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震える天秤 の商品レビュー

3.5

47件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2024/02/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分の良心と、法の元の正義。この2つを天秤にかけた時に、どちらの秤が選ばれるのだろう。 高齢者のアクセルとブレーキを踏み間違えによる事故により、1人の若者が亡くなった。フリージャーナリストが取材を行うなかで、濃密な人間関係によって生まれた事件の本質が見えてくる。 事故の背景にかくされた事実から、事故を起こした気持ちは分かる。だが、事故のまま処理されてしまうのは、法治国家に住む者として正しい行為なのだろうか… 良心と正義のどちらをあなたは選びますか?と言う問いを読者に最後まで残す本書は、自問自答をする事が苦にならない人には、お薦めできる1冊と思う。

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2024/02/19

高齢者が起こした交通事故。 その真相を追うフリーライター。 法律が全てだと、当事者になった時に思えるかどうか。自分の中の正義について考えた。

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2024/01/27

村集落ならではの密度の濃い人間関係と、加害者家族の屑さに煩わしさを感じていたが、時折挟まれる主人公と元妻のやり取りが微笑ましい。 最後少しもモヤっとしたけれど、自分の良心に従った結果なら納得。

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2024/01/23

高齢ドライバーの事故という社会問題の取材のため東京から地方にやってきた主人公。 事故と思っていたが取材をすすめるうちに違和感を覚え次第に事故の真相に迫っていく物語。 最後に読者ならどうするか、と問いかけられているようにも感じ、タイトルの意味も最後にわかる内容。 終盤に進むにつれて...

高齢ドライバーの事故という社会問題の取材のため東京から地方にやってきた主人公。 事故と思っていたが取材をすすめるうちに違和感を覚え次第に事故の真相に迫っていく物語。 最後に読者ならどうするか、と問いかけられているようにも感じ、タイトルの意味も最後にわかる内容。 終盤に進むにつれて主人公に感情移入していきました。

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2024/01/22

あらすじ 高齢ドライバーによる死亡事故をきっかけに、奇妙な風習の残る村の秘密を暴く社会派ミステリー。 北陸のコンビニで起きた事故を取材するために現地に赴いた、フリーライターの俊藤律。事故は、86歳の男性が運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したというもの。加害者は認知...

あらすじ 高齢ドライバーによる死亡事故をきっかけに、奇妙な風習の残る村の秘密を暴く社会派ミステリー。 北陸のコンビニで起きた事故を取材するために現地に赴いた、フリーライターの俊藤律。事故は、86歳の男性が運転するトラックが店舗に突っ込み、店員を轢き殺したというもの。加害者は認知症の疑いがあり、アクセルとブレーキを踏み違えたのだという。しかし、律は事故現場や目撃者の証言にどうしても違和感を拭えない。彼は、加害者が住んでいた埜ヶ谷村を訪ねることにした。 福井の山間部にある埜ヶ谷村は、古くから続く因習や風習が残る閉鎖的な村であった。村人たちは律に対して敵対的であり、何かを隠している様子。律は、事故の真相を探るうちに、村の歴史や人間関係に深く関わる驚愕の事実を知ることになる。そして、彼は究極の選択を迫られるのだが・・・ この本は、高齢ドライバー問題や認知症問題など、現代社会が直面している課題を背景にした作品です。著者は、事故や事件だけでなく、その背後にある人間の心理や動機を丁寧に描き出しています。また、埜ヶ谷村の因習や風習も興味深く読めます。村人たちの絆や信仰は一見美しいように見えますが、それがどれほど強固であり、どれほど恐ろしいものであるかが次第に明らかになっていきます。 本書の魅力 本書の魅力は、主人公の律のキャラクターと行動力です。律は、正義感が強くて好奇心旺盛なライターです。彼は、事実を追求するために、村人たちから嫌がらせや脅迫を受けてもめげずに執拗に取材を続けます。彼は、自分の命や家族や恋人と引き換えにも真実を暴こうとします。 しかし、この本の最大の見せ場は、最後の結末です。律が辿り着いた真相は衝撃的であり、彼が下した決断は議論を呼びます。この本は、「あなたならどうする?」という問いかけを読者に投げかけます。それは、倫理的な問題であり、答えが容易ではありません。この本を読んだ後、読者は自分の価値観や判断基準を見直すことになるでしょう。 染井為人の『震える天秤』は、社会派ミステリーの傑作です。現実に起こり得る事故や事件を題材にしながら、人間の心の闇や葛藤を描き出しています。読者は、この本に引き込まれ、考えさせられ、震えることになります。この本は、ミステリー好きはもちろん、社会問題に関心のある人にもおすすめです。

