われら闇より天を見る の商品レビュー
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面白かった。 書評にあった、ミステリでありロードノベルという言葉が完璧で、これ以上ない。(教養小説かどうかはハテナ) ・日本に生きている子どもたちが晒される恐怖とは、おそらく質が違う。日本にだって、寂れた崖の街も閉鎖的な田舎もある。しかし、銃声はむしろ都会のものだろう。田舎で、身を隠すことのできないなか銃から逃げ回ることの絶望感は、きっと途方もない。 日本で自分たちの人生を踏み荒らすオトコに復讐したいとき、少女が握るのはせいぜい包丁か、薬瓶。クローゼットの中に隠れたまま、幼い子どもが母親をころす方法は恐らく無い。ここで育った以上、ダッチェスの人生を本当の意味で理解はたぶんできない。 ・ダッチェスのすべての選択が“無法者”だった。理性を尊ぶわたしとしては、苦手なタイプ。やられたらやりかえす、としてもその方法くらい選べばいいのに。それができなくなるほどの抑えられない強い衝動を、わたしは知らない。 ・ロビンのように、庇護を待ってできるだけ心をころしてぼうっと生きる方法もある。姉の優しいウソも見抜けないふりをしていれば楽だ。しかしダッチェスは人生を投げ出さず、諦めず、どうにか自分でコントロールしようととにかく健気だ。ふつう、子どもには難しいことのはず。 ・家系図の話、どう話してもロビンの人生に影響し得るが、公にするのか…とけっこう驚いた。「ロビンの姉」から開放されて1人の人間になったことの表現なのだろうか。 ・邦題が直訳でないのは、どういう意図?作中にも繰り返し登場する重要な言葉なのに。日本人が原題をみたら、キラキラしいストーリーを想像してしまうから? すべての予想が、よりつらい方に裏切られた。 ・シシーがしんだのは別の理由、ヴィンセントは冤罪→本当にヴィンセントが撥ねていた ・スターがしんだのは近所の男(任意)による犯行で、ヴィンセントはそれを庇っている→ロビンが撃っていた ・ハルは寿命でしぬ、最期の瞬間に生命の尊さみたいな会話がある→銃殺でしんだ ・ウォークの体調不良はただのストレス→パーキンソン病 ・ダークは何か事情があってグレーなことをしているが最終的には和解できる→しんだ ・ヴィンセントの釈放後の人生が描かれる→しんだ つらい。
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重厚な物語。 みんな大切な人を守りたい、それだけなのに、読んでいて辛くなるくらいに悲しい方に物語は進んでいく。 結局みんないいやつ。それが素敵。
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アメリカの小さな街での惨劇のあと、主人公ダッチェスと最愛の弟、兄弟を見守る警察署長ウォーク。過酷な運命に振り回されながらも自らを無法者として生き抜いていくダッチェスの姿に心打たれていくばかり。二人を守り抜きたいウォークの一途な姿勢も迫ってくる。途中で起こる悲惨な事件の謎解きが底流...
アメリカの小さな街での惨劇のあと、主人公ダッチェスと最愛の弟、兄弟を見守る警察署長ウォーク。過酷な運命に振り回されながらも自らを無法者として生き抜いていくダッチェスの姿に心打たれていくばかり。二人を守り抜きたいウォークの一途な姿勢も迫ってくる。途中で起こる悲惨な事件の謎解きが底流にあり、その真相は余りにも悲劇だが、寂しくも温かいエンディングにじわじわと来ます。ダッチェスがきっと素晴らしく成長していってくれるに違いない。
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うーむ、期待していたのとはちがってました。描写がぐだぐだ長くて、話に救いがなくて・・・というところが、ぼくにとっては残念だったところです。登場人物を丁寧に描いたりだとか、いいところもたくさんあるとは思いますが、ぼくは読んでて気分がめいりました。【2023年7月31日読了】
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ラストまで引き込まれるように読んだミステリーだった。謎解きというより…どちらかというと、ヒューマンストーリーといったほうが近いのかもしれない。 読みながら感じたこと… この小説の主人公の少女ダッチェスや登場人物の人生が濃く、ダッチェスのパワーには、なんだか励まされ...
ラストまで引き込まれるように読んだミステリーだった。謎解きというより…どちらかというと、ヒューマンストーリーといったほうが近いのかもしれない。 読みながら感じたこと… この小説の主人公の少女ダッチェスや登場人物の人生が濃く、ダッチェスのパワーには、なんだか励まされる気がした。ダッチェスから「私は『無法者』だから家族を守るためには、なんだってやるんだ。お前は何やってんだ?」と言われてる気がした。 ダッチェスほどのガッツは持てないけど、彼女の「守りたい」という気迫は伝わってきた。なげやりな気分や、しょぼくれた気分に気合いを入れたい時に、 また読みたい。 アメリカのモンタナの自然描写も美しくて良かった。
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アルコール依存の母と幼い弟ロビンのケアをする少女ダッチェス。自身を「無法者」と名乗り、強がって乱暴に振舞って見せることで2人を守ろうとする。自分にも「私は無法者だから」と言い聞かせているのが何とも切ない。 登場する皆が、それぞれ犯した罪に苦しみそれでもちょっといい方向に向かうと見...
アルコール依存の母と幼い弟ロビンのケアをする少女ダッチェス。自身を「無法者」と名乗り、強がって乱暴に振舞って見せることで2人を守ろうとする。自分にも「私は無法者だから」と言い聞かせているのが何とも切ない。 登場する皆が、それぞれ犯した罪に苦しみそれでもちょっといい方向に向かうと見えたところで、また暗転するのが読んでいて辛くなる。 でもハルがダッチェスを丸ごと受け止めていて、ダッチェスが周りの人に心を許していく様子を読んでいて口元が緩んでしまいました。 最後まで読んで謎が解けて、人物の相関関係が見え、もう一度最初から読もうと思っています。
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ダッチェスとロビンの幸せを祈りながら読んだ。 ミステリなのに、美しい文章に溢れていて、文学作品を読んでいるような気持ちで読み終えた。 忘れられない一冊になった。
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登場人物たちを取り巻く境遇、ストーリー展開に心を動かされる。 少しやり過ぎなところがあるかも。それによって現実感が損なわれる面があるかなとも思う。 でもそれは小さなことで、とても優れた作品なのは間違いない。
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秘密と誤解の積み重ねで上手く物語を構成しており、後半は一気に読め、面白かった。 ただ、物語の辻褄合わせがいささか強引かなと感じた。特に、そんな方法で2人も生まれたってのが、ファンタジー過ぎて少し醒めた。登場人物達がみんなもう少し正直な人達だったら、全く物語なりたたないなぁとも思ったり(苦笑)
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ダッチェスのキャラクターや 展開も面白く読んでいて楽しかったけど 終盤うまくまとまり過ぎてたのが残念。 悪い奴が一人もいないとなると なんだか虚しいというか、肩透かしをくらった気分になる。
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