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紙の梟 ハーシュソサエティ の商品レビュー

3.6

69件のお客様レビュー

  1. 5つ

    9

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    2

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2022/12/16

遂に日本では人を1人殺害すると、理由如何に関わらず死刑になるという事になった。裁判員制度が始まり、国民が犯罪の厳罰化を望む空気が強くなったことにより、世界の流れに逆行して死刑判決が当たり前となった世の中が前提となっていて、短編4つと中編1つが収められている。もちろん最後の紙の梟が...

遂に日本では人を1人殺害すると、理由如何に関わらず死刑になるという事になった。裁判員制度が始まり、国民が犯罪の厳罰化を望む空気が強くなったことにより、世界の流れに逆行して死刑判決が当たり前となった世の中が前提となっていて、短編4つと中編1つが収められている。もちろん最後の紙の梟が一番面白い。 けっこう売れている作曲家笠間は人生で初めて信頼できる女性となった紗弥と知り合い結婚を考えていた。しかし突然紗弥は惨たらしい惨殺死体となって発見される。捜査の結果紗弥には疑惑が次々と明るみに。 死刑制度を絡めたミステリで、制度廃止派、実施派の争点だけでなく、この国の一方的に空気に流される人心の有り様など、深く考えさせられる小説。

Posted byブクログ

2022/12/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編4編,中編1編 殺人者はどんな理由であっても死刑になる社会.それがどんな風な社会になるかを描いていてる.手の指,舌,目を失わせた犯人の非道さも,自殺した子をいじめた子供たちへの自殺志望者による報復も全ては,人を殺せば死刑という法律から起きている.特に「レミングの群れ」に出てくる田中一郎の不気味さは精神異常だ. 最後の表題作は,許しや後悔といった点にベクトルが変化し,死刑は免れないながらも救いのようなものがあって少し救われた気持ちになった.

Posted byブクログ

2022/12/12

理由の如何を問わず人をひとり殺したら死刑となる社会を前提とした思考訓練。 一人殺すも複数人殺すも死刑は同じなので、犯罪抑止にならないとか、自殺願望を持つ人が殺人に走るという連想はわからないでもない。 こういう社会に限った事件もあればそうでもないものもあり、雑多な印象。

Posted byブクログ

2022/12/02

貫井徳郎の最新作を読了しました!本編は、貫井作品らしい内容で、人を1人殺せば無条件で死刑になるという制度が成立した仮定での日本で起こる殺人事件を扱った短編集で、どの物語も死刑の是非を問うような微妙な事件を扱った話ばかりで、なかなか深い内容の作品でした! 自分自身も死刑に対して考え...

貫井徳郎の最新作を読了しました!本編は、貫井作品らしい内容で、人を1人殺せば無条件で死刑になるという制度が成立した仮定での日本で起こる殺人事件を扱った短編集で、どの物語も死刑の是非を問うような微妙な事件を扱った話ばかりで、なかなか深い内容の作品でした! 自分自身も死刑に対して考えさせられる内容の読み応えのある作品でした!

Posted byブクログ

2022/11/30

人ひとり殺したら「死刑」 そんな法律になった日本… このルールは単純であり日本国民に歓迎された… 「死刑」に賛成、反対と言う感情が揺さぶられる作品ではありました。 「死んで詫びる」「腹切り」「仇討ち」 吉良を討ち入りした赤穂浪士がヒーローだと考えるのは当たり前…悪を成敗して何...

