嘘と正典 の商品レビュー
物語が快適で読みやすい本は多いけれど、読み応えのある本を手に取ったのは久しぶり。ぐいぐいと没頭して読みました。 なんというか、脳みそフル回転で読む、という感覚でした。 作家が発表する作品は、その時代に衝撃を与えることも多々あると思いますが、私にとってこの作品がまさにそれ。 『地図...
物語が快適で読みやすい本は多いけれど、読み応えのある本を手に取ったのは久しぶり。ぐいぐいと没頭して読みました。 なんというか、脳みそフル回転で読む、という感覚でした。 作家が発表する作品は、その時代に衝撃を与えることも多々あると思いますが、私にとってこの作品がまさにそれ。 『地図と拳』に行く前に、他作品も読んでおこうと思います。
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1年ちょっとぶりの再読。去年読んだ時も面白くて星5つ付けたけど、改めて読んだら星12個くらい付けたいぐらい面白かった。 前回読んだ時に衝撃を受けた魔術師がやはり強烈。“ある”か“無い”かは意見が分かれるのだろうけど、個人的には無い方が理道の、そして姉の狂気が際立つと思うので無し派...
1年ちょっとぶりの再読。去年読んだ時も面白くて星5つ付けたけど、改めて読んだら星12個くらい付けたいぐらい面白かった。 前回読んだ時に衝撃を受けた魔術師がやはり強烈。“ある”か“無い”かは意見が分かれるのだろうけど、個人的には無い方が理道の、そして姉の狂気が際立つと思うので無し派で。 表題作は前回はあまり頭に入ってこなかったけど、改めて読んだらとても面白かった。 この1年でテッド・チャンを読んだので時の扉の見え方がちょっと変わったのも面白かったり。 地図と拳、分厚くて大分身構えてしまうのだけど読んでみようかな
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この短編集の感想を書くのは難しい。バラバラの話だが同じような世界観で描かれているような。 時間を超えてマジックを見せていくような魔術師、共産主義の時代を将来から過去に繋げていくような嘘と正典、名馬の血統の繋がりを探し出すひとすじの光。 この感じが好きな人にはハマるだろうという作家...
この短編集の感想を書くのは難しい。バラバラの話だが同じような世界観で描かれているような。 時間を超えてマジックを見せていくような魔術師、共産主義の時代を将来から過去に繋げていくような嘘と正典、名馬の血統の繋がりを探し出すひとすじの光。 この感じが好きな人にはハマるだろうという作家は多いが、私にはちょっと面白さがわからなかった。他の人の感想にあった回収が見事、という点を探し出せないところが多くあり。
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表題作の中篇を含む6篇の短篇集。また、時間を題材にした作品集でもありました。 どれも良かったですが、特に気に入ったのが 『魔術師』『ひとすじの光』『嘘と正典』です。 『魔術師』 売れっ子マジシャンとして大成した父は、積年の夢だった「魔術団」を結成します。しかし、天才的な演出力や...
表題作の中篇を含む6篇の短篇集。また、時間を題材にした作品集でもありました。 どれも良かったですが、特に気に入ったのが 『魔術師』『ひとすじの光』『嘘と正典』です。 『魔術師』 売れっ子マジシャンとして大成した父は、積年の夢だった「魔術団」を結成します。しかし、天才的な演出力や演技力があっても、事業を取り仕切る才に欠け、借金を重ねて零落し、ついには妻と離婚して姿を消します。 ある時、再び表舞台に復帰した父は、僕と姉を公演に呼び「仕掛を見破って、恥をかかせたくないか?」とマジシャンになっていた姉を挑発してきます。はたして、父の人生を賭けたタイムトラベルマジックは本物なのか… マジシャンがやってはいけない三つのことという「サーストンの三原則」。これに挑戦するという演出から、過去の好きな時間に飛ぶ片道のタイムトラベルは、アニメ『シュタインズゲート』のバイト戦士(鈴羽)の手紙を思い出して、涙腺が緩みそうになった。ラストは、読者に想像を任せる終わり方なので、謎は謎のままですが、これはこれでいいと思いました。 『ひとすじの光』 亡き父の残した競走馬と病室で書いていた未完の原稿。生前は、相続に関する手続きをほぼ終えてしまうほど几帳面だっただけに、競走馬の処遇を決めずに逝ってしまったのが謎でした。 その謎を解くため、父の原稿を読み始めたところ、スペシャルウィークの系譜を遡るところから始まっていた… 実在のダービー馬であるスペシャルウィークの血統を遡って行くうちに、作家の息子が父の思いを理解していく感動作。終盤は、まるで競馬の実況を聞いているような臨場感。ラストは、そこから新たな物語が始まるかのような終わり方が秀逸でした。 『嘘と正典』 時は米ソ相対する冷戦時代。ある日、モスクワ駐在の米大使館員(CIA工作員)が、接触してきたソビエトの電子電波研究所の技師から機密情報を得るようになります。周囲はKGBの監視が張り巡らされた、不自由な諜報活動。そんな中、技師は偶然にも「過去にメッセージを送る方法」を発見します。 それを知ったCIA工作員は、自分の過去に影を落とす共産主義を消滅させるため、マルクスとエンゼルスの出会いを阻止しようと歴史改変を試みます… ミステリではないですが、伏線の回収が見事ですね。後半は、スパイ小説さながらのハラハラドキドキしながらの読書でした。しかしながら、何をもって正しい歴史とするのかとか、最後はいろいろ考えさせられました。
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短編集でした。最初のは面白かったが、意味が分からないのもあった。他の長編の本も難しかったので、私の理解が追いついてないだけだと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
魔術師、一筋の光、時の扉、ムジカムンダーナ、最後の不良、嘘と正典の6つの短編。 個人的に魔術師、嘘と聖典は素晴らしかった。 魔術師 最後までタネがあるのかないのかわからない終わり方がとてもオシャレでよかった。 嘘と聖典 謎の導入から、共産主義の誕生へと繋いでいきSF超大作になっていてとてもよかった。これだけで映画が作れそう
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短編は作家の実験の場であると同時に、読者からするとその作家が自分に合うか確かめる材料でもあると考えている。 小川哲さんはすでに十分面白いことは分かっていたが、これはさらに上回った。解説にもあるようにSF×文学×ミステリの装いもあり、時間を超えた物語が6つ。どれも意外な場所に連れて...
