かんむり の商品レビュー
虎治と光は元同級生。 この夫婦が、子どもを持ち家族になり、そして時を経て夫婦2人の生活になり、やがて独りになるまでを描いている。 生活環境や育てられ方によって違ってくる2人の子育て論。 虎治がリストラにあい、再就職を繰り返しても それでもなんとか波風立てずにやってき。 こんなはず...
虎治と光は元同級生。 この夫婦が、子どもを持ち家族になり、そして時を経て夫婦2人の生活になり、やがて独りになるまでを描いている。 生活環境や育てられ方によって違ってくる2人の子育て論。 虎治がリストラにあい、再就職を繰り返しても それでもなんとか波風立てずにやってき。 こんなはずではなかったと…どちらも思ったのかもしれない。 何が正解であるのかも曖昧なまま過ごしていく。 うまくいってもいかなくても、愛は素晴らしくて、でもとても難しくて重たい一事業だ。 どのようなかたちであれ、ともかくそれが終わった。始まったものをきちんと終わらせた。 このことばに全てが集約されていた。 しんどいなぁ、と思った。 つつがなく夫婦という関係を維持して家庭生活を送ることは、いろんな意味でしんどい。 逃げ出せば楽になるのかもしれない…が、逃げ出したところで先は見えない。 ぐだぐだ文句を言いながら時に無言で圧をかけながら一緒にいるのかもしれない。 そうやって維持してるのかもしれない。
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登場人物が愛とか家族や繋がりを模索している感じが、今の時代っぽいな、と。 どんな本も、数年後に読み返したら違う感想が生まれるけど、この小説は特に違う感想が生まれそうな気がする。その時に、世の中が今よりちょっとだけでもいい方向に向いていてほしいと思う。
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ひと組の夫婦のお話。 時系列ではないので、話の流れが滞ることも度々あり。 読み始めてからの不穏な流れで、勝手に結末を予想していたけど、良い感じに裏切られて良かった。 自分の選択は間違ってなかったのか、、、自分と向き合うってなかなかしんどい。 新くんの 「俺の好きなものを笑うような...
ひと組の夫婦のお話。 時系列ではないので、話の流れが滞ることも度々あり。 読み始めてからの不穏な流れで、勝手に結末を予想していたけど、良い感じに裏切られて良かった。 自分の選択は間違ってなかったのか、、、自分と向き合うってなかなかしんどい。 新くんの 「俺の好きなものを笑うようなやつと一緒に暮らさないもの」 「ろくに会話も出来ない相手とずっと一緒にいんの?」 このセリフは刺さりますなぁ。 夫の虎治が高校生の時と社会に揉まれた後ではもはや別人格。時間は人を変えるのね。
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初めて読む著者で、そんなに期待せずに読んだが、思わぬ拾い物で面白かった。 夫婦の形は状況に寄って変化して行くのを、年月を経てリアルに描かれている。 仕事、子育て、介護だったり、いろんな状況で、 常に夫婦関係を試されている。 親よりも圧倒的に長く付き合って行く相手だ。 考え方だ...
初めて読む著者で、そんなに期待せずに読んだが、思わぬ拾い物で面白かった。 夫婦の形は状況に寄って変化して行くのを、年月を経てリアルに描かれている。 仕事、子育て、介護だったり、いろんな状況で、 常に夫婦関係を試されている。 親よりも圧倒的に長く付き合って行く相手だ。 考え方だって年齢と共に変わる。 自分も日々考えさせられる事が多い。 もう耐えられないと思う時もあるけど、 こんなにわかり合える人はいない、 と思える時もある。 惰性で続けている自覚もある。 なんだかんだ死ぬまで一緒にいるのだろうな。 一人残された時にどう思うか。 まだ想像できない。
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虎治と光の出会いから別れの話。夫婦ってホントに色んな形、色があるんだな。結局光が家族を養うことになるのに、虎治は今だに昭和の男。これだと今どきの夫婦は成り立たないよね。重いタッチではなかったので読みやすかった。
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同級生夫婦の光と虎治の新婚の20歳代から夫が亡くなった70歳代までの物語。結婚して子供が産まれ、育ち、巣立って行った時、残された夫婦の形。 年代ごとに抱える夫婦の問題は変わっていき、何度ももう終わりだと思いながらも添い遂げ、愛する時間が終わった時、一人残った妻の思いとは。 時系...
