かんむり の商品レビュー
中学3年の時に出会い、一時の別離後に再会し、結婚して一児をもうけ、死が2人を分かつまで添い遂げた光と虎児。決して平坦な道ではなかったが、まずまず幸福な夫婦だったと言えるのではないか。 タイトルの「かんむり」の意味はわかりにくいが、“自分の拠り所とするもの”だろうか。 光はある場面...
中学3年の時に出会い、一時の別離後に再会し、結婚して一児をもうけ、死が2人を分かつまで添い遂げた光と虎児。決して平坦な道ではなかったが、まずまず幸福な夫婦だったと言えるのではないか。 タイトルの「かんむり」の意味はわかりにくいが、“自分の拠り所とするもの”だろうか。 光はある場面での決断を、仕方のないことだと割り切りつつも後悔している。かんむりをつかみそこねたという思いがあるのだろう。 人生において幾度か訪れる好機をものにできなくても、違う形のかんむりは得られるのかもしれない。そんなことを考えながら読了した。
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夫婦生活を通して、性差の溝とか価値観の違いとかいろんな問題提起があって、それらが少しずつフラットになっていく新しい時代の話。 それでも夫婦という深い繋がりはどんな時代でも難しくて最後の最後までもがいて辿り着いた先が美しかった。
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中学校で出会い、結婚し、出産し、死別するまでの男女の夫婦の形を描く。 女性(妻)の視点から語られ、彼女が自らの「かんむり」を見つけるために模索する。でも、その「かんむり」とは何なんだろう?私には彼女が他人ばかりを見て羨み、自分自身を見つめることなく足掻いているように見えた。 一つの夫婦の生き方、それぞれの生き方を垣間見て、私自身が辿ってきた道、これから辿るであろう道について、ふと思いを巡らせた。
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人生をまざまざと見せられた感じがしてすごく嫌だった。今日が残りの人生で一番若い日よ、大事に生きなくちゃです。
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中学三年から始まる、二人の物語。 心と身体が寄り添ったり離れたり、わかったりわからなかったりしながら働き、結婚し、子どもを産み育てていく。 夫婦ってのはお互いに何かを少しずつ削り取り我慢し合って続いていく。当然得るものもある、でも失うものもたくさんあるのだ。その失っていくものを埋めるのは何か。 人は年を取る、社会も変わっていく。そんな中で自分の中の大切なものがすり減っていく、少しずつ無理をしていく。あの時選んだ道と、別の道を思うこともある。選んだ道を誰かのせいにしたいこともある。 何が正解かなんて、わかるはずもない。 自分の中に残っているものが、ずるく醜いものだけかもしれない。それでもそれをぶら下げている身体は自分のものだ。この形のまま生きていくしかないのだ。 夫の身体をなぞる手の、その愛する形の変化。変わっていくものと変わらないもの、それを守るため必死に自分の場所を守って生きていく。その変化そのものを受け入れていく時間の尊さよ。 この手から零れ落ちていくたくさんのものたち、知っていると思っていたその人の、何十年いっしょにいても知らなかったこと、その一つ一つ、それでも分かり合いたいと思う、なぞることでそこに形を見つけるのかもしれない。 私たちはずっと自分だけの「かんむり」を探して生きている。 心を守り、身体を動かす、眼には見えないものを詰め込んだ自分を支えるかんむりを。 彩瀬まるが描く「手」が好きだ。その手のなぞる形を自分も愛せるかもしれないと、そう思うから。
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この性描写いる?って思っちゃう話は すごく多いと思っている それ書かなくても成り立つし 彩りにもなってなくね? って思うことあって それで性描写あるお話は 軒並みそのシーンで冷めるんだが このお話は違うと思った あ、これ、いるやつだわ って納得できた それだけでも高評価 人の人...
この性描写いる?って思っちゃう話は すごく多いと思っている それ書かなくても成り立つし 彩りにもなってなくね? って思うことあって それで性描写あるお話は 軒並みそのシーンで冷めるんだが このお話は違うと思った あ、これ、いるやつだわ って納得できた それだけでも高評価 人の人生、それも割と普通の人生 その悲喜こもごもで いろいろ想いを馳せられる人なら 読んでみてもいいとオモウ 終盤がちょっと上がったり下がったり (気持ち的に) 落ちつかねーなぁと思うけど まぁ実際そんなもんだよなー まだ人生終盤じゃないから想像だけどさー 星は4つ
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家族、夫婦のあり方、そして熟年夫婦の愛をこんなにも考えさせられた物語はかつてあっただろうか?今のご時世に読んでほしい感動作です。
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