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2024/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この本の前に『踏切の幽霊』を読んで、そちらも主人公がジャーナリストだった。 でも、この『震える天秤』のフリーランス主人公、途中からメチャクチャ感情移入できなくて腹が立って仕方なかった。17歳の女子高生に無理やり事件の話を聞こうとしたり、あまつさえ小さい男の子に「話したらいけないって言われてる」つってんのに、大人のいやらしさで話しさせようとする…。日頃のジャーナリストの悪いところが出てて本当途中から読んでてストレスが溜まった。踏切の幽霊はそんなことなかったのに…。 あと、主人公の元妻は猫に塩焼きサンマをやったり無理やり風呂に入れようとした時点で猫飼いの心象は−300くらい。 結局、主人公は事件の真相を書かずに終わるので、そこだけは唯一ホッとした。

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2024/01/19

フリーランス記者である主人公が感じた違和感と良心に従い真実が次々と明らかになるストーリーにどんどんハマっていった。真実は当事者しかわからないという現実的な結末で、そこに魅力を感じた作品。裁判官である主人公の元妻が主人公に言った「結局法律なんて完全無欠には程遠い。それを元に人を裁く...

フリーランス記者である主人公が感じた違和感と良心に従い真実が次々と明らかになるストーリーにどんどんハマっていった。真実は当事者しかわからないという現実的な結末で、そこに魅力を感じた作品。裁判官である主人公の元妻が主人公に言った「結局法律なんて完全無欠には程遠い。それを元に人を裁くわけだからあたし自身出した判決に疑問を持つことも多いよ。でもね、あたしはそれに従うしかないの」という言葉が印象的。

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2023/11/23

高齢者の踏み間違え事故を取材するフリージャーナリストの俊藤律が知ってしまった事実。 田舎の村人たちの強い同郷愛の中で律はその事実とどう向き合うか。 律と元妻里美との関係がとても気持ちよく、物語の息苦しさを和らげてくれる。 この元夫婦の出てくる別の物語も読んでみたい。

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2023/11/23

「悪い夏」があまりにも面白かったので、同じ作者の別作品をと思い手に取りました。染井為人さんの作品がおもしろいと感じる理由の一つが、登場人物たちが必ずしも悪人てして描かれるわけではなく、むしろそうした側面はその人の一部である、ということが自然と描かれているからのように思われます。つ...

「悪い夏」があまりにも面白かったので、同じ作者の別作品をと思い手に取りました。染井為人さんの作品がおもしろいと感じる理由の一つが、登場人物たちが必ずしも悪人てして描かれるわけではなく、むしろそうした側面はその人の一部である、ということが自然と描かれているからのように思われます。つまり、登場人物がそこら辺にいそうな人、なのです。 本作は一介のジャーナリストが仕事としてとある交通事故を取材するうちに、実は背景にもっと深い真相が隠されているのでは…という流れです。 タイトルにある天秤は終盤、主人公がいったいどっちの選択を取るのか、そうしたものの象徴になっています。結末は解説にもある通り賛否両論、むしろ否のほうが多いんじゃないかなという感覚ですが、あまり重くなりすぎずに読めた作品です。登場人物のひとり関浩一郎が物語終盤で明かす事実は唐突すぎて面食らってしまいました、ここまで来てそんなんあり?てな感じで… 主人公が取材する事件がよくありそうな交通事故だからこそ、物語全体として壮大ではない印象を受けますが、むしろそういった部分を丁寧に描き切れるのは実力なのかもなぁと感じました。

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2023/11/12

高齢ドライバーによる死亡事故発生。 認知症を疑われる老人のアクセルとブレーキの踏み間違えによりコンビニ店長を轢き殺す大惨事…と思われていたが、ライター俊藤律が取材の為加害者が住んでいた村を訪ねると何やら不吉な違和感をおぼえる。 取材を進めたどり着いた真相は… 初読み作家さん。 ...

高齢ドライバーによる死亡事故発生。 認知症を疑われる老人のアクセルとブレーキの踏み間違えによりコンビニ店長を轢き殺す大惨事…と思われていたが、ライター俊藤律が取材の為加害者が住んでいた村を訪ねると何やら不吉な違和感をおぼえる。 取材を進めたどり着いた真相は… 初読み作家さん。 高齢者の運転は社会的にも物議を醸している。 こうした社会問題をテーマにどんな展開が待っているのか…と思いきやストーリーは違う方向に…。 重たいテーマながらももう少しリズムがある方が自分的には読みやすかったかな。 気になるテーマだけに読み進めたいがなんとも進みが悪かった。 リズムだけでなく、主人公、俊藤律!彼が嫌だったぁ〜^^; ライターさんはこの位執拗でなければ仕事にならないんでしょうが、ん〜、子供相手に…あの場面は本当に嫌だったなぁ。 ラストは彼の言うところの彼の良心に従ったのでしょうが…難しいところです。 ストーリーの結末を読者に託す形になったのでしょうが、自分の答えは出ず…。 高齢者の運転問題にも答えは出ず…。 「あとがき」で作者が語っているように自分の運転能力、感覚が普通でなくなった時…その時自分がその事に気づけるのか?気づいて認められるのか?返納後の生活が一変してしまう諦めと決心はつくのか? それが出来ないからこうして社会問題になっているのだろうと考えている。

Posted byブクログ