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死にがいを求めて生きているの 中公文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論新社 |
発売年月日 | 2022/10/21 |
JAN | 9784122072671 |
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商品レビュー
3.9
273件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「ありのままのあなたでいい」「人の目なんて気にしなくていい」「周りと比べる必要ない」 そんなきれいごとがうたわれる世の中でさえ、いやだからこそ、どうしても存在し続ける、人間のドロドロ心理を極限まですくいとった物語。 自分とどんなに無関係な問題であっても、次から次へと手当り次第に、あたかも「昔から弊害を受けてきました」 「問題意識を持っていました」 という体で、熱心に命を注ぎ込もうと躍起になる雄介。 何でそこまで…と傍観者目線で見ていたけれど、詐欺師の家で智也と言い争いをしている場面で、 雄介の切実な思いがひしひしと伝わってきて胸打たれた。 守りたいと思う家族がいる、任されている仕事がある、テストで高い点を取ったら褒めてくれる人がいる、自分に用意されている席がある、「生きていていいんだ」と認めてくれるような足元を固定してくれる何かがないと、やっぱり人は生きていけない。 ありのままでいいんだよと言ってくる人も、そう言えるのは社会的にまともだと評価されるアイデンティティを持っているからこそだ。 雄介の、人間を3種類に分けて話す場面が印象的。 1つ目が、家族や仕事に生きがいを見つけられて、かつ周りからもその努力や労働を認めてもらえるような人。 他者貢献。 自分に対して生きる意味とは何かと問う必要がない、最も生きやすい人。 2つ目が、家族や仕事に満足できずとも、打ち込める趣味や好きなことがある人。 自己実現。 周りの役に立てているのか不安になることもあるが、社会とのつながりを実感できる瞬間もある。 3つ目が、生きがいのない人。 大切にしたいと思える存在もいない、没入できる仕事・趣味もない ただただ自分のためだけに毎日を過ごさなければならない人。 『つらくても愚痴ばっかりでも皆とりあえず働くのは、金や生活のためっていうよりも、三つ目の人間に堕ちたくないからなんだろうなって。 自分のためだけに食べて、うんこして、寝て、自分が自分のためだけに存在し続けるほうが嫌な仕事するより気が狂いそうになること、どこかで気づいてんだろうなって』 自分も学校や本がなかったら、生きる意味をどこに託していたのか、全く予想もできない。 自滅か爆発か、どちらかに手を出さざるを得ない状況にいつ誰がどこで陥るかわからない。 特別付録の著者インタビューで引用されていた受刑者たちのやりとりを読んで、自分も他人事じゃないなと痛感した。 誰かを傷つけるためじゃなく、自分が生きるために、どうにかして社会とのつながりを感じようと犯罪に手を染める人もいる…。
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1分前に読み終わりました。普段他人が考えてることが目に見えないからこそ、自分の中だけで戦ってきた感情を全登場人物が少しずつ代弁してくれているみたいで、すごい共感したり、うまくいきすぎてる人生って誰かの悲鳴の上に成り立ってるのかって思ってしまったり、1日数ページで終わらないと感情の波が大きくなりすぎて、センシティブながら怖くなってしまいました、、 存在価値とか生きがいに対してここまで考えを巡らせないと不都合を感じ続ける時代(平成)に生まれてきてしまったのか私は、、と思ったのも、最後の「お前も、お前にとって不都合なものだらけのこの世界に参加するしか選択肢はないんだよ」って智也が代弁してくれた感じで、結果打ちのめされた本でした。
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人間の内面や社会に対しての解像度が高くてスーっと入ってくる語彙力。心の中でいつしかどこかで感じていたものが、こうもはっきり言語化されると腑に落ちるしかない。この小説は各人物を通して私の生き方を見つけ出すその材料になったと思う。目に見える順位、それは自分を奮起させるストレスだった。大抵の人は一定のストレスがないと怠けてしまうと思っている。ありのまま何もしない人も受け入れられていく中で、なんの物差しもなく目標を立て忍耐強く挑戦し続けるのは難しい。そして何かやらねばという焦燥感だけが募る。そんな多様性の時代ではまた、競うこと時代馬鹿げている、ダサいとされることもある。はっきりと"悔しい"と口に出来ること、競い合う仲間がいること。それは自分のさらなる成長のためにもとても幸運なことかもしれない。目に見えないものにとらわれて攻撃する方向を間違ってしまうのも現代の問題である。ものすごく考えさせられた。
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