短編は作家の実験の場であると同時に、読者からするとその作家が自分に合うか確かめる材料でもあると考えている。 小川哲さんはすでに十分面白いことは分かっていたが、これはさらに上回った。解説にもあるようにSF×文学×ミステリの装いもあり、時間を超えた物語が6つ。どれも意外な場所に連れて行ってくれる作品で『ムジカ・ムンダーナ』が個人的には一番好き。小川さんの作品は父と子がテーマとなっていることが多い。相容れなかった関係性の謎が解き明かされた時、違う景色が見える。 なんて面白いんだ。
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短編小説集とは知らず ゲームの王国を読んで以来、小川哲さんにひかれ 全部読みたいと思って購入しました。 6作品いろんな顔をもつ話で こんなにあちこちからよく思いつくなー と本当に感心しました。 どこか哲学的であるところ 哲学や、外国の話が日本人が書くから 読みやすいのも魅力では...
短編小説集とは知らず ゲームの王国を読んで以来、小川哲さんにひかれ 全部読みたいと思って購入しました。 6作品いろんな顔をもつ話で こんなにあちこちからよく思いつくなー と本当に感心しました。 どこか哲学的であるところ 哲学や、外国の話が日本人が書くから 読みやすいのも魅力ではないでしょうか? 特に好きなのは ムジカ・ムンダーナ 最後の不良 嘘と正典 SFの世界と本当の世界のギリギリのラインを 攻めるところが、現実味のある ありえるかも的な面白さで 引き込まれました。 薄い本なので、ぜひ手にとってみて欲しいです。 君が手にするはずだった黄金について も全然日常的ながら、SFよりではないのに 最近とても面白かったし 内容や、書き方も 幅が広すぎる、素晴らしい作家さんです! 余談 地図と拳も読みたいけど、太すぎてー 電子書籍を利用してないので 電子書籍端末を買おうか悩むくらい。 でも、まだ本がすきなんですよねー 本の匂いと、質感がたまらなく好きで 本好きの方はもう電子書籍にしてるんだろうかー??
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SFはあまり読まないですが ハイレベルなSFなんだろうということは分かる笑 クリストファーノーランを文章にした感じ
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普段SFは全く読まないのですが。 読んでも星新一くらい。 SFは怖いのだ。ひやっとする。ホラーはこれから怖がらせるぞー、怖がってくれー、とあからさますぎて逆に怖くなかったり、ファンタジーは冬の暖炉のように暖かいのに。 前回文藝で読んだ神についての方程式があんまりにも面白かったの...
普段SFは全く読まないのですが。 読んでも星新一くらい。 SFは怖いのだ。ひやっとする。ホラーはこれから怖がらせるぞー、怖がってくれー、とあからさますぎて逆に怖くなかったり、ファンタジーは冬の暖炉のように暖かいのに。 前回文藝で読んだ神についての方程式があんまりにも面白かったので選んでみました。 発想が面白い。騙された、と思う。 嘘と正典は、わくわくしたし。 でも、神についての方程式の方が好きだなー。 私は男性一人称で、男の人の自意識をテーマにした小説が極端に苦手なのです。なんか気持ち悪くて。ほとんどの純文学は駄目だし、サリンジャーは愛しているけれどライ麦畑は開かないし。なので父親との葛藤をテーマにされると勝手にしてくれ、と思ってしまった。 でも小川哲さんの本はもっと読みます。 時間をテーマにした物語群っていいですね。 SFは近未来が多いからそこに切り込んでいくな んて斬新な視点になるし。 最近とても頭の良い友人と話してて、意識して頭を使う人が天才なのかもしれないと思うようになった。 一つの話の中で色んなストーリーが同時進行で進むのでたまに訳わからんくなるけれど整合性が取れていてすごいと思いました。映画みたいな?パルプフィクション。
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