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嘘と正典 の商品レビュー

4.1

55件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/11/17

直木賞作家・小川哲の、以前直木賞受賞候補作になったSF短編集。6篇が編まれている。どれも独立した話だが、共通項に、過去と未来、父と息子、血脈、歴史改ざん、などを持つ。少し小難しく、気品があり、魅力的だ。謎めいた話の立ち上がりから注意深く読み進め、その短編の世界観を徐々に把握し、や...

直木賞作家・小川哲の、以前直木賞受賞候補作になったSF短編集。6篇が編まれている。どれも独立した話だが、共通項に、過去と未来、父と息子、血脈、歴史改ざん、などを持つ。少し小難しく、気品があり、魅力的だ。謎めいた話の立ち上がりから注意深く読み進め、その短編の世界観を徐々に把握し、やがて筋はクライマックスを迎え…ホーっ、そういう展開ですか…。どれも複雑に構成された物語で、これぞ短編という味わいがあった。 「魔術師」は、かつてメディアで人気を博したマジシャンが再び表舞台に立ったとき、ステージ上でタイムトラベルのマジックを披露し、消えてしまった。そのステージの動画を何度も何度も見返す大人になった息子と娘。父は本当に過去に戻ったのか?父のマジックを再現しようとする姉。終始謎めいて不穏な雰囲気。 「ひとすじの光」は打って変わり、競走馬の血統をたどる話。疎遠だった学者の父は病に伏せっていた。亡くなる数日前に病室に呼び出された作家の息子は、父が唯一処分しなかった財産である競走馬についての父の原稿を読む。この馬のルーツを辿りながら、いつしか自分のルーツに思いを馳せる。 「時の扉」は、ファンタジーめいた話。どんな話なのかなかなか掴めない。古いヨーロッパのおとぎ話もしくはシェイクスピアの戯曲を読んでいるような感覚で読み進めているうちに、これは…!ある歴史上の人物の話なのだとわかる仕掛け。過去を認めず改ざんしていくと、時間は線形ではなくなる。 次の「ムジカ・ムンダーナ」は、異国情緒溢れる不思議な話。フィリピンの離島に、通貨の代わりに音楽で商取引がされる島がある。取引のために披露された楽曲は、徐々に価値を失っていくという。島の最高峰の音楽はまだ誰も聴いたことがない。かつてその島を訪問し帰ってきた作曲家の父は、以降いっさいの活動をやめた。父の遺品の中に古いカセットテープを見つけた息子は、印象的な曲が録音されていることを発見し、島に渡る…。 「最後の不良」は近未来の日本。流行を追いかけ続けることに嫌気が差し、オシャレを志すことがダサいと言われるようになった無機質な日本。トレンド情報誌の編集者だった主人公は、売れなくなった雑誌を横目に辞表を叩きつけ、特攻服を来て暴走族となるが…。ちょっと星新一テイストを感じた。 そして表題作「嘘と聖典」へ。冷戦の時代のソ連が舞台。主人公は、CIAの工作員。ソ連側の技士が寝返りたいと接触してくる。どうやら過去にメッセージを送る装置が開発されたそうな…?そこで、共産主義の祖であるマルクスとエンゲルスの出会いを阻止することで共産主義の誕生を阻止し、冷戦の原因を根絶できるのではという発想に至る…。果たしてこの歴史改ざんはどうなる。冒頭の伏線を回収するラストで、ふーっと満足感とともに本を閉じる。 贅沢な読書体験だった。

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2024/10/20

時の扉以外は全て面白かった 表題作は特に話の密度が濃くて良いです やはりこの作者の文章が好き また他の作品も読みたい

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2024/10/04

硬派な文体が好み。特に最初と最後の話が面白かった。残りの作品は、あと一歩、物語のおいしいところを感じられなくてもったいないと思った

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2024/09/28

君のクイズ、ゲームの王国に続いて3冊目。 総じて難しいんだけど面白かった。教養が自分にあれば最高だったかも。 それぞれの短編を読んでる間は難しいし、なんだこれ?みたいな感じで進んでいくけど、読み終わったら面白い!すご!ってなるような感覚。個人的に。 お気に入りはひとすじの光です。...

君のクイズ、ゲームの王国に続いて3冊目。 総じて難しいんだけど面白かった。教養が自分にあれば最高だったかも。 それぞれの短編を読んでる間は難しいし、なんだこれ?みたいな感じで進んでいくけど、読み終わったら面白い!すご!ってなるような感覚。個人的に。 お気に入りはひとすじの光です。

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2024/09/03

全体的に少し難しかったが、面白かった。 特に好きなのは「嘘と正典」はじめは何やこれ?と思ったが、途中からわかってきてドキドキした。 「ムジカ・ムンダーナ」も結構好き。歌うような言語ってどんなだろう、と想像しながら読んだ。音楽が通貨や資産になるという発想にびっくりした。 「最後の不...

全体的に少し難しかったが、面白かった。 特に好きなのは「嘘と正典」はじめは何やこれ?と思ったが、途中からわかってきてドキドキした。 「ムジカ・ムンダーナ」も結構好き。歌うような言語ってどんなだろう、と想像しながら読んだ。音楽が通貨や資産になるという発想にびっくりした。 「最後の不良」は流行に関しての考え方が面白く、共感できるところがあった。私はどちらかと言うと流行気にしない派だけど、主人公の気持ちを知って、そんな考え方もあるんだなぁと面白かった。

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2024/08/24

物語が快適で読みやすい本は多いけれど、読み応えのある本を手に取ったのは久しぶり。ぐいぐいと没頭して読みました。 なんというか、脳みそフル回転で読む、という感覚でした。 作家が発表する作品は、その時代に衝撃を与えることも多々あると思いますが、私にとってこの作品がまさにそれ。 『地図...

