夜の道標 の商品レビュー
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塾講師の戸川が殺される。 良い先生がなぜと不思議だったが、旧優生保護法と言う考え方により将来を奪われた阿久津によるものと分かり納得した。 阿久津は今で言うADHDのような感じか。 波瑠は本当に可哀想だと思う。 当たり屋なんてことをさせる父親は許せない。 桜介の素直さに救われた。
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道標は「みちしるべ」だと思っていましたが 届いた本を見たら「どうひょう」でした。 何となく意外です。 前半は、少年二人と豊子が どんな風につながってくるのか全く分からず、 ただ先が気になって読み進めました。 (あらすじは流し読みなので、殺人事件があったんだ位の予備知識で読んでい...
道標は「みちしるべ」だと思っていましたが 届いた本を見たら「どうひょう」でした。 何となく意外です。 前半は、少年二人と豊子が どんな風につながってくるのか全く分からず、 ただ先が気になって読み進めました。 (あらすじは流し読みなので、殺人事件があったんだ位の予備知識で読んでいます) 虐待を受けている少年や、殺人事件被疑者の阿久津に感情移入してしまい、苦しく切ない。 でも、少年と阿久津の出会いから特に引き込まれた。 初読みの作家さん、この作品は読んでよかった。 大満足の一冊です。
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正しいとされていたことが起こしてしまった悲劇。 扱っている題材が良い。 ないがしろにされた登場人物がいたような感覚があり、やや減点。
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小学生6年生の桜介、同級生の波留、惣菜店でパートとして働く豊子、刑事の平良の4人の視点で物語が進んでいきます。 桜介が同級生の波留が交通事故に遭うところを目撃するところから始まり、平良のパートでこの小説の核となる「戸川殺し」というワードが登場します。 2年前に起きた学習塾経営者...
小学生6年生の桜介、同級生の波留、惣菜店でパートとして働く豊子、刑事の平良の4人の視点で物語が進んでいきます。 桜介が同級生の波留が交通事故に遭うところを目撃するところから始まり、平良のパートでこの小説の核となる「戸川殺し」というワードが登場します。 2年前に起きた学習塾経営者殺害事件と、バスケットに打ち込む小学生やパートタイマーの女性がどう繋がっていくのか。また未だ捕まらない犯人の動機は何なのか。 読み進めていくと、とてもとても重いものがずしりと心に覆い被さってくるような感覚になります。 作中で豊子の心境として書かれていますが、私も含め多くの人が「見向きもせずに通り過ぎてきたこと」がこんなにも重たく、人の心を踏みにじることだったのかと気付かされ、罪悪感でいっぱいになるような、そんな感覚です。 本作の中では、犯人の本当の動機や気持ち、また犯人と関わった人の感情は描かれていません。 読み手は作中に記されていた客観的事実から動機を想像せざるを得ず、この点で好みが分かれるかもしれません。 ですが、「警察に見つかればみんなにとって分かりやすい物語の枠に入れられて、本当のことはこぼれ落ちてなかったことにされてしまうかもしれない」と作中にあったように、作者は多くの読者が腑におちるような“分かりやすい”動機にしてはならないと考えたのではないでしょうか。 かつて日本で本当に起きていたこと。その事実は広く知られるべきですが、その当事者の気持ちを第三者が憶測で決めつけてはいけない。 考えすぎかもしれませんが、私はそんな風に受け取りました。
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学習塾の経営者がかつての教え子に殺害される。すぐに捕まると思ったが、2年経っても見つからない。 離婚後、一緒に住んでいる父親にから虐待され、当たり屋をやらされる少年。給食がない夏休み、腹が空き町を彷徨っていると。 歪んだ親子の話ですね。読んでて、なかなかつらくなります。愛ゆえ...