人ひとり殺したら「死刑」 そんな法律になった日本… このルールは単純であり日本国民に歓迎された… 「死刑」に賛成、反対と言う感情が揺さぶられる作品ではありました。 「死んで詫びる」「腹切り」「仇討ち」 吉良を討ち入りした赤穂浪士がヒーローだと考えるのは当たり前…悪を成敗して何が悪い? 日本にはそんな感情があるし…復讐する気持ちわかるよね〜とか(u_u) この作品の世界は、とにかく相手が死んでしまったら死刑です。 殺意のあるなし関係なく、事故だろうが、正当防衛だろうが理由は関係ないのです…恐ろしい。 話が進むにつれてこの「一人殺したら死刑」の弊害が出てくるのですよ。 あ〜そうなるよね〜日本国民ってそう言うとこあるもんね…と冷めた気分になる作品でした。 自分は死刑についてどう考えるか… ここにはっきりレビューしたらどうなる? そんな意見に総攻撃し、多数派に属することを是とするのが日本人… この作品を読んで死刑について考えてみよう! そんなメッセージ性の強い作品でした。 そんな貫井さんは死刑廃止論者かな?

Posted byブクログ

2022/11/28

ぴギャーー!!シビア!!「人を1人でも殺したら問答無用で死刑」という仮想世界のお話です。現行の死刑制度に対して特に反対派ではなかったので、ふーん...という感じで読んでいたがこれは想像以上にヤバい事態になるんですね。という事例が4編の短編に書かれています。おっそろしい世の中になり...

ぴギャーー!!シビア!!「人を1人でも殺したら問答無用で死刑」という仮想世界のお話です。現行の死刑制度に対して特に反対派ではなかったので、ふーん...という感じで読んでいたがこれは想像以上にヤバい事態になるんですね。という事例が4編の短編に書かれています。おっそろしい世の中になります。そしてそれに対するファイナルアンサーという形で中短編が最後に収録されています。まぁなんとよく出来た構成。流石ぬっくん。思わず舌を巻きました。どのお話もミステリー部分にもう少しサプライズがあればなお良しですが、面白かったです。

Posted byブクログ

2022/11/26

表題作は 身につまされる部分が多い 共感する とは思わないし ネット住民の声も 現実社会同様に不思議なくらいの熱量に腰がひけてしまう 設定が極端だから 少し異世界な感じがするけれど 部分 部分では ドキリとゆうか ギクリとさせられる 否定を受け入れることは出来ているだろうか...

表題作は 身につまされる部分が多い 共感する とは思わないし ネット住民の声も 現実社会同様に不思議なくらいの熱量に腰がひけてしまう 設定が極端だから 少し異世界な感じがするけれど 部分 部分では ドキリとゆうか ギクリとさせられる 否定を受け入れることは出来ているだろうか 自分の正しさを疑わず 視野が狭窄していないだろうか 色々と感じることの多い作品だったけれど 表題作以外に あまり心が動かず 星2つ

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2022/11/09

人ひとり殺せば死刑、分かりやすいとは言えそれを受け入れてしまうのは考えることをやめることなのだと感じた いきなり恋人を殺され、その恋人は偽名で本当は何者なのかわからない…笠間は立ち止まらず彼女のことを知ろうと努力し続けたのが本当にすごい “盗人にも三分の理”を考えさせられる それ...

人ひとり殺せば死刑、分かりやすいとは言えそれを受け入れてしまうのは考えることをやめることなのだと感じた いきなり恋人を殺され、その恋人は偽名で本当は何者なのかわからない…笠間は立ち止まらず彼女のことを知ろうと努力し続けたのが本当にすごい “盗人にも三分の理”を考えさせられる それにしてもこの死刑ルールを利用して自分の欲を満たしている田中一朗、怖すぎる

Posted byブクログ

2022/11/04

死刑制度をより極端な状況にした世界での物語。 死刑という刑罰について問いかける。 紙の梟は、さらに罪とは、贖罪とは、許しとは何かをも問いかける。 当事者でない故の建前論に陥り、その溝を越えた自分なりの答えが見つけられない。

Posted byブクログ

2022/11/01

ここまで人を殺すことを面々と綴られてしまうとこっちの方がまいってしまう。残念ながら三篇目のレミングの群であえなくドロップアウト。ひとりを殺すと死刑になるといった新しい観点でのお話は興味深いが、私にはハードルが高すぎたようだ。。。。

Posted byブクログ