死にがいを求めて生きているの の商品レビュー
「死にがいを求めて生きているの」 本を読むとこのタイトルが平成という時代の病理を端的に表していることが実感できる。 対立が排除されてきた平成時代で、対立の内面化により蓄積されたエネルギーがどのように発散されていくのか、そして、その発散の過程での苦しみが痛々しく描かれていて、心を...
「死にがいを求めて生きているの」 本を読むとこのタイトルが平成という時代の病理を端的に表していることが実感できる。 対立が排除されてきた平成時代で、対立の内面化により蓄積されたエネルギーがどのように発散されていくのか、そして、その発散の過程での苦しみが痛々しく描かれていて、心を抉られる。 また、現代で言われることの多くなった「ありのままの自分でいい」という言葉もただ気持ちいい言葉として消費/消化するのではなく一石を投じているところも印象的。No.1ではなく、Only oneになろう__一見、個人主義が加速する現代では気持ちのいい言葉として受け取れるが、そもそも「ありのままの自分」って何だ?を再考する必要がある。 そこで納得感を得られないと、内面化したはずの対立軸が外界にまで伸びていってしまい、結果、歪なOnly one像に振り回されてしまうのではないか。 平成時代を生きた人の漠然と感じる苦しみを鮮やかに描いているので、ぜひ平成を生きた人も、その地続きの時代を生きている令和以降の人にもオススメの作品。
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思っていたほど面白くなかった。 私には少し合わない本でした。 タイトルに釣られすぎたかなと思います。
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☆2.5 海族、山族なんか知ってるなーと思ったら伊坂さんのシーソーモンスターにも出てきてた 〝螺旋プロジェクト〟初めて知った 他の作品も読んでみたい
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朝井さんの小説はいつも読み始めると止まらなくなってしまいます。 多分螺旋プロジェクトを最初から読んだら更に面白いのかもしれないけど、、 登場人物全員の葛藤に共感したり、悲しく思ったり、もっと自分のために素直に生きて欲しい、自分に対してもそう思いました。 平成に学生生活を経験した人...
朝井さんの小説はいつも読み始めると止まらなくなってしまいます。 多分螺旋プロジェクトを最初から読んだら更に面白いのかもしれないけど、、 登場人物全員の葛藤に共感したり、悲しく思ったり、もっと自分のために素直に生きて欲しい、自分に対してもそう思いました。 平成に学生生活を経験した人たちが、今だからこそ共感できる内容だと思います。
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生きる意味は?何の価値を提供できる?て何かと戦いがちな日々だけど、自由気ままに生きていこう〜と思えた。まるっと平成時代を生きてきたからすごい刺さり、色々考えさせられました。
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螺旋プロジェクト3冊目。朝井さん作品は初。 主人公のいる物語というか誰かを通して客観的に語られる1人の人間のことから海族山族の対立を描いているという感じで進んでいく。海族山族の特徴や歴史についてなどは「ウナノハテノガタ」を読んでいるからイメージしやすかったのかもしれない。 内容に...
螺旋プロジェクト3冊目。朝井さん作品は初。 主人公のいる物語というか誰かを通して客観的に語られる1人の人間のことから海族山族の対立を描いているという感じで進んでいく。海族山族の特徴や歴史についてなどは「ウナノハテノガタ」を読んでいるからイメージしやすかったのかもしれない。 内容に関して。 朝井さんと私は10歳差であることから私はギリギリ競争社会での子供時代を送ってきた。確かに今の時代は、順位がつく、勝ち負けが決まる世の中から、順位や勝ち負けよりもそれに至る過程、1人ひとりの個性を重視する世の中に変わっている。実際、子育てをしていて、順位や勝ち負けを決めないことにより、他の部分で他より優っていたい優りたいという感情が加速しているような感じを持っていた。生きがいがなければ自分を保てないという人種の行き着く先について考え、怖くなった。
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め、めっちゃ面白かった… 初めの章で感動して泣いてみたり、途中でこれSF?ってなってみたり、最後まで読むと最初の章も全然意味合いが変わる。 また見返したい作品!
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一本取られました。 物語序盤に出てくる、堀北くんのとある言葉に胸を打たれました。 この先の自分を支えてくれる大切な言葉になる予感がして、メモをしたほどです。 しかし、最終章にて、その言葉に隠された本質的な意味の恐ろしさに触れて、ゾッとしました。 恐ろしさ故に感じることのできたこの...
一本取られました。 物語序盤に出てくる、堀北くんのとある言葉に胸を打たれました。 この先の自分を支えてくれる大切な言葉になる予感がして、メモをしたほどです。 しかし、最終章にて、その言葉に隠された本質的な意味の恐ろしさに触れて、ゾッとしました。 恐ろしさ故に感じることのできたこのなんとも言えない気持ちを、自分なりに少しずつ解釈していきたい。 これこそ、読書が好きな私の、所謂死にがいなのかも。
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死にがいとは一体なんなのかと惹きつけられて読んだが非常に後味が悪い作品だった。散々生きてるうちに無意識に、普段考えもしない問題を突きつけてくる作品だった。言わば生きてるうち誰もが背負う呪いの話だ。 最初は雄介が必要以上に対立を求めて意味のない争いをしたり、ひたすら誰かと比べて競争したりしなければ生きていけない滑稽な人物に見えていたが、最後には全部自分に返ってきた。自分自身雄介を見ていて、非常に哀れで滑稽に見えたが自分と何が違うのだろうか。自分も何かとひたすら対立し、摩擦を得ることでしか生きてはいけてないし、心の底では生きてるだけでいいだなんて思えてない。人の立場やコミュニティ、肌の色で相手のことを色眼鏡をかけず、本質で見ることもできない。けど、全て雄介の全てを肯定することも到底できない。ひたすら対立することでしか生きがいを感じられなくても、対立で相手を下げたり、傷つけたりすることは肯定できないし、立場で相手を理解できないと切り捨て争うのも肯定できない。しかし、これは全部綺麗事なのではないか。そんな、ゴールがない迷路を彷徨ってるような感覚に陥る話だった。ようは正解ないのが正解である。 この呪いは多分一生解けない。どう向き合っていけばいいのだろうと話し合っていくしかない。
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登場人物全員、細かな描写まで全部繋がってるのがすごい 生きがい、何かをしなくては、その気持ちはすごいわかる 不自由ない家庭で育ったからこそ、生まれながらに努力する矛先が決まっている人への羨ましさを感じた時もあった。ずっと何かをした事実が欲しかったところもある 対立とは喧嘩の意味合いを持っていたけど、そうではなく、女特有の〇〇は〇〇が苦手だから〜、とか、そういう本当に無駄な会話も、対立であり生きがいなんだなぁ。 「生きてるだけでいいんだよ」その重くて軽い言葉に、「自分とは必ず何かが違う誰かとここで暮らし対立し、対話する。その繰り返しの先に対立を生む原因の違いこそが実は大きな繋がりをもたらす」という言葉で表されると何か特別な自分になる必要を感じなくなる。 堀北の何かに熱意を注ぐ生きがいが悲劇を産むし、読んでいて狂ってるようにも感じるが、始めに看護師が堀北のそのまっすぐな熱意、絶対という意思に惹かれ勇気をもらっているという前提があるのがおもしろい
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