名探偵のいけにえ の商品レビュー
ここ2年で読んだミステリーの中で1番ハマった。 解決したかに見えた後の真の解決編150P、2度のどんでん返しのお陰で一気に読めたし、冒頭の事件を思い起こさせるいくつかのシーンは最っっっ高に気持ちよかった! 特にりり子さんは、頭が良いのにちゃんと正義の人で大好きです。 第23回本...
ここ2年で読んだミステリーの中で1番ハマった。 解決したかに見えた後の真の解決編150P、2度のどんでん返しのお陰で一気に読めたし、冒頭の事件を思い起こさせるいくつかのシーンは最っっっ高に気持ちよかった! 特にりり子さんは、頭が良いのにちゃんと正義の人で大好きです。 第23回本格ミステリ大賞 小説部門、2023本格ミステリ・ベスト10国内編1位、このミス2023年2位、ほか受賞。 あらすじは、海外のとある宗教団体へ調査に行ったきり帰ってこない助手を助けに行く探偵の話。 参考になった事件同様、かなり人が死ぬので、苦手な人はご注意を。 まず何より、助手なのに探偵よりも探偵らしい有森りり子さんが格好いい。 頭が良いキャラクターは沢山いるけど、平等に、相手のためにも正しくあろうとする人、注意する時も気遣える人は多くないと思う。 性格に少し難がある方が話は転がせる、読者の共感も引き出せる、そんな楽な道を選ばなかった作者さんに拍手。 信者たちの目には見えている「奇跡」、現実はそれが通用する理由をひねり出してた。 信者当人たちにはプラスに作用した良いことだったけど、マイナスで「奇跡」みたいな事が起こってる人、現実にいるよね。 よく目が合うし俺のことが好きはなず → 告白したけどフられる → 色目使うビッチはコチラから願い下げだ! みたいな、合ってるかな…。 後付けで、自分が納得できる理由を作る人は居る。 自分が途中まで推理してたのは「Qが本当の教祖で、ジムを通じて宗教団体を運営していた」説。 別の漫画で恐縮ですが「一勝千金」の本郷姫奈的な。見事に外れました。 以下、強めのネタバレ注意。 集合体恐怖症(トライポフォビア)や成長障害など、一部のオタク心をくすぐる症状が出てきてニヤニヤしてしまった。 (病気を面白がる意図はありません。念のため。) 正直、大塒の「あんな奴にりり子が負けるなんて」の気持ちは分からない。 ライランド議員たちを襲撃した時点で、横薮さんを殺した108号の被害者数11人と同じくらいになってたんじゃないかな? 集落での被害者4名、議員含めたクルー3名、シスコの記者1名、脱退希望者1名、計9名。 同じくらい、だと「負け」になるからと、自分の信念のためにジムを殺しに行こうとしたりり子さん(大塒視点だけど)、その本人が望んでないのに900人殺す大塒。人として大アウトだけどキャラクターとしてはあり。 とにかく、ここ2年でガッツリ読書してきた中で頭ひとつ飛び抜けて面白かったです。
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現実でもあった、宗教団体で起きた集団自殺事件をモチーフにしたミステリー。実在する事件と名前も変えていないので、好みが分かれるかもしれない。 どうやら、同作者による「名探偵のはらわた」という小説が同じシリーズのようだが、未読でも十分楽しめた。 冒頭から、集団自殺の様子の描写が入り、度肝を抜かれた。 宗教団体の信者たちが自給自足しているコミュニティの実態を調べるために、名探偵含む調査隊が派遣される。 主人公は名探偵の助手役のような探偵で、コミュニティにたどり着いてすぐに友人の一人を失うという、かなり血なまぐさい展開である。 やっとの思いでコミュニティに入り込むも、派遣された調査隊が一人ひとりと亡くなっていく。 そして、ついに頼もしい名探偵も亡くなる。 名探偵ではなく、浮気調査をするタイプの探偵の主人公は、この謎を解けるか?というのが大体のあらすじ。 宗教団体の信者は、洗脳により「自分や他人の(命に関わらない)怪我や病気は目に見えない」という特殊な性質を持つ。車椅子でしか動けない人間でも、自分の足で立って動いていると思い込んでいる。車椅子は単に好きだからいつもそばにいるそうだ。 つまり、信者たちは「信用できない語り手」の集合体なのだ。 主人公は、信者たちの信心をも利用して、「奇跡が存在する場合(病気や怪我が治っている場合)」と、「奇跡が存在しない場合(病気や怪我が治らない場合)」二通りの推理を披露し、信心と保身を天秤にかけ、犯人を追い詰め、ついに名探偵の仇を討つ。 冒頭の、名探偵の自己紹介のための事件が起こる冒頭、コミュニティに入り込んだあと次から次へと殺人事件が起こる中盤、そして矢継ぎ早に推理が繰り出される後半とスピーディに話が展開するので飽きない。
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本作のオチには驚かされました。序盤のセリフやタイトルの伏線回収、何度もあるどんでん返し等ほんとに練られた作品だと思います。 また、宗教を用いたミスリードも面白いなと思います。
