イオカステの揺籃 の商品レビュー
読むのがやめられなかったことで評価4にしたけれど、不快な気分は避けられない。 私もバラの蕾のお茶は苦手。
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人間礼賛の「銀花の蔵」の後は遠田さん、人間のダーク面に焦点当てるようにしてるのか?それにしても登場人物すべて性格破綻者ってどうよ。それも虐待やら親のせいで。不倫オヤジが真っ当に見えるなんて…ちょっと読んでて辛いし「生理的にも受け入れがたい」かな。
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青川英樹32歳は大阪で建築家として活躍しています。 妻の美沙とは結婚したばかりです。 英樹には妹の玲子25歳と、2歳の時に亡くなった弟の和宏がいました。 玲子には同棲中の恋人で鍵屋の完がいます。 父の青川誠一はとても美しくバラ婦人と呼ばれる妻の恭子がいますが、会社の部下の23歳...
青川英樹32歳は大阪で建築家として活躍しています。 妻の美沙とは結婚したばかりです。 英樹には妹の玲子25歳と、2歳の時に亡くなった弟の和宏がいました。 玲子には同棲中の恋人で鍵屋の完がいます。 父の青川誠一はとても美しくバラ婦人と呼ばれる妻の恭子がいますが、会社の部下の23歳年下の悠乃と不倫をしています。 そして美沙が男の子を妊娠して切迫流産の危機に陥ったとき、恭子が度の過ぎた過干渉で、美沙はノイローゼになります。 そのあとは、ひたすら怖い恭子のまだ産まれない初孫の男の子に対する濃厚すぎる溺愛ぶりが描かれ、美沙は離婚を考えます。 バラ婦人のバラの描写も凄いです。 バラのお菓子に、バラのお茶、むせかえるようなバラの香り。バラの匂いがしただけで吐きそうになる美沙の気持ちがよくわかります。 玲子の恋人の完ちゃんはネグレクトで育ちましたが、性格が温かく、唯一のなごみでした。 母の恭子も少女時代を、これ以上ないほどの毒親の元で送った不遇な過去がありますが、最後まで恭子の呪縛は消えません。 濃厚で、とても淋しい話だと思い、それでも涙しました。 でも読んでいて、凄く疲弊する作品でした。
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「生理的に無理、受け付けない」というセリフがあります。女性が男性に使う場合が多い気がしますが、同性に対してはどうでしょうか? 職場等で、「この人は理屈に関係なく受け入れられない」ケースはあるかもしれません。 本作は、そんな「生理的に無理」でも、避けられない歪んだ親子・家族の物...
「生理的に無理、受け付けない」というセリフがあります。女性が男性に使う場合が多い気がしますが、同性に対してはどうでしょうか? 職場等で、「この人は理屈に関係なく受け入れられない」ケースはあるかもしれません。 本作は、そんな「生理的に無理」でも、避けられない歪んだ親子・家族の物語と言えると思います。 若手建築家の妻・美沙の視点で語られる義理母は、美沙が妊娠して以降、悪意はないのに「生理的に無理」を通り越し、狂気で身の危険さえ感じます。読み進めると、病的な怖さが際立ち、さらに過去からの負の連鎖が明らかになってきます。 読み手は、不穏・不快を感じながらも、先が気になり仕方ありません。それこそ、こういう物語は「生理的に無理」という読者の方もいらっしゃるでしょうが、こんな展開こそが、人間の醜悪な面を追求する遠田潤子さんの真骨頂で、クセになりハマる方もいるのだろうと思います。 それにしても、余りの濃密さに、読後大きな溜息をつき、(良い意味で)ハンパない疲労度MAX状況となりました。
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Amazonの紹介より バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が...