学習塾の経営者がかつての教え子に殺害される。すぐに捕まると思ったが、2年経っても見つからない。 離婚後、一緒に住んでいる父親にから虐待され、当たり屋をやらされる少年。給食がない夏休み、腹が空き町を彷徨っていると。 歪んだ親子の話ですね。読んでて、なかなかつらくなります。愛ゆえにでもあるし、生き抜くためにでもある。 家族の形に正解はない。そもそも時代とともに正解は変わるし、今の性の問題や虐待だって数十年前はふつうだった。 場所によってだって正義は変わる。かの国でいまだに続いている戦争だってそう。殺人でさえ正当化される。しかし、各々の動機は知りたかったかなぁ。
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横浜市内で塾の経営者が殺害された。被疑者は35歳の元教え子。 誰からも慕われる先生で殺害の動機は分からない。そして被疑者の行方は杳として知れない。 被疑者を自宅の半地下に匿う女はコンビニ弁当を彼のために用意する。 ある日一人の少年が庭に迷い込んだ。父子家庭で育つ少年は父親から虐...
横浜市内で塾の経営者が殺害された。被疑者は35歳の元教え子。 誰からも慕われる先生で殺害の動機は分からない。そして被疑者の行方は杳として知れない。 被疑者を自宅の半地下に匿う女はコンビニ弁当を彼のために用意する。 ある日一人の少年が庭に迷い込んだ。父子家庭で育つ少年は父親から虐待を受けていて、常に飢えていた。 少年が飢えていることを知った彼は弁当を与えるようになった。 彼が外に出ようと思ったのは、記憶にある公園に少年と行ってみたいと思ったからだ。 児童虐待の話かと思って読み進むうちに、過去の重たい優生保護法という制度が関わってくる。 読み応えのある一冊だった。
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当たり屋を父親から強制されている少年と、逃亡中の殺人犯が出会い〜というのが本筋で、少年を慕う友人や殺人犯を匿う女性の物語が絡んでいく内容。 ストーリーも読みやすく、深みもある。 犯人のキャラが若干現実離れしている感あり、それ以外は良い。
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ストーリーもよかった。けど、講演を受けたのか、ってくらい色々と考えさせられた。今は正しいとされている事柄も、未来では悪、誤り、あり得ない、になるんだよなあ、とか。旧優生保護法が1996年まで施行されていたなんて、考えたくないけど本当にあった話。当時はみんなやってた?悔しくて、やるせなくて、涙が止まらなかった。差別を作り出した法律でしかない。 他にも貧困、虐待、殺人、様々な問題が出てくるからか、余計に、何不自由なく育った桜介くんがまぶしく感じられる。桜介くんのような生活が、子どもたちにとって当たり前になってほしい。
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自分に読解力が足りないため、皆さんが考察されてるような内容まで深く入れなかった。 小学生の桜介、波留、長尾豊子(2年前の殺人犯阿久津を匿ってる)、警察平良の4人の視点毎に物語が進むので読みやすかった。 バスケットで大人なみの上手さを誇り皆から憧れられる波瑠が車にはねられる 衝撃のスタートで引き込まれた。 ただ事故ではなく、波留の家庭は貧しく父親から当たり屋をさせられていたというこれまた衝撃。 当たり屋をさせる父親、世間のために子供のためにと思って息子(阿久津)に不妊治療を施した母親、 子供を持つ身として色々考えさせられた。 旧優生保護法という、障害者に子供が出来ないよう不妊治療を施すことを容認する法律が1996年であったということを初めて知った。 阿久津が先生ゆ殺した理由は?
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タイトルに夜が使われているが、夜のシーンはあまりない。 読み始めてからずーっとヒリヒリした気持ちが続き、このヒリヒリ感を早く終わらせたくてページをめくり続けた。 真相がつかめそうでつかめない。近づいたと思えばまた遠くなる。そんなもどかしさも焦燥感と一緒くたに襲ってくる。なぜこの時代設定なのか当初疑問だった。 しかしヒリヒリも焦燥感も、枯渇した地面に泉が湧くようにゆるく温かな気持ちに変化していく。 そうか、みんな出口にの見えないトンネルにいたのかと気づく。トンネルの外はこんなにも清々しいものなのか。 そんな読後感だった。 余談だが日光東照宮にはすぐにでも行きたくなった。
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