名探偵のいけにえ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
白井智之作品はこれで3作目。 白井智之先生の世界観が少しマイルドになっていました。 それでも初めての方にはところどころの文章で普通とは違う違和感を感じている方もいたようです。 まさか3回も推理を聞かされる(読まされる)とは思わず、まずそこに驚きました。ただその時点では、あまり高揚感はなかったのが正直なところです。この人が犯人だったのか…!そんな手法を使ったのか…!なんて驚くことが多い自分ですが、Wの正体に途中で気付いてしまったことで半減してしまったのかもしれません。 ただQが日本に来てようやく「あ、浦野灸だ」と気付き、さらにQが大塒の動機に気付いた時に興奮を覚えました。 他の方々の感想では、犯人の動機が理解できない(ここでいう犯人は大塒だけでなくおそらくWも含まれる)というものが散見されましたが、我々が個人的に同期に納得できるかどうかではなく、登場人物の動機に気づけるかどうかを作者は公平に情報を与えて挑戦させたのではないかと感じました。またこれから読み返そうと思いますが、作者は最初から最後まで何度もいろいろなところで登場人物たちが何を大事にしているのか、どういう行動原理なのか情報を出してくれていたはずです。 もちろん自分はいつもの如くそれに気付けないまま読了してしまいましたが、ここまでお膳立てしてくれた白井智之先生には感謝するしかありません。 最高のミステリーをありがとうございました。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
宗教に信仰するものとしない者で変わる推理結果。その推理も二転三転し驚かせれっぱなしで最後は究極の2択で教祖を追い詰めた。その教祖と信者を全て殺す動機が負けず嫌いとはある意味リアルで腑に落ちた。
Posted by
題名の意味が最後にようやくわかる。怪しいカルトの新興宗教の中での事件なので、現実と妄想の区別のつかない中、ついていくのは大変な部分もあった。映像化するとなかなか難しいなあ。信者とそうでない人の見える風景が違うのだから。
Posted by
高評価が多いようなので、読んでみた。 主人公とりり子の掛け合いがメインの推理小説か?と思わせて、全然違った。 密室トリックも納得しづらいものが多く、主人公たちへの感情移入もできず、読んでいてちょっと苦痛だった。 重層的な推理、たくさんの伏線回収などがあるが、自分には面白いとは感じ...
高評価が多いようなので、読んでみた。 主人公とりり子の掛け合いがメインの推理小説か?と思わせて、全然違った。 密室トリックも納得しづらいものが多く、主人公たちへの感情移入もできず、読んでいてちょっと苦痛だった。 重層的な推理、たくさんの伏線回収などがあるが、自分には面白いとは感じることができなかった。残念。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
真相が知りたくて最後まで読んだけど、詭弁に翻弄されているように感じた。 嘘の推理、信仰者の推理、余所者の推理、と長々と引っ張りやがるぜ!と思いながら読んだ。 こちらを最後まで引っ張り続けるだけの筆力はすごい。
Posted by
面白かったけどいろいろと読み疲れる一冊だった。 仕掛けは良かったので何年か時間を置いてからもう一度読んでみよう。
Posted by
2転3転4転くらいして、だいぶ揺さぶられました。 「あれ?主人公ってこんなに頭いいんだっけ?」と思う場面もしばしば。 こういうトリックを書きたいから、今回のような設定にしたかったんだなって思える。 最後はキレイにまとめてきた印象。
Posted by
探偵の大塒(おおとや)は、渡米後に消息を絶った助手の有森りり子を追って、中米ガイアナ共和国に辿り着く。そこには信仰宗教「人民協会」の本拠地「ジョーデンタウン」があり、りり子は調査団の一員としてここに送り込まれていた。教祖ジム•ジョーデンの“奇蹟”を信じる信者達が暮らす「ジョーデン...
探偵の大塒(おおとや)は、渡米後に消息を絶った助手の有森りり子を追って、中米ガイアナ共和国に辿り着く。そこには信仰宗教「人民協会」の本拠地「ジョーデンタウン」があり、りり子は調査団の一員としてここに送り込まれていた。教祖ジム•ジョーデンの“奇蹟”を信じる信者達が暮らす「ジョーデンタウン」で、やがて事件が起きる… 1978年にガイアナ共和国で実際に起きた事件をベースに描かれた本格ミステリ。 本格ミステリの面白さは1.不可解な謎、2.謎解きの論理性、3.結末の意外性 の三つの尺度で私は測る。本書はそれら三拍子がハイレベルで融合した怪作。1は密室や切断死体といった王道の不可解殺人に加え、物語中盤で衝撃的な展開を迎える。2はカルト宗教の奇蹟信仰VS一般社会のロジック対決という多重解決の展開に、脳を震わせる酩酊感を味わえる。そして3。多くは語れないが、序盤から布石を打ちつつ最後の最後でタイトルの意味に慄然とさせるプロットにはただただ脱帽。うん、面白いっ! 著者お得意の?“げぼ”は出てくるものの(笑)、エログロ描写は控えめなので、「エレファントヘッド」を受け付けなかった人にもオススメ。強いて言うなら、登場人物が多い(しかも日本人は難読で、カタカナ名の米人が多い)ので、リーダビリティは高くないのが難点。 某人物の語る“探偵とは”が比喩表現含めて秀逸。 「悪いことには二種類ある。やったらいけないことと、見つかったらいけないことだ。警察はやったらいけないことをしたやつを捕まえる。おれは見つかったらいけないことをしたやつを見つける。警察がやってるのが鬼ごっこなら、おれがやってるのはかくれんぼだ」 週刊文春ミステリーベスト10 2位 このミステリーがすごい! 2位 本格ミステリ・ベスト10 1位 SRの会ミステリーベスト10 1位 ミステリが読みたい! 4位 リアルサウンド認定国内ミステリーベスト10 1位 本格ミステリ大賞受賞(2023年)
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
期待値高めで読んだものの、読むのが辛いタイミングが多くありました。エレファントヘッドといい、あまり得意ではない作家さんなのかもしれません、僕が。 多重解決が好きな方は刺さるかもしれませんが、本当の解決ではないものは粗が目立ち、「これも、本当の解決じゃないからなぁ」という目線になってしまいました。 特殊設定と多重解決が合わさった結果なので、好きな方には刺さると思います。 おそらく他作とつながっているんでしょう、最後の終わり方はおしゃれでした。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
教祖のジム・ジョーデンに管理された、病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ甦る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。調査に赴いたまま戻らない助手の有森りり子を探すため、探偵・大塒宗(オオトヤタカシ)は、教団に乗り込む。無事(……でもなく)、りり子と再会した大塒は、次々と不審な死に遭遇する。 著者の描写が苦手なので、なかなか手に取れなかったのだが、評価が高いのでリタイア覚悟で読み始めた…… ら、今回はそこまで汚い描写がなくて、無事読了。とはいえ、人が死にすぎていて、そこは割り切らないと読めない。 評価されていることに納得。 伏線が生きているし、「奇蹟」の説明もそうきたかと。それなら何でもありだが、カルトとはそういうものと考えることはできる。 著者インタビュー https://book.asahi.com/article/14770207
Posted by