にがいに置き換えることもできると今回の作品を読んでいて感じました。 生きている、それ...
朝井リョウさんの作品を読みたいと思い手に取った1冊。 『生きがい』ではなく『死にがい』。 人のために尽くすことが生きがいですと語る人も実はそんな風に生きている自分としての役割を死ぬまで担う死にがいに置き換えることもできると今回の作品を読んでいて感じました。 生きている、それだけでいいじゃないかという言葉はとても優しい言葉だなと思います。 ただ、それだけでは満たされない何かを人は、いや、少なくとも自分は抱えています。 満たされない何かが生きがいなのか死にがいなのかは自分でもよく分かりませんが、生きがいも死にがいもなくたって生きていけるという事実は目の前に常にあります。 何かを目指して生きていきたいのか、何かを目指す自分になりたいのかそれは定かではありませんが、生きがいも死にがいも無くたって逞しく生きていってやるわいみたいな強い人に私は憧れます。 自分がそうなりたいかは置いといてですが。 余談ですが、朝井リョウさんの作品は個人的に自分の中にあるものや周りにあるものの感度を引き上げられるような感じがします。 様々な角度から物事を見たり考えたりすることって必要だなと感じたい時に朝井リョウさんの作品はおすすめだなと思います。
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私は大好きですこの作品。 なんでこうも上手に言語化できるんだろう。私が思ってること全部言葉にしてくれたってくらい、今の現状とぴったりでとても沁みた。
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全体としては中編の章がいくつかあり少しづつ繋がっている感じ。いろんな本との同じテーマでつながっているという不思議な構成の作品でした。 それでも部分部分に現れる鋭い表現は美しかったです。
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良いも悪いもすごく刺さった。久しぶりに深く厚みのある本に出会えた。刺激的だった。 なんだろうぜんっっぜん言葉にできない。。 ただただこれを言語化できる作者すごい!!!この本の感想を述べるにはボキャブラリーが全く足りない。だから読んでほしい。!!! 昭和時代の大人にも読んでほしい、...
良いも悪いもすごく刺さった。久しぶりに深く厚みのある本に出会えた。刺激的だった。 なんだろうぜんっっぜん言葉にできない。。 ただただこれを言語化できる作者すごい!!!この本の感想を述べるにはボキャブラリーが全く足りない。だから読んでほしい。!!! 昭和時代の大人にも読んでほしい、平成の令和の学生にも読んでほしい。読む年齢によって捉え方変わってきそうだなぁニヤ 読書感想文の宿題があったら絶対これにしてた
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またまた、嫌なトコを抉られ、暴かれたたような、朝井リョウさんらしい、作品。 本当に、人の心のウチの隅から隅まで、曝け出したいコト、隠しておきたいコト、そうゆう感情の表現がすばらしく、すごいなぁーーーと思う。
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本の終わりにも書かれているが、この物語は人と人との間にある「対立」が中心に据えられていて、それを巡ってどう生きるのか、を2人のメイン人物を中心に対比的に描かれている。 自己顕示欲に取り憑かれ、暴力的なほどに対立にのめり込んでしまう雄介と、対立による人の分断争いを対話によって対処しうまく共生することは出来ないのか?と模索する智也を、いろんな登場人物の視点で描いているので、様々で幅広い人の感情に触れることができるところもまた面白い。 そして、物語を進める中で、基本的には雄介に違和感を感じてしまうものの、雄介の行動の源泉を突き詰めていくとどこか自分もそういうところはないだろうか?と自分を重ねてしまうように思った。そして、それは雄介と対比的に描かれている智也もまた、物語の最後で、自分も雄介に重なるというのが驚きでもあるが、そういう部分は人間である以上自然的なことなのかもしれない、とも思えた。 朝井リョウの作品は、言葉にならない感情が言語化されていて、個人的にもああこの感覚覚えがある、って感じる言葉を山ほど見つけることができる。 生きがいがなくたって、ただ生きることは本当に可能なのか?とか、自分の人生でモチベーションになってた感情ははたして死にがいを求めるものだったのかそれとも生きがいを求めてたのか?とか、いろいろと内省を促進してくれる素晴らしい作品だと思った。
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