Amazonの紹介より バラが咲き乱れる家で、新進気鋭の建築家・青川英樹は育った。「バラ夫人」と呼ばれる美しい母。ダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。母に反発して自由に生きる妹。英樹の実家はごく普通の家族のはずだった。だが、妻が妊娠して生まれてくる子が「男の子」だとわかった途端、母が壊れはじめた……。 家族とは?育児とは何か?深く深く考えさせられました。 一見幸せそうな家族でしたが、読み進めるたびに本性が見えてくる「バラ夫人」の心の闇が、とても深かったです。 お節介と優しさが、いかに紙一重なのか。自分も気をつけなければならないなと思いました。 冷酷と優しさの間で激しく揺れ動く心理描写が、何とも胸を締め付けられ、いつの間にか涙が込み上げてきました。 家族それぞれの視点で、物語は進行していくのですが、それぞれが思う相手に対する恨みが、まぁ根深く、その辺りの心理描写がうまく表現されている印象でした。 「バラ夫人」がいかにして形成されていったのか?過去を振り返りながら、実態を知ることができるのですが、もう苦しいの連続でした。 今では考えられない思想の盛り沢山であり、同じ人間とは思えない発想に唖然とするばかりでした。 どこから歯車が狂ってしまったのか? 一つが狂い出すと、もう直ることができないかのような展開に「あの時、あーしとけば・・・」と後悔の連続でした。 どうやったら家族が再生していくのか?物語では、悲劇の連続からの再生になります。それがとてもやるせない気持ちになりました。 幸せからの再生を期待していたのですが、なかなかハードな展開に言葉を失ってしまいました。 小説のような形で再生はしたくないですが、自分の家族だったらどんなことをすれば良いのか? 答えを出しにくいですが、お互いの話し合いに尽きると思いました。 どんな家族にせよ、後悔のないよう、「良い」家族であり続けていきたいです。
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大苦戦。読了まで4日もかかってしまった……。 いわゆる“毒親”をテーマにした作品だが、そのターゲットは母親だ。父親も取り上げられてはいるが、母親の所業に比べればかわいいものだ。しかしまあ、そもそもの原因は父親にあると言えなくはない。断ち切れない負の連鎖が続き、登場人物の誰ひとりと...
大苦戦。読了まで4日もかかってしまった……。 いわゆる“毒親”をテーマにした作品だが、そのターゲットは母親だ。父親も取り上げられてはいるが、母親の所業に比べればかわいいものだ。しかしまあ、そもそもの原因は父親にあると言えなくはない。断ち切れない負の連鎖が続き、登場人物の誰ひとりとして幸福ではない。後半でようやく事態は好転するかのように見えたが、それは瞬時に潰える。あとに残されるのはやり場のない怒りと虚しさだけ。 なにがうれしくてこんな本を読むのかと思ってしまうが、それが“遠田劇場”だ。理不尽極まりない世界に浸ってほしい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
母の愛の呪いの深さに読み終わった時には全身傷だらけだった。自分の身体から流れる血は母親から受け継ぎ、そして娘に受け継がせるひとつの呪いそのもの。 母親の、娘に対する潜在的嫌悪と息子に対する情動的愛情。 ここに描かれる母親の、歪み、病み、苦しみ、そして狂喜。誰もが追い詰められている。 そんな母親の呪いから逃れることはできないのか。 背を向け家を出、縁を切ったとしても、それでも浮かんでくる母親のつながり。 捨てることはできないのか。憎しみ、恨み、切り捨てたと思っていても求め続けてしまうのか、その愛を。 生暖かく美しい母の愛に溺れていたい、苦しみの中にある喜びというゆがんだ快感。 夫や息子と、娘とではとらわれの形と深さが違う。じわじわとすれ違っていく男と女の感覚の違い。言葉では言い表せないその決定的な溝。 月に一度身体から流れ続ける血への嫌悪感、そしてその身体の中で他者を育み生み出す痛みと苦しみ。二つになった身体の、再び一つになりたいという潜在的願望。それはどうしたって男には理解できないものではあるが。 読み終わった後、恐怖に震えながら、我が身を思う。 私はイオカステにならずに終われるのか、この人生を。恐ろしくて叫びだしそうになる。 イオカステの罪はどこにあるのか。
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怖くて、哀しくて、苦しくて、 引きずり込まれて夢中で読んだ。 大切な人を、大切にする方法を、 人はどうやって覚えるのだろう。 満たされない想いが捩れて、 どんどん絡まっていく。 それでも孤高のバラのように、 自らにトゲを張り巡らせて、自分を守ろうとする。 絶望の淵で悲しみ...