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・何重にも推理する展開に作者のこだわりが見えた。 ・実際に起きた事件を題材にしているため、細かな描写がより緊張感をもって読めた。 ・多重解決、特殊設定の面白さに初めて触れる事ができた。
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一応史実を元にした歴史改変ものSFとも呼べるのだろう。さらに、もしも彼らが自分自身をだませるほど認知的不協和を無意識に打ち消していたら、という特殊設定ものでもある。特殊設定の飲み込ませ方の手際がよい。また、多重解決になってもいる。そして、小さな殺人事件の解決を覆うかのように、900人以上が死んだ集団自殺事件の真相が明かされる。美しい構成だ。 伏線の張り方が非常に丁寧で綺麗なのだが、そのせいで先が読めてしまう部分はあった。特に「詐欺師は2択を迫る」という話と、冒頭の教祖の「あの男にはめられたのだ」は嫌でも結びついて終幕を予想させる。予想がついてなお、実際に描かれるとその光景は面白い。「信仰が正しい場合の推理」と「信仰が間違っている場合の推理」と、2つの立場からそれぞれに「筋の通った」推理する。しかし推理をするだけではなく、そのどちらの推理を「正解とするか」という選択を迫る。この過程において、多くのミステリ小説において重要視される「推理の正当性」の基準は放棄され、「いかに効果的に選択を迫ることができるか」といった、推理の行為遂行的側面が重視される。推理の行為遂行性という、その着眼点が取りざたされることはあまりなかったように思うので、驚きと感心があった。 一方でそういった推理の機能的側面が重視されるがために、一つ一つの事件の真相つまり真理的基準ではあまり新鮮味がない。特に、「犯人が主人公側からは子供に見えるが信者側からは大人に見える」ことを利用した一連の推理は、序盤にしっかり布石を置いていたためかなり容易にたどり着けてしまう。「子供には通れる通気口」などがビジュアルとして提示できない以上、必要なフェアプレー精神ではあるのかもしれないが。また、そういった「障害」を扱いトリックとしたこと自体も加害性をおびているものでは当然あって、ただ、今回のものではそういった加害性を受け入れるに値するような驚きや不快感といったフィクション上の魅力はなかったように感じた。
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去年の年末ランキングからピックアップ。一度読んでみたかった著者の作品。それにしても、だいぶ凄まじい描写から幕が開くんだけど、実際、ほぼ”そして誰も~”状態の幕引きだった。びっくり。主役級に思える友人も早々に退場するし、華麗な推理を披露して見せたヒロインも、最後には牙にかけられる。ってその時点で、かなりの犠牲者も出ているし、苦い結末なんだけど、更に後日談として、これまた後味の悪い真相が明かされる。徹底してますな。
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正直いうと自分には合いませんでした。 伏線、どんでん返しとかなり計算されてるのに、感情移入してきたところでどんどん大事な人が死んでいくのが無理でした。 そして、すぐに殺せる状況なのに特殊な状況の殺人が小さく思えてしまって…… 合う人には凄いと思える作品だと思います。
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人民協会の人たちはりり子が名探偵に相応しい死を飾るための生贄だったけど大塒自身は浦野灸が名実ともに名探偵になるための生贄だったんだなぁと、二重の意味で生贄だったのか〜と【名探偵のいけにえ】タイトル通りの作品でした。 名探偵のはらわたにその後の浦野灸が登場するみたいなのでそちらも読みたいと思います。
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とにかく面白かった。あの人民寺院の事件のノンフィクション部分とフィクションがうまく繋がっていてビックリ。後半部分からは畳み掛けるような展開で、読む手を止めることが出来なかった。ハラハラして、次の展開が気になってものすごいスピードで読んでしまったので、次はゆっくり読み直したい。
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実際の事件を元にしたミステリー小説。文字で読んだが故のどんでん返しと納得感。実写化は難しいだろうなと思うトリックだった。 犯人の隠蔽方法などに疑問があったが、それも集団幻影という部分で隠せているので、読み物としてめちゃくちゃ上手だと思った 前半に出て来た日本での事件の伏線回収は途中で気づいたけど、あらゆる伏線を回収していたのも見事で読み応えがあった カルト×ミステリー×探偵 有森りり子の嘘推理、信仰者の推理、があるので推理パートもマージで長かった、挿絵もあるが、情景描写も分かりづらかったから時々読み飛ばしてしまうかと思った(1番最初のページに書かれるイラストをちゃんと見とくべきだった)
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