われら闇より天を見る の商品レビュー
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ミステリという枠に収めていいんかってぐらい壮大。 人生がみっちり描かれてました。 読み応えあった! ダッチェスがあまりに短絡的で感情移入は出来なかった。 その生い立ち故なのだろうとは思うけれど、親切にしてくれる周りの人達もいるのに、どうして皆が皆を敵と認識してしまうのだろう? 彼女の心情をなかなか図り取れずでした... 読み応えはあったけど、内容がなかなかスピード感があってすらすら読み進められました。 ハッピーとも言えない余韻をきかせた終わり方が如何にも海外小説って感じで好き(笑) 総じてストーリーが面白かったです!良かった〜
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英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールドタガー賞)受賞作で、2023年度の『ミステリが読みたい』『このミステリがすごい』海外篇第1位の小説。 カリフォルニア州の海辺の小さな町ケープ・ヘイブンを舞台に繰り広げられる30年間にわたる因縁の物語。 そのなかで起きたふたつの事件が、十三歳...
英国推理作家協会賞最優秀長篇賞(ゴールドタガー賞)受賞作で、2023年度の『ミステリが読みたい』『このミステリがすごい』海外篇第1位の小説。 カリフォルニア州の海辺の小さな町ケープ・ヘイブンを舞台に繰り広げられる30年間にわたる因縁の物語。 そのなかで起きたふたつの事件が、十三歳の少女ダッチェスとケープ・ヘイヴン警察の署長ウォークを中心に描かれていく。 500ページを超える長編で、しかも最初から不穏な空気をまとった物語に途中投げ出してしまいそうになったが、ダッチェスと幼い弟ロビンの悲惨な境遇、宿命に怯まずたったひとりで立ち向かっていこうとするダッチェスの痛々しい姿、そして母親の不審な死をめぐる真相究明といったダイナミックな展開に次第に夢中になった。 さらに加えて多彩な登場人物たちのリアルで魅力的なキャラクターにも強く捉えられていった。 そして訪れる終幕の静かで穏やかな余韻。 ミステリーとしての面白さだけでなく、人間ドラマとしての側面ももつ奥深い小説に、爽やかな読後感を味わった。
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前半は人名がなかなか頭に入ってこなくて混乱し読むのをやめようと思ったが、途中で舞台が変わり引き込まれていった。 無法者のダッチェスが何より強烈な印象。当初は言動にドン引きだったけど、いつしか小気味良く感じられてきた。 無償の愛をそそいでくれた祖父ハル、その他魅力的だったり、出てく...
前半は人名がなかなか頭に入ってこなくて混乱し読むのをやめようと思ったが、途中で舞台が変わり引き込まれていった。 無法者のダッチェスが何より強烈な印象。当初は言動にドン引きだったけど、いつしか小気味良く感じられてきた。 無償の愛をそそいでくれた祖父ハル、その他魅力的だったり、出てくるとげんなりしてしまう人物だったり、多彩な登場人物たちに出会えてよかった。
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ダッチェスが不憫でならなかった。それぞれの心の謎を解き明かすミステリー小説で,愛が故に起こってしまう辛いお話でした。ラスト1行ジーンときました。
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面白かった。最後、泣いてしまった。ヴィンセントとスターが会っていたことを知ったところ。 ダッチェスとウォークの二人の主人公が面白い。 ダッチェスは問題を起こすところはちょっとげんなりした。やるにしても、もう少し狡猾にやれば良いのになって感じ。そういう小説ではないけど。 ヴィンセントについて、ロビンの証言で一転してマジかよって、犯人だと決めつけてしまったけど、真実知って泣いた。勝手すぎる聴衆だな。 登場人物それぞれに欠点があり美点があって面白い。ウォークだって病気なの黙って働いて偽証までする。ヴィンセントもずっと後悔して最後は自殺する。ウォークはもしかして小児性愛者かと疑ったら、大金が必要なチンピラ?だった。それぞれみんな守りたいものがあって、そのために罪を犯す。ウォークはずっと高校生のあの時のままでいて欲しくて、変化を受け入れず地元民を苦しめる片棒を担いでいた、というのが良かった。 良い小説だった。
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一言でまとめるなら、無法者が無法者のまま、愛されていたことを語れる強さを持つまでの話だと思った。 個人的に良かった訳は、5章の「欲しいものを求めるのが願い、必要な物を乞うのが祈りだ」 あらすじは「主人公ダッチェス」、その母・スターの妹を15年前に事故で殺してしまった男の出所に始...
一言でまとめるなら、無法者が無法者のまま、愛されていたことを語れる強さを持つまでの話だと思った。 個人的に良かった訳は、5章の「欲しいものを求めるのが願い、必要な物を乞うのが祈りだ」 あらすじは「主人公ダッチェス」、その母・スターの妹を15年前に事故で殺してしまった男の出所に始まり、この2人を見守る警官。この3人が他人のために動くこととその心の成長に一貫していたと思う。 とある人を殺した犯人は序盤に分かったけど、それがこの話の面白さにあまり関係ないのが良い。 このミス2022海外編2位の186ptにほぼ倍の差をつけた336ptで1位に輝いた本書、中盤以降は520Pの長さを感じさせなかった。 弟を守るために強くあろうと無法者を自称する少女がいじらしく、結構な無茶をしても受け入れられるように書かれているのが凄い。たぶん警官のウォーク同様、本文にもよく出てくる「無私の行い」を貫いてるからだろう。 祖父ハルの、失った娘に対する愛と罪。警官でありながら薬でとある症状を隠し、それが終盤の転機になる警官ウォーカー。壮年の夫の介護をしながらも明るくお洒落な友人や、自分を気にかけてくれる少年など、周りのキャラクターも良かった。 海外の地理に疎いので場所移動の楽しさが実感できない事や、少女が往年の名曲を歌うシーンのエモさがあまり想像できなかった事が残念だった。もっと洋楽を聴いていたり知識がある人はより楽しめたと思う。 何にせよ、原題「We Being at the End」(終わりから始める)の通り、13歳の少女が失い・気付き・始めるための素敵な物語でした。 (2023/5/2)
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警察官のウォークと幼なじみの女性スター、その子どもダッチェスとロビン、同じく幼なじみの男性ヴィンセントが主人公です。 少年時代にスターの妹が交通事故で亡くなり、その犯人でスターの恋人でもあったヴィンセントは、ウォークの通報により刑務所に服役することになります。 その出来事がき...