同級生夫婦の光と虎治の新婚の20歳代から夫が亡くなった70歳代までの物語。結婚して子供が産まれ、育ち、巣立って行った時、残された夫婦の形。 年代ごとに抱える夫婦の問題は変わっていき、何度ももう終わりだと思いながらも添い遂げ、愛する時間が終わった時、一人残った妻の思いとは。 時系列が急に前後したりして読みにくいなぁと感じた。個人的に光がなかなか好きになれない女性で、なんか、こういう登場人物最近多いな〜って思う。自分ばかり無理しているといつも被害者意識で、うまくいかないのを人のせいにして、文句ばかりで、そのくせそういう自分も嫌で。そういう心の内に感情移入できなければ、延々と読まさせるのは苦痛でしかない。ターゲット世代ではないということかな。
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アパレル勤務の光、夫虎治と出会ったのは中3の時。以降、高校時代や就職してから、子供が産まれてから。時間を行ったり来たりしながら長い結婚生活を描写する。 すごく面白かった。245頁しかないのに中身が詰まってる。子供の教育方針や根本的な考え方の違いに気づいたり、自分の選択に後悔した...
アパレル勤務の光、夫虎治と出会ったのは中3の時。以降、高校時代や就職してから、子供が産まれてから。時間を行ったり来たりしながら長い結婚生活を描写する。 すごく面白かった。245頁しかないのに中身が詰まってる。子供の教育方針や根本的な考え方の違いに気づいたり、自分の選択に後悔したり。リアルな内面描写が突き刺さる傑作
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
題名の「かんむり」とは、水やミルクの雫が水面に垂れた 時に一瞬できる冠状のもの。この書でのそれは自分が人生において「冠」として為したことを指すように思う。 読み始めた時の感想は、夫婦の何気ない日常を妻の視点から見たことを書いているのかな、と思ってあまりページが進まなかった。 しかし、読む進めて行くに従って、夫婦のあり方、子供との関係、子供の育て方、仕事に対する思い、人生について、など多くのことを著していて、当然だが自分との考えや経験・体験、思考などが違う世界を味わうことができた。 また、多くのページが20-30歳台の夫婦生活について書かれているが、最後の30ページくらいからは50歳台、そして70歳台までの話に飛び、最後は夫が死に、息子の新(あらた)が海外で生活して、妻(光)の一人生活になるまでが描かれている。その最後の30ページくらいが自分の将来を考えさせられるものでした。 それから、妻が自分の人生は夫中心に生活が流れていき、自分が生きたい方向には行けずに悩んでいる姿が印象的だった。日本女性の人生の苦悩を表しているように思った。
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夫婦が長く夫婦としてやっていくこと。 世の中の沢山の人がそうしていて簡単そうに思えるけれど、実際は簡単なんてことはない。 やっぱり他人なんだし、理解し合えないことも少なくない。 光と虎治が共に歳を重ねることが美しく思える。光視点ではなく、「70歳の虎治は~」と言うふうに相手の年...
夫婦が長く夫婦としてやっていくこと。 世の中の沢山の人がそうしていて簡単そうに思えるけれど、実際は簡単なんてことはない。 やっぱり他人なんだし、理解し合えないことも少なくない。 光と虎治が共に歳を重ねることが美しく思える。光視点ではなく、「70歳の虎治は~」と言うふうに相手の年齢だけを記し、光も同様に歳を重ねていることを感じさせてくれる著者の演出が特に好きだ。 いくつになっても相手の身体を好きだ、相手を愛しいと思っていたい。
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ままならない日常の輪郭を微細な描写で描き切る。 深く深く知っているはずなのに、分からない。 相手を好いて、同じ道を歩んでいるはずなのにわからないことがたくさん溢れ出していく。 どうしてだろう。 距離が近づけば、近づくほど、遠くなっていくような気がしてしまう。 そんな日常に横たわる...
ままならない日常の輪郭を微細な描写で描き切る。 深く深く知っているはずなのに、分からない。 相手を好いて、同じ道を歩んでいるはずなのにわからないことがたくさん溢れ出していく。 どうしてだろう。 距離が近づけば、近づくほど、遠くなっていくような気がしてしまう。 そんな日常に横たわる物悲しさがここには描かれていた。 最後に行き着いた先で見えたものは何だったのだろう。 1人の女性が自分が自分であることを知り、再び生まれた瞬間だったのかもしれない。 それは鈍くも光輝く素敵なものだなと感じた一作であった。
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