物語が快適で読みやすい本は多いけれど、読み応えのある本を手に取ったのは久しぶり。ぐいぐいと没頭して読みました。 なんというか、脳みそフル回転で読む、という感覚でした。 作家が発表する作品は、その時代に衝撃を与えることも多々あると思いますが、私にとってこの作品がまさにそれ。 『地図と拳』に行く前に、他作品も読んでおこうと思います。

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2024/08/05

1年ちょっとぶりの再読。去年読んだ時も面白くて星5つ付けたけど、改めて読んだら星12個くらい付けたいぐらい面白かった。 前回読んだ時に衝撃を受けた魔術師がやはり強烈。“ある”か“無い”かは意見が分かれるのだろうけど、個人的には無い方が理道の、そして姉の狂気が際立つと思うので無し派...

1年ちょっとぶりの再読。去年読んだ時も面白くて星5つ付けたけど、改めて読んだら星12個くらい付けたいぐらい面白かった。 前回読んだ時に衝撃を受けた魔術師がやはり強烈。“ある”か“無い”かは意見が分かれるのだろうけど、個人的には無い方が理道の、そして姉の狂気が際立つと思うので無し派で。 表題作は前回はあまり頭に入ってこなかったけど、改めて読んだらとても面白かった。 この1年でテッド・チャンを読んだので時の扉の見え方がちょっと変わったのも面白かったり。 地図と拳、分厚くて大分身構えてしまうのだけど読んでみようかな

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2024/05/25

この短編集の感想を書くのは難しい。バラバラの話だが同じような世界観で描かれているような。 時間を超えてマジックを見せていくような魔術師、共産主義の時代を将来から過去に繋げていくような嘘と正典、名馬の血統の繋がりを探し出すひとすじの光。 この感じが好きな人にはハマるだろうという作家...

この短編集の感想を書くのは難しい。バラバラの話だが同じような世界観で描かれているような。 時間を超えてマジックを見せていくような魔術師、共産主義の時代を将来から過去に繋げていくような嘘と正典、名馬の血統の繋がりを探し出すひとすじの光。 この感じが好きな人にはハマるだろうという作家は多いが、私にはちょっと面白さがわからなかった。他の人の感想にあった回収が見事、という点を探し出せないところが多くあり。

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2024/05/25

表題作の中篇を含む6篇の短篇集。また、時間を題材にした作品集でもありました。 どれも良かったですが、特に気に入ったのが 『魔術師』『ひとすじの光』『嘘と正典』です。 『魔術師』 売れっ子マジシャンとして大成した父は、積年の夢だった「魔術団」を結成します。しかし、天才的な演出力や...

表題作の中篇を含む6篇の短篇集。また、時間を題材にした作品集でもありました。 どれも良かったですが、特に気に入ったのが 『魔術師』『ひとすじの光』『嘘と正典』です。 『魔術師』 売れっ子マジシャンとして大成した父は、積年の夢だった「魔術団」を結成します。しかし、天才的な演出力や演技力があっても、事業を取り仕切る才に欠け、借金を重ねて零落し、ついには妻と離婚して姿を消します。 ある時、再び表舞台に復帰した父は、僕と姉を公演に呼び「仕掛を見破って、恥をかかせたくないか?」とマジシャンになっていた姉を挑発してきます。はたして、父の人生を賭けたタイムトラベルマジックは本物なのか… マジシャンがやってはいけない三つのことという「サーストンの三原則」。これに挑戦するという演出から、過去の好きな時間に飛ぶ片道のタイムトラベルは、アニメ『シュタインズゲート』のバイト戦士(鈴羽)の手紙を思い出して、涙腺が緩みそうになった。ラストは、読者に想像を任せる終わり方なので、謎は謎のままですが、これはこれでいいと思いました。 『ひとすじの光』 亡き父の残した競走馬と病室で書いていた未完の原稿。生前は、相続に関する手続きをほぼ終えてしまうほど几帳面だっただけに、競走馬の処遇を決めずに逝ってしまったのが謎でした。 その謎を解くため、父の原稿を読み始めたところ、スペシャルウィークの系譜を遡るところから始まっていた… 実在のダービー馬であるスペシャルウィークの血統を遡って行くうちに、作家の息子が父の思いを理解していく感動作。終盤は、まるで競馬の実況を聞いているような臨場感。ラストは、そこから新たな物語が始まるかのような終わり方が秀逸でした。 『嘘と正典』 時は米ソ相対する冷戦時代。ある日、モスクワ駐在の米大使館員(CIA工作員)が、接触してきたソビエトの電子電波研究所の技師から機密情報を得るようになります。周囲はKGBの監視が張り巡らされた、不自由な諜報活動。そんな中、技師は偶然にも「過去にメッセージを送る方法」を発見します。 それを知ったCIA工作員は、自分の過去に影を落とす共産主義を消滅させるため、マルクスとエンゼルスの出会いを阻止しようと歴史改変を試みます… ミステリではないですが、伏線の回収が見事ですね。後半は、スパイ小説さながらのハラハラドキドキしながらの読書でした。しかしながら、何をもって正しい歴史とするのかとか、最後はいろいろ考えさせられました。

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2024/05/16

短編集でした。最初のは面白かったが、意味が分からないのもあった。他の長編の本も難しかったので、私の理解が追いついてないだけだと思う。

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