警察官のウォークと幼なじみの女性スター、その子どもダッチェスとロビン、同じく幼なじみの男性ヴィンセントが主人公です。 少年時代にスターの妹が交通事故で亡くなり、その犯人でスターの恋人でもあったヴィンセントは、ウォークの通報により刑務所に服役することになります。 その出来事がきっかけとなり、それ以降幼なじみ同士の関係性や主人公やその取り巻く関係者の生き方にも大きく影響を与えます。 20年後、服役を終えたヴィンセントが出所しますが、、、 というストーリーです。 主人公たちだけでなく、登場人物それぞれに生き方の選択を誤ったことに対する後悔や痛みを抱えています。最初は展開がゆっくりではありますが、ある程度そういった背景が理解できるようになると、結末を読まずに終われない小説です。 精神的に余裕のある状況で読むのがおすすめです。
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5歳の時、妹を恋人に殺された母、スターは、30年過ぎた今でも心を病んでいる。スターの子、ダッチェスは、自分は無法者だと名乗り、母と弟ロビンを傷つけるものには仕返しをする。仕返しが原因で母が殺されたのか、それとも30年前に母の妹を殺したヴィンセントが出所したばかりの身で母を殺したの...
5歳の時、妹を恋人に殺された母、スターは、30年過ぎた今でも心を病んでいる。スターの子、ダッチェスは、自分は無法者だと名乗り、母と弟ロビンを傷つけるものには仕返しをする。仕返しが原因で母が殺されたのか、それとも30年前に母の妹を殺したヴィンセントが出所したばかりの身で母を殺したのか。被害者と被疑者、両方の親友であるウォークが真相を突き止めていく。 ウォークとダッチェスの二人を軸に話が展開していきます。ミステリーではあるけれども、ダッチェスが母を亡くしてどう生きていくかに重点が置かれていて、泣きそうになるところもあります。 愛、愛ですよ。 出てくる人、みんな愛のためなんですよ。友情だったり、孫への愛だったり、子への愛だったり。 そして、そんな真実…。 ダッチェスたちが幸せになりますように。
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この世界には理由もなく苦しみの中にいる人が数えきれないほどいる。 精神的に不安定なスターという母親の下に、ダッチェスとロビンという兄弟がいる。二人もその中に含まれるだろう。 ダッチェスという少女は、不安定な貧しい家庭環境の中で、母親のスターと弟のロビンを守ろうと孤軍奮闘するが、その奮闘虚しく次から次へと不幸は起きる。 ロビンだけには不自由をかけまいと、自分の食べ物は後にして、ロビンにだけは食べさせる。 いじめっ子には断固たる態度で、暴力を持ってして臨む。 ダッチェスは俠気のある少女なのだ。 時に過剰にも思えるダッチェスの行動も母親を守ろうとしての行為だ。 もう一人の主人公、ウォーカーが、病魔と戦いながら、この世界の大切な何かを守ろうとする姿勢にも心動かされる。 この救いのない世界で、それぞれが優しい心を持っていて、 時に、そうでない人もいるけれど、この世界も捨てたものではない、そう思わせてくれる。 英語の文体のせいなのか、翻訳のせいなのか、所々、えっという文章があったが、簡潔に書いているからかな、と思った。 自分の理解力のなさだろうか? テンポよく書かれているので、一気に読み通せた。
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とても悲しい物語でした。 多くの登場人物について、それぞれが抱えている問題が描かれており、誰のどの話を聞いても、心が押し潰されそうになります。 中でも、主人公のダッチェスは圧倒的で、最後までそのオセロがひっくり返ることはありません。 読み終わって思ったことは、負は連鎖する、という...
とても悲しい物語でした。 多くの登場人物について、それぞれが抱えている問題が描かれており、誰のどの話を聞いても、心が押し潰されそうになります。 中でも、主人公のダッチェスは圧倒的で、最後までそのオセロがひっくり返ることはありません。 読み終わって思ったことは、負は連鎖する、ということです。 不自由なく暮らしている人からすると、"無法者"に対して、なぜそんな行動をするのか、なぜそんな結果になるのか、疑問に思いますが、"無法者"はそうならざるを得ない道の上にいるのかもしれません。 私は普段生活していて、唾を吐かれることも殴られることも差別を受けることもありませんが、それが全人類に当てはまるわけではないんですね。 当たり前のことかもしれませんが、改めて気付かされました。 翻訳かつ文量が多いため、手に取りづらいタイプの本でしたが、読めて良かったなと思います。 --- 「みんながきみを見ていても、ほんとのきみは見えてないと思うことはないか?」 ---
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