レッドゾーン の商品レビュー
夏川さんの描く松本のコロナ初期。医師のリアルが伝わってくる。思ったより対象期間が短かった、もっと先の展開を読んでみたい。
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『臨床の砦』の続編とのことだが、その前のコロナ第一波に立ち向かう小さな街の公立病院の医師たちのお話。 コロナウイルスという治療法も薬もワクチンもない感染症患者を受け入れるにあたり、未知の病いに対する恐怖、家族への思い、近隣医療機関の患者受け入れ拒否、手探りの投薬治療、コロナ感染者...
『臨床の砦』の続編とのことだが、その前のコロナ第一波に立ち向かう小さな街の公立病院の医師たちのお話。 コロナウイルスという治療法も薬もワクチンもない感染症患者を受け入れるにあたり、未知の病いに対する恐怖、家族への思い、近隣医療機関の患者受け入れ拒否、手探りの投薬治療、コロナ感染者や医療関係者に対する偏見などなど、筆者ご自身の体験を元に医師たちの不安と苦悩が淡々とつづられているので心に沁みる。 医師である前に一人の人間であり、それぞれの生活や家族、守りたいものがある。それでも患者を受け入れ治療に尽力する誠実な医療従事者の皆さんに尊敬の念を抱きます。そしてあれから2年半が経った今も未だコロナ第七波の渦中。一日も早い終息を願わずにはいられない。
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臨床の砦の視点を変えた続編。 コロナが始まった1年目、自分はどうしていたか、日本はどうだったかと改めて思い出し、振り返りながらの読了。 医療従事者、特に医師の間でもこんな攻防が続いていたのか、今だから冷静になって知ることが出来る。 最後にカミュの小説ペストの引用がある。 どん...
臨床の砦の視点を変えた続編。 コロナが始まった1年目、自分はどうしていたか、日本はどうだったかと改めて思い出し、振り返りながらの読了。 医療従事者、特に医師の間でもこんな攻防が続いていたのか、今だから冷静になって知ることが出来る。 最後にカミュの小説ペストの引用がある。 どんな職業であれ、人間としての行いというものを見つめたい。
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コロナが日本で確認された頃、当時はそこまで感染力はないものと楽観していたが、とんでもないことになる。 緊急事態宣言が発令され、マスクも消毒液も医師の防護服までも無いという状態になっていた。 医師や看護師の家族は、世間の目を気にしながら生活していたように思う。 そんな大変な時に長野...
コロナが日本で確認された頃、当時はそこまで感染力はないものと楽観していたが、とんでもないことになる。 緊急事態宣言が発令され、マスクも消毒液も医師の防護服までも無いという状態になっていた。 医師や看護師の家族は、世間の目を気にしながら生活していたように思う。 そんな大変な時に長野の病院が、コロナ患者を受け入れている。 どこも自分の病院の患者が優先であり、コロナの疑いがあると受け入れ無い。 それに文句を言えるはずもなく、患者はたらい回しに…。 この長野の信濃山病院の医師たちもみんなが賛成だったわけでは無いが、疲弊していく医師たちを見て見ぬふりはできずに診療科を超えた医師までも協力する。 文中で「ペストが優れた作品であるのは、感染症と戦った人々の勇気や行動力を讃えたからではない。人間の勇気や行動力など、なんの役にも立たない不条理で理不尽な世界を描いたからだよ」 とある。 医師のつとめと言うより人間のつとめだと思う。 これこそが、誠実なものたちだからこそのことばだったのだろう。 ちょうどコロナで世の中が未曾有の危機ともいえる時期に「ペスト」を読んだが、すっかり忘れていた。
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コロナ第一波の、病気やウィルスに対する知見が何もない中での、呼吸器専門医でもない内科医たちの使命感だけに支えられた試行錯誤の努力と苦悩が生々しい。 病気に対してか、状況に対してか、社会に対してか、政治に対してかはわからないが、全編を通じて作者の怒りのような熱い思いを感じる。 抑...
コロナ第一波の、病気やウィルスに対する知見が何もない中での、呼吸器専門医でもない内科医たちの使命感だけに支えられた試行錯誤の努力と苦悩が生々しい。 病気に対してか、状況に対してか、社会に対してか、政治に対してかはわからないが、全編を通じて作者の怒りのような熱い思いを感じる。 抑えた筆致が余計にその思いを強くする。 プロローグとエピローグで書かれる第6波との対比が秀逸。
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そうそう、初めはこんな感じでしたね、と思うほどにコロナとの戦いは長い。恐怖感も随分と緩和された。第8波と言われる今、最初の頃の状況が遠い過去になったかのように読んでいて思った。医療従事者のみなさん、よくがんばった!これからもよろしくお願いします。
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「臨床の砦」が第3波の物語でしたが、続編はさらに過去のコロナスタート時の話でした。 あの頃の異様な様子、今でも覚えているし忘れられるものではないですが、地域の中で最前線でコロナと対峙していた医療従事者は、感染の恐怖と疲労と世間のギャップと様々な面で苦しんでいたのだと感じました。...