怖くて、哀しくて、苦しくて、 引きずり込まれて夢中で読んだ。 大切な人を、大切にする方法を、 人はどうやって覚えるのだろう。 満たされない想いが捩れて、 どんどん絡まっていく。 それでも孤高のバラのように、 自らにトゲを張り巡らせて、自分を守ろうとする。 絶望の淵で悲しみに揺れ惑う。 その悲哀に満ちた色は見るに忍びない。 歯車の溝は痛ましく噛み合い、 やり切れない連鎖で回り続けていく。 いつかは同じ地に戻るだけ。 観覧車ではどこにも行けない。 それでもそこから何か、 何かが見えてほしいと願わずにはいられない。 何か、光を見つけて希望を見出してほしい。 この世に生を享けるということ。 母親と父親の存在とその関係性は、 生まれてきた人誰一人例外なくあるもので、 それぞれに抱えた問題に対峙し、 安心して自分が自分でいられる場所を作って生きていけることを願ってやまない。 そんな優しさに揺れる想いを 遠田さんは私たちに届けてくれました。 コレは読み終わるまで寝れないな…ってなりました。 凄いものを読ませていただきました!
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2022/09/09リクエスト 4 この恐ろしさは、味わったことがない。 イヤミスというレベルではない。 建築家・青川英樹は、バラ夫人と呼ばれる美しい母に育てられる。 仕事のダムと蕎麦が好きな仕事人間の父。 母に反抗的に生きる妹。 英樹の妻が妊娠し、生まれてくる子が男だとわかった途端、バラ夫人である母がおかしくなっていく。 登場人物が、親や子に通常では考えられないような感情を抱く中、一番狂っているのは、バラ夫人である恭子ではなく、恭子を出産してからずっとつらく当たってきた、その母親だった。この母娘関係は読んでいて、とても苦しいものだった。娘に、いやらしいこやね、そんなこと言うものか?そんな一言では、説明の付かない、様々な事柄が恭子に歳月をかけて注入されていく… 加害者が元は被害者だった。その連鎖。 恭子の死後、平和な家庭を取り戻すようにも見えるが、それさえも不気味。 英樹の妻である美沙の今後は大丈夫なのか。 美沙の母親も、これまた何を考えているのか不明。 英樹の妹である玲子は、母親の恭子にパートナーを殺されかけた。そしてパートナーである完はこれから起こる、いま起きていることを覚えていられない、そんな障害を持ったまま、玲子は共に歩んでいこうとしているが、やっていることは、母親の恭子の生き写しのよう。 唯一、まともな登場人物は、英樹の会社に勤務するシングルマザーの橋本さん。言うことがいちいち正論で、物事の真実をついている。 最後まで救いのない話だった。 かなりの重量の本だけど一日で読み終えた。
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もう読んでいて恐怖心を感じて読んでしまいました。イオカステとは読んでその意味を知って下さい。『ゆりかごを揺らす手』と言うサイコスリラー映画を思い出してしまいました。読む手が震えて一気読み間違い無しです。遠田潤子さんこんなにも引きつけられる作家さんはいません。あなたも読んで恐怖を感...
もう読んでいて恐怖心を感じて読んでしまいました。イオカステとは読んでその意味を知って下さい。『ゆりかごを揺らす手』と言うサイコスリラー映画を思い出してしまいました。読む手が震えて一気読み間違い無しです。遠田潤子さんこんなにも引きつけられる作家さんはいません。あなたも読んで恐怖を感じて下さい。
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