「臨床の砦」が第3波の物語でしたが、続編はさらに過去のコロナスタート時の話でした。 あの頃の異様な様子、今でも覚えているし忘れられるものではないですが、地域の中で最前線でコロナと対峙していた医療従事者は、感染の恐怖と疲労と世間のギャップと様々な面で苦しんでいたのだと感じました。 大義名分があれば世間てあんなに酷くなれるんだなぁと連日医療従事者や感染者、それぞれの家族へのバッシングのニュースを見て、コロナ感染よりこわいなぁと思い出しました。 今もコロナ対応について医療側と経済側の統合は取れていませんが、引き続き感染対策をして、それでも罹患した場合は大人しく療養しようと思います。
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「沈黙の壁」 これか〜、コロナ医師の苦悩の正体は! 私には長年、主治医の先生がいた。 その先生は内科医部長だったんですけど、コロナの最初期から県のコロナ受入指定の病院になり、そのために、はからずも最前線でずっと対応し、なかなか周囲が理解してくれないといつも話してくれ、苦しんで...
「沈黙の壁」 これか〜、コロナ医師の苦悩の正体は! 私には長年、主治医の先生がいた。 その先生は内科医部長だったんですけど、コロナの最初期から県のコロナ受入指定の病院になり、そのために、はからずも最前線でずっと対応し、なかなか周囲が理解してくれないといつも話してくれ、苦しんでたコトの話をしてくれていた。 それが一体何なのか、この書籍を読む事で、聞いてた苦悩がやっと繋がった。 コロナがどうとか、病院や医師の使命がどうとか、あれやこれやどうとかこうとか。 そんな事は、それぞれの人達がたくさんの意見や考え方をすればいい。みんな違っていい。 だけど、この本を読んで。 当たり前だけど、医師である倫理観や道徳観、使命感や義務感といった事が求められたり。 医者以外の普通の人が、それを考えたりするよりも。 そんなことの前に、医師も1人の人間であり、家族や大事な人を持っている1人であり、怖さや弱さを抱えて、逃げたくなったりするんだと、当然の様に感じました。 「私たちと何ら変わらない」 そんな中で、コロナ業務に立ち向かう、ただの1人の普通の人として、葛藤や本音が見え隠れしながら、ただただ、目の前の仕事に向き合う日々。 当たり前だけど、人が見たくないものを、ワザと見えなくしているようにする現代は、隠していると言う訳じゃないはずのそこの負の一面を、もっと表に出す努力がある気がする。 そして、私たち自身も嫌な事から目を背けず、受け止め傷つく?事を恐れない気持ちを保つ、そんな大事なことを考えてしまう読書時間になりました。 自分が医師の立場だったら。 コロナが当たり前?になった今ですら、自分がどんな対応をしたのだろうか?、その答えは出ないです。 ただ、正解は一つじゃない中で、何を選択するのかは、どんな仕事や人生を送っていても、正義や悪に関係なく、突然突き付けられる時はあるので、覚悟を持って、日々を過ごしたいと思った、そんな本日でした!
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コロナが流行りかけた頃、その最前線で戦う医師たちがどんなに大変だったかがリアルに伝わってきた。 ただ、伝えたいことが多すぎたのか個別の話が深まり切らず、ちょっと物足りなかったかも…。
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まず、印象に残ったのが、 『もっとも苦しいと感じたのは、医療崩壊が起きた第三波でも、デルタ株が猛威をふるった第五波でもない。正体不明のウイルスの恐怖に震えていた第一波であったことは疑いない。』という部分。 この一冊の中に第一波での闘いが書かれている。本当はもっともっと苦悩やその時...
まず、印象に残ったのが、 『もっとも苦しいと感じたのは、医療崩壊が起きた第三波でも、デルタ株が猛威をふるった第五波でもない。正体不明のウイルスの恐怖に震えていた第一波であったことは疑いない。』という部分。 この一冊の中に第一波での闘いが書かれている。本当はもっともっと苦悩やその時の思いがあっただろうなと思う。 私自身、クルーズ船のニュースのことは今もよく覚えている。その時は船の中だけに留めていたウイルスを患者の治療のために陸に降ろさなければならない。患者を受け入れた病院、ホテル、施設。よく決断したなと本当に感心した。その周辺では、反対や差別も起きた。未知の新しいウイルスであったために起きたコロナ差別は、心無いと思いながらも、他人事ではなかった。 後に起きた学校の休校、消毒液の不足、マスクの不足。家庭に消毒液はもともとなかったが、マスクはあった。使い切ったら手に入らない不安。マスクは作る時代へ。思い出のアルバムをめくるかのような感覚で読みすすめていった。 この小説の中では、第一波の肺炎と死のコロナのことだけが書かれている。 その後どんどん変異して症状や患者の年齢が変わっていく。それでもコロナの怖さは変わらない。 ワクチンも治療薬もない新しいウイルス。致死率も高く命がけで闘ってくださった医療従事者の決死の思いが伝わってきた。当初の風邪と同じ。インフルエンザみたいなもの。という認識に戻りつつあるが、発熱外来にかかれば防護服での対応は当たり前。流行る時期とおさまる時期は交互に来て、波はいまだにある。どんなに、コロナの致死率が下がったり、感染力が弱まっても、医療従事者の方々のことを思えば、やっぱり気をつけなければならないと思う。
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